4757.FRBの量的緩和縮小ができない理由



FRBバーナンキ議長の理論は、現実問題としてインフレも起こらず、
景気も良くならないというように神話であることが世界の常識にな
ってきた。しかし、バーナンキ議長は量的緩和縮小ができない。な
ぜであろうか? これを検討する。  津田より

0.経緯
6月の雇用統計では景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数は
19万5千人増と市場予想を大きく上回る伸びたが、7月の米雇用
統計で、非農業部門就業者数の伸びが、16万2000人に鈍化し
た。一方で、失業率は7.4%と、前月に比べ0.2ポイント低下。
2008年12月(7.3%)以来、4年7カ月ぶりの水準に低下
した。

FRBは現在、月850億ドル(約8兆4000万円)のペースで
米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を購入している量的緩和政
策を縮小させる一つの目安として、月20万人程度の雇用増の継続
を挙げている。7月の就業者数はこれを大きく下回った。

米政府は、財政赤字を減らす方向である。2014年度予算を3兆7700
億ドルにして7440億ドルも縮小した。しかし、まだ債務上限の引上
げができていないので、この予算を既に執行しているが、今年の10
月には資金的な行き詰まりに陥ることになる。

債務上限をめぐる前回の政治的行き詰まりは格付け会社スタンダー
ド・アンド・プアーズ(S&P)による米国の格下げにつながり、
世界各国の市場にパニックをもたらした。議会の夏季休会が終わり
審議が再開されれば、同じことが繰り返されるかもしれない。

その時は、政府機関の閉鎖は避けるという合意があるが、より強制
的な削減も決めているので、予算が減ることになる。

この犠牲になるのは、国防予算である。国防予算は2012会計年
度から10年間で4870億ドル(約48兆700億円)の削減が
決まっているほか、今年からさらに、10年間で5千億ドル(約49
兆3500億円)の強制削減も義務づけられた。

強制削減は今後解除される可能性があるが、仮に10年間続く場合
は、陸軍は最少で38万人(現54万人)に、海軍の空母打撃群は
11から8に、海兵隊は15万人(現19万5千人)に縮小すると
みている。このように景気に下向きな予算の動向がある。

このように予算削減で、米財務省は7月31日、政府の財政見通し改善
に伴い、今後数カ月に発行予定の2年債と3年債の規模を削減する方
針を明らかにした。

まだ、米景気が弱いとみなして、米連邦公開市場委員会(FOMC
)は7月31日、2日間の会合で量的緩和第3弾(QE3)と事実上の
ゼロ金利政策を維持することを決めた。

しかし、米財務省が財政正常化に乗り出しているので、FRBが量的な
緩和で国債を買う必要が減ることになる。このため、量的緩和の縮
小をしても財政上は問題がない。

このため、シェールガスで景気が徐々に良くなってきたので、オバ
マ政権としても正常化させる必要があり、早くQEを止めたいのだ。

1.量的緩和は神話
有料版では既に述べたが、巨匠コッポラ監督の娘である音楽家フィ
ランシス・コッポラ氏が、「QEの神話」という評論が面白い。

QEの神話として、1つめの神話は、金融量的緩和でインフレが起こ
るという神話である。しかし、実際にはインフレは起こっていない。
2つめの神話は、金融緩和で銀行が強制的に資金を貸し出すので、
景気を刺激するという神話である。これも起きていない。

3つめの神話は、金融量的緩和で企業の投資が増えて、景気を刺激
するという神話である。銀行が貸さないので起きない。4つめの神
話は、金融量的緩和で消費者の収入が増えてくるので、消費を増や
し景気を刺激するという神話である。これも無理。

というように、金融量的緩和は、経済に良い影響を与えないようで
ある。しかし、経済人も政治家も金融量的緩和によって、このよう
な神話が起きると信じることで、心理的な効果を起こして、一部そ
のようなことが起きるのである。

しかし、イギリスが自国の経済を袋小路に追い込んでしまったのは
、中途半端な金融緩和をとり、一方で財政緊縮策をとってしまった
からだで、オバマ政権も英国と同じ状態になる可能性がある。

このため、財政赤字の縮小を優先して、その後に金融緩和を行うよ
うである。バーナンキ議長は12月までであり、その後は量的緩和
を縮小する議長を任命することになると、見ている。サマーズにな
るかどうかはわからないが?

2.米国の現状
しかし、米国の今回の回復局面が日本の「失われた20年」に不気味
なほど似ているようだ。日本が経済の低成長と強力なデフレに苦し
んできた1992年第2四半期から2013年第1四半期までのことだが、景
気が少し良くなると、財政再建として消費税を上げて潰している。

事実、米連邦準備制度理事会(FRB)は、2日間の政策会合を終える
7月31日の時点で、米経済がこの悪夢に出てくる飛行機のように制御
不能の状態であることを示唆する新たな指標を目の当たりにする可
能性がある。

それと、米国の量的緩和の縮小をすると、ブラジル、ロシア、イン
ド、中国、南アフリカなどの新興国への投資が引き上げられるドル
の巻き戻しが起きて、景気が後退する。このため、BRICSは、
先進国に対し、量的緩和縮小に際しては新興国と協調しながら慎重
に進めるよう呼び掛けた。

もう1つ、米企業は再び現金の保持に動いている。中央銀行は間も
なくイージーマネーの蛇口を閉める可能性があるとの警戒感の最新
の兆しになっている。最高財務責任者(CFO)や企業財務担当を対象
とした調査結果は、昨年は現金の管理を緩めた企業が今年は保持額
を増やしているとした。

3.今後はどうなるか?
米国企業はドル高になり、資金で持っていたほうが儲かることにな
り、海外での事業でも儲かっていない事業に見切りをつける方がよ
いことになる。

逆に、日本の株式市場では、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩
和を待望している。ドル高円安になり、日本企業の競争力が高まる
ためである。これは裏を返すと、米国企業は苦しくなる。ドルとリ
ンクさせている韓国も中国も苦しくなることになる。

これは日本が量的緩和をしているので、少し前、日本が苦しんだ米
国の量的緩和中に円高になり苦しんだが、この逆になることで米企
業が苦しむことになるのだ。

というように、他国が量的緩和をしている時に、量的緩和の縮小を
するのは大きな苦悩を味わうことになる。米英は同時に量的緩和を
やめる方向であるが、日本は遅れてきたので、今、量的緩和縮小は
できない。

しかし、世界全体で同時に量的緩和を止めるしかないように思う。

特に、日本が新しい産業ではなく、円安で今までの産業と商品の価
格競争で圧倒すると、既存産業分野はゼロ・サムゲームであるので
、他国の外需依存企業は、日本企業の利益が出る分、利益を削るこ
とになる。

そうすると、米企業は米国政府に圧力を変えることになる。日本に
量的緩和縮小を迫るか、米国が量的緩和を継続するかである。

しかし、量的緩和は、どこかにバブルを作り、それがいつか崩壊し
て、新しい景気後退の芽を生むことになる。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
4749.金融システムの安定化には何が必要か
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/250727.htm

4739.バーナンキFRB議長の発言
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/250718.htm

4735.(P0250)オバマ、再度の再生可能エネルギー政策
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/250714.htm

4733.FRBがQE3中止を中止に
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/250712.htm

4728.米国の景気が回復か?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/250706.htm

4721.世界経済が混乱状態に
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/250630.htm
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NY株、再び最高値=緩和縮小観測が後退
 【ニューヨーク時事】週末2日のニューヨーク株式市場は、7月
の米雇用統計を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による量的
金融緩和の早期縮小観測が後退する中、優良株で構成するダウ工業
株30種平均が続伸、前日終値比30.34ドル高の
1万5658.36ドルと、2日連続で終値の史上最高値を更新し
た。
 ハイテク株中心のナスダック総合指数は13.85ポイント高の
3689.59と4日続伸で終了した。
 雇用統計で非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を下回ったこ
とから、失望感から売りが先行した。その後は、早ければ9月とみ
られていた緩和縮小の開始時期がずれ込むとの見方が強まったため
、緩和マネーが引き続き株式市場に流入するとの期待が高まり、相
場は上昇に転じた。ダウは一時、1万5658.43ドルまで買わ
れ、取引時間中の史上最高値も更新した。(2013/08/03-06:42)
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緩和縮小「9月説」後退か=米雇用回復、予想外の鈍さ
 【ワシントン時事】2日に発表された7月の米雇用統計で、景気
動向を敏感に反映する非農業部門就業者数の伸びが、16万2000
人(前月は18万8000人)に鈍化した。18万人超を期待して
いた市場にとっては予想外の鈍さといえ、早ければ9月とみられて
いた米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和政策縮小のタイミ
ングをめぐり、慎重な見方が強まりそうだ。
 FRBは現在、月850億ドル(約8兆4000万円)のペース
で米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を購入している量的緩和
政策を縮小させる一つの目安として、月20万人程度の雇用増の継
続を挙げている。7月の就業者数はこれを大きく下回った。その上
、5、6月の数値がいずれも下方改定されたことで、今年第2四半
期(4〜6月)の雇用の伸びは月平均で約18万8000人(改定
前は約19万6000人)にとどまり、思っていたほどには米雇用
回復の勢いが強くなかったことが示された。
 とはいえ、7月の失業率は7.4%と0.2ポイント改善し、
2008年12月(7.3%)以来、4年7カ月ぶりの低水準に改
善したのも事実。1日に発表された失業保険の新規の申請件数も08
年1月以来、約5年半ぶりの水準に低下しており、雇用回復が続い
ていることに疑いはない。量的緩和縮小をめぐっては、今後雇用の
勢いが再び強まるかどうかがか焦点となる。(2013/08/03-00:06)
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米雇用伸び鈍化、16万2000人増=失業率は7.4%に改善
−7月
 【ワシントン時事】米労働省が2日発表した7月の雇用統計によ
ると、景気動向を反映する非農業部門の就業者数は季節調整済みで
16万2000人増と、6月の18万8000人増(改定値)から
伸びが鈍化した。一方で、失業率は7.4%と、前月に比べ0.2
ポイント低下。2008年12月(7.3%)以来、4年7カ月ぶ
りの水準に低下した。
 失業率の低下で雇用回復の継続が示されたものの、就業者数につ
いては6月、5月とも下方修正されており、その勢いに疑問符が付
きそうだ。
 失業率は市場予想(ロイター通信調べ)の7.5%を下回ったも
のの、就業者数は18万4000人増の予想を大幅に下回っており
、早ければ9月にも着手するとの観測が出ていた米連邦準備制度理
事会(FRB)による量的緩和縮小のタイミングをめぐる見方が錯
綜(さくそう)しそうだ。(2013/08/02-23:02)
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【コラム】米国の主力バンカーたちが直面するリスク-ペセック
  8月2日(ブルームバーグ):米ニクソン政権下で財務長官を
務めたジョン・コナリー氏は1971年に「ドルはわれわれの通貨だが
、あなた方の問題だ」と発言した。債務上限引き上げをめぐるオバ
マ大統領と共和党の再対決を前に、この言葉があらためて真実味を
増している。
発言から42年後の今、アジア諸国は7兆ドル(約691兆円)近い外貨
準備の大半をドルで保有している。アジア諸国は1997年の危機から
学び、外貨準備を競って積み上げた。各国は市場の不安定化を鎮め
る武器を得たが、使い道が分からないほどにその武器の量が膨らん
でしまった。アジアは米国の債権銀行団になり、主力行の中国と日
本は特に失うものが大きい。
債務上限をめぐる前回の政治的行き詰まりは格付け会社スタンダー
ド・アンド・プアーズ(S&P)による米国の格下げにつながり、
世界各国の市場にパニックをもたらした。議会の夏季休会が終わり
審議が再開されれば、同じことが繰り返されるかもしれない。
普通の世界であれば、債権銀行団は融資引き揚げをちらつかせて借
り手に圧力をかけることができる。アジアは米国の政権と議会に一
致した行動を迫ることができるはずだ。しかし、巨額の外貨準備は
強さではなく、経済運営を難しくする問題になりつつある。アジア
諸国はこの罠(わな)から抜け出す方法を考えなければならない。
それでも中国には若干の影響力がありそうだ。ルー米財務長官の最
初の外遊先が中国であったことは偶然ではない。3月に北京で習近
平国家主席と会ったルー長官は今週、財政問題で「危機を作り出さ
ないような」行動を議会に呼び掛けた。これは米国の筆頭バンカー
である習主席へのメッセージでもあったかもしれない。
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金融政策と財政政策の間
―― イギリスの失策から何を学ぶ
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2013年8月号
「バーナンキは金融緩和に向けてこれまですぐれた措置をとってき
た。だがいまでは、われわれは非伝統的な金融政策からは可能な限
り、手を引いていくという立場を示唆している。これは、(われわ
れ金融当局は十分に手を尽くしたのだから)依然として経済が停滞
しているのは議会と大統領のせいだと言っているようなものだ。経
済の停滞という現状は、財政当局(政府)に責任があり、いまや金
融当局としては、長期的な金融の安定に配慮しなければならない。
これがバーナンキの本音だろう」。(B・デロング)
「スペイン同様に、イギリスが自国の経済を袋小路に追い込んでし
まったのは、中途半端な金融緩和をとり、一方で財政緊縮策をとっ
てしまったからだ。現在、日本は、当時のイギリスとは全く逆のこ
とをしている。日本銀行はついに、われわれが求めてきたような、
大胆な量的緩和策をとり、経済は回復しつつある」。(A・ポーゼン)
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歳出削減で「米軍大幅縮小も」 ヘーゲル国防長官見通し
2013年8月1日18時30分
 【ワシントン=大島隆】ヘーゲル米国防長官は7月31日の記者
会見で、国防費の大幅削減に伴う米軍のあり方についての検討結果
を発表し、現在よりも規模を大幅に縮小する可能性があるとの見通
しを示した。今後、議会に国防費削減の見直しを求める。
 国防予算は2012会計年度から10年間で4870億ドル(約
48兆700億円)の削減が決まっているほか、今年からさらに、
10年間で5千億ドル(約49兆3500億円)の強制削減も義務
づけられた。
 強制削減は今後解除される可能性があるが、仮に10年間続く場
合は、陸軍は最少で38万人(現54万人)に、海軍の空母打撃群
は11から8に、海兵隊は15万人(現19万5千人)に縮小する
とみている。規模の縮小を最小限にとどめる場合は、代わりに最新
鋭兵器の開発や配備が滞ることになるという。
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9月の緩和縮小開始「まだ有望」−エコノミストの見解
2013年 8月 01日 10:16 JST  WSJ
 7月31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が発表した政策声明に対
し、エコノミストらは次のような見解を示した。
−パンテオン・マクロエコノミクス、イアン・シェファードソン氏
 6月19日の声明と比べて、政策についてはFOMCの声明に変わりはな
い。だが、投資家や評論家を動かした2つの最近の展開に、簡潔に対
応している。第1に、住宅部門は「強まっている」と述べた。6月は
「一段と強まった」としていた。そして「 …
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FRBの量的緩和縮小計画、経済成長低迷で黄信号
2013年 8月 01日 12:38 JST  WSJ
 足元で米経済の成長速度は米連邦準備制度理事会(FRB)が予想し
ていた水準にはほど遠い、ということが明らかになった。だからと
いって、これだけのことでFRBが9月からの債券購入縮小計画を白紙
にすることはないだろう。ただ、FRBは今までほど同計画に満足して
いられないはずだ。
 米商務省が7月31日発表した4-6月期の国内総生産(GDP)速報値は
前期比年率で1.7%増となり、エコノミスト予想の0.9%増を上 …
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米財務省、2年債と3年債の発行額削減へ
2013年 8月 01日 12:41 JST  WSJ
 【ワシントン】米財務省は7月31日、政府の財政見通し改善に伴い
、今後数カ月に発行予定の2年債と3年債の規模を削減する方針を明
らかにした。
 財務省のラザフォード次官補(金融市場担当)によると、財務省
は8月に実施する2年債入札の規模を10億ドル減額し、その後9月と10
月に実施する2年債と3年債の入札でもさらに10億ドルずつ減額する
見通し。
 財務省は7月の入札で、2年債を350億ドル、3年債を320億ド …
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米、量的緩和を維持 FOMC「必要性を再確認」 
2013/8/1 3:25nikkei
 【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦公開市場委員会(FOMC)は
31日、2日間の会合を終え量的緩和第3弾(QE3)と事実上のゼ
ロ金利政策を維持することを決めた。極めて緩和的な金融政策を継
続する必要性について「再確認した」と明記した。米経済は「年前
半に緩やかに拡大した」とする一方、インフレ率低下や住宅ローン
金利の上昇などが景気に与える影響を注視する構えを示した。
 声明では証券購入額の「増額、減額とも準備をしている」と中立
の姿勢を強調し、今後の雇用統計などで景気動向を見極めたうえで
判断する構えを改めて示した。
 FOMCは失業率が6.5%を上回り、1、2年先のインフレ率が長
期的な目標である2%から0.5ポイントを越えて上回らない範囲でゼ
ロ金利を続けることにしている。
 市場ではこうした数値目標を見直すとの観測もあったが、声明で
は特に修正を加えず、現状を維持した。
 現在、QE3では住宅ローン担保証券(MBS)を月400億ドル、
中長期国債を月450ドルずつ追加購入するQE3を実施中。フェデラ
ル・ファンド(FF)金利誘導目標の幅を現行の0%から0.25%に据
え置き、事実上のゼロ金利政策を維持した。
 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は6月の前回会合の
記者会見で、QE3について「現時点で年内に証券購入ペースを減
らし、来年半ばまでに(新規購入を)停止するのが適切」と発言。
QE3縮小の具体的な日程に初めて言及していた。31日の決定には
ジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁が反対した。
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日本の「失われた20年」に酷似する米経済
By KATHLEEN MADIGAN
2013年 7月 31日 11:02 JST  WSJ
米国は日本になりつつあるのだろうか?
 1970年代、多くの米国人は日本が21世紀の経済成長を方向づける
のではないかと恐れた。ある研究団体は、その通りかもしれないと
指摘する。ただし、数十年前に米国人が恐れたものとは別の形でだ。
 米国経済についてはずっと弱気の見方をしてきた民間の米景気循
環調査研究所(ECRI)は、米国の今回の回復局面が日本の「失われ
た20年」に不気味なほど似ていると指摘する。日本が経済の低成長
と強力なデフレに苦しんできた1992年第2四半期から2013年第1四半
期までのことだ。
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米量的緩和の縮小、待ち望む? 株式市場が「変心」
2013/7/31 12:30nikkei
 米量的緩和の縮小観測は、今度はいつ強まるのか――。日本の株
式市場では、日本時間8月1日未明に米連邦公開市場委員会(FO
MC)の結果が明らかになるのを前に、改めて米連邦準備理事会(
FRB)の手綱さばき…
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米経済、制御不能な急降下を回避できるか
2013年 7月 31日 15:12 JST  WSJ
 操縦している飛行機が高度を下げているのに、機体は操縦かんに
思うように反応してくれない、といった悪夢を想像してほしい。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は、2日間の政策会合を終える31日
の時点で、米経済がこの悪夢に出てくる飛行機のように制御不能の
状態であることを示唆する新たな指標を目の当たりにする可能性が
ある。株式市場をはじめとするファーストクラスの乗客は、無料サ
ービスの飲み物を楽しみながら、うかつに 
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米企業に再び現金保持の傾向=調査
2013年 7月 30日 15:18 JST  WSJ
 米企業は再び現金の保持に動いている。中央銀行は間もなくイー
ジーマネーの蛇口を閉める可能性があるとの警戒感の最新の兆しに
なっている。
 29日に発表された最高財務責任者(CFO)や企業財務担当を対象と
した調査結果は、昨年は現金の管理を緩めた企業が今年は保持額を
増やしていることを示した。
 米財務プロフェッショナル協会(AFP)が年間平均収入15億ドルの
企業を対象に実施した7月の調査では、CFOが現在より …
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中央銀行が量的緩和の手を緩める3つの理由
2013年 7月 30日 15:42 JST  WSJ
 中央銀行当局者が3つの理由で量的緩和の手を緩めようとしている
ことが、最近の兆候からうかがえる。そのうち2つは明確な理由だが
、1つはそれほどはっきりしたものではない。
 1つ目の理由は、量的緩和がその目的を果たした、というものだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)と英中銀イングランド銀行が最も強力
に量的緩和を推進してきたため、米国と英国は景気の回復段階にあ
り、結果として追加的な刺激策の必要性は低下している …
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コラム:新興国襲ったドルキャリー巻き戻しの残存リスク
=竹中正治氏
2013年 07月 30日 16:46 JST
竹中正治 龍谷大学経済学部教授(2013年7月30日)
今年5月以降、それまで新興国に流入していたマネーフローが流出
に転じ、これら諸国の株価も為替相場も下落に転じた。このことが
世界経済の不安定化要因のひとつとして懸念されている。しかも、
米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和(QE)縮小見通しの
表明がその原因になったという論評が多い。しかし、そうした理解
は私には「原因」と「きっかけ」を混同しているように思える。
たとえば、本フォーラムでも散見される一般的解説に、5月のバー
ナンキFRB議長によるQE縮小見通し表明が相場調整の引き金を
引き、一部新興国の株価と通貨下落をもたらしたというものがある。
そして、その結果として、新興国のインフレと景気減速、金融市場
の不安定化を招き、それが世界経済に波及することが想定される最
悪の事態だという。
ただし事実関係を見ると、新興国への資金流入の減少、あるいは資
金流出の傾向は、FRBがQE縮小の可能性を表明する以前の今年
2月頃から始まっている。たとえば、日本経済新聞は4月8日の記
事で新興国の株価低迷と日米など先進国の株価上昇の対照的な動き
を指摘し、次のように述べている。「世界の投資信託の資金の流れ
を追う調査会社EPFRグローバルによると、2月下旬以降、先進
国の株式に投資するファンドへ資金流入が増える一方、新興国株フ
ァンドから資金が流出している」。
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米新規失業保険申請件数は小幅増、労働市場の緩やかな改善継続示唆
2013年 07月 25日 23:45 JST
[ワシントン 25日 ロイター] - 米労働省が25日発表した7
月20日までの週の新規失業保険週間申請件数は季節調整済みで
34万3000件と、前週比で7000件の小幅増となり、労働市
場の改善が緩やかなペースで続いていることを示唆した。
エコノミストの間では34万件への増加が予想されていた。
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G20は財政健全化よりも成長を優先、「緩和解除は慎重に調整」
2013年 07月 21日 08:10 JST
[モスクワ 20日 ロイター] - モスクワで19─20日の2日
間にわたり開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行
総裁会議は、世界経済が「依然弱過ぎる」として、財政健全化より
も経済成長を優先する姿勢を示した。金融緩和政策を縮小、転換す
る場合は金融市場に不安を与えないよう慎重を期すと約束した。
閉幕後に発表した声明は、日米の緩和政策の効果を認める一方、ユ
ーロ圏の景気低迷や新興国の景気減速を指摘。
「われわれの政策対応は下方リスクを抑えるのに寄与しているが、
依然高止まりしている」とし「金融市場のボラティリティが高まり
、金融の状況はひっ迫している」との認識を示した。
今回のG20会議は、米経済が回復基調となる一方で、中国の輸出
エンジンが失速、日本の脱デフレ策はまだ脱出速度に到達しておら
ず、ユーロ圏の需要は雇用創出を伴う回復を維持するには十分でな
いという状況で開かれた。
議長国ロシアのシルアノフ財務相は閉幕前のロイターとのインタビ
ューで、G20の政策責任者が財政健全化目標を棚上げにし、成長
や、市場の混乱を最小限に抑えた緩和政策の出口戦略の方を重視し
たとし「一部に、成長確保が先決との意見があった」と明らかにし
た。
会議関係者によると、ドイツが財政健全化に関する姿勢を軟化させ
、自国経済の改善に意を強くした米国が成長重視を主張した。
ユーロ圏では若年層の失業が深刻で、成長と財政緊縮の間の重心が
動いたようだ。
G20は、9月のG20首脳会議に向け、雇用と成長を強化すると
同時に世界需要と債務をリバランスする行動計画を支持した。
ある米財務省高官は「G20の成長と雇用に関する見解が示す通り
、成長か緊縮かという議論は決着したようだ」と指摘。
「米国は、財政の調整は民間の需要が自力で維持できるほど強くな
ってからにして、まず経済成長と雇用を促進するマクロ経済政策を
選んだ。G20はこうしたバランスをとる重要性を認めた」と述べ
た。
シルアノフ財務相はインタビューで「もちろん成長は期待できるが
、すぐにというわけにはいかず、債務は膨らみ続けるだろう」と述
べ、財政健全化は引き続き最優先事項であるべきとの見解を示した。
為替の問題は「通貨戦争」という言葉が飛び交った2月のG20会
議に比べると影が薄かった。
声明は、より市場原理が働く為替相場システムや競争的な通貨切り
下げを控えるとの方針を表明した。
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先進国、途上国と協調を=量的緩和縮小でBRICS
 【北京時事】ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新
興5カ国(BRICS)財務相・中央銀行総裁会議が19日にモス
クワで開かれ、先進国に対し、量的緩和縮小に際しては新興国と協
調しながら慎重に進めるよう呼び掛けた。中国国営新華社通信が
20日伝えた。
 会議では「一部先進国が打ち出した量的緩和縮小計画は、新興国
からの大量の資金流出、通貨安、金融市場の変動を招いており、新
興国を含め世界の景気回復に悪影響をもたらしている」との見方で
一致。先進国側に政策の透明性を高め、新興国などとの意思疎通、
協調に努めるよう求めた。(2013/07/20-22:11)
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米デトロイト市破綻 負債1兆8000億円 米自治体最大 市民
への影響懸念
2013.7.20 08:43 産経[米国]
 【ワシントン=柿内公輔】自動車産業の“聖地”として知られる
米中西部ミシガン州のデトロイト市が18日、連邦破産法第9条の
適用を同州連邦破産裁判所に申請し、財政破綻した。負債総額は
180億ドル(約1兆8千億円)を超え、米国の地方自治体の破綻
では過去最大となる。
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米国の低成長、企業利益見通しに打撃
2013年 7月 12日 13:50 JST  WSJ
 量的緩和縮小以外にも重視すべきことはある。
 投資家らは、米連邦準備制度理事会(FRB)が債券購入措置から抜
け出すための第一歩をいつ踏み出すかを注視し続けている。米株式
市場は11日の寄り付きから急伸した。FRBのバーナンキ議長が前日午
後の講演で、過去の発言と実質的に異なる内容ではなかったが、ハ
ト派的な見解を示したことが原因だ。
 ただ、FRBの行動に大きな注目が集まるあまり、企業収益に暗雲が
垂れ込めつ …
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6月の米就業者数19・5万人増 回復継続で量的緩和縮小も 
 【ワシントン共同】米労働省が5日発表した6月の雇用統計(速
報、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の
就業者数は19万5千人増と市場予想を大きく上回る伸びを示した。
失業率は前月から横ばいの7・6%だった。
 就業者数の増加幅は4、5月ともに上方修正され、3カ月連続で
20万人に近い水準を記録した。雇用情勢の順調な回復が続いたこ
とで、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に量的緩和の縮小に
踏み切るとの見方が強まりそうだ。
 ただ例年、夏場に改善のペースが鈍化する傾向があるため、FR
Bは今秋まで雇用回復の行方を見極めるとみられる。
2013/07/05 22:32   【共同通信】


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