4662.日露領土交渉の行方



安倍晋三首相とプーチン・ロシア大統領の首脳会談がモスクワで開
かれ、北方領土を巡る交渉を再開することで合意した。それでは、
どのような領土交渉になるのか?

プーチン・ロシア大統領が首脳会談で、北方領土問題に関し、係争
領土の面積を等分して決着を図る面積折半方式に言及していたとい
う。

北方四島のうち択捉島上で国境線を引き、その約4分の3をロシア
が領有。残りの4分の1と歯舞、色丹、国後の3島を日本領とすれ
ば、面積が等分となる。3.5島返還論である。

日経が、電子版読者に問い合わせた。すると、4島一括返還にこだ
わらないとの回答が4分の3超を占めた。4島返還堅持は22%どま
りであった。北方に位置するロシアと友好関係になることで海洋進
出に前のめりの中国をけん制するのが狙いですが、その趣旨を日経
読者は理解していることになる。

特に、北極海航路への入口であるロシアは、中国はオフシェア・コ
ントロールで米国同盟国が大洋を封鎖すると、残るルートとしては
この北極海しかなくなる。このため、中国とってもロシアは最後の
砦である。

そこを中国から距離を置かせることは非常に重要な戦略である。戦
略的なことである。もう1つが、米国のシェールガスとロシアのLNG
を競争させることで、日本に価格交渉力を得ることができる。

ロシアが自国投資でパイプラインを日本まで引くという。歓迎であ
る。液化しないので安くなる。エネルギー安保の観点は必要であり
、ある一定の割合にするなどの配慮は必要であるが。
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北方領土、4島返還堅持は22%どまり 
第130回 編集委員 大石格
2013/5/1 6:00nikkei
 安倍晋三首相とプーチン・ロシア大統領の首脳会談がモスクワで
開かれ、北方領土を巡る交渉を再開することで合意しました。首相
同行筋によると、大統領は首相に他国との領土問題は面積等分で解
決してきたと語ったそうです。劇的な交渉進展はあるのでしょうか。
電子版読者は4島一括返還にこだわらないとの回答が4分の3超を
占めました。

 日ロの領土交渉はこの10年ほど停滞していました。日ロはまず経
済連携を深めるべきだと主張し、北方領土に住むロシア住民への支
援を後押ししてきた鈴木宗男元北海道・沖縄開発庁長官(現・新党
大地・真民主代表)が2002年にあっせん収賄で逮捕され、有罪とな
って以降、領土問題に口を出すと白眼視される雰囲気が政界にはあ
りました。

 その後の日本は首相が毎年替わりました。となればロシアも領土
交渉に本気で臨もうとはしません。昨年、当時の野田佳彦首相が「
年内に訪ロ」との段取りまでこぎ着けましたが、12月の衆院選でお
流れになりました。

 安倍首相の今回の訪ロは質問編に書いたように、北方に位置する
大国とよしみを通じることで海洋進出に前のめりの中国をけん制す
るのが狙いでした。その意味で、小泉時代以来10年ぶりに共同声明
をまとめ、その中に領土交渉の再開を明記できたのは大きな成果で
しょう。
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面積折半方式に言及=首脳会談でプーチン大統領
 【モスクワ時事】プーチン・ロシア大統領が29日の安倍晋三首
相との首脳会談で、北方領土問題に関し、係争領土の面積を等分し
て決着を図る面積折半方式に言及していたことが30日分かった。
首相同行筋が明らかにした。
 プーチン氏は首脳会談で、ロシアが中国やノルウェーとこの方式
で領土問題を決着させた経緯を説明。北方領土について具体的に面
積折半を求めたかは不明だが、解決法の一つとして触れた可能性が
ある。
 菅義偉官房長官は30日の記者会見で、面積折半方式について「
四島が日本に帰属するという前提に立って返還を進めていくのが基
本方針だ」と否定的な見解を示した。
 これに関し、政府高官は同日夜、「四島の帰属を確認することが
基本だ。それができれば2島からの返還でもいい。その先は何十年
かかるかもしれない」と述べた。日本政府の基本方針を踏まえ、四
島の日本帰属が確認されれば、1956年の日ソ共同宣言に明記さ
れた歯舞、色丹両島引き渡しの先行にも柔軟に対応する考えを示し
たものだ。 
 北方領土をめぐっては、麻生政権当時、面積等分論が取り沙汰さ
れた。北方四島のうち択捉島上で国境線を引き、その約4分の3を
ロシアが領有。残りの4分の1と歯舞、色丹、国後の3島を日本領
とすれば、面積が等分となる。
 ロシアは2004年〜08年までの中国との国境画定交渉で、ア
ムール川などに浮かぶ大ウスリー島など3島の主権をこの方式で解
決。10年にもノルウェーとバレンツ海における国境線の画定交渉
でこの方式で合意した経緯がある。(2013/04/30-23:00)
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北方領土交渉、次官級ですぐに始まる…官房長官
 菅官房長官は30日午前の記者会見で、安倍首相とロシアのプー
チン大統領が首脳会談で、北方領土問題の交渉を加速させることで
一致したことを受け、首相の帰国後、速やかに日露の次官級による
交渉を始める考えを示した。

 菅長官は「北方4島の帰属問題を解決して、平和条約を締結する
目標に向かって、粘り強く取り組んでいく体制ができた。(首相が
)帰ってきたら体制を整えて、すぐに始まるだろう」と述べた。
(2013年4月30日13時19分  読売新聞)


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