4666.日本は中国にどう対抗するのか?



米カーネギー国際平和財団から中国軍備研究が出てきた。これによ
ると日米の軍備を上回る軍備を2030年までに中国は整備してく
るという。湾岸戦争程度の戦争を中国単独で行えるほどの軍備を整
備することになると警鐘を鳴らしている。中国の強気の原因は、軍
備の拡張にあることのるようだ。この検討。  津田より

0.経緯
中国の軍事拡張は、長期計画で行なってきた。1950年、朝鮮戦
争で核使用と米国から脅された。このため、毛沢東は通常兵器の開
発より優先して、1950年代中頃に核兵器の開発を決断し、1960年核
開発を開始する。1965年最初の核実験に成功し、1966年には広島ク
ラスの原子爆弾を作り、1970年には人工衛星で中距離ミサイルを生
産可能とした。

このように核開発成功で、米国は急遽、キシンジャーが中国との関
係を見直し、1971年、中国を国連の常任理事国になる。そして、1972
年にはニクソン訪中で米中友好関係を確立する。その後も核兵器を
発展させて、1980年にはICBMが完成し、米西海岸まで到達範囲とし
た。

最初は、ソ連からの平和利用のウラン濃縮で始まる。それを改良に
改良を重ねて、高濃縮したウラン型の原子爆弾を作るのである。こ
の技術がパキスタンに展開し、それが北朝鮮に渡り、そしてイラン
に渡ろうとしている。核拡散は中国が最初の発信源である。

そして、ケ小平は核のバランスが米中ソででき、均衡が取れたと見
た後、1985年から通常兵器の開発に移る。その成果が2009年のパレ
ードで出てきた。戦車38両と少なく、装甲車100両、無人機など非対
称戦争に備える兵器が中心であり、電子戦ができる態勢ができたよ
うである。

そして海軍の艦艇でも近代化が進んでいる。空母「遼寧」を2012年
に配備したが、もう1隻を建造している。2015年には配備するとい
う。艦載機「殲(せん)15」を開発して、その発着艦訓練をして
いる。

最初は、ソ連製のソヴレメンヌイ級駆逐艦であったが、米イージス
艦の技術を盗み、蘭州級駆逐艦を作る。アメリカ海軍の最新鋭ドッ
ク型輸送揚陸艦サン・アントニオの図面と同様な071型ドック型揚陸
艦をつくる。世界の航空機や艦船のコピーを作るというマネしてい
る。ロシアのS-27、S-30などもコピーして中国国産機としている。
しかし、その数が多い。

この国防費用は、国民への社会保障をしないことで生み出している。
中国は二重統治であり、行政府と党組織の二重の統治コストがある
が、国民サービスをしなくてよいことで、膨大な国防費を生み出し
ている。

1.最近の予測
カーネギー国際平和財団のマイケル・スウェイン上席研究員ら9人
の専門家は警告する。中国は、陸海空と指揮・統制のすべての軍事
分野で兵器システムの「絶対数を大きく増やす」可能性が高いと予
測し、「軍事力を背景にした強制的影響力で、日本との紛争を有利
に解決できるようになる」と指摘した。

事実、中国が建造を予定している空母の数について断言することは
できないが、北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の3大艦隊に2隻ずつ配
備するために、計6隻が建造される可能性が高い。そうなった場合、
中国海軍の空母数は米太平洋艦隊と肩を並べることになる。

中国人民解放軍は空母を保有することにより、「米空軍・海軍の中
国本土への攻撃を阻止し、米艦隊の中国近海・遠洋における封鎖を
突破する」、「中国エネルギー輸入の海上輸送ルートの安全保障」
といった問題を解決することができるだろうという。米国のオフシ
ェア・コントロールをも無効にしてしまう計画が出来ているようで
ある。

別の予測、4月21日のDefense Newsで米軍時研究機関のボブ・ニュ
ージェント上級アナリストによると、アジアとオセアニアで6隻の
空母、128隻の水陸両用艦と21隻の補助艦、12隻の護衛艦、2隻の巡
洋艦、42隻の駆逐艦、235隻の高速戦闘艇、115隻の護衛艇、34隻の
掃海挺、82隻の近海巡視艇、225隻の巡視艇、116隻の潜水艇の建造
が予定されている。うち中国の艦艇は172隻、韓国は145隻、日本は
74隻だ。中国が一番で、韓国が頑張っているが、半分以下の日本は
負けている。

このため、2010年6月、カナダ・トロントでG20サミットで、オバマ
大統領は米韓同盟を「Linchpin」(かなめ)だと言及し、それまで
日米同盟を指す言葉を使い、日米同盟は「Cornerstone」(礎石)と
表現して、一段低くなっている。韓国の艦船の方が多くなるのでそ
うなる。このように、日本は米国からも当てにされていないのだ。

そして、中国の軍備拡張の上に、崔天凱駐米中国大使が、尖閣問題
で日本寄りの対応をする米国を、米国のためにならないと脅す事態
になっている。中国は、「日本が北方領土を差し置いて釣魚島に野
心を燃やすのはなぜか」の原因を中国の弱腰と分析しているので、
軍事的に拡張は国家目標になる。

中国海軍の育ての親でもある劉華清が掲げた海軍建設のタイムスケ
ジュールは、「再建期」として1982-2000年 中国沿岸海域の完全な
防備態勢を整備し、これはほぼ達成済みであり、その後、「躍進前
期」で2000-2010年 第一列島線内部(近海)の制海権確保すること
であり、その後「躍進後期」で 2010-2020年第二列島線内部の制海
権確保するために、航空母艦を建造する。そして、「完成期」 2020
-2040年で、アメリカ海軍による太平洋、インド洋の独占的支配を阻
止して、2040年にアメリカ海軍と対等な海軍を建設するとしている。
このスケジュールに従って、中国は邁進している。

2.米国の国防費削減
反対に、ヘーゲル米国防長官は、「国防費の強制削減は、アメリカ
の国防態勢に深刻な影響をもたらすであろう。それで良いとは言わ
ないが、その現実に立ち向かわねばならない。過去にも、大不況時
や、ベトナム戦争後など国防費が削減された時期もあった。その時
の教訓も踏まえて、国防態勢を強化しよう」という。しかし、苦し
そうである。

現在の米国政治では民主党が社会保障の減額に応じれば、共和党も
、国防費のためならば、増税に応じるであろうが、民主党のオバマ
大統領はどうしても社会保障の減額に応じないので、国防費の強制
削減は避けられないようである。

このような状況で、元米国海軍のアジア戦略の権威マイケル・マク
デビットは、中国が尖閣に軍事攻撃をかけてきても、米国は中国と
の戦闘に踏み切るべきではないという意見を公式な場で述べて、注
視を集めた。米軍の能力を一文の価値もない島などという無駄なこ
とで消費してはいけないというのだ。このため、日本は尖閣の防衛
を自分で行うことが必要になっている。

3.日本への期待
このように、日本への圧力が増している。その上に、ヘーゲル国防
長官は同盟国の貢献を期待して、日本の防衛費増額を要求してくる。
日米同盟を強化する上でも、日本は防衛費を大幅に増額していく必
要があると見る。社会保障費を切って、国防費を増額することにな
るようだ。米国と逆の状況に日本は陥る。

日本を円安にして、世界に日本の商品を売って、米国から装備を買
うことを米国は誘導しているような気もする。しかし、米国は日本
の右傾化には神経質であり、安倍首相が右翼警戒の罠に嵌ると、米
国は中立になり、日本を見捨てることになる。

安倍首相が自民党の総裁選挙と衆議院選挙で言った河野談話見直し
、村山談話見直しの国際政治上の影響は大きく、日本は苦しい状態
になっている。民主党政権の方が良かったと米国のリアリストなど
の知識人は思っているようだ。非常に安倍さんを警戒している。

安倍首相の経済政策には期待しているが、歴史見直しは、この状況
で持ち出してはいけない。中国対抗のために集団自衛権やロシアと
の平和友好条約の締結などを早期に行うことが必要になっている。

リアリストでないと、日本は滅亡の危機にあることを肝に銘じるべ
きである。

さあ、どうなりますか?

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中国の「領土的野心」批判=米政府にも苦言−WSJ紙
 【香港時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(アジア版
)は3日の社説で、尖閣諸島問題などを例に挙げて、中国の「領土
的野心」を批判した。
 同紙は中国の最近の対外姿勢について、尖閣海域に公船を派遣し
続けているほか、中国軍部隊がインドの実効支配地域に侵入したり
、中国船が南シナ海でベトナム漁船を炎上させたりしていると指摘
。中国は「より独断的」になり、「現状を自国に有利なように変更
するため、あらゆる口実を使っている」と分析した。
 同紙はまた、「オバマ政権は、同盟諸国を支援し、中国が他国を
脅すのを阻止するという決意に欠ける態度を続けている」として、
米国の対中姿勢にも苦言を呈した。(2013/05/03-18:14)
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中国の軍備増強、日米優位崩れる恐れ 米専門家が予測
2013年5月3日17時32分
 【ワシントン=加藤洋一】2030年まで中国が軍事力増強を続
けたら、日本や日米同盟にどんな影響があるか――。米国の外交・
安保専門家グループが将来予測をまとめた。日米の軍事的優位は揺
らぎかねず中国との緊張が高まると指摘。外交政策の転換を図らな
い限り、日米の国益維持は難しくなると警告している。

 カーネギー国際平和財団のマイケル・スウェイン上席研究員ら9
人の専門家が約5年かけて完成させた。

 中国は、陸海空と指揮・統制のすべての軍事分野で兵器システム
の「絶対数を大きく増やす」可能性が高いと予測。「軍事力を背景
にした強制的影響力で、日本との紛争を有利に解決できるようにな
る」と指摘した。中国と日米の間で戦争は想定されないものの、「
尖閣のような紛争はさらに多発し、一層深刻化する」(スウェイン
氏)と分析している。
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China’s Military and the U.S.-Japan Alliance in 2030
: A Strategic Net Assessment
Michael D. Swaine, Mike M. Mochizuki, Michael L. Brown, 
Paul S. Giarra, Douglas H. Paal, Rachel Esplin Odell, 
Raymond Lu, Oliver Palmer, Xu Ren
REPORT MAY 3, 2013
http://carnegieendowment.org/2013/05/03/china-s-military-and-u.s.
-japan-alliance-in-2030-strategic-net-assessment/g1wh

The emergence of the People’s Republic of China as 
an increasingly significant military power in the Western Pacific 
presents major implications for Japan, the U.S.-Japan alliance, 
and regional security. But a comprehensive assessment 
of the current and possible future impact 
of China’s military capabilities and foreign security policies 
on Tokyo and the alliance, along with a detailed examination 
of the capacity and willingness of both the United States 
and Japan to respond to this challenge, is missing 
from the current debate. 
Such an analysis is essential for Washington and Tokyo 
to better evaluate the best approaches for maintaining 
deterrence credibility and regional stability over the long term.
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中国が新たに建造する空母は6隻か、日本の挟み撃ちが可能に
サーチナ 5月3日(金)16時48分配信
 中国は052C/D駆逐艦、054A護衛艦、056型小型護衛艦の大規模な
建造を開始した。中国海軍が今後、新たな空母の建造を行うことも
間違いないだろう。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
(写真は「CNSPHOTO」提供)

 現時点では中国が建造を予定している空母の数について断言する
ことはできないが、北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の3大艦隊に2隻
ずつ配備するために、計6隻が建造される可能性が高い。そうなった
場合、中国海軍の空母数は米太平洋艦隊と肩を並べることになる。

 中国人民解放軍は空母を保有することにより、「米空軍・海軍の
中国本土への攻撃を阻止し、米艦隊の中国近海・遠洋における封鎖
を突破する」、「中国エネルギー輸入の海上輸送ルートの安全保障
」といった問題を解決することができるだろう。

 米国は現在、海洋全体で中国に勝利できる戦力を保有するが、中
国の海岸線付近では十分な勝算を持たない。これは10年前の一方的
なパワーバランスと大きく異なるものだ。中国が国産空母を保有し
た場合、鬼に金棒となるだろう。

 中国と日本が軍事衝突した場合、空母保有により中国の実力が大
幅に引き上げられる。日本海側からだけではなく、太平洋側からも
日本全国に攻撃が仕掛けられるからだ。

 南シナ海のスプラトリー諸島(西沙諸島)の主権問題を処理する
にあたり、空母は中国の強力なコマになる。空母は中国がロシアお
よびインドなどと外交駆け引きを展開する際にも、積極的な役割を
発揮するだろう。(編集担当:米原裕子)
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崔天凱駐米中国大使が、尖閣問題で中国寄りの対応をするよう米国
に要請
ニュースの教科書編集部2013年05月03日 09:07BLOGOS
 尖閣諸島問題をめぐる小野寺防衛大臣の発言に対して、崔天凱駐
米中国大使が強い口調で批判を行っている。

 4月29日、米国防総省でヘーゲル米国防長官と会談した小野寺防衛
相は、尖閣諸島について中国側をけん制する発言を行った。
 これに対して崔氏は、「日本の政治家による最近の言動は、石を
自分の足に落とすような行為である」として日本側を強く非難した。
また米国に対しては「第三者がこの問題に関与しないことを望む」
として日本寄りの発言をしないよう強く求めた。

 大使が当事者以外の第三国の行為について直接的に批判するのは
異例。崔氏の批判は日本に対してというよりも米国に向けられてい
る。

 崔氏は2007年から2009年まで駐日大使を務めた経験もあるが、英
語のエキスパートで米国や英国の専門家だ。大使着任前から米国政
界において「尖閣諸島は中国の領土である」とするロビー活動を積
極的に行っていた。駐米大使への起用も日本と米国の分断工作が念
頭にあるといわれている(本誌記事「中国の新駐米大使は駐日大使
経験者。中国はいよいよ日米分断作戦開始との噂」参照)。

  ヘーゲル国防長官と小野寺防衛相の会談における米国側の発言は
、特に踏み込んだものではなく、領有権については日本にも中国に
も肩入れしないというものであった(本誌記事「小野寺防衛大臣と
べーゲル国防長官が会談。諜報分野での日米連携強化で合意」参照
)。ただ米国政府は以前から、尖閣諸島は日米安保の対象範囲内で
あるという見解を示しており、今回もそれを踏襲している。
 米国にしてみれば、領有権については何とも言えないが、日本側
には実効支配権があると認めているということになる。

 だが尖閣諸島の実効支配権の獲得を狙う中国としては、このよう
な米国サイドの発言が繰り返されると、現状維持という既成事実が
積み上がるため都合が悪い。崔大使の発言は、米国側にもう一歩踏
み込んだ発言をするよう、強く促しているということになる。

 ホワイトハウスや国務省、国防総省などは、今のところ現状維持
の方針を変えていない。だが議会やマスメディアの動きはこれとは
少し異なっている。議会やメディア関係者は中国や韓国によるロビ
ー活動の影響を少なからず受けているのだ。
 2月に行われた日米首脳会談に際して議会が作成した日米関係の報
告書には、安倍首相は「右翼的ナショナリスト」と定義されており
、従軍慰安婦問題(原文では日本皇軍による性奴隷と表現されてい
る)を安倍首相が否定していることで、国際問題を引き起こしてい
ると分析している(本誌記事「米議会が日米関係の報告書を提出。
尖閣問題よりも従軍慰安婦が重要テーマ」参照)。

 議員の中には極めて政治的な動きをする人物もおり、議会の動き
がそのまま米国の世論ということにはならない。だがホワイトハウ
スも最終的には議会の影響を無視することはできないことを考える
と、日本を敵視する議会関係者の動きには注意が必要だ。

 また日本人はあまり認識していないが、米国の記者会見では、た
びたび日本の右傾化問題と米国の対応に関する質問が出ている。メ
ディアによる批判は長いスパンでボディブローのように効いてくる
可能性もあり、たかが記者の質問と甘く見るのは禁物だ。
 先日、安倍首相が迷彩服姿で戦車に乗るパフォーマンスを見せた
ことが議論となったが、海外メディア対策という意味では、日本批
判の口実を与える言動は慎んだ方が得策だろう。
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米国防費強制削減の行方
2013年05月03日(Fri)  岡崎研究所  WEDGE
ヘーゲル米国防長官は、4月3日に行った、国防大学での講演で、「
国防費の強制削減は、アメリカの国防態勢に深刻な影響をもたらす
であろう。それで良いとは言わないが、その現実に立ち向かわねば
ならない。過去にも、大不況時や、ベトナム戦争後など国防費が削
減された時期もあった。その時の教訓も踏まえて、国防態勢を強化
しよう」と述べています。

 すなわち、諸兄はこれから国防の重責を担うのであるが、常に次
の3つのことを考えて欲しい。1つは、それが国家の安全保障に役立
つか、2つは、それがアメリカの政治、経済、価値観におけるアメリ
カの戦略に資するかどうか、3つは、それが兵員及び家族の犠牲に価
するか、である。

 さて、米国はアフガン・イラクの10年の戦争から立ち直って来た
が、まだまだ、中東や北アフリカの過激主義者の脅威はあり、武器
の拡散やサイバー攻撃などの危険は続いている。

 国防省は、国防費の減額は不可避と考えて、新しい戦略的環境に
即応した経費の削減を実施して来た。ところが、財政の必要と政治
的な行き詰まりのため、それより遙かに深い、突然の削減に見舞わ
れている。予算の強制削減(Sequester)は、軍の運用と近代化に深
刻な影響を及ぼし、軍の即応態勢にも影響している。

 Sequesterによる国防費削減、それによる国防力の減退をいつまで
も受け入れるとは言わないが、希望的観測だけに頼ることも出来ない。

 そうなると体制の改編という困難な問題を考えねばならない。そ
れは、軍人とシビリアンとの割合、将校と兵員との割合、将軍の数
など、トップ・へヴィーの問題、どこまで軍人を防衛業務でない、
民間、経済業務に従事させるか、などである。その抜本的解決は不
可能に近いかもいれないが、なんとかせざるを得ない。

 また、われわれの同盟国やパートナーからどれだけが期待できる
かも考えねばならない。

 しかし、米国は、常に新たな環境に適応し、将来に残る投資をし
てきた。大恐慌のあった戦間期にもそうであったし、朝鮮戦争後に
は、アイゼンハワーが科学技術振興を行い、ベトナム戦争後には、
F-16が開発され、冷戦後においても、GPSの開発などが行われた。

 アメリカは、世界的な責任をもっているので、引き籠るわけには
行かない。アメリカがしなければ、誰か他の国がその空白を埋める
ことになろう、と述べています。
 * * *
 これは、苦渋に満ちたスピーチであると言ってよいでしょう。

 従来のペンタゴンの立場は、Sequesterが実施される前に、国防費
の節約は十分やって来ており、それ以上はとてもできない、という
ものであり、現在も本音はそうなのでしょう。

 昨年6月のシャングリラ会議では、パネッタ国防長官は、国防予算
の制約については、国防費の4870億ドル削減については、軍の合理
化によって対応すると述べ、そのコンテクストで、太平洋と大西洋
の米海軍艦船の比率を60対40にするという考えも披瀝しています。
そして、その後の5000億ドルと言われているsequesterについては、
「sequesterは、本当の危機でなく、人工的に作られた危機であり、
議会が、自分自身に対して最後通牒を出しているだけである。共和
党も民主党も、これを実施すれば破滅的だと知っているのであるか
ら、最終的には両党は何とかこの問題を解決するであろう」、と述
べ、社会保障への切り込みも増税もあり得る、と示唆していました。
つまり、当時は国防長官自身、sequesterのようなとんでもない削減
は実現されるはずもない、と思っていたのです。

 風向きが怪しくなりだしたのは、年秋の交渉が膠着し、年末の交
渉が不成立だったあたりからです。民主、共和両党の交渉チームの
顔ぶれが強硬派ばかりなので、妥協が難しかったというのが一般の
観測でしたが、大統領選挙に勝ってますます頑固になったオバマの
強い意思が、最大の要因と思われます。民主党が社会保障の減額に
応じれば、共和党も、国防費のためならば、増税に応じるでしょう
が、オバマがどうしても社会保障の減額に応じないのではないかと
推測されます。それは、あくまで推測に過ぎませんが、今後とも楽
観は許されません。

 とすれば、米国防費のドラスティックな削減は避けられなくなり
ます。その対策の一つとして、ヘーゲルは同盟国の貢献を期待して
います。そうなると、日本の防衛費増額は、対米外交の強力な切り
札の一つとなる可能性があります。そういう観点からも、日本は、
防衛費の大幅な増額をしていく必要があります。
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「日本が北方領土を差し置いて釣魚島に野心を燃やすのはなぜか」
=中国の弱腰が原因と分析―中国メディア
Record China 5月1日(水)10時32分配信
2013年4月30日、深セン市のニュースサイト・前瞻ネットは、「日本
が、広大な面積を持つ北方領土の回収を焦らず、釣魚島(尖閣諸島
)に野心を燃やし続けるのはなぜか」と疑問を提示し、中国のおと
なしい振る舞いが原因であると分析する記事を掲載している。以下
はその内容。

釣魚島(尖閣諸島)問題の根本的解決に向け、日本が小細工に明け
暮れている。インドと連携し、台湾を取り込んで両岸関係の悪化を
図り、2000億円を携えてロシアへの援助外交を展開、プーチンにこ
びへつらっている。東南アジアではベトナムとフィリピンを小さな
利益で誘導している。日本は中国包囲網を敷き、外交的な圧勝を夢
見ているのだ。

日本は綿密な計算に基づき、中国と対立する勢力とかつてない連携
を図っている。特に注目すべきは、戦後、長期にわたって北方領土
を占領し続けいているロシアへの懐柔である。北方四島の合計面積
は釣魚島の1000倍を超える。日本人が身を切られるような思いを抱
く北方四島を差し置いて、猫の額ほどの釣魚島に対して野心を燃や
し続けるのはなぜなのか。

日本の民族心理からみるに、日本はロシアに対する恐れを抱いてい
る。戦時中、日本はソ連の実力を試そうとして張鼓峰事件やノモン
ハン事件を起こしたが、ソ連の戦車や航空機に大敗した。第二次世
界大戦末期、ソ連は日本最強の関東軍に壊滅的打撃を与えた。ロシ
アは、侵犯を受ければ徹底的に反撃するという極めて明快な国防・
国防政策を持つ。そのため、日本にとってロシアの挙動は予測可能
なものなのだ。

一方の中国は、領土の主張について、釣魚島や南シナ海諸島、陸路
で接した土地などが侵入を受けた際の明確な国防戦略が存在せず、
抗議のレベルにとどまって実質的な行動が伴っていない。にらみ合
いが起こっても、小国に対してすらおとなしく振る舞っているのだ
から、数十年間平和を貫いている解放軍が西側にこけおどしなどと
呼ばれるのも無理はない。日本もこの点に着目し、中国に付け入る
隙があると考えているのだ。釣魚島問題において、中国は何らかの
行動を取るべきであろう。(翻訳・編集/岡本悠馬)
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中国、「核心的利益」を軌道修正 尖閣であいまいに
 在日中国大使館の楊宇参事官(広報担当)は30日の定例記者会
見で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を中国政府が「核心的
利益」と位置付けているかどうかについて「核心的利益には国家主
権や領土保全などが含まれる。釣魚島問題は中国の領土主権にかか
わっている」と述べ、あいまいな表現にとどめた。

 中国外務省の華春瑩副報道局長は26日の記者会見で「釣魚島の
問題は中国の領土主権問題に関係している。当然、核心的利益に属
する」と明言しており、軌道修正した形。日中関係をこれ以上悪化
させないよう、一定の配慮をしたとみられる。(共同)
2013/04/30 20:38   【共同通信】
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コラム:「パッシング・チャイナ」という選択=熊谷亮丸氏
2013年 04月 30日 18:16 JST 
熊谷亮丸 大和総研 チーフエコノミスト(2013年4月30日)

かねてより筆者は、中国に対して日本は「バッシング」ではなくて
「パッシング」、すなわち「非難」するのではなく、もう「通過」
「素通り」してもいいのではないかという主張をしている。

日本のすぐ近くには、タイ、インド、インドネシア、ミャンマー、
ベトナムなどの国々を筆頭とする「南アジア」という巨大な潜在市
場がある。彼らは、戦後の焼け野原から不死鳥のように立ち上がり
、アジアから初めて先進国の仲間入りを果たした日本人に対して、
ある種の憧れを持っている。極めて「親日的」な国が多いのだ。

今後、日本企業にとっては、中国に固執せず「チャイナ・プラス・
ワン」、つまりは中国以外にもうひとつ海外拠点を作ることこそが
喫緊の課題になるだろう。

もちろん、筆者の見解に対して、「中国経済を通過あるいは素通り
して、日本経済は本当に大丈夫なのか」と疑問を呈する向きもある
だろう。事実、日中関係の悪化がわが国の実体経済に及ぼす直接的
な影響としては、3つのルートが考えられる。日本からの対中輸出
の減少、中国にある現地法人の売上高の落ち込み、そして日本を訪
れる中国人観光客の減少である。

だが、筆者の試算では、日中関係の悪化は、最悪のケースでも20
13年度の日本の国内総生産(GDP)を0.2%押し下げる程度
の影響しかない。まさに、日本経済にとっては「蚊が刺した」程度
の影響なのだ。

他方で、金融・為替市場を通じた悪影響には一定の警戒が必要だ。
後述するように、中国にはリスク要因が山積している。中国におけ
る「バブル崩壊」は、世界的な信用不安を引き起こし、消去法的な
円高圧力を再燃させることが懸念される。こうしたリスクを勘案す
ると、今後、日本企業は従来にも増して戦略的な取り組みを強化す
る必要がある。

<2015年中国バブル崩壊説「5つの根拠」> 
中国経済の「バブル」は15年前後から、いつ崩壊してもおかしく
ない。その根拠として以下の5つの要素が考えられる。

第一に、1979年から採用された「一人っ子政策」による少子高
齢化の進展が懸念される。少子高齢化の進展は、税収の低迷などを
通じて、財政赤字拡大を招きかねない深刻な問題である。

第二に、中国の「政治リスク」も深刻だ。中国では政治指導者が交
代する5年毎に混乱が起きる傾向があり、将来的には中国共産党に
よる事実上の一党独裁制が崩れる懸念が強まるだろう。

第三に、「不動産バブル」の崩壊も心配である。中国の経済成長モ
デルは、不動産価格の上昇による「錬金術」を中核に据えている。
驚くべきことに、地方政府の収入の6割程度が、不動産関連収入に
依存している。

第四に、中国では設備の過剰感が強まっている。GDPに占める設
備投資の割合は個人消費を上回っており、個人消費がGDPに占め
る割合は米国で7割超、日本でも6割程度だが、中国では35%に
過ぎない。

特にここ数年、資本や設備の過剰が積み上がり、経済の効率が非常
に悪くなっている。12年点で経済成長率が11―12%に達する
という前提の下で設備投資の意思決定が行われているのだ。実際の
経済成長率の実力は7−8%程度なので、日本のバブルのピーク時
に匹敵するか凌駕するほどの設備の過剰感がある。この先、3―5
年のスパンでみると、15年以降に設備バブルが崩壊する可能性が
高まるだろう。

第五の問題点は、賃金インフレの進行である。中国にとってインフ
レは「天敵」だ。インフレが進行すると、低所得階層の不満が爆発
し、政治的・社会的混乱を伴いながら、経済が「ハードランディン
グ」に至るケースが多いからである。

<「チャイナ・プラス・ワン」の推進がカギ>
日本企業は「技術で勝って、商売で負ける」と言われる。マーケテ
ィング力が弱いというのが日本企業の致命的な欠陥である。野球の
ピッチャーに例えれば「技術力」の高さは速い球を投げる能力だ。
日本企業は時速150キロ台の剛速球を投げる能力を持っている。
しかし、韓国企業という、球速は時速130―140キロ台だが、
絶妙のコントロール(「マーケティング力」)を有するピッチャー
に苦戦しているのだ。

今後の日本企業の戦略としては、剛速球に一層の磨きをかける(最
先端の「技術力」を磨く)ことと、コントロールを良くする(「マ
ーケティング力」を高める)ことの双方に、バランス良く取り組む
必要があるだろう。同時に、日本企業は中国への依存度を下げてい
くべきである。

我々は、「パッシング・チャイナ」という新たな選択を迫られてい
る。日本企業は、中国における「バブル崩壊」のリスクを認識した
上で、「チャイナ・プラス・ワン」を積極的に推進すべきなのだ。

*熊谷亮丸氏は、大和総研経済調査部チーフエコノミスト。日本興
業銀行(現みずほFG)、興銀証券(現みずほ証券)、メリルリン
チ日本証券を経て、2007年に大和総研入社。2002年―20
11年、財務省「関税・外国為替等審議会」専門委員。東京大学法
学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。近著に
「パッシング・チャイナ 日本と南アジアが直接つながる時代」
(講談社)。
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中国は今後20年で艦艇を172隻建造、日本は74隻
2013/04/30(火) 16:45searchina 
  米「ディフェンス・ニュース」ウェブ版はこのほど、複雑な関
係と敵対状態の影響により、アジア太平洋地域の国が軍事費を増や
していると伝えた。今後20年の世界の海軍および海洋安全保障への
支出のうち、アジア太平洋地域からの支出は26%を占めると見られ
る。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  米軍時研究機関のボブ・ニュージェント上級アナリストによる
と、アジアとオセアニアで6隻の空母、128隻の水陸両用艦と21隻の
補助艦、12隻の護衛艦、2隻の巡洋艦、42隻の駆逐艦、235隻の高速
戦闘艇、115隻の護衛艇、34隻の掃海挺、82隻の近海巡視艇、225隻
の巡視艇、116隻の潜水艇の建造が予定されている。うち中国の艦艇
は172隻、韓国は145隻、日本は74隻だ。

  ワシントンのアナリストは、アジアの海軍と軍備調達争いは、
中国が東シナ海、南シナ海での活動を強化していることによるもの
と見ている。(編集担当:米原裕子)
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「沖縄に主権及ばない」=日本けん制、中国政府見解と矛盾
−外務省系誌
 【北京時事】中国外務省傘下の外交専門誌「世界知識」が、「現
在に至るまで日本の合法的主権は沖縄に及ばない」と主張する論文
を掲載し、日中関係専門家の間で波紋を呼んでいる。論文は、明治
政府による台湾出兵や琉球処分につながる「牡丹社事件」(187
1年)に関して、「近代中日関係の起点」とした上で「(日本の)
琉球国に対する併合は日本のアジア侵略の始まりだ」と指摘してい
る。外務省系誌に沖縄の日本帰属を否定する論文が掲載されるのは
異例だ。
 論文は「“牡丹社事件”と日本による琉球国併合」と題して3月
16日号に掲載された。執筆者は雷玉虹氏(復旦大学国際関係・公
共事務学院)。中国政府は公式には「今まで琉球の主権を要求した
ことはない」(外務省高官)としているが、2012年9月に日本
政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化したことを受け、「尖閣に続き、
沖縄に関しても日本をけん制する狙いがある」(日中外交筋)とみ
られる。
 牡丹社事件とは宮古島住民の乗った船が台風で台湾南部に漂流し
、54人が先住民に殺害された事件。これを契機に明治政府は18
74年、台湾出兵に踏み切り、79年に廃藩置県で沖縄県が設置さ
れた。
 論文はこうした経緯について「中国と500年以上の宗藩(宗主
国と属国)関係を維持してきた太平洋の島国が日本の武力によって
併合された」とした上で、「日本の琉球国併合は国際法に合致して
おらず、琉球の人民・政府や宗主国・清朝政府の同意、国際社会の
認可を得ていなかった」と指摘した。
 さらに「日本の合法的主権が沖縄に及ばない」理由として「19
71年の沖縄返還協定で米国が日本に引き渡したのは統治権であり
、主権ではなかった」と主張した。米国から日本に返還されたのは
沖縄の施政権だったことを指しているとみられる。 
 中国で、沖縄に日本の主権が及ぶことを否定する論調は昨年9月
の国有化直後にも見られ、反日論調で知られる共産党系機関紙・人
民日報系の環球時報は「日本は武力で併合した沖縄列島は放棄しな
ければならない」(同月12日付)などという論評を掲げていた。
(2013/04/30-16:32)
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ベトナム、日本と対中連携強化へ 比に続き海洋安保協議
2013.4.29 01:10 sankei
 【シンガポール=青木伸行】南シナ海の領有権を中国と争うベト
ナムの政府筋は28日までに、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を脅かす
中国に対処する日本と連携、協力を強化する意向を示した。両政府
は5月に首都ハノイで、海洋安全保障協議を開催する予定で、ベト
ナムへの巡視船供与についても話し合われる。一方、フィリピンは
、北部ルソン島沖・スカボロー礁に中国艦船が居座り続けて1年以
上が経過し、実効支配への非難と危機感を強めている。

 ベトナム政府筋は「日本はベトナムを、利害を共有する戦略的パ
ートナーとみており、日本に対するベトナムの認識も同じだ」と指
摘。中国の動向と対処に関する情報、分析の共有などや、巡視船の
供与に強い期待感を示した。

 日本とフィリピンとの間ではすでに、2月にマニラで外務、国防
・防衛、海上保安庁・沿岸警備隊の当局者による2回目の「海洋協
議」が開かれている。中国への対処、日本による巡視船10隻の供
与など、多岐に渡る問題が話し合われた。

 ベトナムとの協議は初めてで、「対中牽制包囲網」を形成すると
いう共通の狙いがある。出席者の構成や議題は、日比海洋協議とお
おむね類似するとみられる。

 ベトナムは海上保安庁の中古巡視船10隻の供与を要望している
。日本はしかし、振り向けられる中古船がないため、供与するにし
ても新造船とする意向だ。

 ベトナムの海上保安機関は、国防省の一部局である海上警察で、
巡視船や航空機などを強化している。また、チュオン・タン・サン
国家主席(大統領)は4月中旬、中国から漁民と資源を守るよう海
上警察に指示した。グエン・タン・ズン首相やフン・クアン・タイ
ン国防相も、軍と警察を視察しテコ入れしている。

 中部ダナンには4月下旬、米海軍のミサイル駆逐艦など2隻が寄
港した。3月初めには、ベトナム海上警察と米沿岸警備隊の幹部が
協力で合意し、両国は海上保安機関の間の連携も進めている。

 一方、フィリピンのロサリオ外相は4月26日、中国艦船3隻が
スカボロー礁周辺になお、留まっているとし、「中国は事実上、占
領しようと試みている」と非難した。ラウロ・バジャ元外務次官は
「中国の実効支配下にあり、フィリピンは120平方キロメートル
の領土と49万4千平方キロメートルの排他的経済水域(EEZ)
を失う」と、懸念を表明している。
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もはや日米同盟は「世界でも最も重要な同盟関係」ではない
=米高官が暴露―韓国紙
Record China 4月27日(土)19時47分配信
2013年4月26日、中国新聞網は記事「懸念すべき日本の歴史観=米国
の東アジア戦略に修正も」を掲載した。

韓国紙・朝鮮日報によると、今年初頭、米オバマ政権のある高官が
韓国側に東アジア情勢は大きく変化しており、「日米同盟はもはや
世界で最も重要な同盟関係ではない」と伝えていたという。もちろ
ん日米同盟は今なお重要ではあるが、アジアで最も重要な国は中国
へと移り代わった。

この話を伝えた韓国消息筋によると、安倍政権の誤った歴史認識が
東アジアに大きな問題を引き起こしかねないと米国は懸念している
と付け加えている。

かつて日米同盟は日韓同盟よりも高位の存在と位置づけられていた。
2008年、ブッシュ政権のライス国務長官(当時)は雑誌「フォーリ
ン・アフェアーズ」で「日本とオーストラリアは同盟国であり、韓
国はグローバルパートナーである」と述べている。

この関係に変化が生じたのは民主党の鳩山由紀夫政権でのこと。米
国と距離を置こうとする鳩山政権の外交方針が問題となった。2010
年6月、カナダ・トロントでG20サミットが行われたが、この席上、
オバマ大統領は米韓同盟を「Linchpin」(かなめ)だと言及してい
る。これは従来、日米同盟を指す言葉であった。同時に日米同盟は
「Cornerstone」(礎石)と表現されるようになっている。

また先日、日本を訪問したウィリアム・バーンズ米国務副長官は24
日、加藤勝信官房副長官と会見。日本閣僚の靖国神社参拝について
意見を聞いた。日本メディアの報道によると、この席上でバーンズ
副長官は安倍政権の歴史歪曲について不満を表明したという。
(翻訳・編集/KT)
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尖閣に中国軍機が40機超飛来 「前代未聞の威嚇」 空自パイロ
ットの疲弊狙う
2013.4.27 12:07 sankei[尖閣諸島問題]
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本領海に中国の海洋監視船「
海監」8隻が侵入した23日、中国軍の戦闘機など軍用機が40機
以上、尖閣周辺に飛来していたことが分かった。複数の政府高官が
26日、明らかにした。軍用機は戦闘機が大半で、新型のSu27
とSu30を投入。航空自衛隊の戦闘機パイロットの疲弊を狙って
絶え間なく押し寄せた。政府高官は「前代未聞の威嚇だ」と指摘し
ている。

 政府は、中国軍機の威嚇飛行について、海監の領海侵入と連動し
ていたと分析している。海上保安庁の警備態勢や海上自衛隊の護衛
艦、P3C哨戒機の配置を軍用機が上空から情報収集し、海監に伝
える狙いもあったとみられる。

 海監8隻は23日午前7時23分ごろから8時25分ごろにかけ
、尖閣周辺の海域で相次ぎ領海に入った。うち1隻は尖閣諸島の魚
釣島の北西約1キロまで近づいた。8隻は同日午後7時半ごろまで
に領海を出た。

 領海侵入を始めた頃、戦闘機など軍用機も尖閣周辺に飛来し始め
た。入れ代わり立ち代わり尖閣周辺上空に接近し、その都度、航空
自衛隊那覇基地のF15戦闘機などが緊急発進(スクランブル)で
対処。飛来してきた中国軍機は延べ40機以上に上った。

 新型の戦闘機を投入してきたのも特徴。これまで尖閣周辺での威
嚇飛行はJ10が大半だったが、今回はSu27とSu30を多数
投入してきた。3機種とも各国の主流である「第4世代戦闘機」だ
が、Su27とSu30は戦闘能力などでJ10を大きく上回る。

 空自のF15、F2の4世代機は計約300機なのに対し、中国
軍は560機以上を保有。別の高官は「今回のような威嚇飛行が続
けば、空自側が対処しきれなくなる恐れもある」との懸念を示した。
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防衛省幹部が訪中、尖閣問題で「最悪の事態」を回避へ―中国メディア
Record China 4月26日(金)21時21分配信
2013年4月25日、防衛省の徳地秀士防衛政策局長が、日中防衛局長級
協議に出席するため、中国・北京を訪問した。日本メディアの報道
をもとに中国新聞社が伝えた。

菅官房長官は24日の記者会見で、尖閣諸島の周辺海域での突発的事
態を防ぐため、日中防衛局長級協議を行う予定であることを明らか
にした。
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中国:尖閣は「核心的利益」…政府当局者、初の公式発言
毎日新聞 2013年04月26日 21時01分(最終更新 04月27日 00時56分)
 【北京・工藤哲】中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)副報道局
長は26日の定例記者会見で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島
)について「釣魚島問題は中国の領土主権の問題であり、当然中国
の核心的利益に属する」と発言した。中国政府当局者が尖閣諸島を
安全保障上で譲歩できない問題と位置づける「核心的利益」と公式
に認めたのは初めて。

 中国はこれまで、台湾やチベット、新疆ウイグル両自治区の問題
について「核心的利益」との言葉を使ってきた。尖閣諸島も含めた
ことを国内外に示すことで、日本に主権問題で譲歩しない立場を改
めて鮮明にした形だ。
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「米軍は尖閣を守るな」という本音価値のない島のためになぜ中国
軍と戦闘するのか?
2013.04.10(水) 古森 義久 JBPRESS
中国の海洋戦略への米国の関心はますます高くなった。中でも尖閣
諸島の日本の領有に対する中国の挑戦に、米側の警戒が集中するよ
うになった。日中両国の本格的な軍事衝突をもたらし得る危険な発
火点として、米側の専門家たちの懸念の視線が尖閣諸島に絞られる
のだ。

 だがそんな中で、元米国海軍のアジア戦略の権威が、中国が尖閣
に軍事攻撃をかけてきても、米国は中国との戦闘に踏み切るべきで
はないという意見を公式な場で述べて、注視を集めた。尖閣諸島は
日米安保条約の対象範囲になると明言するオバマ政権の立場を大き
く後退させる政策提言だった。尖閣の防衛はあくまで日本が責任を
持て、と言うのである。

いま東アジアで最も危険なのは尖閣諸島問題
 米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は4月4日、
「東シナ海と南シナ海での中国の海洋紛争」と題する公聴会を開い
た。中国が東シナ海や南シナ海で領有権をいかに拡大し、主張の衝
突する他国にいかに戦いを挑むか、というのが主題である。

 その中国の動向や戦略に対し、米国はどう対処すべきかが、当然
、同時に論題となる。そのためには米国の官民の専門家たちが証人
として登場し、見解を述べていた。

 その証人の1人がマイケル・マクデビット氏だった。同氏はワシン
トンの戦略研究シンクタンクの「海軍分析センター」の上級研究員
という立場である。ワシントンのアジアや中国の戦略研究の分野で
は広く知られた専門家であり、米国海軍出身で海軍少将まで務めた。
三十余年の現役軍人としてはほとんどの年月をアジア関連で過ごし
、駆逐艦や航空母艦の艦長から太平洋統合軍の戦略部長、国防長官
直属の東アジア政策部長などをも歴任した。

 そのマクデビット氏に対し、委員会側から次のような質問が提起
されていた。

 「東シナ海と南シナ海の安全保障情勢のうち、軍事の紛争や有事
へと発展しかねない最も爆発しやすい要素はなんでしょうか。その
種のシナリオに対し米国はどんな役割を果たすべきでしょうか」

 この質問に対しマクデビット氏は次のように証言した。

 「爆発性という点では、台湾が明らかに中国人民解放軍と米軍と
の有事シナリオの中心でしょう。台湾有事への米軍の介入への中国
側の懸念が、『不干渉』能力の増強をもたらしました。米軍はそれ
を『接近拒否』と呼び、対抗策として『空海戦闘』という軍事戦略
を作り始めたわけです。しかし台湾海峡の安全保障情勢はいま静か
であり、台湾の馬英九総統の任期が終わる2016年まではそのままの
状況が続くでしょう。となると、現状では尖閣諸島を巡る情勢が最
も大きな懸念の原因となります」

 証言のこの部分は注目すべきである。東アジア全域で最も危険な
のは台湾情勢だったのだが、いまでは尖閣諸島がそれに取って代わ
ったと言うからだ。

「米国は中国軍との直接の戦闘を避けるべし」

 マクデビット氏はさらに尖閣についての証言を続けた。

 「米国政府が尖閣諸島の日本の主権を認めることはまずないでし
ょう。日本側はもちろんその承認を望むわけですが。尖閣諸島は沖
縄返還協定によりその施政権が日本側に返還されました。ただし、
米国上院でのその協定の批准審議の際に、同協定が『紛争地域』の
最終の主権決定には影響を与えないことが明記されました」

 「米国は最終の主権に関する立場を明確にしない一方、尖閣諸島
が日本の施政権下にある限り、日本領土として米国は日米安保条約
により防衛の責務を負うとの結論を出しました。この点の米国政府
の立場に関するすべての曖昧性は、2010年10月に当時のヒラリー・
クリントン国務長官が『尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用を受け
る』と公式に言明したことで取り除かれました。つまり米国は尖閣
諸島の防衛を巡る中国との紛争では日本支援の責務があるというこ
とです」

 「この米国の尖閣防衛の言明は日本に確約を与え、中国の衝動を
抑止する重要な一歩であり、さらにアジアの他の米国の同盟国に対
して、中国の圧力に直面する友邦を見捨てないことを間接に示す保
証となるでしょう。しかし米国にとっては、米中衝突の発火点を台
湾のほかにもう1つ作ってしまったことになります」

 このへんまでのマクデビット氏の証言はすでに明白となったこと
の総括である。米国政府は尖閣有事での日本への防衛支援を誓った
、ということである。だがそのことが米国にとって果たして賢明な
のかどうか。同氏は懐疑や対案を述べていく。

 「この米側の誓約は米中間の軍事衝突につながるのか。そうなる
かもしれません。しかし日本の安倍晋三首相が2月の訪米の際、質疑
応答で日本が尖閣を防衛すると言明しました。『私たちの意図は、
米国にあれをしてほしい、これをしてほしいと頼むことはせず、ま
ず自分たちで自国の領土を現在も将来も守るつもりだ』という意味
の答えを述べたのです。

 私はこれこそホワイトハウスが明確にすべきメッセージだと思い
ます。日本が尖閣防衛の主導を果たす。米国は有事には偵察、兵站
、技術助言など基本的に必要な後方支援を提供すればよい。米国は
この無人の島を巡って中国人民解放軍との直接の戦闘に入ることを
避けるべきなのです。尖閣諸島はもともと住んでいる住民もいない。
戦略的な価値も少ない。本来、それほど価値のある島ではないので
す」

 マクデビット氏の提案の核心は上記の部分である。尖閣諸島の防
衛だけのために米国は中国と戦うな、と提言しているのだ。尖閣に
はそれほどの価値がないというのである。この提案は明らかにクリ
ントン国務長官の言明に背反する新政策案ということになる。

 だが一個人の提案とはいえ、米海軍の第一線で長年、活動し、国
防総省の中枢でもアジア戦略に関わってきた専門家の言である。米
国内部に潜在する一定の意見の反映だと言えよう。

日本の本土が攻撃された場合だけ中国軍と戦闘

 同氏の証言はさらに続いた。

 「米国が尖閣防衛で日本にその主導を求めることは、米国の同盟
相手としての信頼性を傷つけ、中国へのその対応政策への信用をも
落とすことになるか。それはあり得るでしょう。しかし現実には中
国の影に生きる諸国にとって、中国の『朝貢国』になりたくない限
りは米国に頼る以外に現実的な手段はないのです。だから米国は同
盟諸国に対し、米国の人命と資産を中国との直接の戦闘で犠牲にす
ることは中国の露骨な侵略行為への反撃にのみ限られる、というこ
とを強調する必要があります。日本の場合、それは日本本土への侵
略行動に対してです」

 さあ、この証言部分の最後の個所こそがマクデビット提案の核心
なのだ。つまり尖閣諸島の防衛に関して、米国がいかに日本の同盟
相手であっても、米軍がいかに中国の尖閣攻撃への反撃を望んでい
ても、実際の中国軍との戦闘は、日本の本土が攻撃された場合のみ
に留まるべきだ、というのである。

 しかしマクデビット氏は以下のこともつけ加えた。
 「米中両軍の衝突は尖閣周辺の海域でも起こり得ます。中国軍が
米軍の艦艇や航空機を誤射も含めて、なんらかの理由で撃ったよう
な場合です。尖閣諸島付近の限定された海域や空域の特殊条件下で
は、中国軍や日本の自衛隊の将兵が共に戦闘経験がないために、つ
い興奮して攻撃を始めてしまうという危険も否定できません。です
から米軍はこの地域でのきちんとした交戦規定を改めて設けるべき
でしょう」

 こうしたマクデビット氏の証言で最も重要なのは、前述の通り、
米軍は中国軍が尖閣諸島を攻撃してきても、自動的に日本を支援し
て対中国の戦闘に入るべきではないという提言である。この提言は
オバマ政権の公式の政策とは異なることも、前述の通りである。

 しかしそうした慎重論が米国側の専門家の一部から出たことは、
日本側として重大に受け止めざるをえない。やはり尖閣諸島防衛は
まず日本が自主的に、ということなのだと言えよう。その認識をさ
らに強めていくと、自国の防衛にはまず自国が責任を持つ、という
基本の課題にまで進んでしまう。

 日本の防衛のあり方は戦後の日本みずからの憲法9条などでの自縄
自縛で大きく制限されてきた。米国依存がまず大前提となってきた。
その米国依存が実はそう簡単にはいかないとなったとき、どうすれ
ばよいのか。

 だからこそいまの尖閣問題は実は日本の国家のあり方にまで基本
の命題を突きつけているとも言えるのである。
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中国軍の権威ヨシハラ教授が語る [Air-Sea Battle Concept]
2013-04-08 05:00東京の郊外より・・・
米海軍大学のヨシハラ教授は・・・
●89年の天安門事件の後、共産党と軍の間で、「軍は政治にかかわ
らず、戦略の立案に集中する。党と政府は財源を軍に回す」との取
り決めがあったとされている
●軍に、兵器開発や軍事ドクトリン策定で自主権を与えたことにな
る。つまり、軍司令官が示す攻撃的な作戦に習近平主席が「政治的
に賢明な選択ではない」と拒否できるか分からない

●中国のA2AD戦略は、弾道ミサイルや航空戦力(搭載の巡航ミサイ
ル)で先制攻撃し、特定の航空基地を破壊して制空権を奪うもの。
沖縄の嘉手納基地が最初のターゲットになるでしょう。
●海空軍による長距離攻撃を柱とするエアシーバトル(ASB)は、中
国に適用すると紛争を拡大する要素がある

●それより効果的なのは、鉄骨とコンクリートを使い、航空機防護
用の格納庫を作ったり、滑走路の迅速な修復を可能にする備えをす
ること。これは日米に共通
●また有事の際、米軍と自衛隊が出来るだけ多くの民間飛行場や港
湾を使用できるよう法整備することも必要。拠点が増えれば、中国
は攻撃先を迷い、リスク分散になる

●中国空母の「遼寧」は「超大国のシンボル」で、米国との1対1の
戦闘で勝ち目はない。しかし南シナ海沿岸の相対的に弱い国に対し
ては、極めて有効な戦力になる
●中国が何でもできる「魔法の銃弾」を持っているわけではない。
彼らの弱点を突く戦略で対処できる。


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