4758.FRBの量的緩和縮小で日本はどうするか?



土曜日から月曜日まで旅行に出ていたので、今日、記事をチェック
しているが、FRBの量的緩和がどうなるかで、日本も違う動きになり
そうである。

自民党は社会保障費の縮小、雇用の自由を確保する方向に舵を切る
ようである。この舵を切るためには、自民党としては偏狭な愛国主
義にして、職を得ることができない若年有権者、年金生活者を自民
党に惹きつけるようである。

これはこれで、国内選挙対策としては、優れていると思うが、それ
では、日本が孤立しないかと心配になる。このため、外交的に孤立
しないように、安倍首相は現実的な外交を行うが、自民党の主義は
偏狭な愛国主義に振る。

非常に狭い道を進むことになる。アベノミックスの成長戦略は企業
の自由を最大限保証する方向に進み、米国企業と国際的な競争がで
きる体制に向かい始めている。

これも、日本を世界的な競争に生き残るために必要なことであるが、
国民、特に中途半端に能力のある、本来は中産階級として安穏な生
活できる層が、苦しくなることになる。

バーナンキは金融緩和に向けてこれまですぐれた措置をとってきた。
だがいまでは、われわれは非伝統的な金融政策からは可能な限り、
手を引いていくという立場を示唆している。これは、(われわれ金
融当局は十分に手を尽くしたのだから)依然として経済が停滞して
いるのは議会と大統領のせいだと言っているようなものだ。経済の
停滞という現状は、財政当局(政府)に責任があり、いまや金融当
局としては、長期的な金融の安定に配慮しなければならないと。

これがバーナンキの本音だろうというが、これは日本にも言えるこ
とである。成長戦略がないと、金融量的緩和で景気が上向きになる
ことはない。

イギリスが自国の経済を袋小路に追い込んでしまったのは、中途半
端な金融緩和をとり、一方で財政緊縮策をとってしまったからだが、
日本も少し景気が良くなると、財政均衡を言い、消費税を上げて景
気の腰折れを起こしてきた。

今度の消費税増税も、また景気の腰折れを引き起こさないか、十分
な検討をしてほしいものである。

円安・株高ドラマの舞台は春先までの日本から最近では米国に移り
、主役も安倍首相から米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナン
キ議長に替わりつつあるようだ。量的緩和の縮小になれば、100円以
下の円安になり、輸出企業の企業業績がよくなる為である。これは
現状の成長戦略では景気が向かないと見ているからである。今度の
成長戦略は大胆にしないと景気は上向かない。

このように今度の成長戦略に期待がかかっているが、当面、期待が
できるのが、企業経営の自由化、規制緩和しかない。2015年以降は
燃料電池などのエネルギー産業に期待が移るが、それまでは、規制
緩和、企業経営の自由化をどこまでできるかでしょうね?

さあ、どうなりますか?

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金融政策と財政政策の間
―― イギリスの失策から何を学ぶ
On Federal Reserve Policy
◎スピーカー  アダム・ポーゼン  ピーターソン国際経済研究所所長
J・ブラッドフォード・デロング  カリフォルニア大学教授
◎プレサイダー  ギデオン・ローズ  フォーリン・アフェアーズ誌編集長
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2013年8月号
「バーナンキは金融緩和に向けてこれまですぐれた措置をとってき
た。だがいまでは、われわれは非伝統的な金融政策からは可能な限
り、手を引いていくという立場を示唆している。これは、(われわ
れ金融当局は十分に手を尽くしたのだから)依然として経済が停滞
しているのは議会と大統領のせいだと言っているようなものだ。経
済の停滞という現状は、財政当局(政府)に責任があり、いまや金
融当局としては、長期的な金融の安定に配慮しなければならない。
これがバーナンキの本音だろう」。(B・デロング)
「スペイン同様に、イギリスが自国の経済を袋小路に追い込んでし
まったのは、中途半端な金融緩和をとり、一方で財政緊縮策をとっ
てしまったからだ。現在、日本は、当時のイギリスとは全く逆のこ
とをしている。日本銀行はついに、われわれが求めてきたような、
大胆な量的緩和策をとり、経済は回復しつつある」。(A・ポーゼン)
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どうなる、アメリカの「出口戦略」 --- 岡本 裕明
2013年08月03日21:00 agora
6月にバーナンキFRB議長は今秋以降の金融の量的緩和の出口戦略に
ついて一定の明言をしました。市場はそれを受け、早ければ9月にも
その準備に取り掛かるだろうとシートベルトをしっかり締めたので
すが、今週のFOMCの会議のトーンからは9月の可能性がやや薄れた感
じでした。
そして水曜日のアメリカ第2四半期のGDPは予想の1.0%を大きく上回
る1.7%で着地。特に個人消費が1.2%、個人国内投資が1.34%伸び
たことが大きく貢献しました。ところが同時に発表された第1四半期
の修正GDPは1.8%のプラスが1.1%プラスへと大幅下方修正されてい
ます。これほど大きな修正となると1.8%とは何だったのだろうと疑
いたくなりますが、結局GDPは第1、第2四半期で相殺された形になり
ました。
今週の最後の注目は金曜日の7月の雇用統計でしたがこれは事前の
18万5000人増の期待に対して16万2000人増とネガティブインパクト。
ところが失業率は7.4%と0.2%ベーシス下がったことで2008年12月
以来の低い失業率となりました。
つまりこの三つのイベントそれぞれに前向きと後ろ向きの要素が含
まれてしまい、結局どこに向かうのか、はっきりしない状況となっ
たのです。金曜日のアメリカの株式市場を見てもダウ平均は70ドル
以上も下げて始まったもののこれを書いている場引け30分前でプラ
スサイドに転じています。
日経電子版には雇用統計が発表された直後に「米雇用統計、週明け
日本市場への影響 プロの見方」と記事がアップされたのですが私
はこれは日経が速報性をあせりすぎていると思います。コメンテー
ターが市場の流れを十分消化する前に発言していますので日経とし
てのクオリティを若干遺棄するような気がします。つまり、アメリ
カの経済の行方とはそれぐらい読みにくい状況にあるということか
と思います。
元を正せばリーマン・ショック後、かつてない強力な金融緩和とい
う武器で経済危機を乗り越えてきましたが、欧州、日本、新興国共
に金融緩和に歩調を合わせる中、出口に一番近いアメリカが一歩退
くことによる果てしない影響はまだ、十分に検証されていない気が
します。
ゴールドマンサックスが新興国経済のブームの終焉を意味するレポ
ートを少し前に出したことが話題になりました。では次の勝者は誰
か、といえば、個人的にはどうもアメリカと日本など先進国になる
可能性が高いと思うのですが、そうなった場合、アメリカ金融当局
は他国の反感を買うこともありえるわけで政治的に相当うまく乗り
切らないと軋轢を生むことになりそうな気がします。
ところで失業率の低下ですが、低賃金で甘んじる移民層の職は増え
ているもののいわゆるマネージメントクラスの職は相変わらず増え
ず、というレポートもあります。たぶんですが、工場労働者などに
低賃金のオファーを受けてもらうことで人件費削減を図る企業の動
きということかと思います。カナダでは外国人労働者へのビザの発
給を一段階厳しくすることでいち早く対応しています。つまり、い
びつな雇用情勢ということでしょうか? そういう点からは失業率
の数字の見方も留意する必要がありそうです。
結論的には9月の金融の量的緩和からの緩やかな脱出は若干遠のいた
、と見ています。8月にはFOMCはなく、夏休みで特殊要因も多い中、
9月のアメリカ金融政策の次の一手に注目が集まってくることかと思
います。個人的にはアメリカ経済は一進一退を続けながらも着実に
回復の道を歩むだろうという見方に変わりはありません。
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日本株動かす主役、安倍氏からバーナンキ氏へ交代−円安異変
  8月5日(ブルームバーグ):レンジ相場の様相を呈する日本
株に対し、投資家の先高期待はなお強い。円の先安観から、輸出関
連を中心に企業業績 の改善期待が背景にある。しかし、円安・株高
ドラマの舞台は春先までの日本から最近では米国に移り、主役も安
倍首相から米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長に替
わりつつあるようだ。
ブルームバーグ・ニュースが集計した市場関係者15人のTOPIX 
の年末予想中央値は、2日終値比で6.2%高の1270ポイント。SMB
C日興キャピタル・マーケッツの株式ストラテジスト、ジョナサン
・アラム氏は「今の為替水準と強いマクロ経済指標が継続すれば、
日本株は堅調さを維持するだろう」と予想。日本株に対しては「自
分でも驚き、少し心配になるほど強気だ」と言う。
昨年11月の衆院解散以降、TOPIXは2日までに66%上昇。こと
しの上昇率は先進国24市場の中でトップだ。安倍政権と日本銀行が
進めるリフレ政策への期待と評価から、ドル・円相場が1ドル=79
円台から一時は103円まで円安が進み、それに伴う業績改善期待が日
本株を押し上げてきた。5月に年初来高値を付けて以降は一進一退
の状況にあるが、米国で量的金融緩和策の縮小観測が浮上、日米金
利差 の拡大を通じた円安・日本株高の見方は揺らいでいない。
ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは、一
番可能性の高いシナリオは、FRBの量的緩和縮小を受けた「為替
の円安と日本株の一段高」と指摘。長い目で見れば、「日銀の大胆
な金融緩和策は継続する一方、米国は緩和縮小に転じる。為替は年
末にかけて円安方向で推移するだろう」とみている。
FRB転換、9月予想が5割
FRBは、早ければ9月にも毎月の債券購入額の規模を縮小させる
と予想されている。1986年以降、FRBが金融政策を引き締めに転
じた局面は4回あり、今回の政策転換はおよそ7年ぶり。ブルーム
バーグ・ニュースの調べでは、FRBが政策金利を引き上げた当日
までの12カ月間は、TOPIXが平均で30%上昇。直近の2004年に
は32%上げ、米S&P500種株指数を大きくアウトパフォームした。



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