4866.経済と金融市場の乖離拡大



経済的な疑問が大きくなってきたので、経済ゼミに参加した。その
講演録。

1.特徴
経済と株が連動しないで、株価と為替の上昇が経済実体から上に離
れているが、これは過剰な量的緩和資金が流れ込んでいるからであ
る。地面の歩行からスケートのような感じ。しかし、上下に大きく
振れるのが特徴である。

株の上昇は、景気の半年先の先行指標と言われるが、設備投資して
実働するまでに半年かかるからである。米国はドル札が2000年の5倍
の量に膨れている。その割に株が上昇していないのは、海外などに
ドルが吸収されているからである。

欧州、英国、米国、日本など先進国は全てインフレターゲットと量
的緩和政策を取っているが、これはモルヒネのようで、中毒症状を
起こし、止めることができないでいる。

それに比べて、新興国は資金流出による通貨暴落でインフレが起き
る心配から、景気を犠牲にして利上げをしている。もし、インフレ
が高じると、暴動が起きるので、致し方がない。タイは暴動が起き
ているので、景気刺激策で金融緩和にシフトした。

先進国経済は、短期的に消費は伸びたが、投資に結びついていない
。量的拡大の成長で、質的拡大(構造改革)の成長ではない。
自民党政権も既得権益者が票田であり、構造改革はできないでいる。

日本は株上昇で、海外投資家が投資しているので本来なら円高にな
るはずが、円安になっている。この原因は、貿易赤字などから将来
円安になると見て、先物で円を売っているためである。ヘッジをし
ているので円高にならない。

2.先進国
米国はシェールガス、オイル革命で貿易赤字が減少して、そろそろ
貿易黒字になる方向。これもあり、経済体力が強い。ドルも強い。
株価も史上最高値更新である。6日の雇用統計、非農業雇用増加数
が問題で20万人以上であれば、ポジションが上昇する。

木曜日感謝祭明けのブラックフライデーが一番商売が賑わう日で、
ほとんどの商店が黒字になることで、ブラックという。この12月
、1月で、年間売上の30%を占めるので、米国のビジネス動向を
占うことができる。統計値を確認して置くと良い。

イエレン新FRB議長は労働経済が専門で、有効賃金理論が博士論文で
賃金を上げて景気をよくする論が持論である。このため、失業率6.5
%になるまで、当分量的緩和を継続する方向である。

日本企業と米国企業では経営論理が違う。バブル崩壊すると、米企
業は、直ぐにレイオフするが、日本企業はできない。米国は個人倒
産が増えることになり、日本は企業倒産が増えることになる。

このため、日本企業は慎重な行動をするし、米国企業は変わり身が
早い。直ぐに儲からない部分は、身売りや閉鎖して解雇する。

欧州は不思議と強い。ユーロ高である。ドラギECB総裁が金融緩和を
してサフライズであり、インフレ容認になっている。なぜ、ユーロ
が強くなったかというと、ドイツの一人勝ちで、ものすごい黒字で
あり、しかし、銀行同盟など金融機関管理でEUで行うなどEU一体化
の方向でEU全体にとっても良いことと認識されている。このため、
南欧諸国国債の金利が4%台に低下してきた。

それとアイスランドの復活が大きい。法人税を12%とEUより低く
して企業誘致に成功したことが大きい。

日本は息切れ気味である。アベノミックスの1矢の量的緩和、2矢
の財政出動が効いているが、3矢の成長戦略(構造改革)が弱いた
めに、危ない状況になってきた。このため、一層の量的緩和に踏み
出した。しかし、一年後の2%インフレは無理、現時点は円安によ
る輸入食料品・資源価格の上昇で物価が上がっているが、消費意欲
が上昇していない。しかも、円安でも貿易赤字は減らない。

3.新興国、途上国
中国は、輸出経済から消費経済にシフトするということで、1人っ
子政策の緩和で人口を増やす方向にした。賃金上昇を認め、インフ
レ率も高い、人民元の変動相場化もして、金利も上げている。これ
は、消費経済へシフトする政策と合致している。

上海自由経済特区は、うまくいかない。中国は公共投資が経済規模
の半分を占めているが、上海は道路も鉄道も全て完成して、公共投
資先がない。このため、自由経済特区をするというが、それだけで
は投資の魅力がない。

今後、重要であるのが18億人のムスリム地域経済であるが、問題
は、ムスリムは商業民族であり、工業をしない。このため、雇用創
出ができなかった。インドネシア2億人やマレーシアなどで工業が
定着したことで、今後、それが展開する可能性がある。
インドネシアでもバリ島はテロ集団から狙われる。バリ・ヒンズー
教で、西欧的な文化も多く、汚らわしいとムスリムから見られてい
るからである。皆様も気をつけてください。

もう1つが、華人&華僑が取り仕切る東南アジア経済圏である。タ
イのタクシン、フィリピンのアキノ、ミャンマーのセインなどは華
人である。
華人は国籍が居住国の中国人であり、華僑は、国籍が中国のままの
中国人である。

東南アジアを見ると、中国とトラブルを起こしている国のトップも
華人であり、華人と中国の戦いでもあることになる。

アフリカは、サハラ砂漠の北は、テロが収まり発展する可能性があ
る。エジフトは非常事態宣言解除になっている。しかし、サハラよ
り南は難しい。





コラム目次に戻る
トップページに戻る