4766.FRBの新しい政策



アラン・メルツァー(Allan H. Meltzer、1928年2月6日-)が、プロ
ジェクト・シンジケートで「When Inflation Doves Cry」で新しい
政策を述べている。この検討をする。

アラン・メルツァーは、ボストンで生まれたアメリカの経済学者。
主にカーネギーメロン大学で教え、専攻はマクロ経済学・金融経済
学・政治経済学である。マネタリストとして有名である。

量的政策のハト派は、量的緩和をしてもインフレは起こらないとい
う。タカ派は長期の通貨の安定を目指しているが、現実上では肌色
が良くない。しかし、本当にハト派は正しいのか?

マネタリストは強く警告する。ある通貨流通の限界を超えた時には
強いインフレが起きるが、その限界を超えていないために、インフ
レが、起こっていないだけであると。

この理由は、FRBが刷ったお金が連銀の当座預金に溜まっているだけ
であるからである。セントルイス連銀は、1年前と現在では31%も銀
行の当座預金が増えて、通貨量M2はたった6%しか増加していないと
いう。

というように、QE2、QE3のお札は、借り出されることもなく、流通
もしていない。連銀の当座預金には0.25%金利があり、銀行は黙って
いて、儲けることができる。しかし、その利益の半分が外国の銀行
に行ってしまっているのだ。

正常時はこの連銀の金利は準備預金として有効であるが、現在のよ
うな過剰預金状態では、全く逆効果になっている。

新しい企業には、銀行から貸出を拒否されている。低い金利ではリ
スクを銀行は取れないために、確実な買出先にしか貸さない。

ということで、銀行の利益は、国民の税金で支払われていることに
なる。このように無益な量的緩和を早く止めるのがFRBの新しい政策
である。

バーナンキが始めた量的緩和という方法の有効性と限界が見えてき
たように感じる。中央銀行の口座にマイナス金利をかけるという方
法もあるが、それも予想できない副作用を伴う。

米国は予算を削減するとともに、量的緩和をやめる方向にシフトせ
ざるを得ないことになっている。このため、予算削減で海外展開し
ている軍事費を減らし、日本は自国の防衛を自分で行う必要になる。

日本は量的緩和後の出口をどうするのか、米国の動向を見て考える
必要がある。

When Inflation Doves Cry

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