4729.日本の選挙と世界の動き



世界が混乱してきた。それに比べて、日本は安定する方向である。
その全体を見て、今後の検討したい。  津田より

0.参議院選挙の情勢
自民党は選挙区と比例代表を合わせて改選34議席から倍増の70
議席前後を確保する勢いという。公明党も改選10議席を維持する
見通しで、与党が非改選を含めて参院で過半数を確保するのはほぼ
確実な情勢だという。

今回の参議院選挙では自民党が圧勝することは、周りの団塊の世代
の仲間に聞いても、間違いない。この層が前々回には自民党がおか
しいので、一度、民主党に任せてみようと言って民主党に投票した
が、その結果は、懲りたということである。

アベノミックスにも多くの問題点はあるが、民主党の経済政策より
マシであると答える。安倍首相の右寄りな姿勢も問題であるが、民
主党の左派や社民党などの平和主義では中国や韓国にどうやって対
応するのか分からないと散々である。

これは自民党が勝つ。どの程度に勝つかが問題ということである。
大幅に勝つと、右翼ネオコンたちが自民党で力を持つことになる。
しかし、この人たちが力を持つと、自国軍事力以上の要求を外国に
するので、結果として日本の国益は守れない。有名な米国国際政治
学者イアン・ブレマーは、中国との妥協をしない安倍首相の政治対
応をボロクソに言っている。

もう1つ、民主党では野田さんなどの右派が力を持たないと、復活
できないが、参議院惨敗後その路線に戻ることができるかである。

リアリスト民主党対ネオコン自民党という構造ができないと、今後
の日本政治の展望が開けないように思う。もし、今までと同じイデ
オロギー的・平和主義政党に民主党が留まるなら、国民はそっぽを
向くだけである。国防などや外交では、米国の民主党も共和党もあ
まり変わらない。その違いは軍事力の使い方などである。リアリス
トとネオコンの違いである。

このため、民主党もどの程度負けるかである。中途半端であると、
変化ができないことになり、今後の復活はできないことになる。こ
こは、大幅に負けることである。そして、その思想をシッカリして
復活することである。みんなの党や維新の会なども根本的な思想的
な面をシッカリして欲しいと思っている。

石原さんと橋下さんは、その根本的な考え方が大きく違う。みんな
の党は、その思想的な根本を規定してほしいものである。小さな政
府を目指すとかなど。

そろそろ、思想的な基礎をシッカリして世界に対応しないと、国民
も各政党がどこに向いているか分からないし、世界も分からない。
勿論、自民党の中も同様である。今までのイデオロギー政党は共産
党だけで十分である。

アベノミクスで日本の経済的な環境は好転しているが、世界に目を
やると暗い雲が立ち込め始めている。そして、世界経済は暗転する
と、それは日本にも大きな影響を与えることになる。それを見てお
きたい。

1.欧米の方向
米国では、バーナンキFRB議長の任期が来年までであり、その間に
量的緩和の政策を見直すことになることが確実である。しかし、元
格付機関ムーディーズの副会長クリストファー・マホニー氏はプロ
ジェクト・シンジケートでバーナンキの量的緩和策は、結局インフ
レ率を2%にできなかったという。バーナンキ氏は2002年に理事に
、2006年に議長になるが、その頃のインフレ率の方が量的緩和して
いる現在より高いという。

なぜ、そうなら米国は景気が復活したかというと、シェールガス革
命で、新しい産業が復興してきているからである。実体経済が活況
であるからで、バーナンキ議長の量的緩和が有効だったということ
ではないようだ。しかし、年率でも2%程度の成長である。

学者としてのバーナンキ理論も間違いであったと認定されかねない
状況になっている。オバマ大統領もバーナンキ議長は長くやりすぎ
たと、議長をほとんど評価していない。

しかし、ドルの量的緩和でブラジル、インド、中国などに投資会社
が積極的に投資したことで経済が発展したことも事実である。世界
景気は米国の景気後退期に米国に代わって、新興国が支えたことで
、世界が大恐慌に陥らずに済んだとも言える。

この米国の状況と大きく違うのが、欧州の状況である。ドイツがEU
全体に緊縮財政を推し進めたことで、経済がマイナス成長になって
いる。EU全体の景気が落ちたので、ドイツ経済も低成長になってし
まったし、ギリシャは縮小経済から抜け出せないことになっている。

このため、欧州でも財政均衡を見直す動きが出てきたが、まだドイ
ツを説得できないようである。

2.新興国の方向
新興国は、米バーナンキ議長の量的緩和策の縮小に身構える必要が
出ている。ブラジル政府の投資が、サッカー世界大会や海底石油開
発などに投資されていて、学校や福祉施設など国民生活のレベル向
上に全然見向きもしないジルマ・ルセフ政権に対して、大規模なデ
モで抗議している。

このため、世論調査でもルセフ大統領の支持率が27%まで急落し
た。ブラジルは米国からの資金投入量が大きいので、米国の量的緩
和縮小には大きな痛手を受けることになる。

インドは、逆に貧困層に食糧補助をする方向である。インド経済は
IT産業に特化しているために、貧富の差が広がるために、その解消
をすることが必要である。このためには、工場労働者レベルの能力
を高める必要がある。英語で教育する高等教育を子供の多くが受け
るべきであるがカースト制度などの社会制度などで普及しない。こ
のため、高度能力が必要な労働力が足りずに経済成長が止まってし
まっている。社会体制の変革が必要であるが、それができないでい
る。

中国は、シャドーバンキングの短期融資の規模が大きく、その崩壊
を心配する状態である。欧州の景気が後退したことで輸出が少なく
なったことと、低付加価値の工場が東南アジアへ移動して、中国の
景気が後退している。このため、融資が焦げ付く可能性が高まって
いるのだ。このため、人民銀行は資金供給を引き締めるというので
、1989年の大蔵省の土地投資資金の貸出禁止の通達と同じ効果
を心配する事態になっている。

また、中国は資源のある発展途上国に投資資金を提供してきた。イ
ンフラも整備してきた。この中国の投資が止まることになる。

3.エジプト、トルコなど
米国がシェールガスでエネルギーの自給可能になることは、米国が
今まで買っていた石油産出国は他の国に売るしかないし、石油価格
は低下することになる。この影響を一番受けているのがロシアであ
るが、中東諸国も大きい。イスラム革命とも見られる「アラブの春
」には相当な金が湾岸諸国から出ていたはずである。

しかし、今、その湾岸諸国も少し前のようには金を出せなくなって
いる。シェールガスの影響を受け始めている。このため、エジプト
は欧米からの投資資金を得られず、かつ湾岸諸国からの資金もなく
経済成長が止まり、都市市民たちが経済的不満でイスラム教主義か
ら離脱したのである。しかし、農村は今でもイスラム教が浸透して
いるので、エジプトは当分混乱が続くことになる。

トルコは、欧米からイスラム教諸国へのビジネスを増やして経済規
模を拡大しようして、イスラム教主義的な国家を目指したが、都市
市民は、息苦しいと反対した。宗教と政治の政祭一致を目指すイス
ラム教と非イスラム教+都市市民の戦いは当分続くことになる。

中世世界がイスラム教地域では続いていることになる。この政祭一
致が続く限り、発展はできないことになる。近世のように政治が宗
教から独立する必要がある。

4.世界の各所で問題が出ている
欧米日では高学歴な若者の失業率が高くなっている。米国では現在
、大学教育の学資ローンを就職後の給与が少なくて、返済できない
という問題が出ている。高等教育を受けても、その知識を必要とす
る職場がなくて、高等教育が必要がない低賃金の職場についている
ためである。

ITや経理、法務など会社のバックヤード部門は、インドやフィリピ
ン、中国などの高学歴でも低賃金地域に職場自体が移動して無くな
っている。日本も同様になっている。

中国、ブラジルやインドなどでは、社会仕組みが国民の中間階級化
に対応した社会体系、福祉体系ができていないために、国民の不満
が大きくなっている。

イスラム地域の中核国でもイスラム教主義と資本市場民主主義との
体系が違い、ここでも混乱が起きている。

どの問題も経済成長が低くなり、国民の不満が溜まっている状態で
ある。世界全体が混乱の中にいるのに、世界をまとめる指導力の中
心が無くなっている。1939年のような感じがしてきた。

いやな予感がするが、どうなのであろうか?

米国の復活でもそれ以外の世界が崩壊で、それを支える力は米国に
はない。中国をトリガーとする大恐慌への地鳴りが聞こるが、どう
なるのであろうか?

参考資料
クリストファー・マホニー氏の「The Seduction Of Ben Bernanke」
http://www.project-syndicate.org/blog/the-seduction-of-ben-bernanke-by-christopher-t--mahoney


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参院選:自民、70議席うかがう…序盤情勢・本社総合調査
毎日新聞 2013年07月06日 02時35分
 毎日新聞は4、5両日、第23回参院選について、全国の有権者
約3万人を対象に特別世論調査を実施し、取材情報を加味して序盤
情勢を探った。自民党は選挙区と比例代表を合わせて改選34議席
から倍増の70議席前後を確保する勢い。公明党も改選10議席を
維持する見通しで、与党が非改選を含めて参院で過半数を確保する
のはほぼ確実な情勢だ。安倍晋三首相が目指した衆参両院の「ねじ
れ」状態は解消される公算が大きい。民主党は改選44議席を大き
く割り込み、ほぼ半減する見通しだ。ただ、投票先を決めていない
と答えた人や無回答が選挙区で4割近くに上り、21日の投開票ま
でに情勢が変わる可能性がある。

 ◇与党、参院過半数の勢い
 参院は定数242の半数が3年ごとに改選される。今回、自公で
計63議席を得れば、非改選(59議席)と合わせて過半数となる。
与党はすべての常任委員会で委員長を独占し、委員の半数も確保す
る「安定多数」に必要な70議席にも届きそうだ。
 自民党は、参院選の勝敗を左右する計31の「1人区」すべてに
公認候補を立て、ほとんどの選挙区で優位な戦いを展開。改選数2
以上の「複数区」でも、千葉、東京両選挙区を除いて候補者を1人
に絞り込む手堅い戦術が奏功している。
 近年、民主党に「第1党」を譲ってきた比例代表でも、小泉純一
郎首相時代の2001年参院選で獲得した20議席以上が見込めそ
う。選挙区と合わせ、参院で単独過半数となる72議席に迫る勢い
をみせている。公明党は選挙区で4人の候補者全員の当選が視野に
入った。比例代表では改選7議席の維持に懸命だ。

 ◇民主振るわず20前後
 一方、民主党は1人区で現職を含めて軒並み苦戦。従来なら自民
党と議席を分け合ってきた複数区でも、東京、神奈川、兵庫などほ
かの野党と競り合う選挙区が目立つ。複数区の結果によっては、比
例代表と合わせても10議席台に落ち込む可能性がある。
 みんなの党は比例代表で5議席程度を確保し、埼玉、神奈川両選
挙区などで議席獲得をうかがうものの、10年参院選で獲得した10
議席に届くかは微妙。日本維新の会は比例代表で4議席を固め、改
選2議席は上回る見通しだ。しかし、選挙区では大阪などを除いて
厳しく、昨年12月の衆院選の勢いはみられない。
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中国短期金融市場が正常化、当局は規制強化を本格化か
2013年 07月 5日 15:18 JST
[上海 5日 ロイター] - 一時急騰した中国の短期金利は正常な
水準に戻ったが、当局の監督回避を目的とした融資に対する規制強
化は始まったばかりとの見方が広がっている。
先月の短期金融市場での流動性ひっ迫は、規制逃れの銀行間取引の
急拡大に対する反応だった。

流動性ひっ迫は、当初は確認を拒んでいた中国人民銀行が、一部銀
行救済のために資金を提供したことを認めた後に改善した。
ただ市場関係者は、過去数カ月で爆発的に拡大したこの種の取引に
対する規制強化に身構えている。
ある国有銀行のトレーダーは「状況が落ち着いた後、規制当局が考
えるのは再燃防止だ」と述べた。

市場では、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)(CBRC)が銀
行間融資の新たなガイドラインを検討中との見方が広がっている。
経済紙の21世紀経済報道は3日、新規制では銀行間取引が本店に
限定され、情報開示の強化が求められる見込みと報じた銀行規制当
局に近いある関係者は「リスクに無関心の銀行もある。
こうした銀行のレバレッジは急速に拡大しており、期限のミスマッ
チは深刻だ。積極的に負債圧縮に動こうとしないばかりでなく、レ
バレッジ率は昨年以来2─3倍に上昇した」と指摘した。

銀行間取引による資産は当局の監督対象となっていない。このため
、各行は利益拡大のため銀行間融資を積極的に増やしたいところだ。
バーンスタイン・リサーチのシニア銀行アナリスト、マイケル・ワ
ーナー氏によると、2009─2012年の中国の銀行の総資産増
加率51%に対し、銀行間取引の資産は132%の伸びをみせた。
実際この多くは、いわゆる「シャドーバンキング(影の銀行)」の
最大のプレーヤーである信託会社による高リスク融資を拡大させる
要因となっている。

業界のデータによると、高利回りの資産運用商品である理財商品の
3月末時点の残高は8兆7300億元だったが、4月と5月だけで
10%拡大した。このうちの約80%は、銀行からの資金調達によ
るものと考えられている。
実体経済への資金の流れを反映した社会融資総量は、銀行のオフバ
ランス融資が爆発的に拡大していることを示す。2012年は前年
比23%増で15兆7600億元(2兆5000億ドル)の過去最
高に拡大。このうちの信託融資が占める比率は8.2%で、2011
年の1.6%から急拡大した。

今年1─5月の信託融資総額は、前年同期の2381億元から1兆
1200億元に急増。人民銀行のデータによると、社会融資総量に
対する割合は12%超となっている。
(Lu Jianxin記者、Gabriel Wildau記者;翻訳 中田千代子 )
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ブラジル大統領の支持率急落=抗議デモ拡大、再選に影
 【リオデジャネイロ時事】ブラジルの有力紙フォリャ・デ・サン
パウロは29日、ルセフ大統領の支持率が27%まで急落したとす
る世論調査の結果を報じた。ブラジルでは6月上旬以降、政府腐敗
などに抗議するデモが全国に拡大。不満の矛先がルセフ氏にも向か
ったとみられ、来年の大統領選での再選に暗い影を落とした。
 世論調査は、民間調査会社が27、28両日、約4700人を対
象に実施。ルセフ氏の支持率は失業率の低さなどを背景に6月上旬
には57%と高い水準を維持していたが、デモが拡大した3週間で
30ポイント低下した。次期大統領選でルセフ氏に投票するとした
人も54%だった2012年12月から30%にまで急落した。
(2013/06/30-08:50)
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インドに必要なのは食糧確保でなく成長確保
By ABHEEK BHATTACHARYA
2013年 7月 05日 17:37 JST
 インド政府による補助金交付対象の食料支援増加の判断は、イン
ド経済にとって幸先の良い兆候ではない。それより深刻な問題は、
インド国家が成長に苦しんでいることだ。
 政府が3日承認した国家食料安全保障法は、8億人の国民に割安な
穀物を保証する法律だ。しかしタダより高いものはない。政府によ
ると、この法律は年間少なくとも40億ドルの歳出を必要とする。政
府はすでに食料補助金に年間約180億ドルを費やしている。
 この動きを批判する向きは、来年の総選挙を控え支持率を高めよ
うとの政治的動機に基づく行動で、インドの悲惨な食料供給インフ
ラを修復するものではないと指摘する。
 またチダムバラム財務相の訴える財政に対する信認も損なう動き
だ。財務相は、インドの公的財政を立て直し、2014年3月期に財政赤
字を国内総生産(GDP)比4.8%に抑える目標を掲げてきた。しかし
今回の食料安全保障法で、この財政赤字目標を達成する可能性は一
段と低くなっている。



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