4699.戦略とは何かを間違えている安倍政権



戦略とは、持てる力を集中してことに当たることである。このため、
一番大事なのが、捨てることである。成長に本当に効くと思われる
数個のことに絞り、それを実現することに持てる力を集中すること
である。

それを民主党政権はしなかった。各省庁から出てきた項目を並べた
だけという状況であった。このため、各省庁は予算獲得のために重
要と思われる項目を並べた。本当に必要な規制改革をしなかった。

安倍政権での成長戦略もこれを同じことになっている。昨日は第4
弾を発表したが、多過ぎであり、そして絞られていない。今までと
の差がない。これでは、海外の投資家は見切りをつける。

WSJもとうとう、日本の安倍は食わせものであると宣言した。この影
響で円は95円まで上昇している。海外投資家は株売り、円買いに
シフトした。

成長戦略には、環境整備とターゲットを決めた産業を育成する戦略
がある。環境整備が重要と安倍首相は宣言した。

ということは規制改革に進めないと、何をやっているのか分からな
い。とうとう、アベノミックスの空騒ぎが終わり、成長戦略が今の
ところ、失格であるので、日本は後戻りし始めた。

戦略の考え方が間違えている。トップ・ダウンで戦略を決めなけれ
ばならないのに、現場に戦略作成を任せたら、戦略ではなく、戦術
の塊になることが決まっている。

それをしないために、戦略と名だけの戦術集が出てきた感じか?

小泉元首相は、官僚も産業界も反対しても、竹中さんに任せた。こ
のようなことしないと、次の100年を見通した日本戦略などでき
ない。

残念でした。一時的な踊りをしたことで、日本の崩壊を早めるだけ
の首相を日本国民は選んでしまった感じである。安倍さんが政権前
に、第2次大戦においての侵略行為を否定したことで、国際的な環
境も日本に不利になっている。国際的外交でも苦しくなってきた。

さあ、どうなりますか?

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NY円急騰、一時1ドル=95円台…2か月ぶり
 【ニューヨーク=越前谷知子】6日のニューヨーク外国為替市場
の円相場は、円が急伸し、一時、95円90銭まで上昇した。
 1ドル=95円台は約2か月ぶりの円高水準。
 午後0時30分(日本時間7日午前1時30分)現在、前日(午
後5時)比2円66銭円高・ドル安の1ドル=96円35〜45銭
で取引されている。7日発表の米雇用統計を控え、リスク回避のた
めの、安全資産とされる円買いが先行している。
(2013年6月7日01時49分  読売新聞)
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科技会議の司令塔機能強化=イノベーション戦略決定?政府
2013年 6月 06日 23:00 JST
 政府の総合科学技術会議(議長・安倍晋三首相)は6日、国の科
学技術政策全体の長期的展望を示す「科学技術イノベーション総合
戦略」を正式決定した。同会議の司令塔機能強化も盛り込まれた。
安倍首相は「総合戦略を確実に実行に移し、成長戦略などにも反映
していくことが何よりも重要だ」と述べた。
 総合戦略は、科学技術が取り組むべき課題として、エネルギー開
発や健康長寿社会の実現、次世代インフラの整備、地域再生、震災
からの早期復興の5点を挙げ、それぞれの分野で2030年までの
具体的な工程表を掲げた。 
[時事通信社]
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【社説】何本もの矢を射る安倍首相─改革案は曖昧で期待外れ
2013年 6月 06日 14:07 JST  WSJ
 日本の安倍首相は5日、大規模な経済改革の概要を説明した。これ
は数週間にわたって実施されてきた他の改革の発表に続くもので、
「来週」公表するアジェンダの大まかな青写真とうたわれていた。
一体どういうことなのか。これでアベノミクスの高まりつつあるリ
スクが際立ってしまった。つまり、それが本当は何なのか、そして
、それが実行に移されたときに──まだそれが実行されていないの
だが──、どうやってそれを認識すればいいのかが分かりにくくな
っているのだ。

 問題となっているのは、安倍首相が言う経済再生のための矢筒に
ある「3本目の矢」である。公共事業へのより大規模な財政出動と大
がかりで持続的な金融緩和策という最初の2本の矢はすでに放たれた
。多くの首相が失われた20年間から日本経済を脱却させることに失
敗した後だけに、有権者や投資家は大胆な行動を約束した安倍首相
を称賛した。ところが、日本の20年間に及ぶケインズ主義的な財政
出動と金融実験では永続的効果がほとんど得られておらず、残った
のは対国内総生産(GDP)比で約230%の政府債務だけだった。この
2本の矢では不十分だということは誰の目にも明らかである。

 そこで、日本経済の競争力を強化する政策改革の3本目の矢に期待
がかかる。私たちを含む多くのエコノミストやコメンテーターが提
案を行ってきたが、安倍首相は具体的に何をするつもりかを明確に
することに苦慮している。

 これまでで最も重大な安倍首相の決断は、日本の保護された国内
経済を、成長を促進する競争へ劇的に開放することにもなり得る環
太平洋連携協定(TPP)交渉への参加である。4月には以前から必
要とされていた非効率的な電力事業制度の見直しも提案した。楽観
的な見方をする人たちは、5日のより踏み込んだ創造的破壊について
の話など、安倍首相が口先ではうまいことを言うと指摘し、7月の参
議院選挙後により大胆なアイデアが出されることに期待している。

 そうなるかもしれないが、危険なのは、安倍首相が今のところ、
それ以外で有権者に投票する理由をあまり与えていないことである
。今週以前の改革案は女性の労働参加を促進するための託児所増設
といった問題に焦点が当てられていた。ところが具体的な話になる
と、ニコラス・ベネス氏が別の記事で指摘しているように、5日の講
演の内容は寄せ集めだった。改革案は、企業に優しい政策で「国家
戦略特区」を作るという計画から都市部により高層なアパートを増
やすために建築規制を変更するという約束まで、多岐にわたった。

 日本が直面している課題の重大さを考慮すると、こうした改革案
のすべては取るに足らないものであり、有権者や投資家の多くはア
ベノミクスとはこの程度なのかと思い始めている。計画があまりに
もゆっくりと、分かりにくく小出しにされてきたので、政府周辺で
出ている多くのアイデアのどれが3本目の矢の要素となり、どれがな
らないのかを特定するのは難しい。

 安倍首相は、労働法や農業政策の大胆な改革が来月の選挙での自
民党の苦戦につながることを心配しているのかもしれない。とはい
え、最初の2本の矢でかき立てられた株式市場の興奮はすでに冷めつ
つあり、企業の景況感や賃金といった他の経済指標もわずかな改善
が精いっぱいである。

 安倍首相の人気から判断すると、現時点で国民は3本目の矢を取り
巻く政策策定の外観を評価しているようだ。しかし、具体策の遅れ
が長引けば長引くほど、これまでの安倍首相の決断力を称賛してき
た有権者が幻滅するというリスクが高まるだろう。日本は他の先進
諸国以上に既得権に縛れている。そうした既得権は、トップの強い
リーダーシップがないと、助成金や政府が作り出した市場での優位
性を守ろうとするだろう。

 政治において、曖昧さには一定の利用価値がある。しかし、安倍
首相としては、日本が必要としている難しい改革に対する国民から
の信任を築くチャンスを何度も逃し続けるわけにはいかないのであ
る。
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オピニオン】日本にはより大胆なアベノミクスが必要
By NICHOLAS BENES
2013年 6月 06日 16:51 JST  WSJ
 日本の安倍晋三首相は5日、これまでも誇示されてきた経済改革の
「3本目の矢」について、さらに内容を明らかにした。財政支出の増
額と劇的な円安に続き、安倍氏は今回、構造改革案を提示した。し
かしこの矢は、特に2つの重要な改革分野で的を外している。人材の
流動性と投資への優遇税制だ。

 閣議決定が来週予定されているこの構造改革案には、マイナーな
施策や壮大な目標、長期的な数値目標が多く盛り込まれているが、
最も必要とされる市場全体に影響があり強いインパクトを持つ具体
的な政策の提示はなかった。多くの一般的に良いテーマやアイデア
に言及しているが、結局、小規模で限定的な規制緩和と産業を特定
した改革のごった煮であり、これらを評価するには、まだあまりに
も漠然としている。

 日本が必要とする政策よりも「小さい」という点で、これは失望
だ。安倍政権が正しい方向に進んでいるというこれまでの期待に十
分答えていない。

 自民党の日本経済再生本部は5月に50ページにも及ぶ堂々とした「
中間提言」を公表した。これは安倍首相の「3本目の矢」の土台づく
りだった。
 この提言は、作成者らが呼ぶところの「産業の新陳代謝」を増大
させる必要性に焦点を絞っていた。つまり、資産と人的資本を最も
生産的な領域に配分する経済の効率性のことだ。これには市場への
より容易な参入と撤退も含まれる。提言には多くの良いアイデアが
含まれていた。例えば、女性の労働参加を増やすことや、上場企業
に独立社外取締役1人の設置を義務付けること、また企業の合併・買
収(M&A)を促進することなどだ。

 安倍首相の「聖域なき規制改革」や「規制緩和は成長戦略の一丁
目一番地」といったすばらしいスローガンにもかかわらず、この提
言の広範さと具体策はどうしたわけか安倍氏の講演では薄められて
しまった。例えば安倍氏は、少なくとも1人の独立した社外取締役の
「確実な導入」とした提言の約束には言及しなかった上、これらの
社外取締役の存在をより効果的にするための規則の変更や取締役と
しての教育が必要であることにも触れなかった。

 一方で、安倍氏の講演は中間提言の主な欠点をさらに強調するこ
とになった。最も重要な2つの改革を無視したためだ。1つは補償金
を条件にした解雇を明記する労働法。もう1つは全産業にわたる投資
への優遇税制だ。特に、欠損金の無制限の繰り越しを認める税法に
変えることだ。そうすれば日本は大方の成熟した先進国に並ぶこと
になろう。

 これらの2つの改革は、他のいくつかの非常に重要で強い反応が予
想される政策の前提条件だ。女性の労働参加率の向上をとってみよ
う。日本の減少する人口という見地からすると優先課題として正し
いものだ。自民党は最近、子どもを預けられる施設の増設や労働規
則の柔軟化、管理職への女性登用の目標設置といった政策に焦点を
絞った。安倍氏も、講演の中で「女性の活力」の解放は自身の戦略
の3本柱の1つであると強調した。

 しかし、こういった政策の効果を完全に発揮させられる唯一のも
のは、全体的な労働流動性の増大だ。そうでなければ、女性は就労
と昇進の機会が男性に比べて依然として少ない状況に直面すること
になる。

 この点で、安倍氏の方針は十分ではない。日本には2種類の労働市
場ができている。法律によって一般的に解雇から守られている「正
規従業員」と、守られていない「非正規従業員」があり、労働市場
に占める割合はそれぞれ60%と40%だ。正社員の安定性は実質的に
、解雇の柔軟性をほとんど全て背負う非正社員の存在によって守ら
れている。業績が悪いときには、企業は非正規の従業員をその功績
に関係なくレイオフする。それにより、最も能力の低い正社員でさ
え解雇を免れることになる。

 この2分されたシステムは特に女性にとってやっかいだ。女性は子
どもができると、就職と離職の融通性を求める可能性があるが、こ
ういった選択が女性たちを非正規のカテゴリーに事実上追いやるこ
とになるからだ。同様に、新興企業が新規採用する際に、潜在的な
法定費用や無駄に時間のかかる手間をそれほど心配する必要がなけ
れば、起業家精神を促進させる政策はもっと効果を発揮するだろう。

 しかし、自民党は現行システムを改革するのではなく、雇用と解
雇の柔軟性を増大させることになる労働法のアイデアを提示しただ
けだ。しかも対象は一部の労働者であって、すべてではない。古い
2分されたシステムはしぶとく残るだろう。

 安倍氏はまた、税率が低く規制も少ない「国家戦略特区」の創設
を提示した。しかし、単に「特区」を提案することは、すべての企
業の投資を後押しすることになる産業全体の税制をすっかり取り逃
がすことと同じだ。

 例えば、まさに自民党の5月の提言が描いてみせたような方法でイ
ノベーションや生産性を最も高めることになる長期的な投資や事業
の再構築を検討している新興企業や既存企業にとって、欠損金に対
する税制上の優遇措置を維持することは、予期される投資利回りの
リスクを軽減させることになる。

 新興企業や長期的な研究・開発(R&D)、また資本を集中させたプ
ロジェクトなどはたいてい、最初の利益を上げるまで何年間にもわ
たって欠損金を生じさせる。ところが、日本の税制は現在、欠損金
の繰り越しをわずか9年しか認めていない。対照的に、英国やフラン
ス、ドイツ、シンガポール、香港は無期限の繰り越しを認めている。
米国の場合は20年、繰り越しができる。
 おそらく安倍氏の改革のアイデアは今後も出てくるだろう。安倍
氏の言行は一致しているように見えるし、夏の参院選を控え、議論
を呼ぶような政策をさらに提示するには二の足を踏んだということ
かもしれない。しかし効果的であるためには、次の政策はさらに大
胆に、さらに広範囲である必要があろう。
[筆者のニコラス・ベネシュ氏は公益社団法人・会社役員育成機構(BDTI)の代表理事]



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