プロジェクト・シンジケート誌にルービニ教授の「Bubbles in
the Broth」が面白い。直訳すると「ごった煮のバブル」ということ
であるが、要は先進諸国中央銀行がQEやゼロ金利政策、失業率向上
策指標などを行っても、全然景気回復につながらなく、失業率も高
止まりしている。
量的緩和策が、民間融資を増やさず、消費も増やさず、代わりに銀
行は、貯蔵している。これはクレジット・クランチ状態と同じこと
である。不十分な資金しかない銀行が貸倒の危険がある借り手に貸
さないような状態と同じであると。
このため、過剰流動性資金が、実社会に出回らず金融関連機関に滞
留している。
金融機関は、ゼロ金利政策ために中央銀行が売った短期国債の資金
を長期国債や企業の債権、株式と高金利国通貨にキャリー・トレー
ドしている。
その結果は、バブルを生み出すことになる。米国株式市場やその他
市場も、2009年に比べて100%以上も上昇している。ジャン
ク債も2007年のレベルになっている。買いが多いので、この金
利は下落している。
家の価格は上がり、不動産バブルの様相になり、新興市場の株価上
昇もしている。
このように、現在、次の金融ブーム、バブル崩壊のサイクルに入っ
ている。
次のイーエンFRB議長は、私たちはそんなに心配していないと言って
いる。
中央銀行は2つの選択肢を持っている。低インフレの低失業率で、
バブルなしの安定的で健全な経済にする、これを行うにはマクロ的
な慎重さが必要であるが。
もう1つが速い回復を目指して、全てにバブルを起こし、次の金融
危機につなげる経済である。
もし、バブルを止めるために金利上昇を加速すると、バブルが崩壊
し、債券市場を崩壊させ、回復を打ち壊し、金融機関にダメージを
与えることになる。
現時点、金融政策者はトレードオフに差し掛かっている。危険なバ
ブルを避けるために、景気回復を少し犠牲にするか、次の金融危機
に向けて、このまま危機を放置して景気回復を優先にするかである。
とルービニ教授が警告しているのだ。
米国の状態は、金融量的緩和のもたらす負の側面が出てきて、それ
に対して、警告をする経済学者が出てきた状態である。
日本はまだ、このような状況ではないが、今後に起こる事態であり
米国の金融政策を参考にできるはずである。知っておこう。
Bubbles in the Broth