4706.米中首脳会談の評価は?



日中が争う沖縄県・尖閣諸島問題について、米政府内や識者の間で
「棚上げ」論を主張する声が高まっている。中国が訪米直前に野中
さんを北京に呼んで、「棚上げ」を過去、日中で合意したと語った
ことが反映している。この部分では中国の勝ちである。

しかし、オバマ政権はこれまで尖閣諸島の日本の施政権を認め、「
現状を変更する一方的な行為に反対する」(ケリー国務長官)との
立場を堅持したことで、中国の思惑は崩壊した。

中国は「米国ができる最も有益なことは、真の中立を保持すること
だ」との立場であり、米国はこの件に関与をしたいように要請して
いた。しかし、米中首脳会談ではオバマ米大統領は「日本は米国の
同盟国」と明言して、習主席を牽制した。

この上に、米上院外交委員会のメネンデス委員長(民主党)ら超党
派の3議員が、東シナ海や南シナ海で中国が地域の緊張を高めてい
ると非難し、航行の自由や領有権問題の平和的な解決を支持する立
場を再確認する決議案を提出していた。

また、米中首脳会談でサイバー攻撃や海洋安保問題などで解決への
進展がみられなかった会談に対して米国内では冷めた見方が目立っ
た。

習新政権の基本姿勢については「歴代政権と(一党独裁)体質は変
わらない」(ロサンゼルス・タイムズ紙)との見方になっている。
それは、習氏も紙を見て、一方的に話した部分が多く、最初に40
分も一方的に演説したようである。それで、オバマ大統領は、習近
平はダメだという瀬踏みをしたようである。

このため、日本との同盟を強める方が重要となり、日米電話会談を
設定し、ロンドンでの会談も行うことにした。習さんより安倍さん
の方が話せるということのようである。

この米国の反応が中国の気に入らないと見えて、人民日報で安倍外
交を痛烈批判したが、罵倒に近いこの論評であり、それがそのまま
、中国のことのようであると中国国民にも思われているようである。

中国の孤独が一層、明らかになってきた。オバマ政権は親中には向
かないことが明らかになった。

その意味では、日本にとっては、価値ある米中首脳会談であったよ
うである。
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日中の対話重視=日米首脳が電話会談
 安倍晋三首相は13日午前、オバマ米大統領と電話で約30分間
会談した。大統領は米カリフォルニア州で7、8両日に行った習近
平中国国家主席との会談の内容を説明。首相と大統領は、沖縄県・
尖閣諸島の問題をめぐって悪化している日中関係の改善に向け、日
中の対話が重要との認識で一致した。
 米中首脳会談のやりとりを大統領が説明したのに対し、首相は「
大統領が日本の立場を踏まえた上で対応していただいたことに謝意
を表明する」と強調。首相は「日本は日中で協議するドアは常に開
いている」と語った。
 日米首脳は、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるため、緊密
に連携していく方針を確認。大統領は、北朝鮮による日本人拉致問
題の解決を目指す日本の立場に支持を表明した。飯島勲内閣官房参
与の訪朝は話題にならなかったという。
 大統領は環太平洋連携協定(TPP)交渉について「日本の参加
は大きな進歩だ」として歓迎する意向を示した。首相は、国際結婚
が破綻した夫婦間の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約の加
盟が国会で承認されたことを報告。両首脳は17日から英国で開か
れる主要国首脳会議(サミット)で緊密に協力することも申し合わ
せた。
 日米両政府は、サミットに合わせた首脳会談を調整している。こ
の時期の電話会談について、菅義偉官房長官は13日午前の記者会
見で「同盟国である日本への配慮ではないか」と述べた。
(2013/06/13-16:28)
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米でも尖閣「棚上げ論」=中国の広報戦略奏功か
 【ワシントン時事】日中が争う沖縄県・尖閣諸島問題について、
米政府内や識者の間で「棚上げ」論を主張する声が高まっている。
ベーダー前米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は12日
、ワシントンでのシンポジウムで「現状で(日中の)主権問題は解
決の見通しがない」と断言。中国が米国内で展開する広報戦略が奏
功しているとの見方もある。
 ベーダー氏はこの中で、尖閣諸島の主権をめぐって日中が交渉を
しても「時間の無駄だ」と指摘。数年前の状態のように「棚上げ」
に戻すべきだと強調した。シンポジウムに同席していたジョージタ
ウン大のビクター・チャ教授も同意した。 
 オバマ政権はこれまで尖閣諸島の日本の施政権を認め、「現状を
変更する一方的な行為に反対する」(ケリー国務長官)との立場を
堅持してきた。
 しかし実際のところは「(日中の)指導者は過去数十年間、問題
を脇に置くことを最大限の利益としてきた」(キャンベル前国務次
官補)と双方に訴えたいのが本音だ。オバマ大統領は先週末、カリ
フォルニア州で行った中国の習近平国家主席との会談で、日中の争
いを抑制して外交解決に取り組むよう求めた。
 一方、中国側は、崔天凱駐米大使が複数の米メディアを通して「
米国ができる最も有益なことは、真の中立を保持することだ」と主
張するなど一貫して米国の不介入を要求。シンポジウムの開催など
幅広い広報戦略に乗り出している。
 訪米中の中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の傅瑩外
事委員会主任委員は12日、ワシントン市内の有力シンクタンクで
講演し、「紛争を棚上げする用意はあるが、中国の領土を失う情勢
に向かうことは容認しない」と表明した。
 日本は「中国側との間で、棚上げや現状維持で合意した事実はな
いし、棚上げすべき問題も存在しない」(菅義偉官房長官)のが公
式的な立場で、主権問題を大々的に展開しにくいのが実情だ。
(2013/06/13-15:53)
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米上院:中国非難決議へ 東シナ海や南シナ海緊張で
毎日新聞 2013年06月13日 15時08分
 【ワシントン西田進一郎】米上院外交委員会のメネンデス委員長
(民主党)ら超党派の3議員が、東シナ海や南シナ海で中国が地域
の緊張を高めていると非難し、航行の自由や領有権問題の平和的な
解決を支持する立場を再確認する決議案を提出していたことが12
日、分かった。上院は2011年に南シナ海をめぐる同趣旨の決議
を全会一致で採択。中国によるその後の威圧的な行動も決議案に盛
り込まれており、今回も採択される見通しだ。
 メネンデス氏やルビオ議員(共和党)らが10日に共同提案した
。7、8日の米中首脳会談では、沖縄県・尖閣諸島について、オバ
マ大統領が事態の沈静化と対話による解決を求めたが、習近平国家
主席は領有権を強く主張し、議論は平行線に終わった。議会として
も大統領を支持する姿勢を鮮明にし、中国をけん制する狙いがある
とみられる。
 決議案は、「近年、南シナ海において危険で、地域を不安定化さ
せる数多くの事件があった」とし、中国とフィリピンが領有権を争
うスカボロー礁周辺を中国艦船が12年に封鎖したことなどを列挙
。尖閣諸島では、今年1月の中国海軍艦艇による海上自衛隊の護衛
艦への火器管制レーダー照射や、4月の中国海洋監視船8隻による
12カイリ(領海)内への侵入があったことを挙げ、「地域の緊張
をさらに高めた」と非難した。
 そのうえで、「南シナ海や東シナ海で海域や領土の主張をしたり
、現状を変更したりするための海軍や海洋安全保障船舶などによる
威圧、脅迫、武力行使を非難する」と指摘。すべての当事国に対し
て「紛争を複雑化したり、悪化させたりするような行動を自制する
よう強く求める」と呼びかけている。
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冷めた見方目立った米メディア
2013.6.13 14:44 sankei[米国]
 【ワシントン=佐々木類】7、8両日に行われた米中首脳会談で
は、“2大パワー”による協力関係を強調した中国の習近平国家主
席に対し、オバマ米大統領は「日本は米国の同盟国」と明言して、
習主席を牽制(けんせい)したとされる。サイバー攻撃や海洋安保
問題などで解決への進展がみられなかった会談に対して米国内では
冷めた見方が目立った。
 米大手シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ(AEI)
」のマイケル・オースリン研究員は「信じられないほど縮みゆく米
中関係」と題した論文を米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄
稿した。
 オースリン氏は、「中国のいう“新型大国関係”とは、大きな問
題で米国は中国の協力を得られず、米中関係を安定させるため小さ
な問題に焦点を当てるものだ」と分析してみせた。
 その上で、「習氏は中国によるサイバー攻撃について何ら言及せ
ず、南、東シナ海問題など海洋安保についても、東南アジア諸国な
ど関係国が求める多国間での枠組みでの解決に言及しなかった」と
指摘した。
 米シンクタンク「ブルッキングス研究所」のリチャード・ブッシ
ュ上席研究員は、「両首脳は良いスタートを切ったが、中国側は重
要な米中問題がすべて消えたと思わない方がよい」とクギを刺すの
を忘れない。
 歴史認識など日本絡みでは中国寄りの論調が目立つ米メディアだ
が、習新政権の基本姿勢については「歴代政権と(一党独裁)体質
は変わらない」(ロサンゼルス・タイムズ紙)との見方で一貫して
いるようだ。
 米紙ワシントン・ポストは、「記者会見で新華社の記者が、習氏
のいう『新型大国関係』に関するできレースの質問をした際、日米
双方の記者から失笑がもれた」と報じている。
 米メディアの冷ややかな反応は、中国のサイバー攻撃や為替操作
による不公正貿易、海洋安全保障など重要課題で実質的な進展がな
かったためとみられる。
 G2(米中2国による枠組み)論が力を持ち、歓迎ムードが散見
された2011年1月の胡錦濤前国家主席の訪米時に比べ、為替操
作疑惑やサイバー攻撃が発覚した現在、米メディアの見方はかなり
厳しく変わってきたようだ。
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人民日報、安倍外交を痛烈批判 「軍国主義と価値観外交での人格分裂」
【大紀元日本6月13日】中国共産党機関紙の人民日報は13日、安倍
政権の外交方針となる「価値観外交」を痛烈に批判した。
 「典型的な『人格分裂』ー安倍政権の『価値観外交』の虚偽なベ
ールをはがす」と題する同紙の論評は、安倍政権が歴史問題で示す
軍国主義の価値観への「憧れと未練」は、彼が唱える、民主や人権
などを価値として共有する国家との関係を強化する「価値観外交」
とは矛盾していて、「典型的な人格分裂」であると強烈な言葉をな
らべて批判。「いわゆる価値観外交は世を欺き名誉をかすめ取るだ
けの政治茶番劇で、国際社会や民主、自由、人権へのこの上ない愚
弄である」と追い打ちをかけた。
 人民日報はときおり激しい論評を掲載するものの、これほどのも
のは珍しい。なぜこのタイミングでこの論評かは不明。米中首脳会
談で尖閣問題についてオバマ大統領の「望ましい」言葉を引き出せ
なかったことへの鬱憤か、その直後に実施された離島奪還の日米合
同訓練への不満か、安倍政権が展開する、中国包囲とも見られる活
発な外交への苛立ちかは、論評ははっきりしていない。
 罵倒に近いこの論評はポータルサイト・網易にも掲載されたが、
ネットユーザーらには不評。「日本には良いイメージはなかったが
、この文書を読んで反省している。自分が間違ったのか、それとも
、人民日報があまりにも恥知らずなのか」「価値観外交とは、共通
の価値観をもつ人が友達になれること。中国人はビザなしで行ける
国が少ないわけだ」「毎回人を罵倒しているのを見ると、まるで自
分のことを言っているようだ」「安倍に感謝。あなたがいるからこ
そ我々は民衆の目線を国内から逸らせるんだ」と皮肉なコメントが
多数。中には、「党はこれで思想統一をはかりだしている。安倍さ
ん気をつけてください。戦いになるかも」と警戒する声もあった。
(翻訳編集・張凛音) (13/06/13 12:38)	


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