4808. 日米共同政策フォーラム2:アジア太平洋地域の日米のリーダーシップ



植木千可子早稲田大学教授がモデレータ、イーライ・ラットーナ、
中西寛、デビッド・ゴードン、渡邊頼純氏がパネリスト
まず、パネリストが5分間講演した。

ラットナーさんは、中国の台頭、米国と日本の復活、この地域の指
導者の変更などで日米同盟や政治環境に3つの注意が必要になって
いる。
1つが、安全保障でマルチ化が進んでいる。日米同盟のマルチ化に
対応する必要が出ている。日米同盟をマルチ化のプラットホームに
することである。

日米が第3国との訓練を行うなどネット化から地域機構に強化する方
向であることで、中国が日米同盟のネット化で周辺国を恫喝するこ
とはなくなった。

2つは国防費増加から外交と結びついた動きになっている。軍事と
外交を繋げて中国は自己主張をしている。日本の自衛隊の近代化は
了解するが、歴史問題はいただけない。韓国が嫌がっている。マル
チ組織化、集団自衛権もマルチ化して韓国との協力もできるように
することである。外交はバランスと多面性が必要である。

3つに競争抑止がある。安保の競争は交戦に結び付く。能力を上げ
戦略を構築することである。日常的な挑発行為をどう対応するかが
問題である。

中西さんは、2009年、2010年の民主党政権が日本の転機に
なった。その上に東日本大震災で自衛隊と米軍が活躍して安保の視
点が変化した。陸海空の統合運用が重要という意識ができた。
この時期、北東アジアが経済からナショナリズムの方向にシフトし
た。危機管理が重要になっている。

ゴードンさんは、アジアにおけるリーダーが日本から中国に交代し
た。しかし、日本は復活の方向であるが、中国は腐敗と毛沢東主義
で新しいパターンが出てきた。このため、中国の対米政策が変化し
て、米国のエンゲージを利用しようとしている。中国の国内不安定
でリスクが増大している。日本は安倍政権が長期政権になり、復活
してきている。米オバマ政権はビボットどころではなく、不安定に
なってしまった。日本が平和裏に台頭する可能性もある。

渡邊さんは、多様な貿易協定があり、中国を日米の貿易協定に取り
込み、ゲームチェンジさせるのがよいと思う。

Q1:地域のフォーク同志の協力が重要ということですがどうのような
協力ができるのでしょうか?(ラットナーさん、中西さんへ)
A1:ハブ・フォーク型の同盟からマルチ型の同盟にすることである。
これは2+2でも話題になる。米国のリバランスが戦術的な見方に
なっているが、戦略的に見直してほしい。日本が安保能力をベトナ
ムやフィリピンに提供するのに懸念する声はない。

バイラテラルからマルチな関係にしていくことであるが、安倍首相
の民主主義のダイヤモンド構想は懸念の声がある。対立を生む懸念
である。(ラットナー)

南シナ海でASEANでも海洋の秩序を中国と作ろうとしている。日中の
首脳会談ができないなら、官僚同士の対話が行うことが必要である
。そして、ヨーロッパをどう使うかである。チャネルを作り、中国
を入れる。(中西)

Q2:日中で経済関係で何とかできないかという観点がないですか?
(ゴードンさん、渡邊さんへ)エネルギー革命でどうなりますか?
(ゴードンさんへ)
A2:ゴードンさんは、アジア関係ではいろいろな貿易協定があるが
、それに取り残された国がある。ブラジルと南ア、インドである。
この国を取り込んで中国も参加してもらえばよい。エネルギー革命
でOPEC以外の国は利益を得るが、OPECの力は落ちることになる。

東アジアは均衡するが、中東は統合できなく緊張関係が持続する。
このため、アジアにシフトすることになる。

渡邊さんは、TPPは日本が入ることでアジアと米国の結合度が増した。
日本は既に東南アジアに工場を建てている。コネクションがある。
中国がTPPに入るとより結合度が上がる。日米が協力してルールを
作ることで、国営企業が得しない仕組みを作り、中国を入れること
である。

Q3:米国は低レベル紛争にかかわらないのか?(ラットナーさんへ)
A3:低レベル紛争にかかわらないということはない。フィリピンの
スカボロー礁にはかかわらなかったが、日本はフィリピンとは違う。
同盟関係がない国とある国とは違うのである。日本は能力を強化し
て、より幅広い立場で対応して欲しいが。

Q4:日本に必要なことは何か?(ゴードンさんへ)
A4:安倍首相は積極的平和主義とPRするが、このための戦略が必要
である。少なくても同盟国との協力が必要である。安倍首相は韓国
に行って、朴大統領と会うべきある。一歩踏み込むことが必要であ
る。

Q5:韓国が中国に向いているのはどう思うか?(ラットナーさんへ)
A5:キャンベルさんも歴史家に任せるべきと言っている。韓国が中
国に向いているのは事実であり、日本は韓国に働きかけるのを諦め
てはいけない。

Q6:日中、日韓関係をどうすれば解決できるか?(中西さんへ)
A6:非常に難しい問題である。中韓が組むのは問題と日本は意識し
て、戦略的に解決することである。この観点は、中国とは侵略戦争
問題であり、韓国は屈辱と思う植民地問題である。このため、韓国
に精神的な大きな負債を抱えたということである。韓国の植民地化
を正当化しないで反省することから始める必要を思う。

Q7:経済やビジネスで解決できないか?(渡邊さんへ)
A7:東アジアの経済的な統合を進めている。これはビジネスが中心
で協議している。ルールを作り、保護主義にならないようにする方
向で協議している。ビジネスライクで進めることから始め、信頼を
確立して政治に向かうしかない。ヨーロッパ統合を参考にするしか
ない。
スペインのサクラダファミリアと同じで100年先に統合になるか
もしれないが、今は1つ1つブロックを積むしかない。

Q8:集団自衛権などの日本の変化をどう思っているのか?(ラット
ナーさんへ)
A8:集団自衛権や日本の変化を米国は歓迎している。しかし、今後
、日本が軍隊の派遣を米国が求めた時反対すると今までとは違い、
同盟停止などのことになることを認識するべきである。同盟強化を
簡単に考えてはいけない。

集団自衛権は国連でも認めているので、日本が中道的な国家になる
だけである。そして、軍の近代化はどこでもやっているので、日本
が特殊ではない。

Q9:日米中が合同で出来ることはないか?(ゴードンさんへ)
A9:時期尚早である。まだ無理である。

Q10:3年以内で日本ができることを一言で?
A10:ラットナー:短期では無理
中西:外交でロジカルな戦略が必要である。安定した政権になった
ので今がチャンスである。日本が何をするかである。
ゴードン:チャンスは貿易交渉である。3国間貿易圏の後TPPに
渡邊:日米でセンシティブな問題を取引してTPPのハイクオリティを
ダメにして欲しくないと思うが。
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(Fの感じたこと)
ラットナーさん、ゴードンさんが、韓国に肩入れする理由は、韓国
は、ベトナム戦争にも本格的に軍隊を派遣して、米国とともに戦い
多くの犠牲者を出し、イラク・アフガニスタン戦争にも派遣して米
軍と戦った。

日本の自衛隊は米軍と戦わないで、同盟関係を言うがともに戦う韓
国との同盟の方が米軍としては価値があることは確実である。

このため、韓日豪の順で米国は同盟の強さを言うのである。韓国を
米国はサポートするのである。この観点が日本人にはないことで、
ラットナーさんは同盟強化を日本が簡単に考えているのではないか
と疑っているのである。

英国が英議会でシリア派遣を拒否したとき、米英同盟の終わりだと
英国防相が言ったが、同盟では要請を拒否することは同盟を破棄す
ることでもあるという覚悟が必要である。

日本の中で同盟強化について、議論がなく安易に考えているのが怖
いと思っている。


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