4840.中国の3中全会で何が決まるか?



中国では11月9〜11日の4日間、中国共産党第18期中央委員会第3回全
体会議(第18期3中全会)が開催されている。この会議で、習近平政
権が、より持続可能な成長に向けた今後10年間の改革の青写真を
示すことになる。この3中全会で何が決まるか検討しよう。
                  津田より

0.3中全会の改革
中国共産党が今後の中長期的な政策を決める第18期中央委員会第
3回全体会議(3中全会)が9日、開幕した。中国共産党中央宣伝
部が、この3中全会に合わせ、習近平指導部の評価や、会議で示さ
れる改革政策を否定的に報じないよう求める内部通知を各報道機関
に出した。

また、党や政府に対する不満を背景にした事件が相次ぐ中、北京市
内は検問が強化されるなど厳戒態勢が敷かれている。

この3中全会で習近平国家主席と李克強首相は、中国経済が過剰な
生産設備問題や債務問題、住宅価格上昇といった苦境にあえぐ中、
新たな成長戦略を描くことを求められる。

この3中全会は大規模な改革が導入される舞台となってきた。1978
年の第11期3中全会ではトウ小平が改革開放政策を推進した。1993
年の第14期3中全会では江沢民が社会主義市場経済の建設を提案し
たようにだ。胡錦涛政権は、その意味では何も改革ができなかった。
このため、習近平政権に次の国の方向を期待されている。第3番目
の改革圧力(Third Plenum)とも言われる。

しかし、一党独裁体制強化を最優先する習主席と、市場経済化に向
けた大幅改革をめざす李首相の立場の違いが鮮明になっている。毛
沢東時代を想起させる思想言論統制強化を進める習主席は改革の深
化を唱えながらも、上海派ほどではないが「国有経済の増強」を最
優先する。

対する李首相は政府統制の縮小・撤廃を通じた民営経済の振興をめ
ざしている。10月に、李首相管轄下のシンクタンク、国務院発展
研究センターがまとめた383方案という改革プランを党高官に提示し
たが、「市場経済システムの完成」「政府機能の転換」「企業イノ
ベーション促進」をめざした三位一体の改革に向けて(1)行政
(2)土地制度(3)金融(4)税財政(5)国有資産−など8つ
の分野で改革を断行するという内容で、民間など外部の投資家の事
業参入や集団所有制の土地の売買を認めることなどを促進策として
提案している。

 国有企業中心から「市場原理を生かした民間主導の経済発展への
転換」を唱える、李首相の意向を色濃く反映した内容だ。

 これに対し人民日報系国際紙「環球時報」が「投機を促す危険な
政策」と強く批判するなど、保守派、既得権益層が猛反発。一番、
反発していた上海派・江沢民派幹部の腐敗を問題化して、力を落と
したが両勢力の論議は紛糾しており、閉幕日に発表される総会コミ
ュニケは双方の主張を盛り込んだ“玉虫色”の内容になりそうだ。

世界銀行に勤務した経歴を持つバークレイズのエコノミスト、常健
(チャン・ジエン)氏は「中国経済はすでに、改革しなければ成長
の潜在力を解き放ち、リスクを下げることのできない段階に達して
いる」と指摘している。

また、バンク・オブ・アメリカのエコノミスト、陸挺(ルー・ティ
ン)氏は「三中全会は一人っ子政策の緩和に着手するシグナルを発
し、農村土地使用権改革試験事業の開始、政府・司法システムの簡
素化を打ち出し、官僚的気風の大幅な排除を約束し、自由貿易区試
験事業によって中国の開放を一層進め、環太平洋パートナーシップ
協定(TPP)など地域貿易・投資協定により積極的に参加する方針を
打ち出す」と予測した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは三中全会で大きく取り上
げられる可能性のある議題として、政府機能の転換、経済成長モデ
ルの転換による経済のリバランスの実現、都市化と金融自由化の推
進、産業の高度化と革新能力の向上などを挙げた。また、会議の打
ち出す改革措置は金融資本市場の深化と改革に資するとの見方を示
した。

と、欧米は金融改革や民間主導な経済体制に期待している。これは
投資機会が増えて、欧米金融機関にとっては美味しいこともある。

しかし、そのようになるかどうかは、非常に疑問であると見えるが
どうであろうか?

1.経済の現状
中国経済は大規模な投資に依存している。中国のインフラ支出は、
今年1月から9月までで約30%の伸びを示す一方、投資全体の伸びは
20%を超えている。事実、国内総生産(GDP)成長率の約54%は国内
での投資によるものであり、消費が占める割合は45%程度にとどま
っている。これと対照的に、周辺地域ではGDPの少なくとも60%を消
費が占める国がほとんどであり、先進国では70%を超えているのが
普通だ。

このように経済成長を国内の鉱工業生産力に大きく依存している状
況は、巨額の借り入れによって支えられてきた。この借り入れでの
投資で開発することで経済が回っていた。

しかし、信用の拡大によって銀行部門の基本的な安定性に対する疑
惑が生じた。不動産の大量の空き物件や、政治家の利権が絡んだプ
ロジェクト、施工に問題があったり用途が不明だったりするインフ
ラの建設など、多額の資本について誤った配分がされており、銀行
のバランスシート上に大量の不良債権が積み上がっているようだ。

この状況を人民銀行の周総裁は昨年、金融部門の改革が行われてい
ないうえ、投資から消費主導の経済への転換に向けた十分な措置が
講じられていないと批判した。

このため、李首相は、投資主導から消費主導の経済への移行はしよ
うとして、今回の改革案をまとめたという。

もう1つが、上海に自由貿易区(FTZ)を本格稼働させ、国際貿
易での人民元の使用を促す目的で、国内のFTZに国際法を初めて
適用することを検討している。関係筋によると、指導部は外国企業
を呼び込むため、FTZへの国際法の適用を協議しているとした。

しかし、香港政府関係者はこの話し合いについて、「当局は、しっ
かりした法的枠組みとインフラを提供することが世界の企業をひき
つけると認識している」としたが当局者間の合意には「程遠い」と。

この状況を李首相は、成長の減速は雇用創出の大きな障害となるた
め、中国は構造調整と成長との間で絶妙なバランスをとることが必
要と述べている。民間主体にするということは、財産権や人権など
の企業活動を保証する法律順守な政治をしないとならない。

2.政治改革
しかし、中国共産党は、3中全会でいかなる政治改革も行わないと
する文章を党機関紙・人民日報を通じて発表した。

共産党は中央党史研究室の名前で発表した文章の中で、中国は党の
指導の下でのみ繁栄できると指摘。「中国の特色ある社会主義」の
道を歩み続けると表明し、党による統治を脅かしかねない欧米式の
政治システムを模倣することはないとの認識を示した。

また、「国内外の敵対勢力を分析すれば、改革開放前の期間を否定
することは、党の歴史的偉業を否定することになると分かる。(敵
対勢力は)中国共産党の執政党としての地位を否定するために党を
悪魔化している」として警戒感を示した。

米政治学者・フランシス・フクヤマ・スタンフォード大学上級研究
員は、国家の政治的秩序には
1.市民の安全のため力を行使する中央集権的な近代国家
2.国の力を制限する「法の支配」
3.「民主主義」的な説明責任
―の3つが必要だという。
中国は他のどの国より早く2000年以上前の秦の時代に近代国家をつ
くった。科挙で選抜された官僚が統治する中央集権国家で属人主義
を排し実力主義が確立されていた。
しかし歴代王朝は「法の支配」や「民主主義」的制度をつくること
はできなかった。現在の共産党政権でも、権力行使はうまくいくが
、権力を制限する機能は欠けている。したがってバランスを欠いた
国家と言え、危機に瀕している。

今3中全会は、金融改革をはじめ改革が打ち出されれば歴史的な会
議になるが、政治改革がないことで、大きな不安定を招くことにな
ると。

政治的な問題があることは、天安門事件や山西省で6日に起きた連
続爆破などで明かである。また監察省前では3中全会開催日午前、
全国から集まった1000人以上の陳情者が幹部の腐敗などに対し
集団で抗議行動を行った。陳情者は3中総会に合わせて集結したが
、公安当局者によって強制的に解散させられた。

厳戒態勢を敷い中で1000人規模の抗議行動が行われるのは異例
。庶民が幹部の腐敗などに大きな不満を持っている表れだ。

ディプロマット誌で「China’s Coming Terrorism Wave」と監視社
会であってもテロ事件は、米国の代わりに起こると述べている。

また、中国の公安当局は10月21日、人権擁護、財産権など「新公民
運動」と呼ばれる活動に参加していた企業家、王功権氏を公共秩序
騒乱の疑いで逮捕したように、経済を民間主導するための法治原則
が確立できない。

中国人は、政治的な自由がないことと、政治的な権力闘争が起こり
、いつ失脚するかわからないので、少し金を持つと、海外に資産を
移し、いつでも移民できるようにしている。このため、国内資金が
国内に投資されない。という矛盾も起きていると、ディプロマット
誌で「Why China’s New Rich Want to Emigrate」で述べている。

3.外交問題
経済改革に関連するには、外交も同じで、周辺諸国との関係が悪化
すると、周辺との貿易や投資に影響する。政権発足時は、団派を追
い落とすために、周辺諸国との関係を強硬なものにして、ナショナ
リズムを刺激した。

しかし、その外交では、経済の発展はない。ということと、日本や
米国が周辺諸国に関与して、中国が孤立する可能性が出て、方針を
変えた。

10月24〜25日、周辺外交工作座談会が開かれた。習近平をはじめと
する中央政治局常務委員7人全員が出席する重要な会議で、習近平が
周辺外交に対する基本的な考えを次のように述べた。
「わが国の周辺外交の基本方針は、近隣国と親しくし、近隣国をパ
ートナーとする方針を堅持し、善隣、近隣と安定的であり、近隣と
豊かになることを堅持し、『親・誠・恵・容』の理念を際立たせる
ことである」
「新たな情勢下での周辺外交工作は、戦略的高度から問題を分析、
処理し、全局を舵取りし、統一的に計画を練り、実施の能力を操作
し、全面的に周辺外交を推進しなければならない」と。

プロジェクト・シンジケート誌で「Which Asian Century?」は、
21世紀に、2つのアジアがある。1つは中国と日米が紛争になり
、軍拡などで暗い21世紀のアジアであり、もう1つが中国と日本
が関係を正常化させて、平和なアジアの21世紀。どちらの時代に
なるのかという。

今は、ヨーロッパの20世紀前半の歴史に似て、ドイツと英国の関
係が中国と日本の関係になっている。もし、平和なアジアの21世
紀にしたいなら、ヨーロッパの20世紀後半の歴史と同じように、
徐々に信頼感を情勢して、共同体を作るべきであるという。

中国の外交政策がこのどちらかを選択することになる。また、中国
と日本が暗い時代になるかどうかは、中国の外交姿勢によるのであ
る。

日本も、このため、3中全会の議題や結論などに注意が必要になる。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
Chinese Industrialization and its Discontents
http://www.project-syndicate.org/commentary/barry-eichengreen-on-what-china-can-learn-from-nineteenth-century-britain
Third Time's the Charm
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/11/08/third_time_s_the_charm_china_economic_reform_third_plenum
Which Asian Century?
http://www.project-syndicate.org/commentary/richard-n--haass-on-asia-s-need-for-reconciliation-and-integration
China’s Coming Terrorism Wave
http://thediplomat.com/china-power/chinas-coming-terrorism-wave/
Why China’s New Rich Want to Emigrate
http://thediplomat.com/china-power/why-chinas-new-rich-want-to-emigrate/
China’s Second Third Plenum Revolution?
http://www.project-syndicate.org/focal-points/china-s-second-third-plenum-revolution-
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中国・3中全会、厳戒下の開幕 事件相次ぎ検問強化
2013年11月9日12時23分
 【北京=斎藤徳彦】中国共産党が今後の中長期的な政策を決める
第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が9日、開幕した
。国営新華社通信が伝えた。発足1年を迎えた習近平(シーチンピ
ン)体制が、成長の鈍化に対応する経済政策などを話し合う。党や
政府に対する不満を背景にした事件が相次ぐ中、北京市内は検問が
強化されるなど厳戒態勢が敷かれている。
 会場となる北京市内のホテル「京西賓館」の周辺ではこの日朝、
警備が一段と強まった。ホテルには党幹部を乗せた黒い車両が次々
と到着。周辺の道路には制服や私服の警察官があちこちに配備され
、大きな荷物を持った通行人などを呼び止めて質問している。
 3中全会は、5年に1度の共産党大会の翌年秋に開かれ、主に経
済分野の方針を話し合う。過去には、トウ小平氏(トウは登におお
ざと)が権力を握り、改革開放路線へかじを切った第11期3中全
会(1978年)など、歴史的な節目の舞台にもなってきた。
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中国、政策否定の報道禁止 党中央が統制強化
2013.11.9 19:36 sankei[中国]
 中国共産党中央宣伝部が、9日開幕の第18期中央委員会第3回
総会(3中総会)に合わせ、習近平指導部の評価や、会議で示され
る改革政策を否定的に報じないよう求める内部通知を出したことが
9日、分かった。中国メディア関係者が明らかにした。
 内部通知は、会議の開催中、山西省で6日に起きた連続爆破のよ
うな突発事件や大衆の大規模な抗議活動が発生しても「上部機関の
指示に従い、報道合戦をしてはいけない」とも強調した。
 関係者によると通知は8日に出された。党の方針を批判する論評
などの掲載を禁止したほか、経済・行政改革に否定的なインターネ
ット上の文章にくみしないよう要求。また社会のマイナス面に関す
る報道をできるだけ抑え、特に社会問題を習氏や李克強首相と関連
づけないよう指示。習氏や李氏ら党最高指導部の政治局常務委員7
人に関する報道を周到に行うよう求め、通知に違反すれば「厳罰に
処する」としているという。
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中国が大きく変わる、大胆な改革が予想される三中全会が開幕―米紙
Record China 11月9日(土)13時27分配信
2013年11月7日、米華字ニュースサイト・多維新聞は三中全会で中国
は大規模な改革を行うと分析した。
9日から三中全会(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)が
開催される。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは三中全会で
大規模な政策転換、改革プランが導入され、中国内外に大きな影響
を与えるだろうと予測した。
過去を振り返ってみても三中全会は大規模な改革が導入される舞台
となってきた。1978年の第11期三中全会ではトウ小平が改革開放政
策を推進した。1993年の第14期三中全会では江沢民(ジアン・ザー
ミン)が社会主義市場経済の建設を提案した。
先月、383方案という改革プランが党高官に提示されたが、同プラン
が改革の基調を担うとみられている。不動産、社会保障、環境保護
など広範な分野にわたり大胆な改革が導入されるものとみられてい
る。(翻訳・編集/KT)
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陳情者1000人超が抗議行動=監察省前で反腐敗訴え−3中総会
開幕・北京
 【北京時事】中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第
3回総会(3中総会)が9日午前、北京市内で開幕した。一方、同
市西城区の監察省前では同日午前、全国から集まった1000人以
上の陳情者が幹部の腐敗などに対し集団で抗議行動を行った。陳情
者は3中総会に合わせて集結したが、公安当局者によって強制的に
解散させられた。
 北京市中心部・天安門前への突入・炎上や山西省共産党委員会庁
舎前での連続爆発といった「政治中枢」を狙った事件が相次ぎ、公
安当局は大量の警官を動員、厳戒態勢を敷いた。こうした中で
1000人規模の抗議行動が行われるのは異例。庶民が幹部の腐敗
などに大きな不満を持っている表れだ。
 陳情者によると、天安門や総会会場の近くでも抗議行動を行う陳
情者がいたほか、国務院(中央政府)の陳情受付には300〜400
人が集まった。
 監察省は中国政府で腐敗を取り締まる機関。山東省から来た女性
は抗議行動後、取材に対して「幹部の腐敗の不満を訴えるため、3
中総会に合わせて全国から陳情者が自発的に集まってきた」と語っ
た。
 陳情者は監察省前で「腐敗幹部を打倒しろ」「民主や人権を要求
する」などとスローガンを叫んだほか、「法律の尊厳を守れ」など
と書いた紙を持ち、抗議行動を展開。ただ数十分間で約200人の
公安当局者によって強制的に近くの公園に誘導され、解散した。こ
の際、多数の陳情者が暴行を受けたり、拘束されたりした。
 北京では指導者が集結する中央委員会総会の開催などに合わせ、
自らの不満を訴えようと地方から大量の陳情者が集まるが、今年は
例年以上の厳戒態勢が敷かれた。また天安門や総会会場の前のメー
ンストリート長安街では大量に配置された警官が北京ナンバー以外
の地方から来た車を見つけては進入禁止を命じるなど警戒を強めた。
 5年に1回の3中総会では経済面を中心に改革の方向性が示され
る。最終日の12日には総会コミュニケが発表される。
(2013/11/09-20:08)
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人民日報「敵対勢力が党の魔物化図る」
2013.11.9 15:19
 8日付の中国共産党機関紙、人民日報は長文の論評を掲載し「国
内外の敵対勢力」が党の崩壊をもくろんでおり、党の歴史や思想の
誤りを誇張することで「党の魔物化を図っている」と主張した。論
評は民主主義や憲政の実現などの政治改革を否定する狙いがあると
みられる。(北京 共同)
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“水と油”の習・李体制 玉虫色の決着可能性
2013.11.9 20:53 sankei[中国]
 【北京=山本勲】習近平・李克強体制の進路を確定する3中総会
のコミュニケをめぐる思惑、観測が交錯している。一党独裁体制強
化を最優先する習主席と、市場経済化に向けた大幅改革をめざす李
首相の立場の違いが鮮明になっているからだ。毛沢東時代を想起さ
せる思想言論統制強化を進める習主席は改革の深化を唱えながらも
、「国有経済の増強」を最優先。対する李首相は政府統制の縮小・
撤廃を通じた民営経済の振興をめざしている。両勢力の論議は紛糾
しており、閉幕日に発表される総会コミュニケは双方の主張を盛り
込んだ“玉虫色”の内容になりそうだ。
 3中総会を前に李首相管轄下のシンクタンク、国務院発展研究セ
ンターがまとめた経済改革方案(提案)が大論争を呼び起こした。
 「市場経済システムの完成」「政府機能の転換」「企業イノベー
ション促進」をめざした三位一体の改革に向けて(1)行政(2)
土地制度(3)金融(4)税財政(5)国有資産−など8つの分野
で改革を断行するという内容で、民間など外部の投資家の事業参入
や集団所有制の土地の売買を認めることなどを促進策として提案し
ている。
 国有企業中心から「市場原理を生かした民間主導の経済発展への
転換」を唱える、李首相の意向を色濃く反映した内容だ。
 これに対し人民日報系国際紙「環球時報」が「投機を促す危険な
政策」と強く批判するなど、保守派、既得権益層が猛反発。「これ
は習主席の考えではない」との声も聞かれる。
 確かに習主席は7月の武漢市視察時にも「公有経済、特に国有経
済発展の活力を増強することを通じて非公有(民営)経済の発展を
導く」と述べるなど、国有企業重視の姿勢を堅持している。
 規制緩和による民間活力を生かした市場経済体制への移行を加速
しようとする、李首相とは“水と油”ほどの違いがあるわけだ。 
このため総会コミュニケは両陣営の主張を総花的に盛り込んだ折衷
案となる可能性が高い。
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三中全会を有望視、中国経済上向き論に一斉転換する国際資本
―中国メディア
Record China 11月9日(土)21時55分配信
2013年11月8日、海外の機関や関係者は中国経済悲観論を改め、次々
に中国経済は上向くとの見方を示し始めている。国際経済学者と政
治アナリストを対象とした調査によると、中国経済を国際社会がか
なり楽観視していることは明らかだ。回答者の87%が中国共産党の
第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)後に実施される改革へ
の信頼を表明。今後1、2年中国経済は7%以上の成長を維持すると多
くの国際大手銀行が予測している。また、中国経済の改革から外資
はさらに多くのチャンスを得ると専門家は指摘する。人民日報海外
版が伝えた。
■8割の回答者が中国経済を有望視
大手銀行のエコノミストや政治アナリストなどを対象にした世界的
な調査によると、今回の三中全会と今後一定期間の中国経済を国際
社会は楽観視している。信頼不足を表明したのは回答者の13%のみだ。
スタンダード・チャータード銀行は報告で、中国経済は回復モード
に入ったとして、第4四半期も回復基調が続くと予測した。中国国際
金融は、第4四半期の中国経済の前月比成長率は平穏を維持するとし
て、年間のGDP成長率目標を7.6%に据え置いた。UBSは今後1、2年
、中国経済は7%以上の成長維持が可能と予測した。
HSBCが発表した10月期の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報
値は7カ月ぶりの高水準を示した。これについてオーストラリア準備
銀行のフィリップ・ロウ副総裁は「勇気づけられる数値だ。中国経
済悲観論が誤っていたことが再び証明された」と表明した。
HSBCの屈宏斌(チュー・ホンビン)氏は「中国経済はすでに底打ち
し、段階的回復の軌道上にある」と指摘した。日本メディアは7−8
月に、東南アジア向け輸出が堅調で、2カ月連続で前年同月を上回っ
たことを指摘し、中国経済が底打ちしつつあることが見てとれると
した。
■三中全会に期待
国際社会が中国経済を再び有望視しているのは、1つには第3四半期
の目を引く統計のため、もう1つには三中全会で打ち出される改革に
大きな期待と信頼を寄せているためだ。
「国際社会が前言を翻して中国経済は上向くとの見方を示している
のは、中国経済のファンダメンタルズが良いためだ。だがわれわれ
は客観的に受け止め、冷静さを保つ必要がある。過剰生産能力や不
動産の問題、財政・金融リスクの高まりなどは速やかな改革を必要
とする」と、中国国家情報センター経済予測部マクロ研究室の牛犁
(ニウ・リー)主任は指摘した。
問題があるからこそ、人々は今後改革効果が一層上がることに大き
な期待を寄せている。世界銀行に勤務した経歴を持つバークレイズ
のエコノミスト、常健(チャン・ジエン)氏は「中国経済はすでに
、改革しなければ成長の潜在力を解き放ち、リスクを下げることの
できない段階に達している」と指摘。ゴールドマン・サックスやUBS
は、今回の三中全会で中国の今後数年間の全ての重要分野の改革枠
組みと改革方針が決められると見ている。
三中全会の打ち出す改革措置は中国経済の発展を力強く促すとの認
識で人々は一致している。世界的な調査では圧倒的多数の回答者が
、中国指導者が地方政府債務問題の解決に着手し、金融改革を推進
する中、三中全会の開催は今後中国で金融危機が発生する確率を下
げる助けになるとの見方を示した。
三中全会が打ち出す可能性が最も高い改革として、回答者は金融市
場改革と地方政府融資改革を挙げた。また、バンク・オブ・アメリ
カのエコノミスト、陸挺(ルー・ティン)氏は「三中全会は一人っ
子政策の緩和に着手するシグナルを発し、農村土地使用権改革試験
事業の開始、政府・司法システムの簡素化を打ち出し、官僚的気風
の大幅な排除を約束し、自由貿易区試験事業によって中国の開放を
一層進め、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など地域貿易・投
資協定により積極的に参加する方針を打ち出す」と予測した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは三中全会で大きく取り上
げられる可能性のある議題として、政府機能の転換、経済成長モデ
ルの転換による経済のリバランスの実現、都市化と金融自由化の推
進、産業の高度化と革新能力の向上などを挙げた。また、会議の打
ち出す改革措置は金融資本市場の深化と改革に資するとの見方を示
した。
■中国の改革をチャンスと見る
国際資本の中国への注目は、実は自らの利益への注目でもある。牛
氏は「改革は中国にとってチャンスであり、全世界にとってもチャ
ンスだ」と語った。アナリストは「金融体制と通貨体制、国有企業
改革、重要な経済分野への外資参入などでの改革の行方は、外資の
利益と緊密に関係してくる。産業構造、消費構造、福祉体制の調整
も、国際市場に関係してくる。こうした分野の改革開放は外資にさ
らに多くの機会を提供する」と指摘した。
牛氏は「中国の工業化、都市化はまだ完了しておらず、資本は段階
的に開放される。外資の対中投資はそこに自らの発展空間を見いだ
すことができる。投資分野の新たな機会には都市ガス・水道網など
の改造、省エネ、環境保護、情報インフラ整備などがある。消費分
野では情報、健康サービス、特に高齢者サービスに参入できる。上
海自由貿易区にも外資は大いに注目している。要するに中国の未来
は黄金に満ちており、外資を歓迎している」と述べた。
(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/TF)
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「中国の報道は死んだ」―新快報事件 当局の圧力で社長更迭 
2013.11.9 07:00 sankei[中国]
 中国広東省の人気紙、新快報の李宜航社長兼編集長と馬東瑾副編
集長が11月1日に親会社の羊城晩報報業集団に解任されたことが
、中国のメディア関係者に大きな衝撃を与えた。権力の横暴を正面
から批判し、与えられたわずかな報道の自由を守ろうとした新快報
が当局側に完全に鎮圧されたと受けとめられている。「今回の事件
で、中国の報道は完全に死んだ」との感想をもらした大手紙の記者
もいた。
1面トップで抗議
 新快報の経済担当の陳永洲記者(27)=写真=が、湖南省長沙
市の建設機械大手「中連重科」の不正経理疑惑を追及したことがき
っかけだった。国有企業である中連重科は、不正な会計書類処理を
行い政府に巨大な資産損失を与えたとして、陳記者は5月頃から15
回にわたって報道した。中連重科は「虚偽報道」として長沙市公安
局に陳記者を告訴した。
 陳記者は10月18日、広州市内にある自宅近くの派出所に呼び
出され、待ち受けていた長沙市公安局の警察官に車で連行された。
4日後の22日になってから、長沙公安局はようやく陳記者の拘束
を発表した。
 拘束を受け、新快報は陳記者の書いた一連の記事を調査し、確か
な取材に基づいた報道であり、ほぼ間違いではなかったと判断した
。23日に新快報の1面の横幅いっぱいに「請放人(釈放して下さ
い)」との大見出しで長沙の警察に抗議する記事を掲載した。
 中連重科に関する報道の責任は新聞社が持つべきで、記者を捕ま
えるのは筋違いとして「弊紙の報道に問題があれば、訂正や謝罪は
いくらでもするし、それでも気が済まなければ、裁判を起こせばよ
い。われわれは判決に従って賠償金をきちんと払うつもりだ」と記
した。長沙市の警察が新聞社に連絡もせず、いきなり記者を拘束す
るやり方を批判、徹底抗戦の構えを見せた。
拘束記者の謝罪
 香港に隣接する広東省を拠点に置く新快報は、中国を代表する改
革派メディアとして知られる。今回、当局に対し激しく抗議した背
景には、中国当局による言論弾圧が最近、強化されたことへの不満
がある。
 2012年秋の党大会を前に、新快報は習(しゅう)近(きん)
平(ぺい)国家主席(60)ら最高指導部メンバーの青年時代に関
する独自の記事を掲載したため、当時の編集長が更迭された。また
、今年8月に中国政府高官の不正を実名告発した新快報の劉虎記者
も北京の公安局に誹謗容疑で逮捕された。
 以上の2つは当局を刺激しやすい政治絡みの報道だが、今回拘束
された陳記者は経済担当だった。これまで比較的に規制が緩やかだ
った経済分野での管理も強化されたことに、新快報は危機感を覚え
たことが激しい抗議の原因だ。
 中国政法大学の何兵教授ら多くの知識人がインターネットで新快
報を応援し、北京紙「京華時報」など複数の新聞は、新快報を暗に
する支持する記事を掲載した。
しかし、中国国営中央テレビ(CCTV)は26日、留置中の陳記
者が「第3者から50万元(約800万円)を受け取って記事を書
いた」と罪を認める映像を繰り返し放送した。これを受け、新快報
は27日に1面で謝罪文を掲載、一転して非を認めた格好となった
。関係者によると、新快報の編集部内で最後まで抗議し続ける声も
あったが、当局の大きな圧力を受けて謝罪をせざるを得なくなった
という。
真相は闇の中
 北京の人権派弁護士ら多くの知識人は、陳記者が裁判で正式に罪
を問われる前に、中国当局がその供述をテレビで流すことは法律上
と人権上の問題があると指摘している。また、「自由を失った陳記
者は自白を強要された可能性もある」と見る人も多い。仮に陳記者
に本当に問題があったとしても、中連重科が新快報に対し民事訴訟
を先に起こすべきで、いきなり警察を使って記者を逮捕するのは法
律上の問題がある。「今後、記者が批判報道を書きにくくするのが
当局の狙いだ」と指摘する声もある。
 長沙市関係者によると、中連重科の経営者は習主席も属している
太子党グループと大変近い関係にあるという。今回、新快報は国有
資産の私物化という太子党にとってのタブーに触れてしまったこと
で、報復にあったという。
 あるメディア関係者は、「今回、共産党宣伝部の圧力で、新快報
の社長らが更迭されたことで今後、当局に逆らうメディアはいなく
なるだろう」と話している。
 (やいた・あきお 中国総局)
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中国共産党、三中全会控え政治改革を否定=人民日報
2013年 11月 8日 16:51 JST
[北京 8日 ロイター] -中国共産党は8日、第18期中央委員
会第三回全体会議(三中全会)の開幕を翌日に控え、いかなる政治
改革も行わないとする文章を党機関紙・人民日報を通じて発表した。
共産党は中央党史研究室の名前で発表した文章の中で、中国は党の
指導の下でのみ繁栄できると指摘。「中国の特色ある社会主義」の
道を歩み続けると表明し、党による統治を脅かしかねない欧米式の
政治システムを模倣することはないとの認識を示した。
同研究室はまた、1970年代終盤に始まった改革開放の前に終結
した文化大革命(1966─76年)といった悲劇を持ち出して党
の正当性を損なおうとする努力は、党滅亡の種をまくことになるだ
けだと主張。「国内外の敵対勢力を分析すれば、改革開放前の期間
を否定することは、党の歴史的偉業を否定することになると分かる
。(敵対勢力は)中国共産党の執政党としての地位を否定するため
に党を悪魔化している」として警戒感を示した。
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バランスを欠いた危機的国家・中国を救うのは急増する中産階級!
―名著「歴史の終わり」のフクヤマ氏が会見
Record China 11月8日(金)17時4分配信
2013年11月8日、ベストセラー「歴史の終わり」などの著書がある米
政治学者・フランシス・フクヤマ・スタンフォード大学上級研究員
は日本記者クラブで会見し、「中国共産党政権は、法の支配、民主
的な説明責任など権力を制限する機能は欠けている。バランスを欠
いた国家で危機に瀕している」と指摘。その上で、「中国では中産
階級が大幅に増加し、彼らは技術や資金を持ち、批判する自由を持
ちたがる。政府は急増する中産階級を無視できず、(法の支配確立
や民主化への)オープン化につながっていく」と述べ、中産階級の
要求を中国政府が受け入れ、様々な改革を断行せざるを得なくなる
との見方を示した。
国家の政治的秩序には(1)市民の安全のため力を行使する中央集権
的な近代国家、(2)国の力を制限する「法の支配」、(3)「民主
主義」的な説明責任―の3つが必要だ。中国は他のどの国より早く
2000年以上前の秦の時代に近代国家をつくった。科挙で選抜された
官僚が統治する中央集権国家で属人主義を排し実力主義が確立され
ていた。
しかし歴代王朝は「法の支配」や「民主主義」 的制度をつくること
はできなかった。現在の共産党政権でも、権力行使はうまくいくが
、権力を制限する機能は欠けている。したがってバランスを欠いた
国家と言え、危機に瀕している。
中国は急激な高度経済成長と社会的な変化が進行し、中産階級が大
幅に増加している。彼らは技術や資金を持ち、批判する自由を持ち
たがる。政府に責任を持って対応してほしいと考えている。 したが
って急増する中産階級を無視できず、(法の支配確立や民主化への
)オープン化につながっていく。これらに政府が抵抗すれば大きな
不安定を招くことになる。
11月9日から始まる中国共産党中央委員会第3回全体会議(三中全会
)は大きな注目点だ。金融改革をはじめ改革が打ち出されれば歴史
的な会議になる。(取材・編集/HY)
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焦点:中国の三中全会、改革への本気度占う試金石に
2013年 11月 7日 13:48 JST
[北京 7日 ロイター] - 中国指導部は9─12日、共産党第
18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)を非公開で開催する
。過去30年間の著しい経済成長を受け、より持続可能な成長に向
けた今後10年間の改革の青写真を示す方針だ。
習近平国家主席と李克強首相は、中国経済が過剰な生産設備問題や
債務問題、住宅価格上昇といった苦境にあえぐ中、新たな成長戦略
を描くことを求められる。今年3月に正式に発足した政権の改革へ
の本気度が試されそうだ。
今回の全体会議では、経済改革が主要議題となる。開催中に何らか
の情報が漏れることはほとんどないとみられ、過去の例で判断する
と、国営の新華社が会議内容に関する長文記事を閉会日に配信する
ことになりそうだ。
アナリストらは、いくつかの社会・政治問題が議題に上る可能性は
あるものの、欧米式の政治改革が議論されることはないと指摘して
いる。
政治局常務委員で党内序列4位の兪正声氏は先月、三中全会が「前
例のない」経済・社会改革を打ち出すだろうと指摘。メディアは中
国指導部が国有企業といった既得権益に切り込む可能性があると報
じている。ただアナリストの中には、指導部にとっては安定が優先
事項であるとして、大きな期待を抱くことに対する警戒感も生まれ
ている。
中国政府はこれまで、資本やエネルギー、土地の価格決定における
市場の役割を高め、官僚主義をやめると約束している。これは、金
利自由化に向けた新政策や、地方政府の債務管理における自由度を
高め、土地収入に依存する歳入構造からの脱却に向けた改革が示さ
れる可能性を示唆している。
農村からの出稼ぎ労働者とその家族の教育機会や社会保障を制限し
ている「戸口(戸籍)」制度の緩和も決定される可能性がある。同
制度は、政府が消費拡大のために推進している都市化政策の障害に
なっているとも指摘される。また、農民が農村から離れる際に農民
による土地売却を認める土地改革も進む可能性がある。
中国政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE
)のエコノミスト、徐洪才氏は「改革は加速するだろうが、それほ
ど急速には進まないだろう」と指摘。「全ての改革は絡み合ってお
り、あまりに速く進むのは困難だ」と話す。
三中全会は歴史的に、大きな経済改革に踏み切るきっかけとなって
きた。新たな指導部は通常、最初の数カ月を課題の把握に充て、意
見の集約に努めることから、中央委員会の新メンバーが選出されて
から3回目の全体会議となる三中全会で新方針を打ち出しやすくな
ることが背景にある。
中国最高指導者だった故・トウ小平氏が主導した1978年の三中
全会は改革開放政策を打ち出したほか、1993年の三中全会では
「社会主義市場経済」体制が承認された。
一方で、前政権の胡錦濤・温家宝体制で開かれた2003年の三中
全会では目立った改革プランは発表されなかった。2008年には
同体制下で4兆元(6560億ドル)の景気刺激策を明らかにした
ものの、不動産市場を過熱させたうえ、地方債務が膨張し、現在で
も中国はその後始末に追われている。
<「中所得国の罠」回避を模索>
中国指導部は、投資・輸出依存型経済から脱却し、消費やサービス
、イノベーションに基づいた経済への転換を目指している。
「世界の工場」として製造業界に大きく依存した数年間の高成長が
終わりを迎える中、指導部は課題を強く認識しており、低所得国か
ら中所得国に到達したとたんに経済が停滞し、高所得国に移行でき
ない状態を意味する「中所得国の罠」を回避しようとしている。
世界銀行によると、昨年の中国の1人当たり国内総生産(GDP)
は6188ドル。中所得国の罠を回避した国・地域の1人当たり国
内・域内GDPは、韓国が2万2590ドル、香港が3万6796
ドル、シンガポールが5万1709ドルだった。
中国人民大学財政金融学院の趙錫軍・副院長は「市場の影響力が増
すかもしれない。システムの改革を避けようとすれば、グローバル
市場では競争できないだろう」と指摘する。
2020年までに1人当たりGDPを10年比で倍増するとの目標
を達成するために、中国は年平均7%の経済成長が必要だ。李首相
は今週、失業を抑えるためには7.2%の成長率が必要だと指摘し
ている。
さえない輸出の伸びに加え、構造改革のために政府が意図的に経済
活動を抑制していることもあり、中国経済は今年、23年ぶりの低
水準となる7.5%成長となりそうだ。
また、中国指導部が大手国有企業改革に乗り出す可能性は高まって
いる。
政府系紙の中国証券報は先週、中国指導部が今回の三中全会で、国
有企業の監視強化や独占状態の一部解消について議論する可能性が
あると報道。前出のCCIEEの徐氏は「国有企業改革は遅かれ早
かれ実行されるだろう。今対処しなければ問題は大きくなる」と指
摘した。
( Kevin Yao記者:翻訳 川上健一:編集 田中志保)
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中国で頻発する爆発事件が改革の足かせに―英メディア
Record China 11月8日(金)21時34分配信
2013年11月6日、英BBC中国語版サイトは、台湾・中央通訊社の報道
として、中国各地で立て続けに発生しているテロ事件や爆発事件に
ついて「貧富の差など社会問題が原因。中国指導者が推し進める改
革は前任者時代より困難」とする台湾の学者の見解を掲載した。
太原市の山西省共産党委員会庁舎付近で連続爆発が起き、1人が死亡
、複数人が重軽傷を負った。また、北京の天安門でも車両突入事件
が起き、多数の死傷者が出ている。
台湾中央警察大学公共安全学部の董立文(ドン・リーウェン)助教
授によると、中国では集団抗争事件が8万7000件に達したと2006年に
発表されたのを最後に、関連数字は明らかにされていない。しかし
年間20万件の集団抗争事件が起きているとする民間の調査もある。
近年、新聞紙上をにぎわせているこうした事件について、董助教授
は「その多くが政治的アピールとは無関係。個人の権利保護や貧富
の格差、沿岸部と内陸部の格差、都市と農村の格差などが主な理由
」と指摘。また、ウイグル族やチベット族などによる大規模抗争や
焼身自殺事件について「十分混乱した社会にさらなる混乱を招いて
いる」との見解を示した。
董助教授はまた、胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席と温家宝(
ウェン・ジアバオ)前首相が第16期三中全会で提示した「和諧社会
」について「民衆の怒りを和らげることを主眼としたものだったが
、今見れば失敗だった」と指摘。習近平(シー・ジンピン)国家主
席と李克強(リー・カーチアン)首相が直面する社会問題はさらに
困難を増しているとして、習国家主席が打ち出している「改革の全
面的深化」の成果については時間がかかるとの見通しを示した。
(翻訳・編集/NY)
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中国の政策目標、政府・中銀間で調整必要
By ALEN MATTICH
2013年 11月 07日 10:17 JST  WSJ
 ウォール・ストリート・ジャーナルは今週に入り、中国の経済政
策をめぐる国内の対立について大きく取り上げている。
 李克強首相は、同国の失業率を安定させるには7.2%の経済成長率
が必要だとする見解を明らかにした。その一方、中国人民銀行(中
央銀行)の周小川総裁は、より迅速で包括的な銀行改革を求めてい
る。
 残念ながら、この2つの野望は互いに大きく矛盾している。
 中国経済は大規模な投資に依存している。中国のインフラ支出は
今年1月から9月までで約30%の伸びを示す一方、投資全体の伸びは
20%を超えている。事実、国内総生産(GDP)成長率の約54%は国内
での投資によるものであり、消費が占める割合は45%程度にとどま
っている。これと対照的に、周辺地域ではGDPの少なくとも60%を消
費が占める国がほとんどであり、先進国では70%を超えているのが
普通だ。
 このように経済成長を国内の鉱工業生産力に大きく依存している
状況は、巨額の借り入れによって支えられてきた。今年に入ってか
らこれまでの段階で、こうした融資の伸びは昨年をすでに超えてい
る。ただ、それほどの経済成長は生み出されていない。
 今年の中国の成長率は7.6%が見込まれており、これは昨年の7.7
%を下回る。
 さらに悪いのは、信用の拡大によって銀行部門の基本的な安定性
に対する疑惑が生じていることだ。不動産の大量の空き物件や、政
治家の利権が絡んだプロジェクト、施工に問題があったり用途が不
明だったりするインフラの建設など、さまざまな形で漏れてくる事
例からは、多額の資本について誤った配分がされており、銀行のバ
ランスシート上に大量の不良債権が積み上がっていることがうかが
える。
 人民銀行の周総裁は昨年、金融部門の改革が行われていないうえ
、投資から消費主導の経済への転換に向けた十分な措置が講じられ
ていないとして、政府高官らを批判したと伝えられた。
 困ったことに、同総裁の意向がどんなに正しいものであっても、
中国経済の不均衡を解消するのは実際問題として難しいだろう。
 北京大学のマイケル・ペティス教授は、いずれにせよ中国の経済
成長は鈍化傾向をたどる公算が大きいが、投資から消費主導の経済
への移行はこうした傾向に拍車をかけるだけだと指摘する。
 李首相やその側近にとっては警告となるだろうが、同教授は、2020
年末にかけて成長率が3%近くまで低下する可能性が高まると主張し
ている。
 中国について弱気の見通しを示している向きはこれまで数年にわ
たり、同国の不動産バブルが崩壊し、金融危機が発生すると予想し
てきた。そして中国はこうした悲観論に逆らい続けてきた。引き続
きそうできるかどうかは、李首相と周総裁が、互いに矛盾すると思
われるそれぞれの目標についてどこまでうまく調整できるかにかか
っている。
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追い込まれた中国共産党
―― 民主改革か革命か
Democratize or Die
ヤシェン・フアン  マサチューセッツ工科大学教授
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2013年1月号
現在でも、広く市民に尊敬されているのは、1970年代に改革開
放路線に着手したケ小平、そして彼のもとで党中央委員会総書記を
務めた胡耀邦などの改革派だ。平和的な民主体制への移行を達成す
るために先を見据えた改革アジェンダを模索すれば、中国は、中東
を席巻しているようなカオスと激変を回避できるかもしれない。
これまでのところ、中国が民主体制へと近づいていくのを阻んでき
たのは、それを求める声(需要)が存在しなかったからではなく、
政府がそれに応じなかった(供給しなかった)からだ。今後10年間
で、この需給ギャップが埋められていく可能性は十分ある。一人あ
たりGDPが4000―6000ドルのレベルに達すると、多くの
社会は必然的に民主化へと向かうとされるが、すでに中国はこのレ
ベルを超えている。さらに、今後、中国経済がスローダウンしてい
くのは避けられず、社会紛争がますます多発するようになると考え
られる。さらに、中国の政治・経済的未来へのコンフィデンスが低
下していくのも避けられなくなり、資本逃避が加速することになる。
この流れを食い止めなければ、相当規模の金融危機に行き着く危険
もある。政治改革に今着手するか、壊滅的な危機に直面した後にそ
うするかが、今後、中国政治の非常に重要なポイントになるだろう。
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中国が自由貿易区への国際法適用を検討、人民元国際化目指す
2013年 11月 6日 18:06 JST
[香港 6日 ロイター] -中国指導部は、自由貿易区(FTZ)
を本格稼働させ、国際貿易での人民元の使用を促す目的で、国内の
FTZに国際法を初めて適用することを検討している。
関係筋によると、指導部は外国企業を呼び込むため、FTZへの国
際法の適用を協議しているが、見解は一致していないという。
ある香港政府関係者はこの話し合いについて、「当局は、しっかり
した法的枠組みとインフラを提供することが世界の企業をひきつけ
ると認識している」と述べたうえで、当局者間の合意には「程遠い
」と語った。
銀行関係者は、国際法の適用により、人民元取引の自由化に向けた
中国の取り組みが唯一成功した例である香港と、中国のFTZが将
来的に競合するようになるとみる。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨戦略グローバル責任者のマ
ーク・チャンドラー氏は「香港でのオフショア人民元取引は実験だ
」とし、「実験が成功したら本土に戻し、成功しない場合は見捨て
るというのが政策方針だ」と述べた。
中国指導部はこれまで、香港をオフショア人民元取引の主要拠点と
して売り込んできた。現在、中国の国際貿易の約18%は元建てで
、その大半は香港を経由している。
香港の成功は、1997年に香港が英国から中国に返還された際に
採用された「一国二制度」の統治方式に基づき独自の法と自由が認
められたことによって支えられてきた。
中国共産党は9─12日に非公開で開催する第18期中央委員会第
三回全体会議(三中全会)で、各地で多くのFTZを本格稼働させ
るための取組みについて決定するとみられる。中国ではすでに複数
のFTZが設立されているものの、多くの場合は参加企業の運営を
めぐる規則があいまいで、大きな成功は収めていない。
広東省の前海、天津、厦門などにFTZが設立されているほか、上
海FTZが最近稼働を開始した。
シンガポールのDBS(DBSM.SI: 株価, 企業情報, レポート)や米シ
ティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)は上海FTZで最初
に支店を開いた金融機関に含まれる。他の外国銀行や企業の関係者
は、台北やシンガポール、ドバイなどの金融拠点で認められている
ような特別な法的権利を中国が認める場合、中国のFTZに参加す
る意向を非公式ながら表明している。
香港駐在の欧州銀行の越境取引業務責任者は「中国が国内のFTZ
に同様の法的枠組みを採用する場合、海外の企業や銀行は中国のFTZ
に殺到するだろう」と述べた。
香港の政府関係者は、国際法適用は大きな転機となるとはいえ、中
国の政策当局者の間で適用への抵抗は見られると指摘。「国際法の
適用をFTZに認めることは、基本的にはFTZ内での支配権を譲
ることになる」と述べた。
三中全会では、改革に向けた政策基盤が示される可能性があるが、
詳細なルール、規則、法律の策定にはさらに時間がかかる可能性が
ある。改革により、オフショア人民元取引の主要拠点として香港を
売り込む役割を中国政府にもはや期待できなくなる可能性が想定さ
れている。
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内憂外患の中国“見果てぬ夢”遠し…クアンユー氏「米国に追いつ
く?永遠にない」 
2013.11.04ZAKZAK
(略)
■軍と保守派御しきれぬ習・李体制
 一見、“表の顔”と“裏の顔”を巧みに使い分けているかに思え
る中国ですが、実際にそうなのでしょうか。「習・李体制」は軍と
保守派を御しきれていない−というのが実情のようです。
 労賃急上昇と労働人口減から外国資本が逃げ出し、経済成長の鍵
である国際競争力の維持ができなくなってくると、どうしても軍と
保守派の巣窟である「利権官庁」に手をつけざるを得ません。とこ
ろが、利権闘争により、改革案はことごとく歪められているそうで
、習・李政府の非力さが目立ってきました。
 さらに、それとは別に公害や医療、食品、衛生問題、環境対策、
都市と農村格差是正…と民生の課題も山積みです。中でもすでに2
億人に達し、毎年1千万人以上が増加し続ける老人にしわ寄せが来
ています。原資過小による「年金破綻」リスクは深刻で、国家騒乱
を来たさないか、気がかりです。
■世界各地で紛争の種まき散らす
 国内から北朝鮮以外の国外問題へ目を転じると、まずはアフリカ
の資源利権をめぐって、大陸を舞台に米中のにらみ合いが新たな火
種となっております。ニジェールやマリでウランの試掘を始めた中
国の傍若無人ぶり(資源の買い漁りと現地摩擦を多発するなど)に
しびれを切らした米国が、特殊部隊をアフリカ十カ国に派兵するに
及びました。
 中国の侵食は、デンマーク領グリーンランドでも排除されたよう
です。北極圏での石油採掘にも強引に割り込もうとした中国に協力
姿勢を見せていた前政権が批判にさらされ、野党で反中国の新首相
が選挙に勝ち、中国の触手に「NO」を突きつけた格好です。
 東南アジア諸国連合に大きな影響力を持つシンガポールのリー・
クワンユー顧問相は、これまでの親中国姿勢を逆転させ「中国はチ
ベット、ウイグルのみならず、ベトナムやフィリピンの領土を奪い
、空母建造など軍拡を加速させている」と強く牽制する発言が増え
てきました。
■リー・クワンユーは喝破した
 以上、見てきたように、中国は対内的にも対外的にも一触即発の
火種を多く抱えています。中国が追いつき追い越そうとしている米
国も常に国内外に問題を抱えていますが、米国に追いつくことなど
見果てぬ夢に終わりそうです。
 リー・クワンユー氏はこう喝破しています。
 「中国は米との軍拡競争には勝てないし、国内に自由な文化交流
や思想の戦いがないから、創造力でも永遠に米国に及ばない」
 そんな中国にもたれかかるしかない北朝鮮の動きは不気味です。
北朝鮮問題を見る上では、その背後にいる中国の動向を注意深く見
守る必要があります。すでに韓国は「指折りのハッカーレベルに達
している」といわれる北朝鮮のサイバー攻撃の脅威にさらされてい
ますが、日本にとっては対岸の火事ではありません。(上田和男)
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中国、経済構造調整と成長の絶妙なバランス必要=首相
2013年 11月 4日 15:28 JST
[北京 3日 ロイター] -中国の李克強首相は3日、成長の減速
は雇用創出の大きな障害となるるため、中国は構造調整と成長との
間で絶妙なバランスをとることが必要、との認識を示した。
2013年の経済成長率は、輸出の不振を背景に23年ぶりの低水
準となる7.5%にとどまると予想されている。
指導部は、大幅な経済改革を行い、輸出主導型から国内消費により
依存する経済モデルへの転換を図る方針を示し、転換期に成長が鈍
化することを容認する姿勢を示している。しかし、国営メディアに
よると、李首相は最近、財界要人との会議で、その道筋には試練が
伴うとの認識を示した。
李首相は「中国はすでに新たな発展段階に入った。これまでのよう
な高い成長率を維持することは現実的ではないが、発展は多くの問
題を解決する基礎である」と述べた。
「13億人の民を抱える大国として、多くの困難や問題に対処でき
る、具体的な発展の速度というものはない」と述べたうえで、経済
の改革と、一段の雇用創出を確実にするために妥当な成長率を維持
することの間で絶妙な均衡点を見出す必要がある、と指摘した。
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中国の三中全会、国有企業改革が主要議題に=報道
2013年 11月 1日 14:52 JST
[上海 1日 ロイター] -中国証券報は1日、11月9日─12
日開催される中国共産党第18期中央委員会第三回全体会議(三中
全会)で、国有企業の管理体制を強化し、競争促進のため一部の大
企業の分割を進めることが主要議題になる見込みだと伝えた。
政府が経済政策を推進するうえで国有企業が担う役割を減らすこと
や、一部セクターからの撤退が容易になる優先株の発行、一部国有
企業の再編や上場、これまで独占してきたセクターに民間の資本を
さらに呼び込むことなどの改革課題が提案されるという。
国有企業の改革は進んでおらず、アナリストらはエネルギーや通信
といった主要セクターを国有企業が独占しているために成長が阻害
されていると警告し、市場の開放を進めるべきだとの見方を示して
いた。
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中国の辺境作戦における政治工作について
中国は戦略的辺境侵攻のためどのような政治工作を行うのか
2013.10.31(木)  矢野 義昭  JBPRESS
中国は、清朝の時代に朝貢をしていた国や地域を、「戦略的辺疆」
と称し、本来は自国領であるべきものと主張している。その中には
、琉球も含まれる。戦略的辺境の奪還は、習近平総書記が掲げる「
中華民族の偉大な復興」にとり、領土回復という面での「復興」の
象徴にもなっていると言えよう。
 そのため、いま中国では、このような「辺境」における軍事作戦
について、軍関係のシンクタンクでは盛んに研究が進められている。
その一端として、孫建軍、鄭衛国が主となり編纂し約20人の軍事戦
略の専門化が記した「現代辺境作戦概論」(藍天出版、2012年)の
関連内容を紹介する。
1 現代の辺境作戦における政治工作の一般的な特徴とその要求
 辺境地区の作戦は地理的環境が異なり、作戦行動への影響も異な
るため、政治工作においては作戦地域の特殊な環境条件を留意し、
その地域の特性に応じ思想工作や組織工作を適用し、人と自然の敵
に勝利するよう参戦した将兵を激励し、最後の勝利を得なければな
らないとし、特に以下の諸点を重視している。
(1)現代の辺境作戦の動因は複雑であり、政治、外交、経済面での
闘争と緊密に連携しているため、政治工作でも絶えず将兵の大局的
判断を強化し使命感と規律意識を高めねばならない。
(2)現代の辺境作戦は通常突発し臨戦準備の時間はなく、戦場の態
勢はめまぐるしく展開し、将兵の思想も素早く変化するため、政治
工作も素早く効率的に実施し迅速な対応能力を高めねばならない。
(3)現代の辺境作戦の戦力は多元的であり、機動が困難で、指揮組
織も複雑であるため、政治工作も思想と組織の指導力を高め、作戦
部隊の安全を所定の水準に予定通りに保障しなければならない。
(4)現代の辺境作戦の環境は劣悪であり、闘争は惨酷酷烈であるた
め、政治工作に当たっては、頑強性を発揮し、将兵の指揮を鼓舞す
るため、その精神的支柱を強化することを第1の重要任務としなけれ
ばならない。
(5)現代の辺境作戦においては区域により条件に差異があり、物資
保障も困難であるため、政治工作においても主体性を強化し、各種
の保障の中でも思想工作を積極的に行い、勝利を勝ち取るための有
利な条件を作為しなければならない。
(6)辺境地区の敵の社会情勢は複雑であり、内憂外患がともに起こ
っていることから、政治工作においては群衆性を重視し、地区の社
会の安定と後方の安全を確保しなければならない。
2 辺境作戦での政治工作の主要内容
 新中国では建国以来、様々の経験を積み重ね優れた伝統を築き上
げてきたとしつつも、現代の辺境作戦においては、作戦環境も作戦
条件も変化しており、そのため伝統を基礎としつつも、創造と発展
がなければ、このような新しい変化には適応できず、十分に任務遂
行条件を保障し、政治工作作戦の効力を発揮できないとしている。
 そのための重視事項として、以下が列挙されている。
(1)党の辺境作戦に対する指導を堅持せよ。
(2)すべてを辺境作戦の勝利のために集中せよ。
(3)人民戦争の全体的な力量を十分に発揮せよ。
(4)自らを強固にし、敵軍を瓦解させよ。
(5)各作戦参加戦力の協同作戦を保証せよ。
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習近平の外遊成果を自慢する
「周辺外交工作座談会」
2013年10月31日(Thu)  佐々木智弘 (日本貿易振興機構アジア経
済研究所東アジア研究グループ長)JBPRESS
10月24〜25日、周辺外交工作座談会が開かれた。習近平をはじめと
する中央政治局常務委員7人全員が出席する重要な会議で、習近平が
重要講話を行った。10月26日付『人民日報』はこの座談会を1面で、
習近平1人だけの写真付きで大きく報じた。
「周辺外交工作を立派に行う」
 習近平は「周辺外交工作を立派に行うこと」について次のように
説明した。
「『二つの百年』の奮闘目標の実現、中華民族の偉大な復興という
中国夢の実現に必要である。さらに有為に周辺外交を推進すること
に奮闘し、わが国の発展にために良好な周辺環境を勝ち取ることで
、わが国の発展がさらに多く周辺諸国に恩恵を施し、共同発展を実
現する」
 そして周辺外交に対する基本的な考えを次のようにした。
「わが国の周辺外交の基本方針は、近隣国と親しくし、近隣国をパ
ートナーとする方針を堅持し、善隣、近隣と安定的であり、近隣と
豊かになることを堅持し、『親・誠・恵・容』の理念を際立たせる
ことである」
「新たな情勢下での周辺外交工作は、戦略的高度から問題を分析、
処理し、全局を舵取りし、統一的に計画を練り、実施の能力を操作
し、全面的に周辺外交を推進しなければならない」
 そして力を入れることとして次の3つを挙げた。
(1)相互利益、ウィンウィンの枠組みを深める
(2)地域安全協力を推進する
(3)周辺国家に対する宣伝工作、公共外交、民間外交、人文交流を強
化し、わが国と周辺国家の関係の長期的発展の社会と民意の基礎を
強化、拡大させる
 開催スタイルが座談会で、テーマが「周辺外交工作」という個別
すぎることから、強引に設定された会議に常務委員全員が無理矢理
参加させられ、習近平の最近の外遊の成果を聞かされた会議のよう
である。これもまた3中全会を前に習近平が権威を高めることが目的
という習近平のリーダーシップの脆弱性を浮き彫りにしているよう
にしか思えてならない。



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