4882.米中の冷たい戦い



カウペンス (USS Cowpens, CG-63) 米海軍イージス巡洋艦が、中国
海軍の艦船と南シナ海で衝突しそうになり、緊急停止した。

ディプロマット誌に戦略家でホルムズ海軍大学教授が「How the US 
Lost the South China Sea Standoff」でこの問題を取り上げている。
詳しくは、最後にリンクされている。

中国の報道官は「空母の防御圏内」と言った。そうすると、防御圏
は、60マイルの円状範囲となる。ということは2800スクエアマイル
となり、非常に大きい。
カウペンスは禁止エリアの中に入ろうとしたことで「無責任だ」と
言う。このため、警告し、米艦船は去ったと。これが中国共産党流
である。

この防御エリアには入ってはいけないという。ということを米軍と
同盟軍は学んだ。これは米軍の行動を制限するだけではなく公海で
の自由な航行を制限することになる。

これを認めたら、米軍の後退になり、同盟国に対する信用がなくな
る。逆に中国のリーダを認めることになる。

この事件は、これから続く長い戦いの除幕になるであろうと。

中国は嘘を言って報道機関にして、正当性を確保することもわかっ
た。

中国とのこのような戦いは、すぐには終わらない。長い戦いを覚悟
するしかない。米ソ冷戦と同じで20年前の教訓を思い出すことで
あり、そして、米軍の衰退が起これば、それもできなくなる。

中国は徐々に自国の主張をして、それを徐々に認めさせる方向で、
行動している。そして、自国に有利な解釈でそれを正当化するが、
事実を見ると、その意図がどこにあるのかわかる。

非常に難しい戦いになっていているようである。中国は、平時の冷
たい戦いを仕掛け始めている。

これから熱戦になるまで、この戦いが続くことになりそうである。


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中国海軍の戦艦、アメリカ巡洋艦の航路阻む【争点:安全保障】
朝日新聞デジタル  |  執筆者: 奥寺淳
投稿日: 2013年12月14日 17時09分 JST
米ミサイル巡洋艦カウペンスが南シナ海で今月上旬、中国初の空母
「遼寧」の近くを航行していた中国海軍の軍艦に航路を阻まれ、緊
急回避行動をとっていたことが13日わかった。米国務省は「ハイ
レベルの問題として中国政府に問題提起した」としている。
米軍の準機関紙スターズ・アンド・ストライプスなどによると、5
日に南シナ海の公海上を航行していたカウペンスに対し、遭遇した
中国の揚陸艦が警告を発し、停船を求めた。カウペンスが応じなか
ったところ、中国艦が航路の前方を遮り、カウペンスが急に針路を
変更して衝突を回避したという。
米軍当局者はロイター通信に「事故を避けるため、最高レベルの操
縦技術と艦船同士の連絡が必要だった」と述べ、緊迫した状況だっ
たと明らかにした。
【ワシントン=奥寺淳】
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中国艦船と米ミサイル巡洋艦が一触即発、緊急停止で衝突回避
―中国メディア
Record China 12月14日(土)13時12分配信
2013年12月14日、中国海軍の艦船と米海軍のミサイル巡洋艦が南シ
ナ海で衝突しそうになり、緊急停止していたことが分かった。環球
時報が伝えた。
複数の海外メディアによると、米海軍のミサイル巡洋艦「カウペン
ス」が5日、南シナ海の公海を航行していたところ、中国艦船が停船
を要求。カウペンスは航行を続けたが、中国艦船に航行を妨害され
、衝突しそうになったため、回避行動を取った。米国防総省の関係
者は、両者の距離は500メートルもなかったと話している。
中国海軍は空母「遼寧」の演習のため、編隊を組み、中国の青島港
から出港し、南シナ海を航行していた。カウペンスは「遼寧」を監
視していたとみられる。
米国務省によると、不測の事態を招く危険な行動であったとして、
米政府は外交・国防ルートを通じて中国政府に抗議している。
(翻訳・編集/TH)
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焦点:中国空母が南シナ海で発する「表と裏」のメッセージ
2013年 12月 21日 08:50 JST
[香港/北京 20日 ロイター] -中国初の空母「遼寧」に随行
する戦艦が今月初めに米国のミサイル巡洋艦と異常接近し、米国側
に衝突回避行動を取らせたのは、軍事的かつ政治的に重要な訓練を
守る目的があったと言える。
アジア地域の軍当局者や専門家らによると、山東省青島市の基地か
ら出港した遼寧の今回の訓練は、南シナ海で初めての実施というだ
けでなく、米空母と同様に駆逐艦などを初めて随行して行われた。
豪キャンベラ在住の軍事アナリストで元防衛当局高官、ロス・バベ
ッジ氏は「中国は南シナ海に空母を送り込むことで大国としての地
位を地域に誇示し、それに対し米国は『我々は最大の勢力として、
まだここにいる』というシグナルを送り返している」と語った。
米太平洋艦隊によると、ミサイル巡洋艦「カウペンス」は今月5日
、南シナ海の公海上で活動中に、中国海軍の艦船と異常接近した。
これについて、ヘーゲル米国防長官は19日、中国側の行動は行動
は「無責任」だと強く非難した。
一方、中国の新華社は、カウペンスは中国海軍の艦船から停船する
よう「警告」を受けていたと報道。米国側は遼寧を「意図的に」に
監視下に置いていたとしている。
中国海軍は今回の訓練を「科学研究・実験と軍事演習」と称してお
り、来年1月3日に終了する予定だが、それ以上の詳細はほとんど
明らかにしていない。中国国防省には同訓練に関するコメントを求
めたが、まだ回答は得られていない。
遼寧は1998年にウクライナから購入して改修した空母で、中国
の海軍力増強を象徴する存在。過去20年にわたって国防予算を毎
年ほぼ2桁増やしてきた中国は、領有権問題を抱える南シナ海や東
シナ海での経済権益を守るべく、遠洋航行能力を完全に備えた海軍
力の獲得を目指している。
空母打撃群はその中核となるもので、遼寧の訓練を成功させること
は、2020年までに複数の国産空母を展開させるという目標に向
けた第一歩となる。
米国防総省は今年発表した中国の軍事力に関する年次報告書で、中
国で国産空母が就役するのは早くても2025年だと指摘している。
軍事専門家は、国産空母の予備的な建造は一部始まっているとみて
いるが、中国の空母建造計画は国家機密であり、長興島にある江南
造船所で建造が進んでいるという確固たる証拠はまだ報告されてい
ない。
<ゼロからの出発>
国内外の関心は、遼寧乗組員らが空母航行の中核要素をどれだけ習
得しているかに集まっている。空母の運用には、極めて難しい艦載
機の離発着だけでなく、多岐にわたる高度な海軍戦略や理論も求め
られる。
南シナ海で先月訓練を実施した米空母ジョージ・ワシントンに乗船
する匿名の米軍高官は、ロイターの取材に「空母は非常にタフで複
雑、かつ費用がかかる仕事だ」と説明。「きちんと運用できるよう
になるまでには何年も何年も要するが、中国はそれをゼロから始め
ている」と語った。
中国メディアの報道などによると、青島市の基地から出港した遼寧
の最初の訓練は、艦載戦闘機「J─15」の離発着に集中している
もよう。遼寧には過去にも補給艦などが随行することはあったが、
11月26日に出港した今回は初めて、駆逐艦2隻とフリゲート艦
2隻などが随行している。
アジア各国の大使館付き武官らは、遼寧が海南島三亜の基地を母港
にするとすれば、南シナ海を定期的に航行するようになると警戒し
ている。
<過度な反応は禁物>
一方で、中国のアナリストと一部の国営メディアは、こうした警戒
感を解こうと躍起になっているようにも見える。
遼寧が中国海軍の空母として昨年初めての海上試験を実施した際も
、中国人民解放軍の当局者たちは、領有権問題の解決に向けて同空
母がすぐにでも派遣されるとの一部国民の期待をいさめていた。
復旦大学国際問題研究院の沈丁立副院長は、遼寧は実戦用というよ
りは訓練目的の空母だとし、「米国は安心していい。向こう50年
は寝ていて大丈夫だ。中国は米軍の能力には対抗できない」と語っ
ている。
また共産党が発行する中国青年報は、遼寧が抱える一連の装備面の
弱点を指摘。さらに、米海軍のような大規模な空母戦闘群を「有機
的に運用する」ことが重要だが、「中国の空母はそのレベルには達
していない」と論じた。
遼寧がいつ完全に機能するようになるかについても、多くの疑問が
残されている。当初は3─4年で実運用可能になると推測されてい
たが、コンサルティンググループ「IHSエアロスペース・ディフ
ェンス・アンド・マリタイム」の北京駐在シニアアナリスト、ゲリ
ー・リー氏は、10年先に伸びる可能性も内部から漏れ伝わってい
ると指摘。こうしたうわさは「(空母に対する)期待をコントロー
ルする側面もあるが、空母戦闘群のような複雑なものを準備が整う
前に急いで使いたくないという思惑もあるのではないか」と語った。
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中国艦、米艦進路に割り込み「無責任だ」…米側
 【ワシントン=今井隆】ヘーゲル米国防長官は19日の記者会見
で、5日に米海軍のイージス巡洋艦「カウペンス」が中国海軍の艦
船と衝突しそうになった問題で、中国艦が米艦からわずか100ヤ
ード(約91メートル)前方で進路に割り込んできたとし、「無責
任だ」と批判した。
 ヘーゲル氏は「不測の事態が起きる引き金や導火線となり得た」
と強い懸念を示した。また、アジア太平洋地域で偶発的な衝突が発
生するのを防ぐため、米中両国が新たな枠組みを作る必要性も指摘
した。
(2013年12月20日11時15分  読売新聞)


How the US Lost the South China Sea Standoff

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