恐れていたように、成長戦略の「一丁目一番地」である規制改革が できていないことが安倍首相講演で明らかになってしまった。 それを講演会の最初に「私の経済政策の本丸は成長戦略だ。成長の 主役は民間だ。規制改革こそ成長戦略の「一丁目一番地」。成長の ために必要であれば、どのような「岩盤」にもひるむことなく立ち 向かっていく。」というが、どのも岩盤規制を改革したのであろう か? 保育園の基準を見直したかというと、NO。同一の雇用であれば同 一賃金にするなどの改革はできたかというとNO。法人税を削減し たかというとNO。「混合診療」の解禁ができたかというとNO。 電力不足に対応したかというとNO。農業への企業の参入を認めた かというとNO。 である。特に電力の自由化を出すと見たが、出て来なかった。これ では事前予想より、内容が劣ることになる。 このため、株価は大きく下落した。市場との会話をできないことが 安倍政権でも継続していることが分かる。 海外の投資家の失望売りである。日経平均13000円付近を上下するの であろう。円も100円周辺で停滞するのであろう。しかし、事前の円 の快適なレベルは95円程度といっていたので、今が良いレベルであ ることになる。 しかし、その次にはスタグフレーションの危険性が出てくる。 大変なことにないそうである。 さあ、どうなりますか? ============================== 安倍首相講演要旨=内外情勢調査会 安倍晋三首相が5日、内外情勢調査会で行った成長戦略第3弾に 関する講演要旨は次の通り。 私の経済政策の本丸は成長戦略だ。成長の主役は民間だ。規制改 革こそ成長戦略の「一丁目一番地」。成長のために必要であれば、 どのような「岩盤」にもひるむことなく立ち向かっていく。 消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールの下で、全て の一般医薬品の(インターネット)販売を解禁する。 新しく「国家戦略特区」を創設する。ロンドンやニューヨークと いった都市に匹敵する国際的なビジネス環境をつくる。世界中から 技術、人材、資金を集める都市をつくりたい。 国際的なまちづくりには、外国人でも安心して病院に通える環境 が必要だ。トップクラスの外国人医師も日本で医療ができるよう制 度を見直す。街の中心部での居住を促進するため、容積率規制も変 える。 電力システム改革では、小売りの全面自由化と発送電の分離、再 生可能エネルギーの発電施設のアセスメント期間の大幅短縮により 、今後10年間の日本の電力関係投資を過去10年間の実績の1.5 倍、30兆円規模に拡大する。 「インフラ長寿命化基本計画」を本年秋に取りまとめる。今後10 年間で、過去10年間実績の3倍に当たる12兆円規模の「PPP (官民パートナーシップ)」「PFI(民間資金活用による社会資 本整備)」事業を推進する。 「民間活力の爆発」が成長戦略の最後のキーワードだ。3年間で 民間投資70兆円を回復。2020年にインフラ輸出を30兆円に 拡大。同年に、外国企業の対日直接投資残高を2倍の35兆円に拡 大し、農林水産物・食品の輸出額を1兆円にする。 この数年間で失われた50兆円に及ぶ国民総所得(GNI)を3 年間で取り戻す。この成長シナリオを実現できれば、1人当たりの 国民総所得は年3%を上回る伸びとなり、10年後には150万円 増やすことができる。(2013/06/05-13:46) ============================== 成長戦略第3弾、国家戦略特区創設や対日投資加速:識者はこうみる 2013年 06月 5日 14:05 JST [東京 5日 ロイター] - 安倍晋三首相は5日昼、内外情勢調査 会で講演し、「国家戦略特区」の創設や対日投資の加速策などを盛 り込んだ成長戦略の第3弾を発表した。成長戦略を実現することで 「10年後には1人あたりの国民総所得(GNI)を現在の水準か ら150万円増やすことができる」という。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●既得権益見直しの意思示す <SMBC日興証券 チーフ債券ストラテジスト 末澤豪謙氏> 発表された成長戦略の第3弾は、「国家戦略特区」の新設、一般医 薬品のネット販売解禁などが柱となっているが、ある面、事前の報 道通りとの印象を受ける。安倍晋三首相は「規制改革」が成長戦略 の1丁目1番地と発言している通り、規制改革について、どのよう な岩盤にでも立ち向かう姿勢を打ち出した感じだ。 既得権益について今後、大幅な見直しを行うという意思表明をした 点では株式市場にはプラス要因だ。ただ、現実に具体策が進むのは 、7月の参院選後と思われるので、足元で金融市場に与える影響は 限定的になるだろう。ただ、公的年金運用の見直しに関しては中長 期的に運用スタイルが大きく変わる可能性があるため、夕方の産業 競争力会議で出てくる成長戦略の素案の内容を見守りたい。 ●ミクロでは評価も株価全体の上昇には力不足 <BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏> 成長戦略第3弾の内容はおおむね事前報道通りで、市場全体のセン チメントに影響を与えるようなサプライズはない。マーケットの反 応は発表のタイミングに合わせた短期筋の仕掛け的な動きだろう。 株式市場にとっては、一般医薬品のインターネット販売解禁や、街 の中心部での居住促進に向けた容積率規制の変更などミクロのビジ ネスチャンスを評価して、個別株で物色される可能性はありそうだ が、全般相場を押し上げるだけの力はないとみている。 向こう1─2年の国内総生産(GDP)増大に寄与しやすい財政政 策や金融政策と異なり、今回の成長戦略は消費者や企業の行動自体 を変えていくことで長期的な経済成長を促すものであり、長期投資 家の資金をいかに日本に引きつけられるかが重要だ。 ●全体的に小粒の印象 <三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良良子氏> 医薬品のインターネット販売解禁や容積率の規制変更などが盛り込 まれているが、全体的に小粒の印象を受ける。サプライズではなか ったし、期待を先取りするという意味では厳しい内容になっている 。これをみて期待を高めていくようなことはできない。盛り上げる というよりは、お手並み拝見といったところにとどまるだろう。海 外勢は失望する可能性がある。