4781.英下院が対シリア軍事行動を否決



英国議会は、米国のシリア攻撃に参加するのを賛成272、反対
285で否決した。キャメロン首相は「軍事行動を望まない議会の
意思が明確になった。政府はそれに従って行動する」と述べた。

仏オランド大統領は30日、「化学兵器による虐殺は罰せられるべ
きだ」と強調、アサド政権には「決然とした相応の行動」が必要だ
と指摘した。対応を協議するため9月4日に議会が開かれるが、大
統領はそれ以前に攻撃が行われる可能性も排除しなかった。英国が
参加しなくても、フランスは参加するという。

シリア反政府派への軍事支援は、英仏国が米国に要求していたので
、英国の軍事不介入は裏切りのように見える。

このため、英米特別な関係を解消することになるとフィリップ・ハ
モンド(Philip Hammond)英国防相は心配している。米国における
英国の特別な位置はなくなる可能性があるようだ。影響力も無くな
ることになる。

イタリアのボニーノ外相は30日、米シリア軍事介入は「世界的な
大災害」に発展する危険性があると警告、攻撃に反対する考えを表
明した。ローマ教会がヨハネ黙示録、ノストラダムスの予言を理由
に反対していることを反映していると見る。

国連安全保障理事会の5常任理事国は29日、化学兵器使用疑惑を
めぐりシリアへの武力行使を容認する英国提出の決議案を前日に続
いて協議したが、米英仏3カ国が決議案を採択すべきだと訴えたの
に対し、露中両国が強く反対した。国連は動けないことが確実。

このため、潘基文国連事務総長は30日、安保理5常任理事国代表
と会談し、「国連憲章の重要性」を繰り返し強調し、安保理決議な
しのシリア攻撃を自制するよう米国に求めた。

しかし、ケリー米国務長官は30日、シリアによる化学兵器使用疑
惑をめぐり、アサド政権による化学兵器使用で少なくとも1429人の
市民が殺害され、そのうち426人が子どもだったことを明らかにし、
「人道に対する犯罪」を罰しないままにしておく訳にはいかないと
し、限定的な軍事介入の正当性を主張した。米国単独でも介入する
という。

しかし、米NBCテレビは30日、化学兵器使用疑惑が強まるシリ
アへの軍事介入に関する世論調査結果を発表、米軍の軍事行動に反
対する回答が50%で、賛成は42%と伝えた。介入の是非につい
て、米市民の見方は割れている。

シリアサイドでの準備としては、シリア軍が米英などによる軍事介
入に反撃するため、自爆攻撃を仕掛ける「カミカゼ・パイロット」
を用意しているようだ。

また、イランとヒズボラのアサド同盟陣営は、米国がシリアを攻撃
した場合、イスラエルや、中東における米国の戦艦ないしは基地を
標的にした長距離ミサイルを配備するかどうか検討中とのこと。

ヒズボラ関係者は「イランやヒズボラの最高軍事戦略家の間では活
発な議論が交わされている」と述べ、「最終決定は、米国の行動が
はっきりするまで遅れている。イランとヒズボラによる対応は、そ
れに応じて検討される」と。

イラン、ヒズボラ、それにシリアのトップレベルの軍事戦略家は、
イスラエルにロケット弾を撃ち込むことが長期的に自分たちの利益
になるかどうか議論しているという。

現時点、ロシアは、アサド大統領を政治的に支持し、軍事援助を供
与する一方で、軍事的にはどんな紛争にも参加しない方針である。
しかし、混戦になった場合はロシアが参戦するというのが預言書に
出てくる。また、ロシアからシリアにs300対空ミサイルが供与され
る可能性が高い。空爆もそう簡単ではなくなる。

米国の艦艇がイランのミサイルを被弾する可能性を感じている。米
オバマ大統領の言うような限定的な戦争ではないし、ブッシュ前大
統領がいうような一方的な戦争でもないと思う。

さあ、どうなりますか?

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シリア攻撃の自制求める=国連総長
 【ニューヨーク時事】潘基文国連事務総長は30日、シリア問題
をめぐり安保理5常任理事国代表と会談した。潘氏は国連化学兵器
調査団の活動を説明するとともに「国連憲章の重要性」を繰り返し
強調し、安保理決議なしのシリア攻撃を自制するよう求めた。
(2013/08/31-05:24)
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米NBC、軍介入に50%反対 世論調査
 【ワシントン共同】米NBCテレビ(電子版)は30日、化学兵
器使用疑惑が強まるシリアへの軍事介入に関する世論調査結果を発
表、米軍の軍事行動に反対する回答が50%で、賛成は42%だっ
たと伝えた。介入の是非について、米市民の見方は割れていること
が分かった。
 オバマ大統領は軍事介入前に議会から承認を得る必要があるかと
いう質問では「承認を得るべきだ」との回答が79%に上り、「承
認は不要」という回答は16%にとどまった。
 米軍の攻撃によってシリア市民の状況が改善すると思うかには「
改善する」が27%。「改善しない」は41%。
 調査は米国の700人に28〜29日実施。
2013/08/31 05:08   【共同通信】
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米国務長官、限定的なシリアへの軍事介入の正当性主張
2013年 08月 31日 03:41 JST
[ワシントン 30日 ロイター] - ケリー米国務長官は30日、
シリアによる化学兵器使用疑惑をめぐり、「人道に対する犯罪」を
罰しないままにしておく訳にはいかないとし、限定的な軍事介入の
正当性を主張した。
また米国が取る可能性のある行動はすべて慎重に計画されるとし、
アフガニスタンやイラク、リビアへの介入とは決して類似したもの
にはならないとも強調した。
長官は「地上部隊の投入はない。無制限でもない。すでに始まって
いるシリアの内戦の責任を負うこともない」と説明。「大統領が取
り得る行動は、独裁者の残酷かつ凶悪な化学兵器使用に対し確実に
責任を取らせるための限定的かつ状況に応じた対応だ」と述べた。
また大量破壊兵器の使用を模索している他の国も、シリアが罰せら
れないかどうか動向を見守っていると述べた。
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アサド政権が化学兵器使用、死者1429人 米国務長官 
限定攻撃の検討も表明
2013/8/31 2:50 (2013/8/31 3:58更新)nikkei
 【ワシントン=吉野直也】ケリー米国務長官は30日、国務省で記
者会見し「行動を起こさなければならない」と述べ、市民に化学兵
器を使用したシリアのアサド政権に限定的な攻撃を検討している考
えを示した。アサド政権による化学兵器使用で少なくとも1429人の
市民が殺害され、そのうち426人が子どもだったことを明らかにした。
 シリアへの攻撃は2年半近く続く内戦終結が目的ではなく、化学
兵器使用の懲罰的な意味合いと再発防止が狙いであると述べた。大
量破壊兵器を発見できなかったイラク戦争の失敗を繰り返さないと
も語った。
 アサド政権の政府軍は化学兵器を事前に準備していたと指摘。政
府軍は使用直前には防護マスクを着用していたとも述べた。米政府
は同日、シリア情勢に関する情報機関の報告書を発表。アサド政権
の化学兵器使用に「強い確信がある」と明記した。
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シリア攻撃に反対=問題の複雑化警告−伊外相
 【ジュネーブ時事】イタリアのボニーノ外相は30日、米国が検
討中のシリア軍事介入は「世界的な大災害」に発展する危険性があ
ると警告、攻撃に反対する考えを表明した。民放テレビのインタビ
ューで語った。
 外相は「国連安保理決議のない攻撃は(シリア問題を)一層複雑
化し、戦闘を深刻化させる恐れがある」と主張。攻撃に対し「シリ
ア(政府)も反撃する」と指摘し、外交による解決を訴えた。
(2013/08/31-01:34)
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イラク戦争の教訓…戦争拡大を懸念 英議会
2013.8.30 23:19 sankei[政変・反政府デモ]
 英下院が対シリア軍事行動を否決した背景には、2003年に軍
事介入に踏み切って大量破壊兵器が発見できなかったイラク戦争の
教訓がある。加えて、化学兵器使用の「懲罰」として行う軍事行動
が、逆に戦争を拡大させかねないとの懸念もある。

 夏季休暇を中断して開かれた英下院では、キャメロン英首相が情
報当局の調査結果として、21日の化学兵器使用が「シリア当局に
よるものであることはほぼ間違いない」と報告したうえで、「婦女
子など一般市民に対する残虐で人道に反する攻撃だ」と非難した。

 これに対して労働党など野党側は、シリアのアサド政権側による
使用の明確な証拠がない中、拙速な軍事介入に踏み切れば、イラク
戦争と同じような結果をもたらすなどと反対した。
 与党・保守党系議員からも、「(軍事攻撃を行ったとしても)ア
サド政権が化学兵器の使用を中止する確証はなく、戦闘が反対に周
辺諸国に拡大する懸念もある」「軍事行動後の道筋が不明確で、危
険すぎる」といった意見が相次いだ。

 英下院は、シリアで調査する国連調査団の報告を待ったうえで週
明けにも再度審議を行う予定だが、軍事介入については再び否決す
る公算が大きい。
 英BBCテレビは「米欧の有志による軍事介入を想定していた米
国に、英国の不参加は衝撃を与えた。オバマ米大統領は英国抜きで
軍事介入に踏み切るか、苦渋の選択を迫られる」と指摘した。
(内藤泰朗)
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仏大統領、軍事介入の可能性示唆 英国の“離脱”…米を後押し
2013.8.30 23:16 snkei[政変・反政府デモ]
 【ベルリン=宮下日出男、ワシントン=小雲規生】シリアのアサ
ド政権による化学兵器使用疑惑で、英下院は英軍の軍事介入に道を
開く政府議案を否決した。有志連合による介入を準備してきたオバ
マ米政権には痛手となるが、オランド仏大統領は30日、英国抜き
でも軍事介入に加わる可能性を示唆した。
 オランド大統領は30日、仏紙ルモンドのインタビューで「化学
兵器による虐殺は罰せられるべきだ」と強調、アサド政権には「決
然とした相応の行動」が必要だと指摘した。対応を協議するため9
月4日に議会が開かれるが、大統領はそれ以前に攻撃が行われる可
能性も排除しなかった。
 英下院では29日、政府の議案をめぐって野党労働党のほか与党
からも慎重論が相次ぎ、賛成272、反対285で否決された。キ
ャメロン首相は「軍事行動を望まない議会の意思が明確になった。
政府はそれに従って行動する」と述べた。
 オバマ政権は、アサド政権による化学兵器使用の証拠を示す報告
書を30日以降に提示する見通しだ。AP通信は複数の米情報機関
当局者の話として、米政府はアサド政権が保有する化学兵器の場所
を正確に把握できていないと報じた。
 オバマ大統領は9月3日、スウェーデンに出発し、5〜6日にロ
シアで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合に参加する予定
だ。
 化学兵器使用疑惑でシリア入りした国連の調査団は30日、最終
日の現地調査を終えた。31日朝までにシリアを離れる見通しで、
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は調査団出国後の早い段階
で攻撃が行われる可能性があると伝えた。
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安保理常任理事国、再協議も進展なく 中露が反対
2013.8.30 12:58 sankei[シリア]
 【ニューヨーク=黒沢潤】国連安全保障理事会の5常任理事国は
29日、化学兵器使用疑惑をめぐりシリアへの武力行使を容認する
英国提出の決議案を前日に続いて協議した。米英仏3カ国が決議案
を採択すべきだと訴えたのに対し、露中両国が反対したもようで、
目立った進展もなく協議を終えた。
 会合はロシアの要請で開催された。同決議案が採決に付された場
合、露中が拒否権を行使するのは確実なため、英国が決議案を取り
下げるとの観測も出ていたが、英国のライアルグラント国連大使は
会合後、記者団に「何も言うことはない」と述べた。
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シリア 米英反撃へ「カミカゼ・パイロット用意」 英紙報道
2013.8.29 23:11 [シリア]
 29日付の英紙ガーディアンは、シリア軍士官の話として、シリ
ア軍が米英などによる軍事介入に反撃するため、自爆攻撃を仕掛け
る「カミカゼ・パイロット」を用意していると報じた。
 同士官は13人のパイロットがこの作戦に加わる誓約書にサイン
したとした上で、「米英などの戦闘機を砲撃で撃ち落とせなかった
場合、彼らが空中で体当たり攻撃を仕掛ける」としている。(共同)
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イランとヒズボラ、シリアが攻撃された場合の報復措置を検討
By FARNAZ FASSIHI AND MARIA ABI-HABIB AND JAY SOLOMON
2013年 8月 30日 15:44 JST  WSJ
 イランとレバノンの政治・軍事組織ヒズボラは、米国を中心とす
る西側諸国がシリアを軍事攻撃した場合、シリアに代わって報復措
置を講じるべきかどうか議論している。
 イランとヒズボラは、シリアのアサド政権を支援し、西側に対抗
するいわゆる「axis of resistance(抵抗の枢軸)」を結成してお
り、西側の権益を攻撃するかどうか、またその場合、公然と攻撃す
るか、あるいはひそかに攻撃するかについて協議している。
 イランとヒズボラの内部議論に詳しい関係者によれば、アサド政
権の同盟陣営は、米国がシリアを攻撃した場合、イスラエルや、中
東における米国の戦艦ないしは基地を標的にした長距離ミサイルを
配備するかどうか検討中。
 ヒズボラは表向き、西側諸国によるシリア攻撃の可能性について
静観しているが、イランは敵対的な姿勢をみせている。イランの革
命防衛隊のジャファリ最高司令官は28日、西側諸国がシリア政権を
攻撃すれば「イスラエル破壊」の引き金となり、「戦火はシリアに
とどまらないだろう」と警告した。
 ただし、ヒズボラに近いレバノン当局者と、イラン革命防衛隊に
近いテヘランの複数の関係者は、米国主導で軍事攻撃が行われた場
合、アサド政権とその同盟陣営がどのように対応するか最終決定は
下していない、と述べている。
 これら当局者や関係者は、その対応はおおむね米軍主導のシリア
攻撃の性格にかかっていると指摘している。それが軍事基地に限定
され、アサド政権を崩壊させる恐れがない場合、彼らはアサド政権
テコ入れのため資金や武器を支援するにとどめ、シリアの国境を越
えて報復攻撃を行う公算は小さい、という。
 ベイルート在住のあるヒズボラ関係者は「イランやヒズボラの最
高軍事戦略家の間では活発な議論が交わされている」と述べ、「最
終決定は、米国の行動がはっきりするまで遅れている。イランとヒ
ズボラによる対応は、それに応じて検討される」と語った。
 もう一つのシリアの強力な同盟国であるロシアは、アサド大統領
を政治的に支持し、軍事援助を供与する一方で、軍事的にはどんな
紛争にも参加しない方針を示唆している。
 パレスチナの軍事グループでかつてアサド政権の陣営だったハマ
スは、シリアの反体制派を支援している。
 イスラエルはワイルドカードだ。シリアないしその盟友が米国の
攻撃に対する報復としてイスラエルを攻撃し、イスラエルがさらに
それに報復すれば、戦争は地域全体に広がる危険が高まる。
 関係者によると、イラン、ヒズボラ、それにシリアのトップレベ
ルの軍事戦略家は、イスラエルにロケット弾を撃ち込むことが長期
的に自分たちの利益になるかどうか議論しているという。
 一方、米国務省の高官によると、オバマ政権は「万一の場合に備
え」、中東と北アフリカにおける米国の権益が攻撃された場合の準
備を進めている。
 専門家の中には、予想とは裏腹にヒズボラとイランが目立った報
復行動に出ないとみる向きも少なくない。特にアサド政権の崩壊、
ないしイランへの攻撃が差し迫っていると認識しない限り、行動し
ない可能性があるという。
 例えば、ベイルートにある「カーネギー中東センター」のポール
・サレム所長は、イランとヒズボラについて、「彼らは自分たちに
とって明らかに有益だと考えない限り、行動をエスカレートさせる
ことはないだろう」と指摘した。
 観測筋は、どのような路線をとるにしても、それは潜在的にシリ
ア、イラン、そしてヒズボラの同盟関係にダメージを与えかねない
と述べている。シリア、イランとヒズボラはイスラム教シーア派と
いうつながりを共有しており、連携してサウジアラビアなどの地域
のスンニ派の国々と対抗している。
 また、ヒズボラやイランが米主導のシリア攻撃があった場合に何
も対抗措置を取らないと、支持者から弱腰だと受け止められ、立場
が弱くなる可能性があると指摘する向きもある。一方、米国やイス
ラエルと戦えば、イランとヒズボラはともに苦しい立場に追い込ま
れる可能性がある。
 例えばイランは、ロウハニ師が大統領に選出されたことを受け、
より穏健な外交政策を進めようとしており、国際的にこれ以上孤立
するリスクを冒したくないと考えている。イランの経済は、誤った
政策運営と、核開発計画の抑制を目的とした西側諸国の制裁によっ
て壊滅状態にある。これがイランのシリア支援能力を制約している。
 ヒズボラもレバノン内部で問題を抱えている。ヒズボラはレバノ
ンで同盟関係にあるキリスト教グループから批判を受けている。キ
リスト教グループは、ヒズボラと同盟関係にあることで、スンニ派
のイスラム原理主義者などによる標的になりかねないと危惧してい
る。
 ヒズボラの司令官と兵士は、シリア内の戦場で膠着状態に陥って
おり、シリアで反体制勢力が勢力を伸ばすにつれて、イランから武
器と資金を再供給するルートが縮小している。それでも、アサド大
統領失脚の恐れが出てくれば、ヒズボラは自らの存在を守るための
行動を強いられる可能性がある、と述べる在レバノン関係者もいる。
 アサド大統領の立場は、先週化学兵器の使用疑惑が浮上するまで
、安定あるいは強まっているようにさえ見えていた。だが、シリア
の反体制派は現在、米主導の空爆があれば、自分たちが勢いを増し
、アサド大統領を打倒し、イランとヒズボラを弱体化できると考え
ている。
 あるアラブの高官は「いかなるシリアへの攻撃も、イランへのシ
グナルと受け取られるだろう。だから、われわれは米国が行動する
必要があると感じている」と話している。


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