4701.米中会談について



米中会談を日本やアジアでも多くの不安と期待をもって見ていると
思うが、米国内での関心は低い。CBSニュースでも扱いは後ろの方で
あり、2月の日米会談のように取り上げられないことはないが、扱
いが軽い。米国内のIRC問題とNSCの電話・メール等の問題や移民問
題に多くの時間を取っている。   津田より

0.会談の準備と様子
この会談は米国から招待したが、中国側からはホワイトハウスでの
短い会談ではなく、長い時間の実質的な会議をして欲しいと要求し
たようである。

習近平主席は、前胡錦涛主席より実質的な権力を把握しているよう
だ。前胡主席はメモを見ながら話しているが、習主席は少ないと、
米国メディアは言う。権力の確立ができて、習主席が実力を発揮で
きる環境が整ったということのようである。

目標も明確である。「中国の夢」という中国人のプライドを復活す
るというものである。この目標を考えたのは党中央政策研究室の主
任、王滬寧氏で3代の党総書記に仕えている。

中国の新保守主義政策を考えているのも、この人のようである。西
洋の民主主義とは違う中国主義を準備している。過去の中国の思想
を復活するという主張をして、今後の中国の思想を明確化している。

中国は2008年に米中による「G2構想」を拒否し、現在もその姿勢を
続けていたが、習近平国家主席になってからの中国はそうした姿勢
を一転させ、今回の米中首脳会談でこの構想を受け入れるというよ
り、推進することになる。

中国の狙いは、米国と対等な関係を構築することで、これはG2を構
築することである。中国が言う「新型大国関係」である。このため
、いろいろと準備してきた。シンガポールのインド太平洋国防相会
議(シャングリラ対話)でも、中国は今までの方向とは違う対話重
視の方向を打ち出した。

その後、日本の野中さんを中国に招いて、「尖閣諸島領土棚上げ」
論を日本の要人から述べさせている。これも中国が会談の準備とし
たと捉えるべきである。

そして、オバマ米大統領と中国の習近平国家主席の1回目の首脳会
談が7日午後(日本時間8日午前)、米カリフォルニア州パームス
プリングズ近郊ランチョミラージュの保養施設で行われた。オバマ
米大統領は、「今後の関係構築には建設的な対話と意思疎通がきわ
めて重要だ」と関係強化をまず訴えた。

この中で、習政権の対米方針である「新型大国関係」に近い表現ま
で盛り込む配慮も示した。しかし本音では、「両国間の新たな協力
モデル」との表現をしている。中国を対等な大国とは見ていない。

オバマ大統領はさらに、米中が「世界の2大経済、軍事パワーだ」
とも指摘。制服組を含めた米中軍事対話の強化に踏み込むなど、関
係の大枠に関しては、内容の点でも「新型大国関係」のコンセプト
を意識してみせた。

1回目の会談にはケリー米国務長官、王毅(おうき)中国外相らも
加わり、両首脳が向かい合った。終了後、ノーネクタイ姿の両首脳
は、時折笑顔を交えながら代表取材記者団の質問に対応。サイバー
セキュリティーの共通ルール作りや、「新しい形」の協力関係構築
で一致したと明らかにした。

しかし、オバマ大統領は、リラックスしたノータイ姿とは裏腹に、
硬い表情で会談に臨んでいた。「予定より長引いたのは、非常に建
設的な会話ができたからだ」。オバマ氏はそう「膝詰め会談」の意
義を強調したが、相当、厳しい対話があったように感じる。中国の
意思は強いことを感じたはずである。

1.中国の意図
一方、習主席は記者団に「新しい形の大国関係構築を議論し、大統
領と重要な合意に達した」と説明。米中が対等な大国として国際問
題解決に共同で取り組む「2大国時代」の到来を強調した。会談冒
頭には「太平洋には両大国を受け入れる十分な空間がある」とも語
り、米国のアジア重視戦略をけん制し自国の権益確保を強調した。

この意味は、中国と米国で問題を話して解決するから、米属国を相
手にしないということのようである。日本は中国とは対等ではない
ということである。中国思想に復帰したということは、そう考える
しかない。

このため、米中の接近は日本など同盟国の「頭越し」外交を招くの
かという疑問には、一部は正しいということになる。中国が望んで
いることであるからだ。

習主席は「大統領と緊密に連絡していく」と個人的信頼関係構築に
意欲を示した。だが、両首脳の発言を吟味すると、それぞれが思い
描く米中関係の将来像が異なる現実も浮き彫りになった。

2.中国の夢と米国の夢に大きな差
中国は自国の発展について、このままの党主導では無理であると見
ているようだ。「政府による刺激策や直接投資に頼る余地は多くは
なく、市場に頼る必要がある」(李克強首相)と米国が望む国内改
革に取り組む動きも出ているが、党独裁・民主化否定の思想面は変
えないで継続である。

しかし、経済面の変更は思想面でも変更することになると、米国は
この方向をレーガン・ゴルバチョフの関係と同じで、オバマ・習の
関係に民主化推進になると見ている。

しかし、中国はそうならない。ロシアと違い、思想面でも中国は、
多様な思想を巧みに操ってきた歴史があり、歴史がないロシアや米
国などとは違う厚みを持っている。

米国の夢は、誰でも努力すれば金持ちになれる平等な社会の構築で
あり、それを世界に広げることである。

一方、中国の夢は、中国が大きな武力を持ち、世界に中国のルール
を確立して、中国人が豊かな生活ができることである。

この2つの夢は、余りにも違い両立しない。中国の夢と中国人以外
の人たちの希望とは違うことになる。米国の夢は世界の人の夢と重
なる部分が多いために、米国は世界のリーダーになったが、その価
値観を共有していない中国が、世界の指導者になるということは、
どこかで無理が来ることになる。

これは、フォーリン・アフェアーズに載った「2つの夢は悪夢に等
しいか?」マルコ、ルビオ氏の評論にも同じである。

70年も米国はリーダーである理由は、世界の平和と安定に寄与し
てきたからである。これは一国でできるわけではなく、多くの国際
機関、世界の多くの諸国との協力でできたのである。

必要があれば、米国は、世界の必要な地域の生命や安全を確保して
きた。しかし、オバマ政権になって、活動に疑問が出ている。国防
費の削減で軍事力が削減され、活動ができなくなっている。

一方、中国は中国の夢を実現するために、周辺諸国に圧力をかけて
いる。そして、国内では反対派を追い詰めている。このため、経済
成長としても、中国は言論の自由もなく、人権も守られない国にな
る。

反対に、米国の夢を共有する味方の国は衰えてしまい、徐々に中国
人以外は世界が暗黒になっていくことになる。これでよいのであろ
うか?

3.米国の現状
米国は自信をな無くしている。米国人が中国企業に就職することも
多くなっている。中国の夢を支える存在になってしまっている。そ
して、米国国内で多くの問題があり、米国民は貧しくなり、自国の
問題の解決を先にして欲しいということのようである。

このため、この世論に押されるように、CBS国内ニューズでも米中会
談の話題は後の方になる。オバマ大統領も黒人の立場での期待感が
国民にある。社会福祉を海外に派兵するより先にしてほしいという
要求である。外交が日本と同じように票にならない現状がある。

豊かな国が、世界的に普遍性のある夢を抱き、世界のリーダーにな
る必要がある。米国が疲れたと世界のリ^ダーを変わりたいという
なら、普遍的な価値観を供給する国が集まり、米国を助けて、世界
の覇権を確立するしかないように思う。中国の夢という中国だけが
得するような国が世界のリーダーなったら、世界の悪夢になってし
まう。

日本は、米国の苦境にそろそろ気がつき、自国の防衛だけではなく
世界の平和と安定に寄与することが必要になっている。もし、世界
の平和と安定がなくなると、日本人は世界からの物資で生活してい
るので一挙に生活ができなくなる。

集団自衛権を確立して、日米共同艦隊を設営して、世界の海に出て
いく必要がある。そうしないと、不自由な海が広がり、中国人しか
生活できない世界になってしまう。

そのため、日米欧などで覇権を確立し、その中で中国の個別的な夢
を実現することにしないと恐ろしい。

さあ、どうなりますか?


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政府、異例の中国待遇にも冷静=米中首脳会談
 日本政府は8日、米政府による異例の待遇の下で始まったオバマ
大統領と習近平中国国家主席の首脳会談に関し、「日米は同盟関係
で、米中関係とは違う」(外務省幹部)などと冷静な反応を示した。
同日、東京都議選の遊説を行った安倍晋三首相は、米中会談には一
切触れず、米中会談の感想を聞いた記者団にも無言だった。
 習国家主席を迎えた米政府は今回、私的な夕食会を含め、2日間
にわたる長時間の首脳会談をセットした。日本政府関係者は「同盟
国の日韓はホワイトハウスに招かれた。どっちが長いとか短いとか
気にする必要はない」と語った。 
 日本政府が注目する沖縄県・尖閣諸島など海洋安全保障問題は2
日目の会談で取り上げられるとみられる。菅義偉官房長官は8日の
民放テレビ番組で「日本側の考え方は米国に伝えている。そこはし
っかり(米中会談で)主張していただけると思っている」と淡々と
語った。(2013/06/08-21:27)
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オバマ大統領、にじむ対中配慮 「新型両国関係」は頭越し外交か
、戦略か
2013.6.8 22:45 sankei[米国]
 【パームスプリングズ(米カリフォルニア州)=山本秀也】オバ
マ米大統領は7日、習近平・中国国家主席を前に、「今後の関係構
築には建設的な対話と意思疎通がきわめて重要だ」と関係強化を訴
えた。この中で、習政権の対米方針である「新型大国関係」に近い
表現まで盛り込む配慮も示した。8日までの会談では、こうした関
係改善の大枠のもとで、サイバー攻撃や東アジアの安全保障問題が
個別に話し合われる。
 この日、米中首脳が代表取材団の前に姿をみせたのは、会談の冒
頭と終了後の2度。オバマ大統領はこの両方の場で、それぞれ「両
国間の新たな協力モデル」「新型米中関係」の構築を訴えるなど米
中関係を重要視する考えを繰り返した。
 両国関係に触れた大統領の発言は、中国がこれまで使ってきた「
新型大国関係」の文言とはやや異なるものの、ケリー国務長官ら、
オバマ政権2期目の米政府要人の発言の中では、習政権のスローガ
ンに最も近いといえる。米メディアもこの発言を引用して伝えるな
ど、中国への歩み寄りに注目している。
 米中関係を重要視するオバマ大統領の発言を受けて、習主席も米
中の共存を訴え、持論である「新型大国関係」の構築にともに努力
するよう呼びかけた。
 オバマ大統領はさらに、初日の会談後の代表取材で、米中が「世
界の2大経済、軍事パワーだ」とも指摘。制服組を含めた米中軍事
対話の強化に踏み込むなど、関係の大枠に関しては、内容の点でも
「新型大国関係」のコンセプトを意識してみせた。
 この日のオバマ大統領は、リラックスしたノータイ姿とは裏腹に
、硬い表情で会談に臨んだ。繰り返された対中重視の発言も、事前
に十分検討した結果であることは間違いない。米中関係が「アジア
太平洋地域と世界にとっても重要」とする指摘は、オバマ政権が進
める安全保障分野でのアジア回帰政策と、中国の海洋進出による摩
擦を念頭に置いたともとれる。
 この日、取り上げられた個別の課題には、サイバー攻撃のほか、
地球温暖化問題、北朝鮮の核開発阻止などがある。いずれの課題で
も、米側は中国を一方的に非難して追いつめるより、米中共同での
取り組みを求める立場を強調した。
 米中の接近は、日本など同盟国の「頭越し」外交を招くのか。そ
れとも、中国の独断専行を抑えるための巧みな外交戦略なのか。
 内部資料で天安門事件の内幕を暴いた「天安門文書」の監修で知
られる米カリフォルニア大学リバーサイド校のペリー・リンク教授
は、産経新聞に対し、「大統領発言は、新たな関係のために話し合
おうというもので、相手の筋書き通りに協力するという意味ではな
い。大統領のいう中国とは、中国の国民全体であって、中国共産党
のことではないのだ」として、米中の歩み寄りが中国の期待した図
式とは異なることを指摘した。
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米中首脳会談:「対等」巡り攻防 権益譲らず
毎日新聞 2013年06月09日 02時19分
 【パームスプリングズ(米カリフォルニア州)白戸圭一、北京・
石原聖】オバマ米大統領と中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主
席の1回目の首脳会談が7日午後(日本時間8日午前)、米カリフ
ォルニア州パームスプリングズ近郊ランチョミラージュの保養施設
で行われた。両首脳は約3時間に及んだ会談で、中国発のサイバー
攻撃の問題、北朝鮮情勢、米中両軍の意思疎通の在り方などについ
て意見交換、夕食会に臨んだ。会談は8日午前(日本時間9日未明
)再開する。
 1回目の会談にはケリー米国務長官、王毅(おうき)中国外相ら
も加わり、両首脳が向かい合った。終了後、ノーネクタイ姿の両首
脳は、時折笑顔を交えながら代表取材記者団の質問に対応。サイバ
ーセキュリティーの共通ルール作りや、「新しい形」の協力関係構
築で一致したと明らかにした。習主席はオバマ氏に訪中を要請、年
内に外相、国防相を訪米させる計画も示した。
 「予定より長引いたのは、非常に建設的な会話ができたからだ」
。オバマ氏はそう「膝詰め会談」の意義を強調。習主席も「大統領
と緊密に連絡していく」と個人的信頼関係構築に意欲を示した。
 だが、両首脳の発言を吟味すると、それぞれが思い描く米中関係
の将来像が異なる現実も浮き彫りになった。
 習主席は記者団に「新しい形の大国関係構築を議論し、大統領と
重要な合意に達した」と説明。米中が対等な大国として国際問題解
決に共同で取り組む「2大国時代」の到来を強調した。会談冒頭に
は「太平洋には両大国を受け入れる十分な空間がある」とも語り、
米国のアジア重視戦略をけん制し自国の権益確保を強調した。
 一方のオバマ大統領は「中国の平和的な台頭の継続が重要と伝え
た。平和的台頭は世界の問題に中国が対等な立場で取り組むことに
つながる」と言明。人権を抑圧し領有権紛争を引き起こし続ける国
にとどまるなら「対等」になれないとのメッセージだと読める。
 ただ、利害が一致する分野では、協調進展の兆しもある。その一
つが両国軍の意思疎通だ。米中経済が相互依存する中、全面紛争の
可能性は低いが、偶発的衝突の防止が課題として浮上している。
 習主席は「軍同士の関係を改善し、新しいタイプの関係を促進す
べきだ」と指摘。オバマ大統領は「軍事分野では効果的に意思疎通
できていたわけではない」と受け、軍事交流を「制度化、定期化す
る」と明言した。
 就任から3カ月に満たない中国の国家主席を首都ワシントンでな
く西部カリフォルニア州の保養施設に招き、2日間にわたり行われ
る異例の会談。協調の模索とともに、原則を主張し実利の取り合い
を図る場であることも鮮明になった。
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米中、将来の転換点に備える=保養地で融和ムード演出
 オバマ米大統領と中国の習近平国家主席は7日、カリフォルニア
州パームスプリングズ近郊の保養施設で、2日間にわたる初日の首
脳会談に臨んだ。対決より協調。ネクタイを外した2人の指導者は
、会談の内容以上に、両国関係の将来も見据えた融和ムード演出に
腐心した。
 ◇異例づくめの会談
 今回の米中首脳会談は異例づくめだ。中国の国家主席が就任約3
カ月で訪米したのも異例なら、緊張関係にある米中の首脳が、砂漠
地帯の保養施設で非公式夕食会も含めて6時間以上も共に過ごすの
も前例がない。
 安倍晋三首相が2月に訪米した際、大統領と一緒に過ごしたのは
1時間45分。韓国の朴槿恵大統領は2時間15分だった。中国メ
ディアによれば、中国外交官は「前代未聞だ」と漏らしたという。
 オバマ大統領は会談冒頭で「われわれが早期に会う決断をしたの
は、米中関係の重要性を意味する」と強調。習主席もリラックスし
た様子で「ここは素晴らしい場所。太平洋の近くにあり、その対岸
は中国だ。広い太平洋には両国のための十分なスペースがある」と
応じた。
 習氏のこの発言の裏には、太平洋を挟んで両国は共存できるとい
う意味が込められている。
 ◇遠くない米中の経済逆転
 米中の首脳が会談を急いだ背景には、このまま対立が続けば「両
国が国力の差を縮めていく中で決定的な衝突を避けられない」(ロ
イ元駐中国米大使)という危機感がある。
 中米交流基金会などの調査によれば、習主席の10年間の任期内
に中国の国内総生産(GDP)は米国を追い越す可能性がある。し
かし、中国がこの転換点を迎えるためには、深刻化する格差など国
内の不安定要因や日本など周辺国とのあつれきを念頭に、米国との
摩擦を避けて関係を安定させる必要がある。
 オバマ政権にとっても、米国の経済再生のために中国は市場や貿
易相手として不可欠な存在だ。軍事力に差はあるものの、中国を発
信地とする米国へのサイバー攻撃に対する脅威は決して小さくない。
 ◇日本は警戒
 オバマ、習両氏は今回の会談で「新しいタイプの関係」を模索す
ることで一致した。しかし米国が協力の拡大をてこに両国間の懸案
を解決しようとしているのに対し、中国側は協調の下に懸案の棚上
げを狙っている点で限界は見えている。
 菅義偉官房長官は8日、米中首脳会談について「日本の考え方は
米国に伝えている。そこはしっかり主張してもらえる」と述べ、沖
縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立などでオバマ大統領が日本の立場
を踏まえていると中国をけん制した。
 ある外務省関係者は「米国が中国に絡め取られるのではないか、
米国が中国に引き寄せられ、中国の主張をなし崩し的に認めること
になるのかといった点に注目している」と警戒感を隠さなかった。
(パームスプリングズ時事)(2013/06/08-21:37)
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習氏が軍事交流提起、オバマ氏は歓迎…首脳会談
 【パームスプリングス(米カリフォルニア州)=白川義和、五十
嵐文】オバマ米大統領と中国の習近平シージンピン国家主席は7日
夕(日本時間8日午前)、パームスプリングス郊外の保養施設で初
日の会談を行った。
 両首脳は、米中の協力を「新しい関係」に進展させる必要性で一
致した。ただ、オバマ氏が重要議題とするサイバー攻撃でのルール
作りを求めたのに対し、習氏は「我々は被害者」と主張するなど、
個別具体的な協力がどこまで進むかは不透明だ。
 約3時間に及んだ会談後、共同記者会見に臨んだオバマ氏は、両
国関係を「新たなレベルに引き上げる機会だ」と指摘し、「北朝鮮
やサイバー問題などあらゆる戦略的問題について非常に建設的な議
論をした」と述べた。
 オバマ氏は「この会談が(米中の)協力の新しい土台になること
を期待する」と強調。習氏も「新しいタイプの大国関係」構築に向
け、率直な意見交換ができたとし、大統領に訪中を招請したことを
明らかにした。習氏は会談で軍事交流を進めることを提起し、オバ
マ氏もこれを歓迎した。
(2013年6月8日23時39分  読売新聞)
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米中首脳会談:「共通の利益」に向け貿易・投資などで協力
毎日新聞 2013年06月08日 23時09分
  【ワシントン平地修、北京・井出晋平】米カリフォルニア州で
7日始まった米中首脳会談で、オバマ大統領と習近平国家主席は世
界1位、2位の経済大国として更なる関係強化を図り、世界経済の
安定に向けて協力することを確認した。米国は中国に市場の自由化
などを求める一方で、中国側も習体制の下で国内改革に取り組む意
欲を示している。人民元相場の切り上げや、知的財産権の保護など
両国間の対立点は依然多いものの、経済の相互依存が強まる中、貿
易・投資の促進など「共通の利益」に向けた協力関係は深まりそう
だ。
 「米国は各国が同一のルールに基づく、自由で公平な国際経済秩
序を追求する」。オバマ大統領は会談の冒頭で、サイバーセキュリ
ティーや知的財産権の保護などの課題も挙げて、米中がこれらの問
題に協力して取り組む必要性を強調した。
 雇用促進のために輸出拡大を目指すオバマ大統領にとって、中国
は最も有望な市場だ。だが、2012年の対中貿易赤字は約3150
億ドルと過去最高水準を記録。中国が人民元相場の上昇を抑制して
いることや国内投資への規制、政府の補助金を背景にした国有企業
の活動など「中国との競争条件は対等ではない」(ボーカス上院議
員)との米国内の不満は強い。
 競争力強化のため企業の海外進出を後押しする中国にも不満はあ
る。米議会が安全保障を名目に、中国の通信機器大手企業の部品を
政府に調達しないよう勧告するなど「米国への投資が阻害されてい
る」と受け止めているためだ。
 この日の会談では両国が経済面で関係をより強化しようとの思惑
で一致。習主席は「互いの国内経済と世界経済の安定」に向けた協
力をオバマ大統領に呼びかけた。中国は新体制に移行後、自国経済
の成長について「政府による刺激策や直接投資に頼る余地は多くは
なく、市場に頼る必要がある」(李克強首相)と米国が望む国内改
革に取り組む動きも出ている。首脳会談を前に対ドルでの人民元相
場が過去最高値を更新しており、米国からの通貨操作に対する批判
をかわすために中国の通貨当局が人民元高を容認する姿勢も見え始
めている。
 また、今回の首脳会談前には、中国は米国が主導する自由貿易協
定の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への加入について、
「可能性を分析する」と表明。習主席は初日の会談後、「経済や貿
易面での協力を強化すべきだ」との考えを示した。
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中国の「新たな大国の関係」、新たなあつれきを生む―英メディア
Record China 6月8日(土)21時10分配信
2013年6月5日、環球時報によると、「中国が米国に対して大国然と
することがあつれきを招く」と英国のメディアが報じている。米国
を訪問する中国の習近平(シー・ジンピン)主席はこれまでとは違
った中国の新たな世界観を見せるかもしれない。
中国は2008年に米中による「G2構想」を拒否し、現在もその姿勢を
続けているが、新たな指導者が決まってからの中国はそうした姿勢
を一転させ、今回の米中首脳会談でこの構想を受け入れるかもしれ
ない。より自信を深めた姿勢は「中華民族の偉大な復興」の一部と
して外交政策にも見られる。
米国のある外交官は、胡錦濤(フー・ジンタオ)前政権と比べて現
政権では中国の高級官僚と接触する機会が大幅に増えたが、「新た
な大国の関係」が2つの対等な存在による関係であることを米国に認
めさせようとしているように見えるとしている。
しかし、中国は米国と対等な関係になろうとしているが、それは同
時に他の国々との関係を低く見ることにもなる。中国による新たな
世界観では米国を除く全ての国は大国ではなく、犠牲にしたり無視
したりしてもよい存在ですらあることに人々は注意すべきだろう。
(翻訳・編集/岡田)
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米中首脳会談、中国側は意欲満々―「新型の大国関係」構築を狙う
By JEREMY PAGE IN BEIJING AND COLLEEN MCCAIN NELSON IN WASHINGTON
2013年 6月 03日 15:35 JST  WSJ
 今週、米カリフォルニア州で開かれるオバマ大統領と中国の習近
平国家主席との米中首脳会談は、習主席が国内で自らの権威を駆使
し、中国を米国と肩を並べる「大国」にするとのビジョンを提示し
た際の驚くべき迅速さを反映して実現するものだ。
 この2日間の「shirtsleeves(上着なしで行う実務的な)サミット」
は急きょアレンジされ、大方筋書きがないという意味で中国にとっ
ては異例だ。これは革命的なヒーロー(故習仲勲氏)の息子である
習主席が、自らをいかに権威があり自信にあふれた指導者であるか
、そしてオバマ大統領との直接交渉にいかに意欲的かを見せつけよ
うとしていることを示している。
 米政府当局者は、カリフォルニア州サニーランズの保養施設で7日
に始まる会談で、オバマ大統領と習主席が個人的な関係を構築し、
米中間で最も議論になっている話題、とりわけ北朝鮮問題、サイバ
ーセキュリティー問題、それにアジアにおける領海権問題について
、元首の公式訪問のような外交儀礼なしに、詳細に話し合えること
を期待している。
 しかし中国にとっての優先課題は、オバマ大統領と対等の立場で
交渉できるという強力な指導者のイメージを打ち出すことにある。
習主席がオバマ大統領と会談するのは、習主席が昨年11月に権力を
掌握し、中国を経済・軍事大国として再生させることを目指す「中
国の夢」を発表して以降初めてだ。
 中国共産党内部の関係者によると、習主席は自らと前任者の胡錦
濤前国家主席との違いを意図的に際立たせようとしているという。
胡前主席はこういった非公式の会合を一切試みなかったほか、公の
場では不自然でぎこちないように見え、10年の在任期間中に必要な
改革を実行できなかった弱い指導者だったと見る向きも中国では少
なくない。
 習主席のこのようなイニシアチブは、オバマ大統領を難しい立場
に置くものだ。同大統領は向こう10年在任予定の習主席との間で、
より良い仕事上の関係を築こうとしている一方で、中国の経済力と
軍事力の拡大を懸念するアジアの同盟国を安心させようと動いてい
る。
 この首脳会談決定までの経緯を知る関係者によると、中国の当局
者は昨年12月頃から習主席とオバマ大統領との会談を強く要求して
いた。習主席肝いりの外交上のイニシアチブ、つまり米国との「新
型の大国関係」を構築する取り組みを強化したいと考えたからだ。
 中国の当局者や専門家は、この概念には、歴史を通じて新興パワ
ーが既存パワーに立ち向かう際にたびたび生じてきた軍事衝突を回
避する狙いがあると指摘する。
 米当局者の米中首脳会談のアイデアに対する反応は当初生ぬるい
ものだった。習主席は既に今年秋に20カ国・地域(G20)首脳会議と
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の2度オバマ大統領に会
う予定になっているからで、中国が首脳会談の見返りとして多くを
提供しようとしないことも一因だった。
 また、オバマ政権は中国の新指導部が国内の政策課題を策定し、
「新型の大国関係」が何を意味するのかが詳細に説明されるのを待
っていた。この用語について米国やアジアの一部当局者は、米国は
中国の戦略上の裏庭に介入すべきでないという含意があるとの見方
を示していた。
 しかし、米当局者によると、ケリー国務長官やその他の政府高官
が中国を訪問した結果、習主席が予想よりも早期に権威を確立し、
政策上の優先課題を画定したことが明らかになった。これに加え、
過去数週間、米国内で中国問題専門家や産業界幹部からオバマ政権
に対する圧力が高まった。首脳会談を準備した関係者によると、こ
ういった人々の多くは習主席との会談が9月になるのでは遅過ぎると
考えていたという。
 関係者によると、もう一つの要素は習主席が国家主席として初の
訪問先にロシアとアフリカを選んだことだった。この間、李克強首
相は就任後初の訪問先として、インド、パキスタン、スイス、それ
にドイツを選んだ。
 中央情報局(CIA)の元中国担当分析官で、現在ワシントンにある
戦略国際問題研究所に務めるクリストファー・ジョンソン氏は、「
中国は『われわれは手法を変えている、われわれは今後大国のよう
に振る舞う、われわれには選択肢がある』と基本的に言っているの
だ」と指摘する。
 米高官によると、オバマ大統領は最終的に、習主席のトリニダー
ド・トバゴ、コスタリカ、それにメキシコへの公式訪問が5月31日か
ら6月6日に行われるのに合わせ、その後に非公式の会談を行うこと
を提案した。
 そのアイデアは、二国間会合と元首の公式訪問の厳格なアジェン
ダ(議題)を超えて会談を実施しようとするものだ、と同高官は指
摘している。
 同高官は「これは典型的な外交サミットではない。つまりダーク
スーツとネクタイを着用して、何十人もの当局者がテーブルを囲み
、準備された草稿を読むというものではない」と述べた。同高官は
また、これは緊急サミットではないと強調。極めて多くの争点が上
がっているため「早く始めれば、それだけベターだということだ」
と語った。
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<米中首脳会談>“腹の探り合い”の旅にとどまる=実質的な突破
はないとの予想―仏メディア
Record China 6月8日(土)14時49分配信
2013年6月7日、RFI中国語版は記事「米中首脳会談は“腹の探り合い
”の旅との指摘」を掲載した。
習近平(シー・ジンピン)国家主席が米国カリフォルニア州を訪問
、オバマ米大統領と初の米中首脳会談に臨んだ。中国側は、習近平
主席の提唱する「新型大国関係」について米国と議論したい意向だ
。崔天凱(ツイ・ティエンカイ)駐米国中国大使は「新型大国関係
」の構築がテーマとなると発言。新華社は「新型大国関係」を江沢
民(ジアン・ザーミン)元国家主席が提唱した「同盟を結ばず、対
抗せず、第三国を対象とせず」という原則が、習主席の「新型大国
関係」の由来だと報じている。
一方、米国はアジア太平洋の領土紛争、サイバー安全、経済、北朝
鮮など具体的議題について議論したいと考えている。米メディアは
、首脳会談の内容について米中は7時間にわたり非公式な事前対話を
行ったとの消息筋の発言を伝えている。
米中首脳会談がどのような成果を上げられるかについて、北京、香
港の専門家は、朝鮮半島、尖閣問題、イランなどの問題で一致する
ことはないと口をそろえる。今回は“腹の探り合い”の旅にとどま
り、互いの立場や考えを知り個人的な関係を深める機会になると指
摘している。(翻訳・編集/KT)
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7日から米中首脳会談 米との「新型大国関係」の真意はどこに?
 中国習政権
2013.6.7 22:37 sankei[中国]
 【パームスプリングズ(米カリフォルニア州)=山本秀也】中国
の習近平国家主席は6日(日本時間7日)、米カリフォルニア州に
到着した。7、8の両日、オバマ米大統領と会談する。経済など共
通の利益と根深い対立が併存する米中関係だが、3月に就任したば
かりの習主席は「新型大国関係」という新たなスローガンを掲げて
、米国と並ぶ大国の姿を描く。中国の壮大な「夢」は一歩前進する
のだろうか。
 会談は砂漠に囲まれたパームスプリングズ郊外の邸宅、サニーラ
ンズで行われる。ホワイトハウスでの公式行事など中国がこだわる
「格式」を離れ、就任3カ月という早い段階で夕食をはさみ首脳同
士が長時間話し合う「実」をとることで、米中とも首脳の「信頼醸
成」をめざす。
 習主席の米国到着を伝えた中国の報道は、「米中の新型大国関係
の構築に指導的な意見を述べ合う会談となる」と、このスローガン
を踏まえ意義を強調した。
 この「新型大国関係」は、副主席として昨年2月に訪米した習氏
自身が、ワシントンでの講演で初めて持ち出した「習ブランド」の
スローガンだ。「大国」という表現は、ロシアなど他の国にも使わ
れるが、このスローガンは対米関係以外では登場しない。
 米中関係に熱っぽいスローガンを持ち込んだ例では、江沢民政権
当時の「21世紀に向けた建設的戦略パートナーシップ」があった
が、江氏の引退とともに外交の舞台から消えた。
 毛沢東没後の米中関係を主導したトウ小平氏は、スローガンには
関心を示さず、「帰するところ、(米中関係が)良くなればそれで
いいのだ」と述べていた。江氏ですら天安門事件直後の90年代初
めには、トウ氏の意を踏まえ、「信頼を増し、面倒を減らす」など
と実質的な改善を強調した。
 では、「新型大国関係」も、外交上のスローガンにすぎないのか
。習氏は前任の胡錦濤氏までと異なり、トウ氏の人事構想から完全
に離れた初の中国指導者だけに、トウ氏の“遺産”をどう使うかが
注目される。
 米中関係の専門家は、崔天凱駐米大使が外務次官当時の昨年7月
に発表した「新型大国関係」の論文に注目する。経済で世界第2の
大国となった中国だが、崔氏は、対米関係では「戦略的相互信頼」
の不足をはじめ、台湾など「核心的利益」をめぐる摩擦や、アジア
太平洋地域での良好な相互作用の実現が難しい現実など、「5つの
難題」に直面していると指摘した。
 いずれも今回の会談の課題だが、専門家らは、大国としての顔を
隠さなくなった中国が、対米関係は他と切り離し、必要に応じてト
ウ小平時代の協調カードを巧みに使い分けるという意味が、「新型
大国関係」に込められていると分析する。
 ただ、サイバーテロ、北朝鮮、海洋問題などの課題では、米中の
妥協は難しい。崔氏も米外交専門誌フォーリン・アフェアーズとの
インタビューで、「新型大国関係」を「長期的な到達点だ」として
、「より多くの実質を積み上げる必要がある」と指摘した。
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核心的利益配慮の関係構築=新たな米中「未来図」焦点−習主席、
オバマ氏と8日会談
 【北京時事】中国の習近平国家主席は7日夕(日本時間8日朝)
から2日間の日程で、米カリフォルニア州の保養施設でオバマ大統
領との会談に臨む。最大の焦点は、習氏が自ら提唱する「新しい大
国関係」をどう定義し、両首脳が、世界の流れを決める米中関係の
未来図をいかに描くかだ。ただ習氏としてはオバマ氏と個人的信頼
関係を構築することで、中国の国家体制や領土・主権に関わり絶対
に譲れない「核心的利益」に配慮するとの確約を取りつけ、自国の
体制を安定させたい思惑も強い。
 中国の崔天凱駐米大使は5日、今回の首脳会談について「戦略的
・歴史的」と指摘し、「両指導者が中米『新型大国関係』をどうつ
くるか」が焦点と位置づけた。こうした中、早期の信頼構築のため
、通常ならこだわる外交儀礼や形式ではなく「親密さ」を優先する
異例の対応を取った。(2013/06/07-23:23)
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米安保トップ、突然の交代劇 オバマ米政権 中国傾斜に懸念も
2013.6.7 22:45 (1/2ページ)[中国]
 【パームスプリングズ(米カリフォルニア州)=佐々木類】米中
首脳会談の直前というタイミングで、オバマ米政権の安全保障部門
のトップ交代が電撃的に発表された。ホワイトハウス内部の力学に
微妙な変化があったのでは−といった憶測も流れた。新たな安全保
障チームは、「米中新時代(G2)という幻想」(ヒラリー前国務
長官)に振り回された1期目に回帰しつつあるとの懸念もくすぶる。
 オバマ大統領は5日、ホワイトハウスのドニロン大統領補佐官(
国家安全保障担当)の辞任と、その後任にライス国連大使を起用す
ると発表した。ドニロン氏は7、8両日にカリフォルニア州で行わ
れる習近平国家主席との米中首脳会談の地ならしのために訪中し、
帰国したばかりだった。
 バイデン副大統領に近いドニロン氏は、欧州や中東から、外交・
安保の比重を東アジアに移す「ピボット」(軸足旋回)を推進して
きた実績がある。
 一方、ドニロン氏の後任となるライス氏はアフリカ専門でアジア
政策は未知数だ。国連大使時代、核実験やミサイル発射を行った北
朝鮮への制裁をめぐり「中国の国連大使にはぐらかされっぱなし」
(日米外交筋)と押し出しの弱さを懸念する声もある。
 一方、国務次官補起用が決まった国家安全保障会議(NSC)の
ラッセル・アジア上級部長の後任に取り沙汰されているのがNSC
のメデイロス中国部長だ。
 2010年9月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で海上保安
庁の巡視船に衝突した中国漁船船長の身柄拘束事件で、日本政府に
釈放圧力をかけるなど「中国寄りの姿勢を示した」(米紙ワシント
ン・タイムズ)と批判された。日米関係筋は、これら親中派の復活
に警戒感を示している。
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中国国家主席の隣に常に寄り添う王滬寧氏とは何者か
By JEREMY PAGE
2013年 6月 05日 20:42 JST  WSJ
 【北京】中国の習近平国家主席が就任後初めてとなる3月の外遊で
ロシアとアフリカの首脳陣と会談した際、習主席の脇にはいつも眼
鏡をかけた堅苦しい感じの人物が寄り添い、熱心に耳を傾け、時々
メモを取っていた。習主席が7日に米カリフォルニア州ランチョミラ
ージュでオバマ米大統領と会談する際にも、この人物が同行するこ
とだろう。
 たとえ中国でさえも、この人物が、秘密に覆われた中国共産党中
央政策研究室の主任、王滬寧(おうこねい)氏(57)だと分かる人
は少ないだろう。そして、以前大学教授だった同氏が公の場ではほ
とんど語らず、古い知人ともほとんど話をせず、外国人と決して関
係を持たないことはそれほど意外ではない。
 しかし、共産党の内部者や中国政策の専門家は、同氏は今日の中
国で最も影響力のある人物の1人で、過去10年間にわたる内外政策の
主要な立案者だとみなしている。さらに、現在では、世界での優位
な地位に立つ軍事的にも経済的にも強い国家を思い起こさせる習主
席の「中国夢」(チャイナ・ドリーム)政策の重要な立案者だとも
考えられている。
 王氏は一時期、米国で学んだ経験もあり、2002年以降は党中央政
策研究室の主任を務めている。同氏は、江沢民、胡錦濤、習近平の
3人の歴代国家主席のトップ政策顧問とスピーチライターを務めてき
た唯一の人物として共産党内で特異な立場にある。
 王氏の影響力は一部には、中国の新保守主義者の創始者としての
立場から来ている。こうした新保守主義者たちは、西洋式の民主主
義に反対し、独裁的政府と国が後押しする国家主義を支持すること
により、1989年以来の中国首脳陣のイデオロギーの屋台骨を提供し
てきた。王氏はまた、中国共産党のトップ25人のリーダーたちから
なる政治局委員の中でただ一人の米国政策の専門家だ。
 このことは、王氏が今週の習主席とオバマ大統領の「非公式」会
談で重要な役割を果たす公算が大きいことを意味する。この会談は
両氏が外交儀礼を避け、台本なしで広範な話し合いができるよう計
画されているが、中国の首脳陣にとってはこうした形式はなじみの
薄いものだ。中国の国営テレビは既に、ここ数日間の習主席のカリ
ブ海諸国や中米訪問中に王氏が隣に座っている様子を放映している。
 ある上級外交官は王氏の内政・外交政策での影響力のために、同
氏を「カール・ローブとヘンリー・キッシンジャーが一体化した」
人物と評した。
 政策決定での王氏の正確な役割は不透明だ。党中央政策研究室は
ウェブサイトを持たず、広報担当者や公の電話番号もない。王氏に
直接コメントをもらおうと連絡を試みたが成功しなかった。
 共産党の内部者や外交関係者、アナリストらによると、王氏の専
門性や経験、共産党内での地位の上昇から、王氏は今後10年間にわ
たる中国の国づくりで重要な役割を果たし、ひょっとしたらそれ以
上の役割さえも持つことが示されているという。王氏は昨年11月に
昇進して政治局に加わり、2017年に常任委員会(政策決定の最高機
関)の一席を獲得する候補者の1人となっている。現在の引退基準が
持続する場合には、王氏は27年まで引退する必要がないことになる。
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U.S.-China Talks Yield Pledge for a New Model of Cooperation
By JACKIE CALMES and STEVEN LEE MYERS
Published: June 8, 2013  NYT

What does Xi Jinping's China Dream mean?
5 June 2013 Last updated at 23:40 GMT  BBC

“Mao-Nixon” 2.0
Jun. 7, 2013 Project Syndicate
Minghao Zhao

How Obama and Xi Can Avoid California Dreaming
By Gabe Collins and Andrew Erickson
June 7, 2013, 10:48 PM  WSJ

What Xi Wants
Watching the Shirt-Sleeves Summit From China
Jia Qingguo June 7, 2013  FA

Do Two Dreams Equal a Nightmare?
Why Xi Jinping’s vision of a future China cannot coexist with
 the American Dream.
BY MARCO RUBIO | JUNE 7, 2013  FA

Japan Paces Outside Obama-Xi Meeting
June 7, 2013, 1:04 PM  WSJ
By Joelle Metcalfe


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