4884.南スーダン民族紛争



南スーダンはアフリカで6番目に石油埋蔵量が多い国である。2011
年に誕生したばかりの国で、人口は約820万人に上る。

多数派ディンカ族のキール大統領が今年7月、ヌエル族のマシャー
ル前副大統領を解任したのがきっかけだ。政争から民族対立に火が
付き、今月15日に政府軍と反大統領派の部隊が衝突。

現時点、反政府軍は、石油地帯であり、パイプラインがスーダンに
伸びる起点である北部ユニティ州を抑えて、それより南部のボルも
抑えているが、この交通の要所は政府軍が取り返したというが、反
政府軍に掌握されれば、国家収入の大半を石油収益に頼る南スーダ
ンに大きな打撃である。

ヌエル族は、南スーダンのナイル川支流バハル・アルガザル川、お
よびソバト川近辺に居住する民族で、それを取り囲むようにディン
カ族が位置する。これで民族紛争が起きると大量虐殺も起きかねな
い。

いち早く、石油地帯を抑えたマシャール前副大統領であるが、その
地域はディンカ族の地域でもあるので、まだ、勝敗はわからない。

この内紛で被害が大きいのは、石油会社である。特に南スーダンの
石油の80%を得ている中国であり、最初石油を得るためにスーダ
ンに多額の経済援助をしたら、内戦になり南スーダンが独立して、
経済援助がフイになり、今また、石油地帯の南スーダン軍に軍事援
助をしたら、その部隊がまるごと反乱軍になるということになる。

中国の外交政策の基本原則は内政干渉をしないことであるが、とう
とう、その中国が仲介に乗り出すようである。

中国外務省は24日、東アフリカ政府間開発機構の会合で、南スー
ダンに対し武力衝突を停止するよう呼びかけた。そして、中国が武
力衝突と近隣諸国への影響を注視していると説明。「南スーダンの
友好国でありパートナーである中国は、敵対的行為を即時中止し、
できる限り早期に交渉を開始するよう求める」と述べた。

日本は、自衛隊が韓国軍に弾薬を供給したことで揉めているが、首
都ジュバは、紛争地域の南に有り安全だ。それに比べて韓国、イン
ド軍は、紛争地域内になり、戦闘に巻き込まれる可能性がある。こ
の違いを認識しているのかしら。

また、中国軍、モンゴル軍なども、南スーダンの西部に展開してい
るので、紛争に巻き込まれない。

中国の心配は、中国石油天然ガス集団(CNPC:シノペック)が
石油地帯で操業しているので、現地中国人の救助と石油利権の確保
なはず。

さあ、どうなりますか?

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南スーダンで戦闘続く、住民1万人避難 米職員に国外退避指示
2013年12月18日 06:53 発信地:ジュバ
【12月18日 AFP】クーデター未遂が起きたとされる南スーダンの首
都ジュバ(Juba)で17日、対立する部隊間の戦闘が再び発生した。
15日夜からの一連の衝突で死亡した兵士の数は少なくとも73人に上
り、おびえた市民1万人が避難する事態に陥っている。
事態を受けて米国務省(US State Department)は声明で、「現在続
いている政治的・社会的な情勢悪化のため」緊急対策要員を除く大
使館職員らに国外退避を指示したことを明らかにし、米国人全員に
「直ちに」南スーダンを離れるよう勧告した。
サルバ・キール(Salva Kiir)大統領は16日、政敵のリヤク・マシ
ャール(Riek Machar)前副大統領を支持する部隊によるクーデター
未遂があったと発表。政府は、10人を拘束し、マシャール前副大統
領などは逃走中だと明らかにしている。
同国のマイケル・マクエイ・ルース(Michael Makuei Lueth)情報
相によると、一連の戦闘により少なくとも73人の兵士が死亡。加え
て、市民数人が死亡したとの情報もある。
17日の日中には首都各地で散発的な衝突があったもよう。夜間は外
出禁止令が出されており、ルース情報相は「完全な制圧」を宣言し
ているものの、現地のAFP記者によるとまだ時折銃声が聞こえている
という。
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南スーダンで戦闘、400〜500人死亡か 陸自がPKO展開中
2013.12.18 11:22sankei
 【カイロ支局】国連関係筋は18日、南スーダンの首都ジュバで
16日夜から17日にかけて行われたキール大統領派と反大統領派
との戦闘で、死者数が400〜500人に上る可能性があることを
明らかにした。
 在南スーダン日本大使館によると、国連平和維持活動(PKO)
でジュバに展開中の陸上自衛隊部隊を含め、日本人が被害に遭った
との情報はない。ジュバには陸自隊員約350人に加え、在留邦人
約110人がいるという。ジュバの国際空港は16日に閉鎖された。
銃声は市内や郊外の軍本部でも聞かれたという。
 南スーダンは、20年以上の内戦を経て2011年7月にスーダ
ンから分離独立した。
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反乱軍が産油地帯を掌握か 内戦危機の南スーダン
2013年12月22日20時33分
 【ジュバ=杉山正】内戦の危機にある南スーダンで、クーデター
を試みたとされるマシャル前副大統領は22日までに、北部の産油
地帯ユニティ州を反乱軍が掌握したと公表した。英BBCなどが伝
えた。
 ユニティ州では、トップの司令官が反乱軍に加わった可能性があ
ると政府軍も認めている。
 同州は、スーダンとの国境付近の産油地帯で、中国系企業などが
活動していた。反乱軍に掌握されれば、国家収入の大半を石油収益
に頼る南スーダンに大きな打撃となる。
 一方、政府軍は既に反乱軍に掌握されている中部の交通の要衝ボ
ルに攻撃機を投入し、奪還を図っている。
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南スーダンの反政府勢力、油田地帯の州都を掌握
2013年 12月 23日 10:52 JST
[ジュバ 22日 ロイター] -南スーダン政府は22日、油田地
帯の北部ユニティ州の州都ベンティウが反政府勢力によって掌握さ
れたことを明らかにした。
同政府はツイッターで「ベンティウは現在、われわれの支配下にな
い。マシャール(前副大統領)を支持する司令官の手に落ちた」と
発表。ただ、同国経済を支える油田施設は掌握されていないとして
いる。
前日には、米国人を避難させるため目的地へ向かっていた米軍の
CV22オスプレイ3機が武装勢力から攻撃を受け、4人が負傷し
た。米国務省は、多数の米国人が22日に東部ジョングレイ州の州
都ボルから首都ジュバに無事避難したと発表。これまでに米国人約
380人と外国籍を持つ約300人を出国させたとしている。
南スーダンではキール大統領を支持するディンカ族と、7月に解任
されたマシャール前副大統領を支持するヌエル族との衝突が続いて
いる。国連によると、これまでに数百人が死亡、約6万2000人
が家を追われ、そのうち約4万2000人が国連施設に保護を求め
ている。
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南スーダン大統領、反乱軍と対話の用意=米特使と会談
 【ワシントン時事】米政府のドナルド・ブース特使(スーダン・
南スーダン担当)は23日、南スーダンの首都ジュバで同国のキー
ル大統領と会談した。特使が同日の電話会見で明らかにしたところ
によると、大統領は反乱軍を率いるマシャール前副大統領とできる
だけ早く対話を始める用意があると述べた。(2013/12/24-06:47)
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韓国への銃弾提供、「緊急時の例外的措置」=小野寺防衛相
2013年 12月 24日 14:30 JST
[東京 24日 ロイター] - 小野寺五典防衛大臣は24日の会見
で、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加する韓国軍に陸
上自衛隊の小銃弾1万発を譲渡したことについて、現地の治安が悪
化する中で緊急性の高い人道的な措置であり、例外的な対応だと強
調した。
国連平和維持活動(PKO)協力法に基づいた物資の融通はこれま
でも行ってきたが、自衛隊の弾薬を国連や他国に供給するのは初め
て。政府は過去に、PKO活動での物資協力について、国連への武
器や弾薬の提供は「含めない」という見解を国会答弁で示している。
小野寺大臣は会見で、PKO協力法が制定された当時は「武器弾薬
を要請されることは想定していなかった」と説明。今回は「緊急時
における例外的措置で、人道的な見地での対応。なし崩し的ではな
い」と述べた。政府は防衛装備品の輸出や他国との共同開発ができ
るよう、武器輸出三原則の見直しを進める方針を表明しているが、
小野寺大臣は「人道的・緊急的対応なので三原則の議論とは別のも
の」と語った。
防衛大臣の会見に先立ち、菅義偉官房長官は23日夜に談話を発表
。1)韓国隊隊員や避難民らの生命・身体の保護のみに使用される
こと、2)UNMISS以外への移転が厳しく制限されること──
を前提に、「武器輸出三原則等によらないこととする」とし、三原
則の例外措置とした。
銃弾の供給は22日に国連が日本に要請した。韓国の小銃に合う
5.56ミリ弾を保有しているのがUNMISSでは自衛隊のみで
、現地の治安が悪化する中、政府は23日に応じることを閣議決定。
同日夜に国連を通じて韓国に譲渡した。小野寺大臣によると、現地
の韓国軍から自衛隊に電話で謝辞が伝えられたという。
(久保信博 編集:山川薫)
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南スーダンに集団埋葬地=大量虐殺?人権侵害を懸念−国連
 【ジュネーブ時事】ピレイ国連人権高等弁務官は24日、声明を
出し、政府軍と反乱軍の戦闘が続く南スーダンで、集団埋葬地の存
在を確認したと発表した。さらに同様の埋葬地が複数あるとの情報
を得ていると指摘。民族紛争の様相が強まる中、大量虐殺が行われ
た恐れも出てきた。
 集団埋葬地があったのは北部ユニティ州の州都ベンティウ。弁務
官は「過去数日、法的な手続きを経ない大量殺害、民族を標的にし
た暴力、強制連行が確認されている」と警告、深刻な人権侵害に懸
念を表明した。
 ロイター通信によると、ベンティウの埋葬地からは南スーダン軍
兵士の遺体75体が見つかったもようだ。AFP通信は、首都ジュ
バでも少なくとも2カ所発見されたと伝えている。
(2013/12/25-01:07)
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中国、南スーダンの武力衝突停止を呼びかけ
2013年 12月 25日 14:32 JST
[北京 25日 ロイター] -中国外務省は24日、東アフリカ政
府間開発機構の会合で、南スーダンに対し武力衝突を停止するよう
呼びかけた。
国連安全保障理事会は同日、南スーダンで展開中の国連平和維持活
動(PKO)に従事する要員をほぼ倍増することを承認した。
外務次官の張明氏は声明で、中国が武力衝突と近隣諸国への影響を
注視していると説明。「南スーダンの友好国でありパートナーであ
る中国は、敵対的行為を即時中止し、できる限り早期に交渉を開始
するよう求める」と述べた。
南スーダンでは武力衝突により数百人が死亡し、約4万5000人
の市民が国連関連施設での保護を求めている。今月15日に首都ジ
ュバで衝突が発生し、急速に拡大。民族紛争に発展しつつある。
混乱により、同国政府の収入の98%を占める原油生産にも影響が
出ている。南スーダンに大規模な投資をしている中国の国有企業、
中国石油天然ガス集団(CNPC)CNPET.ULは従業員の一部を避難
させる事態となった。
前週には中国とインド、マレーシア、南スーダンの企業連合(コン
ソーシアム)が運営している南スーダン北部の油田で、14人の南
スーダン人石油労働者が殺害されたと、新華社が報じた。中国外務
省の広報担当者によると、中国人の被害者は報告されていない。
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南スーダンなぜ情勢悪化 Q&Aで読み解く 
2013/12/26 3:30日経
 アフリカ中部の南スーダンで民族対立に伴う戦闘が激化している
。衝突からの10日間で1000人を超す死者が出ており、国連安全保障
理事会が国連平和維持活動(PKO)部隊の大幅増強を決めるなど
、国際社会も介入に動き始めた。日本も自衛隊員を派遣している南
スーダンで何が起きているのか。ポイントをまとめた。

 Q 南スーダンはどんな国なのか。
 A 2011年に誕生したばかりの国で、人口は約820万人に上る。ア
ラブ系イスラム教徒が中心のスーダン中央政府に反発する南部の黒
人キリスト教徒が長年の内戦を経て、住民投票で分離・独立を決め
た。ところが、今度はその黒人キリスト教徒の間で民族対立が激し
くなった。
 今回の戦闘は多数派ディンカ族のキール大統領が今年7月、ヌエ
ル族のマシャール前副大統領を解任したのがきっかけだ。政争から
民族対立に火が付き、今月15日に政府軍と反大統領派の部隊が衝突。
戦闘が全土に拡大している。

 Q 戦闘拡大でどんな影響があるのか。
 A 南スーダンの原油の確認埋蔵量は35億バレルに達するとされ
、アフリカ大陸では6番目となる。すでに原油の生産量は落ち込ん
でおり、油田地帯を巡る戦闘も激しさを増している。南スーダンの
油田に多額の投資を続けてきた中国では投資資金の回収や原油調達
への懸念が出ており、中国外務省は政府と反大統領派に自制と対話
を求める声明を発表した。戦闘が長引けば原油の国際価格にも影響
が及ぶほか、地域の安定が揺らぐ懸念がある。

 Q 国際社会はどう対応しているのか。
 A 国連安保理は24日、現地のPKO部隊に約6000人を派遣する
決議案を採択した。4万5000人もの避難民がPKO拠点に逃げ込ん
でいるうえ、PKO要員が殺害されるなど混乱が広がっているため
だ。
 ただPKO部隊の増派は本格的な問題解決にはならない。スーダ
ンとは違って親欧米の南スーダンを支援してきた米国は経済援助の
凍結を示唆するなど圧力を強化。そのうえでケリー米国務長官はキ
ール大統領・マシャール氏とそれぞれ電話で会談し、即時停戦と政
治対話を促している。現地では虐殺が起きている疑いもあり、米国
務省は「国際法違反の可能性がある」(サキ報道官)と指摘してい
る。

 Q 日本の対応はどうなっているのか。
 A 日本政府は南スーダン独立直後の12年1月から自衛隊の施設
部隊を派遣し、インフラ整備を支援してきた。現在は約400人が活動
している。首都ジュバで銃撃戦が起きてからは宿営地外での活動を
自粛。避難民らへの給水や医療支援をしている。
 外務省によると、南スーダンのPKOに参加するのは68カ国。ル
ワンダやケニアといった周辺国に加え、中国や韓国などからも派遣
されている。(カイロ=押野真也)


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