4845.中国の改革はかけ声倒れ



やっと、3中全会の様子を評論する記事が出てきた。
それによると、李克強首相の政府が提案した383方案に対して、習近
平国家主席が厚い壁となって立ちはだかったようだ。国内治安強化
や腐敗対策などでも温度差は歴然となった。

「今回の3中全会で分かったことは『改革はできない』ということ
」というので、中国の失われた10年が始まったようだ。

3中総会で最大の焦点となったのが「国有企業改革」で、李氏は、
国家主導型のいびつな経済から、民間主導の経済発展へと転換を目
指す「リコノミクス」を推進している。石油や電力、銀行など既得
権益を握る国有企業に切り込むことは至上命題だった。

しかし、閉幕後に発表されたコミュニケには、全体会議は、公有制
を主体とし、様々な所有形態の経済が共同で発展するという基本的
な経済制度は、中国の特色ある社会主義制度の重要な柱であり、社
会主義市場経済体制の根幹でもあるとした。
公有制経済と非公有制経済はいずれも社会主義市場経済の重要な構
成部分であり、中国の経済社会の発展の重要な土台である。となっ
たので、国有企業の特権は温存された。

「改革はかけ声倒れだった」で、「一番の壁は、既得権をがっちり
握る守旧派の江沢民(元国家主席)派だ」ということである。国営
企業の給与は民間より数倍も高く、それを手離すはずがない。

これとは逆に、習氏が熱心に推し進めるのが反腐敗闘争だ。 習氏
は昨年11月に共産党総書記に就任以降、「腐敗を根絶しなければ
国が滅ぶ」として党幹部らの汚職・腐敗の一掃を掲げ、見せしめ的
に一部の腐敗官僚の摘発を続け、倹約令まで発令している。

もう1つが、国内治安の確保のために、国家安全委員会を作り、反
対運動に対して弾圧する方向である。

中国の既得権益者が、改革をさせないようである。そして、それに
反対する者を弾圧するという。

日本は、ある意味、中国の民主化が進まないことで、やりやすくな
ったことになる。日本は世界の市民の民主化、自由化、人権擁護を
助けるとして、欧米と同じ価値観で戦えることになる。

人権を侵害するファシスト政府に対して、人権擁護、自由化、民主
化の世界の連合国が対峙することになる。中国の孤立化が確定した。

さあ、どうなりますか?
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「政権内クーデター説」も浮上 習近平主席と李克強首相、経済路
線で激突! 
2013.11.14ZAKZAK
 中国で、習近平国家主席と李克強首相の対立が鮮明になってきた
。中国共産党の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)は、習
・李体制の進路を確定する重要会議だったが、閉幕後に発表された
コミュニケには何の新味もなかったのだ。李氏は国有企業改革を進
めようとしたが、習氏が厚い壁となって立ちはだかったようだ。腐
敗対策などでも温度差は歴然。専門家は政権内クーデターの可能性
も指摘する。
 「今回の3中総会で分かったことは『改革はできない』というこ
とだ」
 外交評論家の石平氏は、中国の絶望的な現状をこう語った。
 3中総会で最大の焦点となったのが「国有企業改革」だった。李
氏は、国家主導型のいびつな経済から、民間主導の経済発展へと転
換を目指す「リコノミクス」を推進している。石油や電力、銀行な
ど既得権益を握る国有企業に切り込むことは至上命題だった。
 ところが、12日の閉幕後に発表されたコミュニケでは、「改革
」という言葉が45回も踊ったのとは裏腹に、肝心の中身は「公有
制を主体とし、非公有制(民営)も重視する」などとあいまいな表
現に終始し、国有企業の特権は温存された。
 石平氏は「改革はかけ声倒れだった」といい、「一番の壁は、既
得権をがっちり握る守旧派の江沢民(元国家主席)派だ」と喝破し
た。
 習氏が権力基盤を置くのは、中国共産党元高級幹部の子弟で構成
される「太子党」と、江沢民派。国有企業にメスを入れれば、既得
権集団の反発を受けて習氏の足元がグラつきかねない。事実、習氏
は「公有経済、特に国有経済発展の活力を増強することを通じて非
公有経済の発展を導く」と発言している。国有企業改革を目指す李
氏とは、明らかに方向性を異にする。
 これとは逆に、習氏が熱心に推し進めるのが反腐敗闘争だ。
 習氏は昨年11月に共産党総書記に就任以降、「腐敗を根絶しな
ければ国が滅ぶ」として党幹部らの汚職・腐敗の一掃を掲げ、見せ
しめ的に一部の腐敗官僚の摘発を続け、倹約令まで発令している。
 中国事情に詳しい作家の宮崎正弘氏は「いまの反腐敗闘争は、結
果的にリコノミクスに打撃を与える」と指摘する。
 習氏主導の「倹約ムード」のあおりを受け、宴席などで好まれる
「白酒(パイチュウ)」や、中秋節の伝統的な贈答品である「月餅
」の売り上げは軒並みダウン。北京市商務委員会の統計によると、
今年1〜5月の飲食業界の売上高は前年同期比5・6%も減少した。
 経済政策を担当する李氏にとって、国内需要の冷え込みは致命傷
になりかねない。腐敗の温床は、国有企業などの利権構造。ここに
手をつけずに、表面的な倹約を打ち上げて景気に悪影響を与える習
氏の政策は、李氏を中心とした共産主義青年団(共青団)出身グル
ープにとって“ありがた迷惑”というわけだ。
 前出の石平氏は、今後あり得る「きな臭いシナリオ」について、
次のように分析する。
 「李氏ら改革派が主導権奪還を図るチャンスは、江氏が死ぬ瞬間
だ。そのときに、(共青団出身の)胡錦濤前国家主席が長老として
影響力を確保する。それができなければ、残された道は革命しかな
い」
 折しも中国では、収賄罪などに問われ、無期懲役が確定した薄煕
来元重慶市党委書記の支持者らが今月6日、新たな政党「至憲党」
を発足させた。
 保守層(左派)や貧困層の間で、薄氏に対する根強い支持があり
、厳罰で幕引きを図った習指導部への反発が背景にあるとされる。
習氏はこうした不満をそらすためにも、毛沢東時代への原点回帰を
唱えている。
 宮崎氏は「体質的には至憲党は、共青団に近い。『至憲党には共
産党独裁体制の終結を求めた憲章(08憲章)に関わった知識人も
潜り込んでいる』との情報もある。今後、習氏と李氏のどちらが至
憲党を自陣営に引き込むかという綱引きが起こる」と予測する。
 中国共産党中枢での権力闘争の長期化も予想されるなか、安倍政
権としては、腰をじっくり据えて対中戦略を練る必要がありそうだ。
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中国の失われた10年が再び始まった
三中全会〜中国株式会社の研究(234)
2013.11.15(金)  宮家 邦彦
11月12日、三中全会(中共第十八届中央委?会第三次全体会?)が閉
幕し、「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する中共
中央の決定(中共中央?于全面深化改革若干重大??的决定)」が審議
・採択された。
 今回はこの重要会議の決定を、筆者の独断と偏見に基づき、読者
の皆さんと共に検証していきたい。(略)
妥協の産物
 中国語能力の問題かもしれないが、筆者にとって中国共産党の公
式文書を読むことは決して楽な作業ではない。理由は今も不明だが
、とにかく中国共産党には、決定された政策の内容を分かりやすく
外部に伝えようとする真摯な姿勢が決定的に欠けている。もちろん
、今回のコミュニケも例外ではない。
 中でも極め付けは、改革の全面的深化について、「2020年までに
決定的な成果を上げ、系統的で整備された、科学的で規範的な、効
果的な運用が可能な制度体系を形成する」とある部分だ。形而上学
的に退屈としか思えないこんな概念の羅列だけで、中国の今後の変
化を推測できる人などいないだろう。
 そもそも、10年前の段階で中国の改革は全面的ではなかったのか
。既に全面的なものをどうやって深化させるのか。改革が必要とい
うなら、すぐにやればよいではないか。新しく指導グループを作っ
たり、成果を出すのに10年もかける必要などないはずだ。およそ本
気で改革に取り組む気があるとは思えない。
●全体会議は、公有制を主体とし、様々な所有形態の経済が共同で
発展するという基本的な経済制度は、中国の特色ある社会主義制度
の重要な柱であり、社会主義市場経済体制の根幹でもあるとした。
公有制経済と非公有制経済はいずれも社会主義市場経済の重要な構
成部分であり、中国の経済社会の発展の重要な土台である。(全会
提出,公有制?主体、多?所有制??共同?展的基本??制度,是中国特色
社会主?制度的重要支柱,也是社会主?市???体制的根基。公有制??和
非公有制??都是社会主?市???的重要?成部分,都是我国??社会?展的
重要基?。)
 あれあれ?市場には「資源配置における決定的な役割を果たさせ
る」はずではなかったか。そうでれば、国有企業の役割は今後低下
し、非公有制経済をより拡充していくべきではないのか。この文章
を読むだけでも、関係者間で熾烈な権限バトルがあったことは容易
に推測できる。さらに、次の文章も面白い。
●改革発展における安定的な関係の正しい処理を堅持し、度胸は広
く、歩みはしっかりとし、トップダウンのプラニングと「石橋を叩
いて渡る」の慎重さを結合させ、全体的推進と重点的突破とを互い
に促進させ、改革政策決定の科学性を高め、共通認識を幅広く生み
、改革の合力を形成する。(?持正??理改革?展?定?系,胆子要大、
?子要?,加?????和摸着石??河相?合,整体推?和重点突破相促?,提
高改革决策科学性,广泛凝聚共?,形成改革合力。)
 外部の者には一体何を言いたいのかさっぱり分からないが、部内
関係者には明瞭だ。要するに、「トップダウン」による大胆な改革
実施もいいが、「石橋を叩いて渡る」ことも重要だとして、改革推
進派と慎重派の喧嘩両成敗的解決を図った迷文なのだろう。中国共
産党の党官僚の力量はかなりのものだ。
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<数字でみる中国>国有企業の職員は高給取り?業種間の賃金格差
は最大で15倍―中国メディア
Record China 11月15日(金)4時13分配信
2013年11月12日、城市晩報の報道によると、中国の業界別の収入格
差は深刻な状態。マンパワーと社会保障部賃金研究所のデータによ
ると、2011年中国の賃金が高かった業種と低い業種の間には15倍の
差があり、世界でも上位に位置。さらに国務院は「収入分配制度改
革」で、一部の高収入の国有関連企業に対し賃金の調整を行い、業
種間の賃金格差を縮小すると発表している。
このほか、一部のサイトは2012年の国有企業職員の平均賃金を公表
し、民間企業職員の3.8倍だったと指摘。同データは明確な出典が
示されていないため、信ぴょう性に欠けるが、中国の業種間に賃金
格差が存在し、深刻であることは間違いない。(翻訳・編集/内山)




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