4689.資本主義と選民思想



資本主義と選民思想
From: KUMON KIMIAKI TOKUMARU
皆さま、

資本主義と選民思想
1. 非対称 性の気づき

 昨年の秋から、読書会で取り上げる本は必ず三回読むように心がけている。

 一回目は、著者が本を書いた動機、使った資料、用語、論理などをできるだ
け無心・虚心に読み取ることに力点をおいて、ゆっくりと丁寧に、全部読む。

 二回目も、ゆっくり丁寧に読むのだが、できれば1週間くらい時間をあけて、
一回目の読み取りの結果が長期記憶化するか忘却されるのを待って読む。

今度は、自分の意識に照らして、本に書かれている内容 をひとつひとつ吟味し
ていく。ああでもない、こうでもない、ああかな、こうかな。ちょっと違うよ、
違う、そうだそうだ。著者との対話を楽 しむ。

 そして、最後に読書会の直前に、本に書き込んだことを見直しながら読 む。
すると、思いつきやひらめきが生まれて、著者の書いたことに対する疑問や違和
感が、解消されることがある。思わぬ発見が生まれる。

 今回、大澤真幸・水野和夫著「資本主義という謎」の二回目の読みの途 中
で、資本主義のもつ非対象性に気がついて、それをMLで流してみた。こうやっ
て自分で疑問を言語化して意識することは、問題を解決する 糸口になる気がする。

[OYO0521] この本では、明確には書いていませんが、資本主義って非対称性と
いう特徴がないでしょうか。

つまり、交換というのは、お互いが交換するだけだから、どっちが得か損かと
いうことはないのですが、資本主義の交換は、一方は利潤を手に入れ、も う一
方は利潤が手に入らない。儲ける人と、儲けない人がいる。

非対称な関係を特徴とする????? それが資本主義の特徴では? と思った
のですが、いかがでしょうか。

ー1ー 利子はおかしい?
「資本」(capital)とは、「お金(money)」の純粋論理表現ではないか。

つまり、資本というものには、物理的な姿はなく、論理的にしか登場しない。

物理的には、紙幣とか、土地とか、金塊とか、で、それらが抽象化・論理化さ
れたものが資本である。

だとすると、資本とは、物理的には存在せず、論理的にしか存在しないもの。
私の定義では、「資本」は、「仮想現実」にあたります。

仮想現実とは、「物理的には存在しないけど、脳が現実だと受け止める視聴覚
刺激」だと考えます。

仮想現実と、現実の違いは、物理的な存在がないことであり、仮想現実でいく
らセックスしても子供が生まれない。

資本が、自己増殖すること、利子を生むことは、仮想現実が子供をつくること
であり、これを前提とするところに資本主義の問題があるのではないか。
これが第一の質問です。

−2− 非対称性
交換経済は、基本的には、等価交換、むしろ自分が相手に多く与えることを美
徳とする文化もあります。

しかし、資本主義の交換は、利潤を生むことが前提であり、この利潤は、一方
に生まれるが、もう一方には生まれない。
搾取する側と、搾取される側が存在する。

この非対称性は、やはり大きな問題ではないか。
略奪する側とされる側という非対称の関係を前提とするところに、資本主義の
問題はある。

資本主義は、つまるところ、経済外部から「外部経済」を取りこむことによっ
て、「成長(=略奪のこと)」を続けてきたのであり、地球の有限性に よって
、成長の限界を迎えた今、資本主義はもう立ち行かない。

資源が有限だから、今の資本主義は、国民をむりやり病気にして、高額医療を
施すことで成長(=略奪)を続けようとしているのかもしれません。

非対称性について、問題にしている人はいませんか。この非対称性は、資本主
義の本質的なものであって、資本主義である以上、略奪のない資本主義は あり
えないでしょうか。

2. 非対称 性への回答は、西洋起源にあった?
 本書の第1章をさらに読み勧めていくと、どうして文明的にはより先進的で
あった中国や、商業的に進んでいたイスラム圏で資本主義 が生まれなかったの
か、そして金利にもっと敵対していた西洋で生まれたのはなぜかという問題が提
起されている。

 なぜ資本主義は、キリスト教圏で生まれたのか。
 この疑問と、非対象性への問いが結びついて、ひとつの回答が生まれま した。

 資本主義の基盤にある思想は、ユダヤ=キリスト教的な、選民思想では ない
か。だから、世界中から蒐集(=略奪)を行なうことが、平然と行なわれた。あ
るいは、MRIインターナショナルのような日本人顧客をターゲットと した意図的
な詐欺が公然と行なわれた。

 ゴイム(異教徒)にはど んなひどいことをやっても許されるという信念、これ
が資本主義の精神ではないか。

また、金利を敵対していた西洋で、資本主義が生まれたのは、ユダヤ人勢力が力
をつけて、ローマ教会や世俗権力を味方に つけ、敵対勢力を抑えたからではな
いか。

 いかがでしょうか。

得丸公明(思想道場 鷹揚の会)
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 『プラトンと資本主義』の関曠野さんからのコメントです
From: KUMON KIMIAKI TOKUMARU
得丸さん、人はなぜ「思想する」必要があるのでしょうか。思想なんてノイロー
ゼみたいなものではありませんか。人を偏屈で嫌味な人間にするだけの もので
はありませんか。
 それでも人に思想が必要なのは、この世に暴力ーそれも物理的暴力よりさらに
陰険な構造的暴力が存在しているという問題があるからです。この問題 がなけ
れば、人生は気楽で無思想な酔生夢死でいいのです。
 キリスト教や仏教など世界の大宗教はいずれも、この構造的暴力という問題に
対する特定の解答です。そして資本主義も、それが構造的暴力の現れで あるか
ぎりにおいて、議論や考察の対象になります。それが資本主義論をやるというこ
との意味です。(続く)。

 貨幣も生産設備もそれ自体では「資本」ではありません。それらは一定の見え
ざるシステムに組み込まれて資本になります。しかるにこのシステムは 人間と
世界を現に支配しているものでありならが、きわめて抽象的で個々人の実感では
把握できないという特徴をもっています。そしてこの抽象性が、 構造的暴力に
なるのです。
 資本は生産に不可欠なものであり、金儲けの欲望も社会の活性化のためにはあ
る程度必要なものです。どちらも問題視されるべきものではありませ ん。それ
がなぜ構造的暴力の要因になってしまうのか。なぜこのシステムはみえざる抽象
的なものであるのか。それを考察し分析するのが、資本主義論 です。


得丸さん、資本主義論に関心がおありなら、今時の若手大学人が付け焼刃で書い
たいい加減な本など読まないで、まず資本主義論の古典をじっくり読まれた方が
いいと思います。
 非対称性といえば、マルクスの理論も資本家と労働者のポジションの非対称性
を土台にしています。ただしその分析は時代錯誤なものですが。
 選民思想といえば、マックス・ウエーバーは自分が例外的に神に祝福された者
であることの確証を求めるプロテスタンティズムの妄執が資本主義のエ トスに
なったと論じ、その起源を古代ユダヤ教にまで遡っています。
 また資本主義は収奪できる外部を必要とするという説は、とっくの昔にマルク
ス主義者のローザ・ルクセンブルクが論じています。
 古典を読めば答えが見つかると言っているのではありません。古典をしっかり
踏まえたうえで、それを越えようとする議論でなければ、資本主義論の 名に値
しないということです。言葉遣いは一応新しいが、中身は昔からの左翼の議論を
蒸し返しているような本など買って読む価値はありません。
 最後に強調しておきたいのは、資本主義を説明できるのは、結局歴史学だとい
うことです。資本主義の抽象性は、その非歴史性を意味するものではあ りませ
ん。コロンブス以後、ヨーロッパ人が新大陸アメリカの厖大な金銀、広大で資源
豊かな土地をタナボタで手に入れ、アフリカ人奴隷をタダで酷使 できたという
歴史的事実を抜きにしては、資本主義がシステムとして成立しえた不思議は説明
できません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
関さん、貴重なコメントありがとうございます。

僕は資本主義論という分野に、わけもわからずに迷い込んでいたのですね。

そして、漠然と感じた「非対称性」は、古典的に問題にされてきたテーマでも
あった。
>  非対称性といえば、マルクスの理論も資本家と労働者のポジションの非対称
> 性を土台にしています。ただしその分析 は時代錯誤なものですが。
>  選民思想といえば、マックス・ウエーバーは自分が例外的oに神に祝福され
> た者であることの確証を求めるプロテス タンティズムの妄執が資本主義のエ
> トスになったと論じ、その起源を古代ユダヤ教にまで遡っています。
>  また資本主義は収奪できる外部を必要とするという説は、とっくの昔にマル
> クス主義者のローザ・ルクセンブルクが 論じています。
>

歴史性という点において、
> コロンブス以後、ヨーロッパ人が新大陸アメリカの厖大な金銀、広大で資源豊
> かな土地をタナボタで手に入れ、アフリ カ人奴隷をタダで酷使できたという
> 歴史的事実を抜きにしては、資本主義がシステムとして成立しえた不思議は説
> 明できませ ん。
>
この「システム」は、選民思想にもとづき、外部(周辺)から常に収奪すること
を前提とする、暴力的なシステムであったということになりますか。

つまり、資本主義というシステムは、癌細胞のような地球を荒廃させ、破滅させ
るシステムであった。

フクシマ以後の日本が、放射性物質入りの食品を国民に食べさせ、国民を病気に
し、死に至らしめつつ、なおかつ原発再稼動・原発輸出という行為にま い進し
ているのも、資本主義的な行為であるといえるのかもしれない。人や生物の命よ
りも、お金を大切にするという点で。

大澤真幸と水野和夫は、もう資本主義の時代は終わったのではないかということ
を論じようとしています。それは資本主義というシステムが本質的にも つ「非
対称性」、「選民思想」、「外部からの収奪」の当然の帰結だといえるのでしょ
うか。

得丸公明(思想道場 鷹揚の会)
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芥川龍之介の言葉より

From: KUMON KIMIAKI TOKUMARU
皆さま
((金曜日にロンドンで参加していた異業種勉強会がありました。以下は、その
ときの、某製造メーカーの人の発表にもとづく話です。))

数列の問題
0⇒1⇒2⇒5⇒7⇒8⇒9⇒10⇒12⇒15⇒18
この数字は何でしょう。

ヒント
1946⇒1948⇒1949⇒1952⇒1968⇒1972⇒1078⇒1980⇒1986⇒1992⇒2000
上の数字は、下の西暦と対応します

なるほど、時代が下がるにつれて増えている。人口?

そうです。でも何の?

実は経団連の副会長の人数です。だんだんと世界経済が混迷を増すにつれて、経
団連の仕事は増えていき、副会長が多くなりました、というのはウソ。

日本を代表する企業の団体である日本経団連(2002年に日経連と経団連が統合し
て、日本経済団体連合会になる)は、わが国の代表的企業1285 社、業種別全国
団体127、地方別経済団体47という大きな組織である。

その副会長はいまや18人おられる。はじめはいなかったのに、だんだんと増えて
きた。

ちなみに月例で行なわれる幹事会は700人、年四回の常任幹事会は300人。なんと
もすごい人数の経済人が、お集まりになっておられることか。

事務局もたくさんの本部があり、数えきれないくらいの委員会がある。しかし、
しかしである。最近、日本経団連が話題になることはだいぶ少ないような気は
しないか。拡大する組織と縮小する活動はどう説明できるのだろう。

その答えは、経団連の役職を務めることは、叙勲の条件、ポイントになるから
だ。70歳を超えたときに、それまでの経済活動が評価されて、叙勲され ること
になるが、そのとき経団連の役職をつとめていると、勲章をもらえるというのだ。

芥川龍之介の言葉に「軍人の誇りとするものは、小児の玩具に似ている。なぜ軍
人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう。」というのが ある。
今 や経済人も幼児化したということだろうか。自分に自信がないのだろうか。
勲章目当てで、経団連に役職についてという経済人が多いことは、がっかり で
ある。 なぜなら、それは結局、自分の叙勲でしかないし、まったく実のない名
誉であるから。

かつて日本は政治家は三流だが、経済人は一流と言われた時期もあったが、そう
いうものではなかったのかもしれない。

得丸公明(思想道場 鷹揚の会)
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 ヒロシマ、ナガサキ、ビルマ戦線、そしてフクシマ以後の日本
From: KUMON KIMIAKI TOKUMARU
皆さん、

じつは、今日、朝一番の飛行機で大分に飛び、県庁の高齢者福祉課で、昭和19年
5月25日に、ビルマで戦没した大叔父に関する資料をもらう予定に なっていま
す。そして明日から、佐伯に住む別の大叔父にあって、ビルマ戦線の話を聞く予
定です。

古山高麗雄の「フーコン戦記」は、56連隊のビルマでの戦いの記憶を甦らせる文
学的試みですが、今の日本の生活とどう関係しているか、思いいたり ました。

おそらく、召集されてビルマ戦線に送られた日本の若者たちは、自分がどれほど
悲惨な目にあうか、知らなかった。知らないで、前線に送られて、マラ リヤ、
アメーバ赤痢、飢餓、山蛭、などなどに苦しめられて、ほぼ全滅してしまった。

これと、ヒロシマやナガサキで、放射能を浴びさせられた住民と、今、フクシマ
原発事故による放射能の内部被曝で体を蝕まれている日本国民と、同じ 状態に
あるといえます。

我々はたまたま赤紙はもらっていませんが、日々、放射能を体外から浴び、体内
に取り込んで内部被曝している。

そして、突然、体調を壊して、死んでしまうのです。

ツイッターでこんな記事を今日見つけました。

「今 朝、友人の訃報が届いた。

いつも幹事役で皆の中心にいた彼は昨日、頭痛で病院へ行き薬を処方され帰宅し
たものの薬を飲んでも様子がおかしいので再受診に向かう車中で意識を失いその
まま逝ってしまったとのこと。奥様と3人の子供を残して・・・我が家も数日前
から主人も頭痛と体調不良で人間ドッグに入りたいと言っており、

今朝もその話をしているところにきた訃報でかたまりました

ご冥福を祈りつつも明日は我が身ということなのか複雑な心境です。」

今、自分がどこにいて、どんな環境で生きているのか、それを自覚しないと、知
らない間に殺されてしまいます。

日本に住んでいても、昭和19年の悲惨なビルマ戦線と同じ生活を送っている。

それを自覚するために、「フーコン戦記」、読む価値あります。

「資本主義という謎」も、同様です。

資本主義は、周辺(=外部)を喪失したから、国民を内部植民地化して、利潤を
上げようとしている。

そういう生々しい現実を感じられる本です。

得丸公明(思想道場 鷹揚の会)
==============================
現代という芸術アラカワ
From: KUMON KIMIAKI TOKUMARU
皆様、

だんだん霊的世界に近づいてきました

 ことだま:言葉の力は霊の力

http://www.milestone-art.com/MILESTONES/issue147/htm/p11tokumaru.html

とくまる
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鬼塚英昭さんの本
From: KUMON KIMIAKI TOKUMARU
皆さま

まだ読んでいませんが、いつか取り上げてもよいかもしれません。
鬼塚先生が昨年出した本です。
とくまる

瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人 [単行本]
鬼塚 英昭 (著)

http://www.amazon.co.jp/%E7%80%AC%E5%B3%B6%E9%BE%8D%E4%B8%89%E3%81%A8%E5%AE%85%E8%A6%8B%E5%8B%9D%E3%80%8C%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%AF%E3%82%93%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%AE%88%E3%82%8A%E4%BA%BA-%E9%AC%BC%E5%A1%9A-%E8%8B%B1%E6%98%AD/dp/4880862886/ref=pd_sim_b_2

内容紹介
《大本営元参謀》と《山口組若頭》の黒い関係、日本最大最悪の闇《田布施システム》
の秘密を解き明かす!禁断の領域に敢然と挑む、鬼塚ノンフィク ション

大勲位・中曽根康弘かく語りき!
「政権が汚辱で倒れても、日本には超越的存在としての天皇がおられます。俗界
の飛沫は天皇には及ばない。否、及ばせてはならないのです。この二重 構造に
よって日本の伝統と民主主義との調和があり、求心力と遠心力の均衡、いわば歴
史的知恵の作用で、日本の自由民主主義は維持されていることを 認識すべきな
のです。」
これが「てんのうはん」の存在理由だ!

現代史の闇―その原点は、「てんのうはん」の誕生にある。「てんのうはん」と
は、長州(現・山口県)で天皇のことをいう。長州の多くの人々は「て んのう
はん」が山口県熊毛郡田布施町からの出自を持つことを知っている。この秘密を
守るために「田布施システム」が創り出された。瀬島龍三は、こ の田布施シス
テムの秘密を守るための「守り人」としてその一生を終えたのである。また、田
布施システムは明治維新以来、「てんのうはん」の守り人 として、ヤクザ組織
を大事に育ててきた。瀬島龍三と宅見勝が日本列島暗黒街道の中で出会い、そし
て交友関係を続けるのは決して偶然ではなかったの である。
内容(「BOOK」データベースより)
現代史の闇―その原点は、「てんのうはん」の誕生にある。「てんのうはん」と
は、長州(現・山口県)で、天皇のことをいう。長州の多くの人々は 「てんのう
はん」が山口県熊毛郡田布施町からの出自を持つことを知っている。この秘密を
守るために「田布施システム」が創り出された。瀬島龍三 は、この田布施シス
テムの秘密を守るための「守り人」としてその一生を終えたのである。また、田
布施システムは明治維新以来、「てんのうはん」の 守り人として、ヤクザ組織
を大事に育ててきた。瀬島龍三と宅見勝が日本列島暗黒街道の中で出会い、そし
て交友関係を続けるのは決して偶然ではな かったのである。大本営元参謀と山
口組若頭の黒い関係、日本最大最悪の闇田布施システムの秘密を解き明かす。



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