4738.中国の経済減速



中国の経済が減速している。中国国家統計局によると、上半期の中
国の国内総生産(GDP)は24兆8009億元で、物価変動要因を除い
た実質ベースで前年同期比7.6%増となり、減速を明確化した。

その内容は、最終消費のGDPへの寄与度は45.2%で、GDPを
3.4ポイント押し上げた。また、資本形成(投資)の寄与度は53.9
%でGDPを4.1ポイント押し上げ、貨物・サービス純輸出のGD
Pへの寄与度は0.9%でGDPを0.1ポイント押し上げた。これら
データから、中国経済が主に内需によってけん引されていたことが
分かる。

中国経済減速の要因の1つに、輸出需要の低迷が挙げられる。6月
の輸出は前年同月比3.1%減と特に低調だったが、過去12カ月
の平均伸び率も2010年初め以降で最低となった。

しかし成長はしているではないか見ると思うが、8%以下の成長率
では、失業者と社会不安が増加するリスクが高まるという常識があ
る。

公式目標7.5%は、1990年以降で最低の伸び率となる。目標
の引き下げを政府が公式に認めたことは、これまでの常識が打ち破
られたことを示している。

習近平国家主席、李克強首相の新指導部は、成長をある程度犠牲に
してまで、過剰な設備投資を制限するなどの経済改革を進めていた。
不動産バブルにつながり得る「影の銀行(シャドーバンキング)」
の監視強化にも乗り出した。だが、成長最優先だった前指導部との
違いを鮮明にしようと意気込んだのもつかの間、弱気な姿勢も見え
始めた。改革推進か、成長維持か。苦渋の選択を迫られている。

この李克強首相が主導する経済政策を「リコノミクス」と呼び、関
心を呼んでいる。このリコノミクスは、簿外で資金を高利調達して
信頼度の低い借り手に貸し付ける「影の銀行」をはじめ、地方政府
が抱える水面下の“巨額不良債権”処理など、経済のゆがみを正す
ことに重点を置く。


この中国経済の減速を材料として、ブレイナード米財務次官(国際
問題担当)は、「中国は新たな構造改革に着手する必要がある」と
述べ、中国に対し金融や為替制度をめぐる改革の継続を要請した。

中国経済について「過剰投資に頼った成長はもはや持続可能でない
」と指摘。内需喚起による新たな成長モデルに移行するには、金利
自由化による市場原理に基づいた為替相場と消費者の消費が重要で
民主化が求められるはずと。

さあ、どうなりますか?

==============================
中国、政策緩和を急ぐべきではない=李首相
2013年 07月 17日 08:56 JST
[北京 16日 ロイター] - 中国の李克強首相は16日、同国の
経済成長率が、政府が心地よいと見なす水準を維持する限り、政策
転換を急ぐべきではないとの見解を示した。ただ、より大幅な減速
に関しては警戒が必要と指摘した。
国営テレビによると、同首相は、政府は今年の主要な経済課題を達
成できると述べ、今年の成長率目標である7.5%は依然として達
成可能とする政府の見解をあらためて強調にした。
李首相は、経済成長率と雇用の「下限」を防御するとともにインフ
レを抑制する政府の方針を確認。経済成長率が「妥当なレンジ」内
にとどまる限り、政府は経済の再生に向け、市場に基づく改革に注
力すべきだとした。ただ詳細には言及しなかった。
多くのアナリストは四半期の国内総生産(GDP)伸び率が前年比
で7%に鈍化した場合、政府が景気支援のため介入するとみている。
李首相はまた「一時的な景気変動を理由に、ようやく得た改革の機
会に影響を及ぼす恐れのある政策転換をすべきでもないし、経済成
長が妥当なレンジを下回った際に警戒や準備を欠くべきでもない」
と指摘した。
==============================
アベノミクスに対抗!中国で話題の「リコノミクス」 
指標は“謎”の右肩上がり
2013.7.17 07:38 sankei[中国]
 安倍晋三政権が進める経済政策「アベノミクス」に対抗したのか
、中国で最近、李克強首相が主導する経済政策を「リコノミクス」
と呼び、関心を呼んでいる。「影の銀行(シャドーバンキング)」
問題など金融リスクが懸念される一方、実体経済の先行き不安が広
がる中、「次の一手」を李首相がどう打つかに市場の関心が集中し
ている。英金融大手バークレーズキャピタルが、「リコノミクスに
何が期待できるか」とする経済リポートを公表。これを国営通信新
華社通信が取り上げ、新語として中国で浸透しつつある。
 中国語の表記でアベノミクスは「安倍経済学」。リコノミクスは
「李克強経済学」で、中国版アベノミクスとの呼び声もある。ただ
、景気浮揚を強く打ち出したアベノミクスとは対照的に、リコノミ
クスは、簿外で資金を高利調達して信頼度の低い借り手に貸し付け
る「影の銀行」をはじめ、地方政府が抱える水面下の“巨額不良債
権”処理など、経済のゆがみを正すことに重点を置く。中国経済の
成長失速など、痛みを伴う可能性も大きく、その面から、リコノミ
クスは「後ろ向き」にならざるを得ない。
 3月の全国人民代表大会で副首相から昇格した李氏は、統計数字
稼ぎと批判された地方の無駄なインフラ建設、需給バランスを無視
した生産能力過剰の製造業、不動産投機などへの金融機関の融資に
メスを入れた。だが、江沢民元国家主席を頂点とした「上海閥」や
、習近平国家主席に代表される党幹部子弟らの「太子党」、それに
連なる地方の共産党組織や政府幹部らが持つ既得権益と対抗せざる
を得ず、リコノミクスは権力闘争の嵐にも巻き込まれる。
 他方で、リコノミクスの動向を示す「克強指数」なる指標が地元
紙に登場した。輸出入や消費、投資額などの代表的な統計を使わず
、「電力消費」「鉄道貨物取扱量」「銀行融資」の3統計を並べた
だけで指数化はされていない。3月から6月までの数値は電力消費
で工業用が4月に特殊要因で突出した以外、傾向として右肩上がり
が見て取れる。実はこの克強指数は、内部告発サイト「ウィキリー
クス」が公開した米外交公電に記載されていたという李氏発言が由
来だ。
 遼寧省共産党書記時代の2007年、李氏は中国の国内総生産(
GDP)は「人為的に操作されており信頼できない」と当時のラン
ト駐中米国大使と会食した際に話したという。さらに遼寧省の経済
統計では「電力消費」「鉄道貨物取扱量」「銀行融資」の3つだけ
に注目すれば十分で、GDPは「参考値にすぎない」と笑い飛ばし
た。
 余談だが日本のチャイナウオッチャーの間で、李克強氏を親しみ
をこめて「リカちゃん」と呼ぶことがある。イントネーションこそ
違うが、李克強をカタカナで書けば「リカチャン」になるという理
由だ。本家のリカちゃんほどかわいらしくはない風貌だが、人々の
注目を集める点で共通項はあろう。
(フジサンケイビジネスアイ 産経新聞上海支局長 河崎真澄)
==============================
コラム:中国GDP減速の「真相」
2013年 07月 16日 13:35 JST
[北京 12日 ロイターBreakingviews] - By John Foley
中国にとって2013年は、国内総生産(GDP)の伸び率鈍化が
明らかな1年になりつつある。8%だった経済成長目標は今年に入
って7.5%に引き下げられた。中国経済に何が起きているのか。
ここで、減速の「真相」を見てみよう。
<減速は本物だが相対的>
習近平国家主席は当局にGDPより生活の質に留意するよう求めて
いるが、投資家が注視するのはやはりGDPの伸び率だ。公式目標
7.5%は、1990年以降で最低の伸び率となる。目標の引き下
げを政府が公式に認めたことは、これまでの常識が打ち破られたこ
とを示している。つまり、8%以下の成長率では、失業者と社会不
安が増加するリスクが高まるという常識だ。
中国専門家にしてみれば、成長率6%というのは突拍子もなく聞こ
えるはずだ。中国が2桁台の成長を続けていたのはつい最近のこと
だからだ。しかし、他の中所得国の水準と比べれば、中国は依然と
して優等生と言える。国際通貨基金(IMF)は、2013年の中
南米と中東の成長率予想を3%としている。
<3つの要因>
中国経済減速の要因の1つに、輸出需要の低迷が挙げられる。6月
の輸出は前年同月比3.1%減と特に低調だったが、過去12カ月
の平均伸び率も2010年初め以降で最低となった。需要低迷に加
え、人民元高も手痛い。しかし、中国が裕福になるに従い、人民元
が高くなるのは自然なことであり、安価な労働力を背景とした輸出
が減退していくのも当然だと言える。
第2に、中国の経済成長に「重力」がかかってきたことだ。同国の
労働人口はもはや増加しておらず、都市化のペースも減速している
。そして、さらに懸念すべき問題として投資効率の低下が挙げられ
る。
最後に、中国当局がこうした重力と逆らおうとしていないことだ。
政府は2009年に大規模刺激策を実施しており、何をなすべきか
は分かっている。財政赤字が対GDP比わずか2%であり、大手銀
行を完全にコントロールしている同国には手立ては十分にある。ま
た統計もコントロールしているため、どんな数字を出すことも基本
的には可能だ。当局が低いGDP伸び率に満足していることは明ら
かだ。
==============================
中国、苦渋の選択=改革か成長維持か
 【北京時事】中国で経済成長率の減速が止まらない。習近平国家
主席、李克強首相の新指導部は、成長をある程度犠牲にしてまで、
過剰な設備投資を制限するなどの経済改革を進めていた。不動産バ
ブルにつながり得る「影の銀行(シャドーバンキング)」の監視強
化にも乗り出した。だが、成長最優先だった前指導部との違いを鮮
明にしようと意気込んだのもつかの間、弱気な姿勢も見え始めた。
改革推進か、成長維持か。苦渋の選択を迫られている。
 李首相が9日に地方視察で行った発言が、注目を集めている。「
経済成長率や雇用水準が下限を割り込んではならない」。成長確保
のために必要ならば、改革の手綱を緩めるとのメッセージと受け止
められている。
 15日に発表された2013年4〜6月期の国内総生産(GDP
)伸び率は前年同期比7.5%と2期連続で減速し、政府年間目標
と並んだ。事前に李首相に報告されていたはずで、この数字を見て
危機感を募らせた可能性がある。
 しかし、シャドーバンキング膨張の問題も抱え、経済改革を進め
ないわけにはいかない。シャドーバンキングで調達された資金は、
不動産投資に流れ込んでおり、バブル懸念が拡大。建築ラッシュに
呼応するセメント業界などの設備投資意欲は衰えない。地方政府は
、地元経済が潤う投資拡大を後押しし、中央政府の抑制策に迷惑顔
だ。(2013/07/16-14:48)
==============================
中国、消費主導型経済への取り組みが的外れとの指摘も
2013年 7月 16日 16:46 JST  WSJ
 中国は成長鈍化の見返りとして、消費が一層大きな役割を果たす
均衡のとれた経済に移行できるはずだった。だが中国経済は今のと
ころほとんど調整の兆しが見られないまま停止しようとしている。
 中国の4-6月期の国内総生産(GDP)成長率は7.5%だった。バンク
オブアメリカ・メリルリンチは4-6月期の成長率が7%前後に鈍化す
る可能性があると予想していた。2桁成長の時代はとうの昔に過ぎ去
ったが、「政府は経済成長率 …
==============================
中国に「新たな構造改革を」 G20前に米財務次官
2013.7.16 14:03 [中国]
 ブレイナード米財務次官(国際問題担当)は15日、ワシントン
市内での講演で「中国は新たな構造改革に着手する必要がある」と
述べ、中国に対し金融や為替制度をめぐる改革の継続を要請した。
中国など新興国経済の成長回帰に向けた改革の促進は、モスクワで
19日から開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総
裁会議で主要議題となる見通し。
 財務次官は、中国経済について「過剰投資に頼った成長はもはや
持続可能でない」と指摘。内需喚起による新たな成長モデルに移行
するには、金利自由化やより市場原理に基づいた為替相場が求めら
れるとした。
 日本が23日にも交渉に合流する環太平洋連携協定(TPP)に
関し、円安進行を念頭に為替操作を防ぐ条項が必要との主張が米議
会から出ていることには、「G20は財政や金融政策は国内目的に
限ることで一致している」と説明。「こうした合意は効果的だ」と
述べ、新たな条項は不要との考えを示唆した。(共同)
==============================
中国人民銀総裁、中小企業融資の支援を明言
2013年 7月 16日 06:40 JST  WSJ
 【北京】中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は15日、経済成
長減速に苦しむ中小企業の支援を約束した。
 周総裁は中国政府ウェブサイトに掲載された声明で「中小企業の
財務改善は、成長安定化や、経済の構造変化促進および活性化に寄
与する」と述べた。
 また国務院(内閣)の遠隔会議に臨み、当局は総与信量を妥当な
水準で維持しつつ、中小企業がより簡単に融資を受けられるように
する意向を示した。
 15日発表の中国4-6 …
==============================
2013年上半期GDP成長率7.6% 内需が中国経済を下支え
 2013/07/16(火) 17:01 searchina
  中国国家統計局が15日発表したデータによると、上半期の中国
の国内総生産(GDP)は24兆8009億元で、物価変動要因を除いた
実質ベースで前年同期比7.6%増となった。四半期別の成長率を見
ると、第1四半期と第2四半期の前年同期比GDP成長率はそれぞれ
7.7%、7.5%だった。16日付中国証券報が伝えた。
  上半期の最終消費のGDPへの寄与度は45.2%で、GDPを
3.4ポイント押し上げた。また、資本形成(投資)の寄与度は53.9
%でGDPを4.1ポイント押し上げ、貨物・サービス純輸出のGD
Pへの寄与度は0.9%でGDPを0.1ポイント押し上げた。これら
データでは、上半期、中国経済が主に内需によってけん引されてい
たことが分かる。
  上半期の中国の経済運営状況について、国家統計局の盛来運報
道官は同日の記者会見で、「上半期、経済運営がおおむね安定を維
持し、構造調整が着実に進み、経済発展モデルの転換とグレードア
ップの面においても前進が見られた」と説明した。
(編集担当:陳建民)


コラム目次に戻る
トップページに戻る