4724.テレビと言語環境



 テレビと言語環境
                  平成25年(2013)7月1日(月)
                    仲津 英治

 私は、ここ2年ほどインド高速鉄道、そしてトルコはイスタンブールの
ボスポラス海峡トンネル鉄道の両プロジェクトに関わり、現地に短期もし
くは中長期滞在し、ホテル等でテレビをよく見ることができましたので、
そこで感じた事を申し上げます。

 それは、「テレビと言語環境」というテーマです。インド、トルコ両
国民はテレビを通じて英語その他の外国語に接することができ、自然と
外国語を学んでおり、そこで英語会話なり、外国語を話せる人が多いの
ではないかと思えるのです。日本ではほとんどテレビ放送は日本語です。

 言葉は、まず耳から覚えます。聞き流しでもいても覚えて行きます。
最近生まれた1歳と8カ月の孫娘を観察していますと、まず「おたーたん」
というような言葉を発しています。お母さんの擬声語でしょう。母親の話
す言葉で一番耳にする単語をまねているのだと思います。最近英語教育が
小学校でも行なわれるようになったようですが、言語教育の場は学校ばか
りではありません。子供は、家庭で、社会で、そしてテレビ等を通じても
学ぶのです。そして毎日テレビから流れる言葉も自分のものにして行きます。

 インドのテレビ放送
 インドは現地語だけで29カ国語はあるそうで、しかもそれぞれ文字が違
っています。紙幣には主要な15カ国語の文字が印字されています。一番よ
く話されている言葉はヒンズ―語ですが、南部へ行きますと通じないよう
です。よくこれで一つの国にまとまっているなと思いました。勢い共通語
は宗主国の英国人が残した英語となります。仕事する際も英語で会話を行
ないます。街では英語は思ったほど通じませんが、日本より英語を理解す
る人は多いとの印象です。

 観賞できるテレビ番組の内容は、ケーブルTVの取扱会社との契約による
ようで、様々です。日本のレストランではNHK東京の番組を放送していま
した。ホテルもランクによって差はありますが、私が利用したホテルはハ
イクラスで英国系のBBCそして米国系のCNNを見ることができました。
またインドも共通語は英語ですのでインドの放送でも英語放送は結構あり、
もちろん他にヒンズ―語始め、現地語のテレビも見ることができました。
インドの子供たちは複数の言語で放送されるテレビ番組を見ながら育つの
です。若い人ほど英語を話せる割合が多い印象を持っています。テレビに
よる自然英語教育の成果でしょう。

 トルコのテレビ放送;11言語の番組
 トルコでは最初は三ツ星ホテルに泊まっていたのですが、テレビ放送は
現地語番組のみで、情報不足に陥りました。その後長期滞在になるので、
健康維持も考慮し五ツ星ホテルに移りました。そこでは実に61チャンネル
のテレビ番組を見ることができました(昨年4月)。米国系の国際的ホテルの
せいか、1チャンネルはCNN 、2チャンネルはBBCでした。

 トルコでありながら、トルコ語のテレビチャンネルは25に過ぎず、半分に
もなりません。Wikipediaによれば国営放送が10チャンネル程あるのですが、
国際的ホテルだからなのか、少なめのようです。トルコ語でもEU(欧州共同
体)のニュースばかり流している番組、またCNNのトルコ語版もあり、EUの
スポーツ番組を流している放送が2チャンネルもありました。漫画番組放送が
3チャンネルあり、内1チャンネルは日本の漫画も紹介されており、他はデズ
ニー系の吹き替え番組です。

 英米語放送では、前述のCNN&BBCの他、BLOMという経済番組、フランス&
EUを紹介する番組、中国のCCTV、アラブ系のアルジャジ―ラ等が印象に
残っています。

 次いで多い言語は、イタリア語、ドイツ語、アラビア語の番組で4チャン
ネルづつありました。いずれもそれぞれの国の現地語放送でトルコ語の字幕
は表示されておりません。アラブ系の放送は2本がドバイからのものです。
他にスペイン語、ロシア語が2チャンネル、意外とフランス語は1チャンネル
のみでした。

 しかしいずれにせよ、欧州なり世界的に広がっている欧米系の主要言語、
英独仏伊西露各言語にトルコ人は、番組契約如何ですが、日常テレビを通じ
て接することができるわけです。大学生はほとんど英語ができますし、イス
タンブールの街で見事なドイツ語、フランス語を話しする若者に出会ったこ
とがあります。

 これはテレビによる多言語の放送の成果であろうと思います。かつてベル
ギーの方から次のようなことを伺いました。ベルギーではテレビは公用語の
フラマン語、フランス語、ドイツ語で全て同じ内容のものが放送され、さら
に英国からは英語の電波が届きますので、数カ国語を話しできる人はざらに
いるとのこと、これは教育の成果と言うよりテレビ放送の成果であるとの見
解でした。

 日本では95%の人は、日本人を相手に日本語で生活できているでしょう。
幸せな国民です。しかし、国際化時代、外国と関わる人も増えて来ました。
テレビの外国語放送を増やして欲しいものです。

 我が家のテレビは、EOとの契約で、地上放送、衛星放送、ケーブルテレビ
合わせて69チャンネルが受信できています。そのうち英語放送がたったの
2本でしかもプロレスばかり、また日韓両語が1チャンネルでドイツ語の劇
映画を1本見ました。いずれもケーブルテレビのみでした。今年の4月10日
にチェックした結果です。     
                               以上               


  「地球に謙虚に運動」代表


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