4753.アベノミクスの賞味期限切れ



結局、日本の奇跡的な復活策はうまくいかないかもしれない。口だ
けの代物であるということは、だんだん分かり始めた。そして投資
家の間では不安感が日に日に増している。

大規模な金融緩和策の効用は市場心理的なものである。この市場心
理は時間が過ぎると、消滅することは分かっている。バーナンキ理
論も崩壊したと、欧米では考えられ始めている。量的緩和をしても
インフレは起きないし、景気を上げる効果はない。

そのため、この心理的効果があるあいだに、成長戦略を立てて、こ
れは行けそうという政策を構築する必要があったが、今までと何も
変わらない官庁の作文が出てきたので、これはダメとなっている。

もう1つが、円安効果であるが、これも新興国の減速で企業収益が
期待したほど伸びていない。

このため、アベノミクスの賞味期限切れとなった。次の成長戦略は
本気で構造改革を行うことと、経済規模などを見た効果的な政策の
立案が必要になっている。甘利経済財政相が7月23日の閣議に提出し
た平成25年度「年次経済財政報告(経済財政白書)」の内容は、そ
の方向性を示しているが、本当に構造改革派も真っ青の新自由主義
的な内容に沿った成長戦略ができるのであろうか?

もう1つが、浜田宏一内閣官房参与も述べているが、消費税率の来
春引き上げについて「私は依然として慎重派だ」と、時期尚早との
考えを示した。私もそう思う。アベノミックスが失敗して国民生活
は物価が上がり、厳しくなってはいるが楽になっていない。

この状況は平成9年に橋本内閣が消費増税を実施して景気が失速し
た以上のショックがあることになる。しかし、アベノミックスが失
敗したことを明らかにして、国民に謝ってから延期を要請するべき
である。

円安効果で原油、食料などが高騰するだけの最悪な状態になり始め
ている。スタブフレーションに向かって、日本は進んでいるので、
ここで消費税を上げると、より以上に苦しくなる。

ということで、安倍内閣の支持率は56・2%で、前回六月調査の
68・0%から11・8ポイント急落した。今後も支持率は下がる
はずである。国民生活を既得権益者に配慮して、大胆な構造改革が
できなかったことによる期待感の減少が、今を生み出している。

自民党では無理であるという意識が再度、国民の中に出てくること
になる。

その時、政権を交代できる代案を持つ政党が期待されるが、できる
のであろうか疑問符がついている。

さあ、どうなりますか?


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輝きを失いつつあるアベノミクス
By NICK HASTINGS
2013年 7月 30日 08:47 JST  WSJ
 結局、日本の奇跡的な復活策はうまくいかないかもしれない。
 そして 投資家の間では不安感が日に日に増している。
 かつて日本経済の救い手と見られていたアベノミクスが期待通り
の効果を上げられないのではないかという見方が強まるなか、日経
平均株価は29日、先週末終値から3.3%下落、円高も進行した。
 これまでは全てが順調のように見えた。
 安倍晋三氏は昨年12月の首相就任以来、大規模な金融緩和策を推
進。その結果、急激な円安がもたらされるとともに、日本経済が復
活に向けて下支えされた。
 ようやくデフレに終止符が打たれたように見え、さらに約1週間前
の参院選で安倍氏率いる自民党が圧勝したことで、ねじれ国会が解
消。安倍政権は、持続可能な経済回復に不可欠と思われる構造改革
を大きく推進できる舵取りに成功したかのようだった。
 しかし、思い通りに事は運んでいない。
 総務省が26日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=
100)は前年同月比0.4%上昇。前年同月比でプラスになったのは昨
年4月以来14カ月ぶりで、上げ幅は08年11月以来最大となった。
 日銀が2年後のインフレ目標を2%とする中で、 表面上、これはア
ベノミクスにとって記念すべきことのはずだ。
 ただ、実際はそうではなかった。
 物価を押し上げたのは主に輸入エネルギー価格の上昇だった。こ
れは最近の円安の効果と言えよう。
 賃金が上昇していないことを考えると、輸入エネルギー価格の上
昇は一般消費者や景気にとって良いニュースではない。これを反映
するように、経済産業省が29日発表した6月の商業販売統計(速報
)によると、小売業の販売額は前年同月比1.6%と、1.9%という予
想に達しなかった。
 実は安倍首相自身が、アベノミクスが予想通りの成果を上げてい
ないと投資家に懸念を抱かせる要因の一つなっている可能性がある。
 報道によると、消費税を現行の5%から10%に引き上げるための2
段階増税案について、首相はその代替案を求めているという。増税
が景気に影響を及ぼし、経済回復の強さを測る試練となるは間違い
ない。
 だが、安倍氏が増税で妥協案を模索するようなことがあれば、そ
の過程で投資家の信頼感が弱まるだけでなく、アベノミクスの有効
性を疑う見方さえ生じかねない。
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世界経済:新興国の大減速
2013.07.29(月)The Economist  JBPRESS
(英エコノミスト誌 2013年7月27日号)
新興国の減速は世界的な不況の始まりではない。だが、世界経済の
ターニングポイントになるだろう。
短距離走のチャンピオンが自己記録を出せなくなった時、それが一
時的なフォームの乱れのせいなのか、それとももう力が衰えてしま
ったせいなのかを判断するには、しばらく時間がかかる。
 同じことが、21世紀の世界経済の短距離走者たる新興国にも言え
る。10年にわたり急成長を続けてきたいくつかの新興経済大国は、
世界の経済発展を先導し、金融危機のさなかに世界経済を牽引して
きたが、いまや急激に減速している。
 中国については、2013年に7.5%という政府の目標成長率を達成で
きれば、幸運と言えるだろう。2000年代に中国が当然のように期待
するようになった2ケタ成長にはほど遠いレベルだ。
 経済成長率は、インド(約5%)でも、ブラジルやロシア(ともに
2.5%前後)でも、ピーク時の半分に届くかどうかだ。新興国全体で
は、5%という昨年の成長率に(どうにか)並ぶ程度だろう。
 低迷する先進国に比べれば高く見えるかもしれないが、新興国経
済の成長率としては、先進国が不況に陥った2009年を除き、過去10
年で最低の数字だ。
 このことは、「新興国の時代」のドラマチックな第1期の終わりを
示している。過去10年の第1期の間には、世界の総生産高の中で新興
国が占める割合は38%から50%へと急増した(購買力平価=PPP=ベ
ース)。向こう10年では、新興国の成長は続くものの、そのペース
はもっと緩やかになる。
 この減速の短期的な影響には、間違いなく対処できる。だが、世
界経済に及ぼす長期的な影響は甚大なものになるだろう。
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経済財政白書は新自由主義的内容のオンパレード
ニュースの教科書  |  執筆者: ニュースの教科書 編集部
投稿日: 2013年07月29日 17時39分 JST huffingtonpost.jp
アベノミクスへの踏み絵?経済財政白書は竹中平蔵氏も真っ青の新
自由主義的内容
 甘利経済財政相が7月23日の閣議に提出した平成25年度「年次経済
財政報告(経済財政白書)」の内容がちょっとした話題になってい
る。
 基本的にはアベノミクスの効果によって、消費者や企業のマイン
ドが改善し、景気が持ち直したと分析しており、安倍政権の経済政
策を評価する論調となっている。
 だが各論部分、特に企業の競争力については、日本企業の非効率
性を厳しく指摘しており、構造改革派も真っ青の新自由主義的な内
容のオンパレードとなっている(もっとも対策の部分では、構造改
革に話が進まないよう、論旨や表現に工夫が施されている)。
 白書では、日本企業のROA(総資産利益率)が諸外国と比べて低い
ことを強調している。
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中央銀行が量的緩和の手を緩める3つの理由
2013年 7月 30日 15:42 JST  WSJ
 中央銀行当局者が3つの理由で量的緩和の手を緩めようとしている
ことが、最近の兆候からうかがえる。そのうち2つは明確な理由だが
、1つはそれほどはっきりしたものではない。
 1つ目の理由は、量的緩和がその目的を果たした、というものだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)と英中銀イングランド銀行が最も強力
に量的緩和を推進してきたため、米国と英国は景気の回復段階にあ
り、結果として追加的な刺激策の必要性は低下している …
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よほどの外的要因がない限り、消費税上げない選択肢はない=甘利氏
2013年 07月 31日 00:38 JST
[東京 30日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は30日夕、
経済財政諮問会議終了後の会見で、消費税引き上げについて、リー
マンショックのようなよほどの外的要因がない限り、消費税を引き
上げないとの選択肢はないと述べた。
上げ幅については「私が言及することではない」とし、専門家の意
見なども踏まえて安倍晋三首相が最終判断すると指摘。政府として
今言えることは、法律に定めてあることが順調に行われるよう最大
限、環境整備をするに尽きる」と述べた。
<よほどの外的要因がない限り消費税引き上げへ>
現行5%の消費税率は2014年4月に8%、2015年10月に
10%に引き上げることが現行法で決まっている。ただ実施の半年
前に、景気情勢などを総合的に判断して引き上げを最終判断するこ
とになっている。政権内でも、麻生太郎財務相が予定通りの引き上
げを主張する一方、首相ブレーンの内閣参与らが景気への影響を配
慮して小刻みな引き上げを主張するなど、路線対立が鮮明になって
いる。
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消費増税、複数案を検証 首相が上げ幅見極め指示 
脱デフレ重視
2013/7/27 2:00日本経済新聞 電子版
 安倍晋三首相が来年4月に予定する消費増税による景気や物価へ
の影響を再検証するよう指示したことが26日明らかになった。政府
は法律で定めた通り消費税率を現行の5%から10%に2段階で引き
上げる場合を含め、増税の開始時期や引き上げ幅を変える複数案を
検討する。デフレ脱却を重視し、増税が来春以降の景気腰折れを招
かないよう、追加的な景気対策の実施も視野に万全の準備で臨む構
えだ。
 首相は消費税率を2014年4…
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消費税増税すれば「ショックはかつての比ではない」 浜田宏一氏
が経団連で講演
2013.7.19 11:21 sankei[財界]
 浜田宏一内閣官房参与は19日、長野県軽井沢町のホテルで開か
れている経団連の夏季フォーラムで講演し、参院選後の焦点になる
消費税率の来春引き上げについて「私は依然として慎重派だ」と述
べるなど、時期尚早との考えを示した。
 講演後に記者団の質問に答え「消費増税前に駆け込み需要などプ
ラス効果はあるが、それ以降はない」と指摘。平成9年に橋本内閣
が消費増税を実施して景気が失速したことを例示し「いまは法人税
や所得税にも減税措置がなく、ショックはかつての比ではない」と
景気への悪影響を懸念し、「政府の面目を保つことが国民生活より
大事なのか」と早期引き上げに疑念を示した。
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内閣支持急落56% 共同世論調査
2013年7月24日 tokyo朝刊
 共同通信社が参院選直後の二十二、二十三両日に実施した全国緊
急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は56・2%で、前回
六月調査の68・0%から11・8ポイント急落した。支持率が
50%台となったのは昨年十二月の第二次安倍内閣発足以来、初め
て。不支持率は31・7%で、前回(16・3%)からほぼ倍増し
た。 
 民主党が参院選で惨敗した経緯を踏まえ、68・8%が野党の「
再編が必要」と答え、「再編は必要ない」の22・7%を大きく上
回った。
 内閣不支持の理由では「経済政策に期待が持てない」が29・6
%で最も多く前回調査からは9ポイント増加した。賃金上昇の遅れ
や円安による物価高など経済政策への懸念の広がりが背景にありそ
うだ。




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