4824.「「活米」という流儀」を読んで



「「活米」という流儀」を読んで
外交・安全保障のリアリズム

元米国外交評議会上級メンバーであった長島民主党議員の本という
のでいの一番に読み始めた。日本は米国と組んで中国を抑制して世
界平和を構築しないと、日本が日本の歴史上でも例を見ない中国の
属国になってしまう恐れを感じる。

これをどうするのか?日本では国際安全保障の一人者だと思われて
いる長島議員に聞きたいという感覚から読んだ。

また、日本ではリアリストというと、単なる現実主義者と思われる
が、世界では非常にシビアな理論としてのリアリズム理論で外交が
行なわれている。日本の愛国者という人たちは、リアリストではな
く、世界のリアリズム理論とはかけ離れた主張をしている。

ということで、期待して読み始めた。

安全保障担当補佐官時代の尖閣諸島国有化で中国との対応が最初に
出てくるが、真実は中国の同意を取ろうとして努力したことがわか
る。

それを朝日新聞は、おかしいというが外交交渉なしに外交政策を決
定することはできないことを知らないのか?

もし、この場合、外交交渉なしで決めるということは決裂させるこ
とになり戦争の道になる。それの方が大きな問題である。

リアリズムについても第1章で述べられているが、国際外交の現状を
日本で一番、理解しているには長島議員が一番だろうと理解した。
自民党の石破幹事長もリアリズムを理解しているようであるが、長
島議員は米国の外交現場を歩いているだけあり、リアリズムの理解
レベルが違う。

3章からの中国の現状についても、新しい情報が満載である。中央
外事工作領導小組のメンバーの情報、特に戴ケイ国がまだ主任のま
まで楊潔チになっていないという。そして、王コ寧が安全保障上で
は習近平国家主席の主席補佐官のような存在であるという。

もう1つ、中国海警局の大型船舶数が日本の海保の大型船舶数より
、5年以内に追い越すというのである。ここいらの情報はさすがであ
る。

米国の実情も、多くの米国の安全保障系人脈からの情報であろうか
、米国の現状を正確に捉えている。米国は中国に対してエンゲージ
(関与)政策であり、対決ではない。しかし、中国の暴走を止める
必要があるので、アジアでの防御は必要であると見ているという。
このため、日本の役割も明確になってきたという。

この情報は自民党にも入っているのであろう。安倍首相の「積極的
平和主義」で長島議員が主張するのと同様な安全保障政策を掲げ始
めている。そして、長島議員が野田政権での「太平洋憲章」を作り
発表しようとしていたという。これと同じようなルールを安倍政権
も積極的平和主義の中で主張すれば、日本の立場は強化されること
になると見るが。内容は本を読んでください。

価値外交やダイヤモンド構想より、普遍性が増し、ベトナムなども
取り込めるように感じる。

最後に「活米」は、依存体質から独立自尊の感覚が必要というのは
、非常に共感できる意見である。あくまでも米国と対等な関係を結
ぶことであるという。

もう少し、長島議員が安全保障担当の役職に居て、日本の安全保障
の次世代への基礎を築いてほしかったが。

自民党も長島さんのアイデアを取り入れて、安全保障政策を組み立
てて欲しいものである。

今後の日本の安全保障を考える学者、学生は勿論こと、ビジネスマ
ンや会社の経営者も、日本外交を見て海外でのビジネスをしなけれ
ばならないので、読んでおいたほうが良いと見る。

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尖閣国有化、閣議決定前に中国へ伝える 当時の野田政権 
2013年10月22日09時28分朝日新聞

 昨年9月の尖閣諸島(沖縄県)国有化をめぐり、当時の野田政権
が中国側に国有化の閣議決定方針を事前に伝えていたことがわかっ
た。首相補佐官としてこの問題を担当した民主党の長島昭久衆院議
員が22日発売の著書で明らかにした。 

 長島氏の著書「『活米』という流儀」(講談社)によると、昨年
4月の石原慎太郎・東京都知事(当時)による尖閣諸島の購入構想
表明後、野田佳彦首相(同)が国有化方針を決定。「中国外務省の
張志軍次官(同)や戴秉国(タイピンクオ)国務委員(同)に通ず
る外交ルートを総動員」し、国有化に理解を求めたという。ただ、
交渉に当たった日中の当事者名は明らかにしていない。 

 長島氏はこうした交渉の結果、「(これまでの)日中間の『暗黙
の了解』を維持するための中国による『暗黙の容認』を引き出す確
かな手応えを感じていた」が、中国国内での権力闘争により「『暗
黙の容認』派が影響力を低下させ、日中外交当局の『合作』を押し
つぶしてしまった」と分析している。 





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