4670.安倍首相の歴史認識を米が懸念



訪米中の韓国の朴槿恵大統領は8日、上下両院合同会議で演説した。
日本を念頭に「歴史に目をつぶる者は未来が見えない。歴史に対す
る正しい認識を持てないことは、今日の問題でもあるが、さらに大
きな問題は、明日がないということだ」と批判した。

これより前に、米議会調査局は日米関係の報告書をまとめ、旧日本
軍慰安婦問題などをめぐる安倍晋三首相の歴史認識について「(東
アジア)地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害する恐れがあ
るとの懸念を生じさせた」と指摘した。その詳細な情報を公式報告
書にまとめて議員に提供し議論に影響を及ぼしている。その上での
韓国の朴槿恵大統領の演説である。

安倍首相は、植民地支配と侵略を認めた一九九五年の村山富市首相
(当時)の談話について、今年四月の国会答弁で「そのまま継承し
ているわけではない」「侵略の定義は国際的にも定まっていない」
と述べたことで、米国が非公式に懸念を伝えた。

米国内でも日本は、第2次大戦を反省していないとなると、米世論
も許せないことになる。そのような冒険を安倍さんはしている。

現時点でも、戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓
国部長は、日米韓の三角形のうち「日韓の部分が極めて悪化したこ
とが(米国の)ジレンマになっている」と指摘し、日本の河野談話
見直しを牽制している。

このため、菅官房長官は7日の記者会見で、いわゆる従軍慰安婦問
題に関する1993年の河野洋平官房長官による「河野談話」につ
いて、見直しに慎重な姿勢を表明した。それなら、懇談会を作らな
ければよいではないか。

このコラムで国益を棄損するから止めるべきと言ってきたが、とう
とう米国も含めて懸念を表明され始めている。

しかし、首相は戦後70年の節目となる2015年に歴史認識に関
する「安倍首相談話」を発表する考えだ。「過去の植民地支配と侵
略」について謝罪した1995年の村山首相談話の見直しは、政権
内で既定路線となりつつあることは良いが、日本の侵略を否定する
と、これは河野談話見直しより、国益を棄損してしまうことになる。

安倍政権の裏にいる右翼ネオコンが恐ろしい。国際的な影響を無視
して自分勝手な振る舞いをするので、国益を著しく棄損することに
なる。

安倍さんは、その右翼ネオコンを排除することが必要である。
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首相 歴史認識 米が懸念 「東アジア混乱」「米国益害する」
2013年5月9日 07時20分tokyo
 【ワシントン=竹内洋一】米議会調査局が日米関係の報告書をま
とめ、旧日本軍慰安婦問題などをめぐる安倍晋三首相の歴史認識に
ついて「(東アジア)地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害
する恐れがあるとの懸念を生じさせた」と指摘した。米有力紙にも
首相の歴史認識を批判する社説が相次ぐなど、東アジアの不安定化
要因として危惧する声が高まっている。
 米議会調査局は、上下両院議員の立法活動を補佐するためその時
々の国政の重要課題について専門スタッフが調査し、詳細な情報を
公式報告書にまとめて議員に提供。議論に影響を及ぼしている。

 今月一日付の日米関係の報告書は、首相が「強固な国粋主義者」
として知られ、「帝国主義日本の侵略やアジアの犠牲を否定する歴
史修正主義にくみしている」と指摘。慰安婦問題や靖国神社参拝を
めぐる言動は、「米国や日本の近隣諸国から注意深く監視される」
と強調した。

 報告書は、植民地支配と侵略を認めた一九九五年の村山富市首相
(当時)の談話について、安倍首相が今年四月の国会答弁で「その
まま継承しているわけではない」「侵略の定義は国際的にも定まっ
ていない」と述べたことに触れ、米国が非公式に懸念を伝えたとの
報道に言及した。

 慰安婦問題では、報告書は旧日本軍の関与を認めた九三年の河野
洋平官房長官(当時)による「河野談話」の見直しが安倍首相の持
論であり、仮に見直せば日韓関係を悪化させるとしている。米国内
の反応として、クリントン前国務長官が「慰安婦」でなく「(強制
された)性的奴隷」という用語を使うよう国務省高官に指示したと
の報道も引用した。
 さらに「首相は熱心な国粋主義者を閣僚に選んだ」と指摘。複数
の閣僚が靖国神社を参拝し、中韓両国が反発していると説明した。
 米有力紙も、安倍首相について「歴史を直視していない」(ワシ
ントン・ポスト)、「不必要なナショナリズム」(ニューヨーク・
タイムズ)とする社説を掲載している。

◆首相 侵略の国連定義は「参考」 参院予算委
 安倍首相の歴史認識に関する発言が波紋を広げている。村山談話
や河野談話といった過去の政府談話をそのまま踏襲したくない首相
の本音が見え隠れするからだ。中国、韓国の反発だけでなく、首相
が同盟関係を重視する米国からも懸念が示され、事態の沈静化は遠
い。

 八日の参院予算委員会でも、過去の植民地支配と侵略を謝罪した
村山談話が議論となった。首相は「侵略」を「他の国家の主権、領
土保全、政治的独立に対する武力行使」などと定義した一九七四年
の国連総会決議について「国連安全保障理事会が侵略行為を決定す
るためのいわば参考だ」と指摘。「学問的にさまざまな議論があり
、絶対的な定義は決まっていないと(四月の国会で)申し上げた。
政治家として立ち入ることはしない」と述べた。

 村山談話をめぐっては、戦後七十年の節目となる二〇一五年に「
未来志向」の新たな談話を発表する意向を表明している。その際、
村山談話でアジア諸国に「多大の損害と苦痛を与えた」とした部分
は、安倍内閣でも同じ立場だと言っている。

 だが、村山談話の核心部分ともいえる日本の侵略を認めて謝罪し
た部分に関しては、内閣として引き継ぐとは明言しない。
 首相は従軍慰安婦に関する河野談話についても、〇七年の第一次
安倍内閣当時に、日本軍による強制連行の証拠は見当たらないとし
た答弁書を踏襲する考えを表明。慰安婦に対しては「お見舞いを申
し上げたい気持ちは歴代内閣と変わりはない」と国会で答弁する一
方で、強制性に関する認識などについては「外交問題に発展する」
として、対応を菅義偉官房長官に委ねる姿勢を通している。

 首相は八日の予算委で「日本は深刻な反省から戦後の歩みを始め
た。安定的な平和を維持する努力もしてきた」と日本の立場に理解
を求めていく考えを強調。菅氏も記者会見で「外交ルートを通じて
理解をしてもらうに尽きる」と擁護するが、事態を好転させる打開
策は何も示されていないのが現状だ。 (大杉はるか)
(東京新聞)
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新機軸打ち出せず効果疑問 日韓冷却化も足かせ
2013.5.9 00:07 sankei
 【ワシントン=犬塚陽介】米韓両国は7日の首脳会談で、北朝鮮
に非核化を迫り、対応次第で対話にもかじを切る原則論を再確認し
た。オバマ米政権の「戦略的忍耐」を実質的に継続しながら、韓国
の朴槿恵政権が対話の糸口を探る連携策だが、新味はなく、事態の
打開につながるかは不透明だ。対北金融制裁に乗り出すなど中国の
対応に変化の兆しが見える中、日韓関係の冷却化が新戦略を構築す
る足かせになっているとの指摘もあり、航路が定まらぬ日米韓の「
手探りの前進」が続きそうだ。

 「朴大統領のアプローチは、私のものと一致しており、(米韓が
)過去数年、取り組んできたものだ」

 オバマ大統領は首脳会談後の共同記者会見で、あくまでも北朝鮮
に変化を促す両国の基本方針に変更がないことを強調した。朴大統
領も自らの「北東アジア平和協力構想」と米国のアジア重視戦略は
「相乗効果を発揮できる」と述べるなど、双方が一体感の演出に力
を注いだ。

 オバマ大統領は今回、抑止力を維持しながらも対話の糸口を探る
朴政権の「信頼醸成プロセス」に形の上では支持を表明した。しか
し、まずは北朝鮮側に譲歩を要求する米国の「戦略的忍耐」に変更
はなく、局面打開策を打ち出したとまでは言い難い。

 一方、オバマ政権が変化の兆しと注目するのが中国の対応だ。中
国4大国有銀行の一つの中国銀行が7日、北朝鮮の朝鮮貿易銀行と
の取引停止を発表するなど、中国が引き締めに乗り出した意味合い
は大きい。

 外交問題評議会のスナイダー上級研究員は、日米韓が「(北朝鮮
の)変革をどう呼び込むかの詳細な共通戦略を構築できていない」
として、中国を取り込んだ現実的な枠組みの確立が急務と指摘する。

 その上で最大の障壁となりそうなのが、日韓関係の急速な冷え込
みだ。日韓両国が共同安全保障への取り組みを宣言するなど、米国
を加えた3国間の強力な連携が中国への圧力となり、行動を促す原
動力になるとの見方は強い。

 だが、戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部
長は、日米韓の三角形のうち「日韓の部分が極めて悪化したことが
(米国の)ジレンマになっている」と指摘。早期の協力体制構築に
ついても悲観視し、北朝鮮情勢の前進には日韓関係の改善が不可欠
との見方を示した。
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韓国、歴史認識で米国巻き込んだ対日包囲網は不発
2013.5.8 22:51 産経[韓国]
 【ソウル=加藤達也】韓国政府関係者は8日、韓国の朴槿恵大統
領がオバマ米大統領との首脳会談で、「北東アジア地域の平和のた
めには日本が正しい歴史認識を持たなければならない」と述べたこ
とを明らかにした。オバマ大統領の回答は不明だが、韓国大統領が
米大統領に日本の歴史認識に関して発言するのは異例だ。

 初の外遊となった今回の訪米で朴大統領は米韓同盟の強固さや、
攻撃的な姿勢を続ける北朝鮮に対し、米韓が共同で対応することな
どをアピール。首脳同士の良好な関係を強調することに成功した。

 だが韓国側は今回の訪米について、安倍晋三政権の歴史認識をめ
ぐり米国を巻き込んで包囲網を構築し、対日外交圧力にも利用しよ
うとしたフシがある。

 韓国側の動きには伏線があった。6日、外務省の金奎顕第1次官
が韓国国会で、「日本の時代錯誤の言動に米国も困っており、(日
本に)助言もしていると聞く」と発言。さらに「周辺国の懸念」を
米国に説明する意向を表明し、米側と根回しが進んでいるとの印象
を与えた。

 朴大統領も米国入り直後、ニューヨークで韓国系米国人らを前に
、対北朝鮮で韓国と共同歩調を取る国として米、中両国を挙げなが
ら日本を無視。首脳会談後の記者会見でも、日米韓の結束を強調す
るオバマ大統領をよそに日本への言及を避けた。ワシントン・ポス
ト紙とのインタビュ

 韓国にはもともと「極右・安倍政権」に対する潜在的な反感があ
る。アベノミクス効果の円安にも被害意識が強まっていたが、これ
までは安倍政権を批判しようにも具体的な“標的”に乏しく、政界
やメディアにストレスがたまっていた。

 日本の外交筋は「『侵略をめぐる評価は定まっていない』とする
安倍発言が飛び出し、韓国側は攻撃の糸口をつかんだ格好となった。
当面、あらゆる場面で安倍政権の歴史認識批判を続けるだろう」と
みる。

 ただ最近、米政府高官と面会した日本政府筋は「米国は日韓の“
歴史認識戦争”には一切関与しない。両国には連携と協調を求める
」とのメッセージを米側から受け取っており、今回の訪米を機に米
国を対日批判に引き込もうという韓国側の狙いは当てが外れる結果
となっている。
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誤った歴史認識に明日はない=日本念頭、米議会で演説−韓国大統領
 【ワシントン時事】訪米中の韓国の朴槿恵大統領は8日、上下両
院合同会議で演説した。日本を念頭に「歴史に目をつぶる者は未来
が見えない。歴史に対する正しい認識を持てないことは、今日の問
題でもあるが、さらに大きな問題は、明日がないということだ」と
批判した。

 朴大統領は7日の米韓首脳会談でも「日本が正しい歴史認識を持
たなければならない」と言及しており、名指しは避けながらも、改
めて安倍政権への不信感、厳しい対日観を示した形だ。

 朴大統領は「今日までの東北アジア地域は、協力の潜在力を極大
化させられないでいる」と指摘。「域内国家の経済的力量と相互依
存は日々増大しているが、歴史に始まる葛藤はさらに深まっている
」と述べ、日中、日韓の対立が域内協力の障害になっていると強調
した。

 その上で、こうした問題を克服するビジョンとして「東北アジア
平和協力構想」を提唱。米国と北朝鮮を含む北東アジアの国家が「
環境、災害救助、原子力の安全、テロ対応などの課題から対話と協
力を通じて信頼を重ね、少しずつ違う分野まで協力の範囲を広げて
いく東北アジアの多国間対話プロセスを始める時が来た」と説明し
た。 

 韓国大統領の米上下両院合同会議での演説は李明博前大統領が
2011年10月に行って以来で、6人目。今回のように公式実務
訪問にもかかわらず、演説するのは異例だ。韓国側によると、米韓
同盟60周年であることなどが勘案されたという。
(2013/05/09-01:20)
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従軍慰安婦巡る河野談話、見直し慎重…官房長官
読売新聞 5月8日(水)8時50分配信
 菅官房長官は7日の記者会見で、いわゆる従軍慰安婦問題に関す
る1993年の河野洋平官房長官による「河野談話」について、「
見直しを含めて検討という内容を述べたことはなかった。安倍政権
としては、政治問題、外交問題にさせるべきではないというのが基
本的な考え方だ」と述べ、見直しに慎重な姿勢を表明した。
 歴史認識の見直しに意欲を見せる安倍首相の路線に対し、韓国や
中国だけでなく米国にも懸念が広がっているため、事態の沈静化を
図る狙いがある。
 首相は戦後70年の節目となる2015年に歴史認識に関する
「安倍首相談話」を発表する考えだ。「過去の植民地支配と侵略」
について謝罪した1995年の村山首相談話の見直しは、政権内で
既定路線となりつつある。ただし、河野談話の見直しにも踏み込め
ば、日韓関係悪化は決定的になるため、河野談話を当面維持するこ
とでバランスを取る狙いがあるとみられる。



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