4799.米FRB、量的緩和の縮小見送り



米国の量的緩和の縮小により、円安が進み、益々日本企業が強くな
ると予想したが、残念ながら、バーナンキ議長は量的緩和縮小を見
送ってしまった。

このため、円は急伸して97円台でなり、現在、98円まで戻して
いる。日経平均も急伸して、14,723円で前日に比べて218円高になっ
ている。円高になり日本株は下落すると思われたが、米ニューヨー
ク株式市場の高値を受けて、日本株を買う動きが継続している。

8月の貿易赤字が9603億円となり、円高にも行きづらい状態であり
、円は思ったほどには強くない。これが株式市場には好影響を与え
ている。

しかし、バーナンキ米FRB議長の会見を聞くと米国経済が1990年
当時の日本のようで、どうして良いかわからない状態になっている。

成長に関して、われわれはこれまで余りに楽観的だった。潜在成長
率はリセッション(景気後退)や金融危機の影響により、少なくと
も一時的ではあるが多少減速したとみられる。そのことは生産性の
数字の低下から読みとれるが、われわれとしては生産性の減速は想
定しておらず、それが比較的緩慢な成長を織り込まなかった理由の
一つでもある。

かつ、バーナンキ議長は、政府機関の閉鎖、あるいは債務上限の引
き上げができないという事態になれば、金融市場や経済に非常に深
刻な結果をもたらし得る。FRBは、経済が軌道に乗り続けている
ために、できることはなんでもするという方針だ。そうした事態が
経済減速につながるのなら、考慮しなければならない。

というように、米国政治家の能力低下が起こり、米国の国力を削ぎ
落としている。悲しい現実を同盟国である日本は傍観するしかない
状態にある。

労働市場で続く改善やインフレを目標水準に近づけることを支援す
る十分な経済成長など、中期の景気見通しの概略は6月時点の見方
に近いというのが、今日のFOMCの認識だ。
だが、今回のFOMCで資産買い入れペースを若干緩めることが適
切かについて、そのような縮小を正当化する基本的な見通しが、経
済指標でまだ十分確認できないと結論付けた。さらに、最近数カ月
間の金融情勢の急速な引き締まりによって、成長鈍化の影響が出る
恐れがあるとの懸念をFOMCでは抱いている。一段とひっ迫すれ
ば、影響が増大するとの懸念だ。

米国経済の復活は、そう簡単ではない。その方法も長い道のりを必
要としているようである。

ああ、どうなりますか?

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米FRB、量的緩和の縮小見送り 雇用改善見極め
 【ワシントン共同】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、
米国債などの大量購入で市場に資金を供給する「量的金融緩和」の
縮小を見送った。雇用改善をさらに見極める必要があるとして、こ
の日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策を据え置いた。市場
は縮小開始を予想していたが、異例の金融緩和からの「出口戦略」
着手は10月の次回会合以降に先送りとなった。
 FOMCは会合終了後に、雇用改善などの「さらなる根拠を待つ
」とする声明を発表。ただ、雇用情勢に応じて購入規模の「拡大や
縮小の用意がある」とした従来の方針は示さず、次回会合にも緩和
縮小に踏み切る姿勢をにじませた。
2013/09/19 06:46   【共同通信】
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円、97円台に急伸=FOMC声明でドル売り−NY市場
 【ニューヨーク時事】18日のニューヨーク外国為替市場の円相
場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が量的緩和政策の現状維
持を決定したことを受けて急伸し、8月30日以来約3週間ぶりに
1ドル=97円台に上昇した。一時97円94銭の高値を付けた後
、午後2時15分現在は、1ドル=98円25〜35銭と前日午後
5時比82銭の円高・ドル安。(2013/09/19-03:55)
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東証10時、高値でもみ合い 円の高止まりが上値抑える
2013/9/19 10:23日経
 19日前場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は続伸している。
前日比140円程度高い1万4600円台半ばでもみ合っている。米連邦準
備理事会(FRB)が量的緩和の縮小決定を見送り、前日の米国の
株価が最高値を更新したことなどを受けて朝方は買いが先行した。
「安倍晋三首相が来年4月の消費増税の前提となる経済対策に法人
実効税率の引き下げを明記するよう指示した」と伝わったことも買
い材料になった。だが円相場が1ドル=98円台前半と前日より円高
・ドル安水準にとどまっていることから自動車など輸出関連株が伸
び悩んでいる。
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バーナンキ米FRB議長の会見要旨
2013年 09月 19日 07:43 JST
[ワシントン 18日 ロイター] - バーナンキ米連邦準備理事会
(FRB)議長が17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)
終了後に行った会見の要旨は以下の通り。
<この日の決定は予防的な措置>
予防的な措置だった。われわれの意図は、経済がわれわれの一般的
な見通しに一致しているか確認できる証拠を得るため、もう少し待
つというものだ。

<FRBのコミュニケーション>
6月の時点では、労働市場の状況に有意の進展が見られていた。こ
のためFOMCは、(資産買い入れプログラムを)どのように最終
的に終了させるのか、同プログラムがどのように経済変数の進展に
結び付けられるのかを検討し始める時期が来たと認識した。
買い入れプログラムを開始した際、労働市場の見通しを大幅に改善
させることが目的だと示したが、これらすべてはわれわれが言って
いたことと非常に整合性が取れており、どのようにして実行に移さ
れるのか伝達する必要があった。
こうした情報の伝達に失敗すれば、市場の期待、人々の期待、FO
MCの意図との間に大きな溝ができるリスクがあった。そしてこれ
は、将来的にさらに深刻な問題につながる可能性もあった。このた
め、コミュニケーションは非常に重要だったと考えている。

<新興国市場について>
米国、また他の先進国の長期金利の変動が、新興国市場に一定の影
響を及ぼし、一定の資本流出入につながるのは事実だ。特に、為替
レートを固定しようとしている国がそうだ。
ただ、資本の流出入に影響を及ぼす要因は他にもある。投資家のリ
スク選好の変化、成長見通しの変化、また国によって新興市場の制
度面の強さについて異なる認識が存在することが挙げられる。
新興国市場の同僚も理解してくれると思うが、われわれが金融政策
を通じて行おうとしているのは、より力強い米国経済を生み出すこ
とだ。米国経済の拡大は、新興国経済を支援する上で最も重要なこ
との1つだ。

<低インフレ時は利上げに消極的>
インフレ率が目標を下回り続けた場合、利上げに消極的になる必要
がある。インフレ圧力は見受けられないため、これが、われわれが
フェデラルファンド(FF)金利に引き上げに向け非常に辛抱強く
なれると考える理由の1つとして挙げられる。

<フォワードガイダンス>
フォワードガイダンスにおいては、インフレ率に下限を設けること
は新たな指針となり得るだろう。われわれはフェデラルファンド(
FF)金利に関する指針について、これを明確化し得る方法につい
て議論しており、このことも間違いなく選択肢の一つとしてあり得る。
以前にも述べたとおり、委員会はフォワードガイダンスを定期的に
見直しており、指針を強化し得る上で複数の手段を持ち合わせている。
また、他の措置として、失業率が6.5%に到達した後のことにつ
いて、一段の情報を提供することなどもあり得る。正確な指針を提
供できるかぎり、それは望ましいと考える。
<悔やまれること> 最も悔やまれることは、危機を未然に防ぐこと
ができなかったことだ。危機というのは、ひとたび始まると阻止す
るのが極めて難しいと考えている。われわれが持っていた権限を考
えると、可能なことをやったと思う。われわれを動機付けていたの
は一般の人々の利益であり、われわれの目的は金融システムの安定
化して経済が悪化したり、大量の失業者が発生するのを防ぐことだ
った、というハンク(ポールソン元財務長官)の意見に賛同する。

<財政協議> 政府機関の閉鎖、あるいは債務上限の引き上げができ
ないという事態になれば、金融市場や経済に非常に深刻な結果をも
たらし得る。FRBは、経済が軌道に乗り続けているために、でき
ることはなんでもするという方針だ。そうした事態が経済減速につ
ながるのなら、考慮しなければならない。したがって、われわれが
政策について考える際、着目するリスクの一つだ。とは言え、これ
らのショック、特に債務上限引き上げに関するショックを打ち消す
われわれの能力は非常に限られている。わたしは、政府が資金を確
保して公共サービスを提供し、債務を返済できるようにし、経済に
対する信頼感に少なくとも一時的に顕著な悪影響を与えた2011
年のような事態を避ける方策を議会と政権が協力して見出すのが特
に重要と考える。

<成長を過度に楽観視>
成長に関して、われわれはこれまで余りに楽観的だった。潜在成長
率はリセッション(景気後退)や金融危機の影響により、少なくと
も一時的ではあるが多少減速したとみられる。そのことは生産性の
数字の低下から読みとれるが、われわれとしては生産性の減速は想
定しておらず、それが比較的緩慢な成長を織り込まなかった理由の
一つでもある。
しかし、金融政策においては、その影響が潜在成長率や長期成長率
ではなく、むしろ循環的な側面に働くことを理解することが重要だ
。われわれは経済の緩みの程度を予知することにおいて、多少なり
ともうまくやってきた。失業率の予想などは、成長に関する予想よ
りも当たっている。とりわけ今年の失業率見通しについて、われわ
れは過度に悲観的だったことが目を引く。

<金融市場の引き締まり>
いくつか要因があるが、1つは景気改善だ。それが国内外で金利が
上昇している理由の1つだ。金融市場の引き締まりが見通し改善を
反映している限りは望まいことで、問題はない。
一方で、金融政策に関する見方も要因だ。だからこそ確実に正確な
情報が伝わる必要があり、コミュニケーションが極めて重要となる。
われわれは今後どのように行動し、何に基づいて行動するのか、最
善を尽くして説明する必要がある。

<量的緩和縮小にあらかじめ決まった時期ない、特別な数字も設定せず>
量的緩和縮小にあらかじめ決まった予定やスケジュールはない。こ
の点を強調しておきたい。経済指標がわれわれの基本的な見通しを
裏付け、見通しへの自信が深まり、先に説明した3つの基本シナリ
オを満たすと確信することができれば、年内に行動する可能性があ
る。
年内に(縮小を)開始する可能性はあるが、そうだとしてもその後
のステップは経済の動向に左右される。つまり経済指標次第だ。あ
らかじめ時期を決めているわけではない。6月に説明した基本概要
は変わっていない。
資産買い入れプログラムを終了する基準は労働市場の見通しの大幅
な改善だ。前回、ある程度感覚をつかんでもらうために目安になる
数字として7%の失業率を挙げた。
目指している特別な数字はない。目指しているのは労働市場の全般
的な改善だ。

<年内の緩和縮小の可能性>
3つの基本シナリオを想定している。財政の悪影響が弱まり成長が
時間をかけて加速し、労働市場の伸びが続く。また、インフレ水準
が目標に再び近づくことだ。こうした基本見通しが指標で確認でき
るのか、向こう数回のFOMCで見ていく。確認できれば、恐らく
年内のある時点で最初の1歩を踏み出し、状況の進展が続いて指標
と一致する限り(緩和の縮小を)続ける。

<労働参加率>
労働参加率に対しては循環的な要素があると考えられ、その点で経
済におけるある意味で本当の失業部分は実態よりも低く評価されて
いるといえる。他方、わが国経済における労働参加率には下方トレ
ンドも見られ、これは高齢化に加え、労働力における女性の割合が
低いことなど、長きにわたり存在し、直近のリセッション(景気後
退)とはあまり関係ない要因に伴うものだ。
過去1年間で失業率は0.8%ポイント低下しているが、労働参加
率は0.3%ポイントの低下となっており、かなりトレンドに近い。
過去1年間の失業率の改善は、すべてではないにせよ大部分が雇用
創出によるものであって、参加率の低下によるものではないと思わ
れる。
<QE3はあらかじめ決まった道筋ではない、FRBが縮小に踏み
切らなかった理由>
資産買い入れプログラムはあらかじめ決まった道筋ではない。
買い入れペースに関するFOMCの決定は引き続き、経済見通しや
FOMCが想定する同プログラムの効果やコスト次第だ。
今回の会合で資産購入ペースを小幅縮小することが適切かどうかを
見極めるにあたり、資産買い入れの縮小を正当化する基本見通しを
経済指標が十分に裏付けていないとの結論に至った。
さらに、ここ数カ月見られる金融状況の急激な引き締まりが成長を
鈍化させる恐れがあることが懸念される。状況がさらにひっ迫すれ
ば、懸念はさらに高まるだろう。

<緩和縮小の条件>
労働市場で続く改善やインフレを目標水準に近づけることを支援す
る十分な経済成長など、中期の景気見通しの概略は6月時点の見方
に近いというのが、今日のFOMCの認識だ。
だが、今回のFOMCで資産買い入れペースを若干緩めることが適
切かについて、そのような縮小を正当化する基本的な見通しが、経
済指標でまだ十分確認できないと結論付けた。さらに、最近数カ月
間の金融情勢の急速な引き締まりによって、成長鈍化の影響が出る
恐れがあるとの懸念をFOMCでは抱いている。一段とひっ迫すれ
ば、影響が増大するとの懸念だ。

<失業率と成長率>
7.3%という失業率は容認できる水準を大きく上回っている。
成長への下振れリスクは過去1年で緩和した。欧州で経済状況が幾
分改善したことや、米国の景気回復が勢いを維持していることを背
景に家計や企業の信頼感が高まっていることなど、一連の要因を反
映している。

<労働市場>
労働市場の状況は依然として望ましい状況からは程遠いが、FRB
が資産買い入れプログラムを実施してから1年間で大きな進展を遂
げてきた。
失業率は資産買い入れプログラム発表時の8.1%から7.3%に
低下したほか、約230万人の民間雇用が創出された。



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