4693.スマート・コミュニティの展示会で



昨日は、スマートグリットの展示会があり、東京ビックサイトに行
ってきました。まだ、それほど大きな展示会ではなく、大学や高専
などが展示していた。研究段階のテーマも出ていて、今後を見るこ
とができた。

電力制御機器、安定性確保の機器などがこの展示会の中心であるが
、使うことが目的ではないとあまり面白くないので、このコラムで
は触れない。

1つは、燃料電池で富士電機がリン酸型燃料電池を展示していたの
で説明者に質問して、日本の現状を聞いた。

富士電機のリン酸型の燃料電池は1970年から初めて、50年以
上の研究と実績を持っているという。100KWの燃料電池で7000万円で
あり、電気と熱の利用をして、経済性を確保している。この機器は
非常用電力ではなく、常用電力であるので、病院での赤いコンセン
ト用の電気には使えない。電力会社の電気と並行で使ってもらって
いるし、非常用発電機は別立てに用意していただいている。

正常時は都市ガスで動作するが、非常時にはLNGでもOKであるが、LPG
では本当に異常時以外では勧めていない。故障率などが増すための
ようである。異常時のためにLNGタンクを持ち、そこから供給してい
るユーザがある。

スタッグはメンテフリーで7年程度使用可能であり、15年までの
寿命がある。このため、普通、7年程度使用してもらうとメリットが
出るように提案するという。年2回の定期点検でほとんど動いてい
る。稼働率は98%程度と、非常に稼働率が高い。これは世界的に
も非常に優れている。

燃料電池は、普通ビルの隣に設置するがビル地下に設置できないの
かとの質問には、ビル地下に設置した例があるが、開口を2M程度に
してもらい、外気を取り込むダスドを設置してもらった。しかし、
それでも、ドアが重い。吸気するので、外部との気圧差を生むよう
である。

他社の燃料電池はどうか、fuelcellenergy社MCFC、UTC社PAFC、
Bloom Energy社SOFCが日本に入っているのかどうかという質問に、
富士電機で調べた限りでは導入実績は、現時点ではないと思うとい
う。

富士電機の年間販売台数は20台であり、工場の供給能力がそこま
でしかないためである。トータルで190台が日本で動いていると
いう。通産省の報告書では200台以上あるというが、違うようで
ある。fuelcellenergy社MCFCも20台程度が日本で稼働していると
あるが、これも疑問である。

しかし、販売ではディーゼル発電機との戦いであり、価格的には負
けている。騒音無や将来性ということで導入していただいていると
いう。お湯を使ってもらう所が効用が高いので、病院での導入も多
いが、その時は常時入れる温泉を提案しているという。

富士電機から見た日本の現状が、よくわかった。本当かどうかはわ
からないが、そう認識しているということである。輸出も供給がな
いので、大々的にはしていないようである。

今後も低コスト化を進めるという。またSOFCなどの方式には移行し
ないで、コスト削減に努力して、ディーゼル発電機よりコストを下
げる方向を追求するという。富士電機の燃料電池も当初1億円した
が、コスト削減努力で7000万円まで下げた。

2つは、神鋼のマイクロ水力発電を見たが、1kwで200万円であり、
系統連係を勧めていない。1kwの電力を生むには10m程度の落差が
必要であるという。5mの落差であると350W程度の電力しか生まない。

これで、水力は難しいことがわかる。

3つは、森林総合研究所が木の利用面での展示をしていた。木パレ
ット、木製トレイ、エタノール・リグニン製造の展示をしていた。
すぐに導入可能であるのが木パレットと木製トレイである。中山間
部での産業として、これは大きな可能性がありそうである。

エタノール・リグニン製造は、大きな工場が必要になり、そう簡単
には導入できないが、ペレット利用は現状でも導入ができる。また
90%以上の効率がある海外製のストーブなども、この展示会に数
社出ていた。ペレット製造の機械も数社出ていた。

木製トレイは今後、それほど時間を必要としないで導入可能である。
トレイの価格は10円程度だそうである。それを作る機械もすでに
開発が終わっているという。

あとは補助金を付けて、どこかの中山間部の村・町に売り込むこと
である。どこかの参議院選挙で候補者が取り上げないかと思う。

数人で見たが、それぞれ、見る観点が違うので、見学後の飲み会で
議論になった。

さあ、どうなりますか?

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