4852.クルーグマン対スティグリッツ



やっと、日本経済の問題と、世界の先進国経済の問題が同じ様相に
なり、世界の経済学者も、自分の問題として真剣に議論し始めてい
る。その議論を日本に紹介して、日本の経済戦略をどうすればよい
か、議論の材料が整い始めている。

BBCで「Krugman v Stiglitz on what’s holding back the recovery」
という記事があった。詳しくはBBCを見てください。ここで格差拡大
問題が議論されている。

クルーグマンとスティグリッツの世界的な2人の経済学者で、格差
拡大の現状が経済回復を妨げるかどうかで意見が違う。

米国では、トップ1%が金融危機以来95%の富を得ているので、
この格差拡大が大きく関係している。UCBよると、2009年以来、
トップ1%が31.4%も収入が増えているのに、ボトム99%は
たった0.4%しか収入が増えていない。

スティグリッツは、格差拡大の状態は、経済成長に主な障害である
。富裕層は少ししか税金を払わないし、格差拡大は税収の道を狭め
る。もっとも重要なのは、貧困層は富裕層に比べ、収入の多くを消
費する。少ない富裕層消費の傾向は、ケインズが指摘している。

言い方を変えると、貧困層は自由に使える収入がほとんどなく、食
糧のような必需品に多くを費やしている。比較して、富裕層は多く
の金を持つが、収入の少ししか消費しない。これは、貧困層の収入
が増えるとより多くの消費が生み出されることを意味する。

しかし、クルーグマンは富裕層が少ない消費ということは証明され
ていないという。感覚としては、富裕層の方が貧困層に比べて、絶
対額としては消費する。貧困層が1万ドルの収入で20%を消費す
ると、2000ドルが経済に足されるが、もし富裕層が10万ドル
の3%を消費すると、3000ドルが足されることになる。

貧困層と富裕層の比較は静的なものであるとクルーグマンは指摘す
る。収入が違う2人の比較では言えるが、貧困層の収入が増えたと
き、その変化を知るのは難しい。これに対してスティグリッツは貧
困層の多くから言えることがあるという。

このようにクルーグマンとスティグリッツでは見解が違うが、格差
拡大は社会的な問題であることは一致した。

2人は多くの国で緊縮財政と経済成長のバランスが重要と見ていな
いし、正常な成長率に戻るために、現在、米国も英国、ユーロも危
機的な経済であると見てない。

危機から5年、なぜ回復が遅いのか理解するために、議論に価値があ
る。そして、何が必要かの答えは導き出すことまで続ける必要があ
る。

BBCのリンダ・ウーさんは言う。

サマーズの理論、貧富の差拡大が経済に影響するのかなど、いろい
な議論が、問題があるので出てきている。さあ、どうなりますか?

このような世界的経済学者が意見を言っているのに、日本では何も
議論されえいないような感じはどうしたことか?

円安でも輸出量が減り、危機感が必要なのに、ここの企業が儲かっ
ているので、問題視しないのであろうか?

どうもアベノミックスも効果が無くなてきているとの議論が出てい
る。何かの経済的なテコ入れが必要であるのに、何もしない。

米国のジャパン・ウォチャーたちも、安倍政権に期待したが、ダメ
かもしれないと思い始めた段階にある。

Krugman v Stiglitz on what’s holding back the recovery
6 Japan observations

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