4678.ロシアの本音



日露首脳会談で外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラ
ス2)設置など安保分野の協力強化で合意したのは、ロシア側から
の呼びかけによるものだったという。

また、プーチン大統領とベトナムのグエン・タン・ズン首相は15
日、黒海沿岸ソチで会談し、プーチン大統領は会談冒頭、多様化す
る両国間の協力の中でも、ロシア製兵器輸出など軍事協力が「最も
重要だ」と語った。

中国の圧力に会い、ベトナムはロシアに頼っている。ロシアも積極
的に関与するとしている。その関連からインドも巻き込んで、ベト
ナムを助けることが決まっている。対中国対応であることは明確で
ある。

ロシアは、もう1つの心配をしている。中国がオホーツク海を通っ
て、北極に向かうことが多発している。その基地として北朝鮮の羅
先港を使う方向である。

北極海は地球温暖化で氷が解け始め、(1)輸送路(2)資源開発
(3)制海権−をめぐるせめぎあいが始まっている。中国は昨年7
〜9月、砕氷船を北極海に往復させた。

日露両国は、北極海航路への入り口として戦略的な重要性が高まっ
ているオホーツク海での警戒監視活動での協力にも視野に入れてい
る。

 ロシアは、既存航路に比べて欧州と東アジアの距離を大幅に短縮
でき、海賊問題もない北極海航路の開発や、北極海での天然ガスや
石油などの資源開発を重視している。日本も、宗谷海峡や津軽海峡
が北極海航路への経路となることからロシアと安全保障上の懸念を
共有する立場にある。

その安全保障上の懸念とは中国である。ロシアが極東の軍事力を増
強しているのは、日本というより、中国向けであるとも見えるので
ある。

そして、北極評議会のメンバー諸国が中国、インド、日本、韓国、
シンガポール、さらにはイタリアをオブザーバー参加させた。北極
海の利用で、大きく地政学が変化して、中国の北極圏への進出の心
配をロシアがする事態になっている。

このことを留意して、ロシアとの関係を考えることが重要になって
いる。

さあ、どうなりますか?

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軍事協力は「最も重要」=ロ越首脳が会談
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領とベトナムのグエン・
タン・ズン首相は15日、黒海沿岸ソチで会談した。プーチン大統
領は会談冒頭、多様化する両国間の協力の中でも、ロシア製兵器輸
出など軍事協力が「最も重要だ」と語った。(2013/05/15-23:10)
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中国にらみ安保協力強化 「脅威」が共通認識に
2013.4.30 09:43 [安全保障]
 日露首脳会談で外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プ
ラス2)設置など安保分野の協力強化で合意したのは、ロシア側か
らの呼びかけによるものだ。表向き「中露蜜月」をうたうロシアが
、中国を「脅威」と認識しつつある証左といえる。東シナ海で中国
の高圧的な海洋進出にさらされる日本にも渡りに船で、安倍晋三首
相も「協力の水準を抜本的に高める」と期待感を表明した。ただ、
ロシア軍機による挑発飛行も続いており、「深入りは禁物」(防衛
省幹部)との指摘もある。

 「しきりに安保協力を求めてきているが、2プラス2なんて…」
。首相周辺は会談の数日前も漏らしていたが、共同声明は2プラス
2設置を明記。同盟国の米国、パートナー国のオーストラリアに続
く3カ国目で、ロシアと設置することがいかに特異かが分かる。

 ロシアの「本気度」は、外務省との定期協議に安全保障会議事務
局を投入することでもわかる。同事務局はプーチン大統領の「側近
中の側近」とされるパトルシェフ書記が率い、重要な大統領決定の
策定を主導する。安保分野を含めた対中戦略の重要性が増している
ためだ。

 ロシアが焦燥感にかられているのは中国の北極海進出に起因する。
北極海は地球温暖化で氷が解け始め、(1)輸送路(2)資源開発
(3)制海権−をめぐるせめぎあいが始まっている。中国は昨年7
〜9月、砕氷船を北極海に往復させた。その航路にはロシアが「内
海」と位置づけるオホーツク海もある。

 一方、日本側は「対中抑止」でオーストラリアや東南アジアなど
「南」に加え、「北」からも包囲網を敷ける。共同訓練などを通じ
信頼性が高まれば、「北方領土交渉への波及効果も期待できる」(
政府高官)という。(モスクワ 半沢尚久)
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日露共同で北極海捜索・救難 中国を牽制、領土交渉の軟化促す
2013.4.25 12:48 産経
 安倍晋三首相が28日からのロシア訪問時のプーチン大統領との
首脳会談で、北極海での海上自衛隊とロシア海軍による共同捜索・
救難活動の実施など海洋安全保障分野での協力で合意することが24
日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。地球温暖化によ
る海氷減少により北極海航路の開発が進む中、ロシアは中国の北極
海進出に神経をとがらせており、日露間の協力を強化することで中
国を牽制(けんせい)する狙いがある。日本側には、北方領土交渉
でのロシア側の軟化を促す思惑もある。

 日露関係筋によると、北極海での海洋安保協力にはロシア側が強
い関心を示している。日露首脳会談では捜索・救難活動を中心に協
力を深めることで合意する見通しだ。

 日露両国はその後も、北極海での協力分野を広げていき、将来は
北極海だけでなく、北極海航路への入り口として戦略的な重要性が
高まっているオホーツク海での警戒監視活動での協力にも発展させ
る。

 ロシアは、既存航路に比べて欧州と東アジアの距離を大幅に短縮
でき、海賊問題もない北極海航路の開発や、北極海での天然ガスや
石油などの資源開発を重視している。日本も、宗谷海峡や津軽海峡
が北極海航路への経路となることからロシアと安全保障上の懸念を
共有する立場にある。

 これに対し中国は、昨年7〜9月、砕氷船「雪龍」で北極海を往
復する航海を実施。さらに、アイスランドやスウェーデンとの外交
関係を強化するなど北極海進出の動きを強めている。

 防衛省のシンクタンク、防衛研究所が3月に公表した「東アジア
戦略概観」は「ロシアが安全保障面で中国の動きを警戒する新たな
要因」になったと指摘したほか、ロシアが北方領土の軍備増強をさ
らに進める可能性に触れた。

 外務省も中国の北極海への進出を「日本にとっても戦略的に重要
な課題」(幹部)ととらえており、3月には西林万寿夫文化交流担
当大使に「北極担当」を兼務させるなど北極海をめぐる問題への取
り組みを強めている。
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アジア諸国、北極評議会オブザーバーの地位を得る
15.05.2013, 17:30
ナタリヤ カショ
北極評議会のメンバー諸国が中国、インド、日本、韓国、シンガポ
ール、さらにはイタリアをオブザーバー参加させることを決めた。
スウェーデンの都市キルナで採択された宣言に記された。これに署
名したのは評議会のメンバー諸国、すなわち北極海を囲むロシア、
米国、カナダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスラ
ンド、フィンランドの各国外相。

  今日にいたるまで陰謀は残っている。北極評議会メンバーはオブ
ザーバー定員の拡大について立場の相違を抱えていた。

  たとえばカナダは極めて慎重であった。カナダは、関係国数が増
えると、評議会の活動に支障が出る、と考えていた。米国も、中国
との全体的な対立に鑑み、最後の最後まで、中国にオブザーバーの
ステータスを付与することに躊躇した。たしかに、中国が評議会に
関与するのは商業的関心からなのである。ヨーロッパ研究所の専門
家セルゲイ・ロギンコ氏はそう語る。

「中国はアイスランドの大陸棚における石油開発について、アイル
スンドと積極的な交渉を行っている。この点については、最初に同
地域に手をつけ、長らく調査を行っていた米国企業と競合が起こっ
ている。米国企業がアイスランド大陸棚における化石燃料埋蔵量に
関するデータを明らかにするや否や、中国が勢いよく割り込み始め
、その程度は日増しに高まっている」(S.ロギンコ)

  一方、アイスランド、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、
スウェーデンは、当初の当初から、中国を含め、名乗りを挙げたも
のにオブザーバー資格を付与することに賛成であった。再びロギン
コ氏のコメントを引く。

「中国は昔から、政治・財政的に弱い国々を通じて北極海との関わ
りを作る努力を行ってきた。それら国々はいま、深刻な経済・債務
問題を抱えており、北極評議会への関与権利と引き換えに、誰でも
いいから資金を提供してもらおうという構えなのだ」(S.ロギンコ)

  ではロシアはどうか。ロシアは常に、中国やインド、日本、韓国
、シンガポールの抱く、積極的に北極におけるパートナーシップに
加わろうとする狙いに理解を示してきた。おそらく、ロシアの立場
が、今回の決定においても重要な役割を果たしたもののようだ。

  ロシアは、北極開発に関する独自の巨大なプランを持っている。
たとえば、大陸棚の境界の拡張要求を裏付けることを使命とした北
極探検の頻度を高めていることが上げられる。先日、北極海航路に
関する法律が採択された。その中で、同航路は歴史的に形成された
ロシアの国家的輸送連絡航路であると規定がなされた。さらに、ロ
シアの北極海開発戦略の中には、この地域の石油ガス産地を開発す
るためのリザーブフォンドの設立ということも含まれる。

  こうした計画を踏まえて、ロシアは、北極から遠く隔たったこれ
ら国々にもオブザーバーの地位を付与する提案を行っている。その
際、理性的なバランスを心がけている。一方では、非北極海沿岸諸
国と沿岸諸国との相互利益的パートナーシップを拡大しつつ、他方
では、沿岸諸国にこそ北極における主権、最高権、司法権があると
いうことを、域外のプレイヤーに尊重させる配慮を欠かさない。モ
スクワの考えでは、北極評議会は自身のリージョナル・アイデンテ
ィティと決定の効率性を保たねばならない。

  現段階ではオブザーバー諸国は北極評議会のイベントに代表を送
り、プロジェクトを発案することが出来るのみである。発案された
プロジェクトは、常任メンバー「ビッグ8」の承認を得る段階に回さ
れる。しかし、オブザーバー諸国は北極評議会の単なる「お客さん
」にとどまることは望んでいないだろう。彼らは北極海の富の配分
に関し、意見を言う権利を要求するだろう。おそらく、この問題は
オブザーバーの地位に関する主要な問題として残るだろう。そうい
うわけで、北極評議会には陰謀が残っているのである。


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