経済的な疑問が大きくなってきたので、経済ゼミに参加した。その 講演録。 1.特徴 経済と株が連動しないで、株価と為替の上昇が経済実体から上に離 れているが、これは過剰な量的緩和資金が流れ込んでいるからであ る。地面の歩行からスケートのような感じ。しかし、上下に大きく 振れるのが特徴である。 株の上昇は、景気の半年先の先行指標と言われるが、設備投資して 実働するまでに半年かかるからである。米国はドル札が2000年の5倍 の量に膨れている。その割に株が上昇していないのは、海外などに ドルが吸収されているからである。 欧州、英国、米国、日本など先進国は全てインフレターゲットと量 的緩和政策を取っているが、これはモルヒネのようで、中毒症状を 起こし、止めることができないでいる。 それに比べて、新興国は資金流出による通貨暴落でインフレが起き る心配から、景気を犠牲にして利上げをしている。もし、インフレ が高じると、暴動が起きるので、致し方がない。タイは暴動が起き ているので、景気刺激策で金融緩和にシフトした。 先進国経済は、短期的に消費は伸びたが、投資に結びついていない 。量的拡大の成長で、質的拡大(構造改革)の成長ではない。 自民党政権も既得権益者が票田であり、構造改革はできないでいる。 日本は株上昇で、海外投資家が投資しているので本来なら円高にな るはずが、円安になっている。この原因は、貿易赤字などから将来 円安になると見て、先物で円を売っているためである。ヘッジをし ているので円高にならない。 2.先進国 米国はシェールガス、オイル革命で貿易赤字が減少して、そろそろ 貿易黒字になる方向。これもあり、経済体力が強い。ドルも強い。 株価も史上最高値更新である。6日の雇用統計、非農業雇用増加数 が問題で20万人以上であれば、ポジションが上昇する。 木曜日感謝祭明けのブラックフライデーが一番商売が賑わう日で、 ほとんどの商店が黒字になることで、ブラックという。この12月 、1月で、年間売上の30%を占めるので、米国のビジネス動向を 占うことができる。統計値を確認して置くと良い。 イエレン新FRB議長は労働経済が専門で、有効賃金理論が博士論文で 賃金を上げて景気をよくする論が持論である。このため、失業率6.5 %になるまで、当分量的緩和を継続する方向である。 日本企業と米国企業では経営論理が違う。バブル崩壊すると、米企 業は、直ぐにレイオフするが、日本企業はできない。米国は個人倒 産が増えることになり、日本は企業倒産が増えることになる。 このため、日本企業は慎重な行動をするし、米国企業は変わり身が 早い。直ぐに儲からない部分は、身売りや閉鎖して解雇する。 欧州は不思議と強い。ユーロ高である。ドラギECB総裁が金融緩和を してサフライズであり、インフレ容認になっている。なぜ、ユーロ が強くなったかというと、ドイツの一人勝ちで、ものすごい黒字で あり、しかし、銀行同盟など金融機関管理でEUで行うなどEU一体化 の方向でEU全体にとっても良いことと認識されている。このため、 南欧諸国国債の金利が4%台に低下してきた。 それとアイスランドの復活が大きい。法人税を12%とEUより低く して企業誘致に成功したことが大きい。 日本は息切れ気味である。アベノミックスの1矢の量的緩和、2矢 の財政出動が効いているが、3矢の成長戦略(構造改革)が弱いた めに、危ない状況になってきた。このため、一層の量的緩和に踏み 出した。しかし、一年後の2%インフレは無理、現時点は円安によ る輸入食料品・資源価格の上昇で物価が上がっているが、消費意欲 が上昇していない。しかも、円安でも貿易赤字は減らない。 3.新興国、途上国 中国は、輸出経済から消費経済にシフトするということで、1人っ 子政策の緩和で人口を増やす方向にした。賃金上昇を認め、インフ レ率も高い、人民元の変動相場化もして、金利も上げている。これ は、消費経済へシフトする政策と合致している。 上海自由経済特区は、うまくいかない。中国は公共投資が経済規模 の半分を占めているが、上海は道路も鉄道も全て完成して、公共投 資先がない。このため、自由経済特区をするというが、それだけで は投資の魅力がない。 今後、重要であるのが18億人のムスリム地域経済であるが、問題 は、ムスリムは商業民族であり、工業をしない。このため、雇用創 出ができなかった。インドネシア2億人やマレーシアなどで工業が 定着したことで、今後、それが展開する可能性がある。 インドネシアでもバリ島はテロ集団から狙われる。バリ・ヒンズー 教で、西欧的な文化も多く、汚らわしいとムスリムから見られてい るからである。皆様も気をつけてください。 もう1つが、華人&華僑が取り仕切る東南アジア経済圏である。タ イのタクシン、フィリピンのアキノ、ミャンマーのセインなどは華 人である。 華人は国籍が居住国の中国人であり、華僑は、国籍が中国のままの 中国人である。 東南アジアを見ると、中国とトラブルを起こしている国のトップも 華人であり、華人と中国の戦いでもあることになる。 アフリカは、サハラ砂漠の北は、テロが収まり発展する可能性があ る。エジフトは非常事態宣言解除になっている。しかし、サハラよ り南は難しい。