4660.金融緩和の効果とは何か?



アベノミクス第1の矢である金融緩和の効果と限界がだんだん明ら
かになっている。まず、円安と株高になったことは期待効果でそう
なっている。それと国債金利が下がると、金融機関は日本国債から
外債にシフトし始めたので円安は当分、続きそうである。

しかし、物価の上昇は起こらない。総務省が26日発表した3月の
全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010
年=100.0)は前年比0.5%低下の99.5と5カ月連続マ
イナスとなり、2月(0.3%低下)より下落幅が拡大した。

しかし、円安で石油価格は上昇している。円安効果での物価上昇が
まだ起こっていないことで、物価が上昇しないようである。しかし
、それで物価上昇してもスタブフレーションになってしまう。

また、輸出は増えないことも明らかになっている。

これらのことからだんだん、金融緩和で起こることが明らかになっ
てきた。

金融緩和は、円安にして産業の衰退を防ぐ効果はある。輸出産業の
利益が増えている。競争力がある製品は利益が上がるし、価格を下
げることができるので、競争力が増す。

しかし、金融緩和ではAVのように競争に負けた産業の復活はできな
い。金融緩和効果は、産業の衰退を止めることである。産業の復活
が起きないので、輸入価格が上昇するだけである。

このため、金融緩和では需要を上げた結果のインフレを起こせない。
日銀は26日、「異次元緩和」を打ち出して以降初となる「経済・
物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、2015年度の物価
上昇率が1.9%に達するとの見通しを示したが、日銀だけでは、
ムリである。

佐藤健裕・木内登英の両審議委員は反対したというが、それが良識
的な見解である。

一方、安倍首相は25日午後の参議院予算委員会で、2020年度
に基礎的財政収支を黒字化するとの財政健全化目標について「安倍
政権でも国際的にすでにコミットしている」と述べ、国際公約であ
るとの認識を示した。

消費税を上げる可能性が高くなるが、それまでに2%のインフレを
達成しないと、消費税UPは冷やす効果がある。一層、政治の介入が
ないと無理である。財政出動もできなくなるので、どうしても大胆
な成長戦略が重要になる。

さあ、どうなりますか?

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日銀展望リポート15年度に物価1.9%、委員の間で予想にばらつき
2013年 04月 26日 21:51 JST 
[東京 26日 ロイター] 日銀は26日、「異次元緩和」を打
ち出して以降初となる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」
を公表し、2015年度の物価上昇率が1.9%に達するとの見通
しを示した。

2年で2%を目指すとの政策方針に平そくを合わせた形で、黒田東
彦総裁は達成に自信をのぞかせたが、各審議委員の物価予想にはば
らつきが見られた。異次元緩和で国債市場が混乱したことを受け、
黒田総裁は今度も必要な調整を行うと強調。金利が上昇する場合は
長期国債の買い入れで「ある程度抑えらえる」との見解を示した。

<2%達成見通しに佐藤・木内委員が反対>
日銀は、3カ月に一度先行きの経済成長率や消費者物価の上昇率に
ついて、9人の政策委員の見通しを集約し公表しており、今回は
2013年度物価上昇率を1月のプラス0.4%から同0.7%に
、14年度(訂正)は0.9%から1.4%にそれぞれ上方修正し
た。また見通し期間を従来の2年間から3年間に延長し、2015
年度見通しを初めて公表。「見通しを示した期間の後半には、2%
程度に達する可能性が高い」とした。ただこの記述をめぐり、佐藤
健裕・木内登英の両審議委員は反対したことを黒田東彦総裁は会見
で明らかにした。

黒田総裁は金融緩和による需要拡大で「需給ギャップが縮小し、人
々の期待インフレ率が高まることで物価が上昇していく」とし2%
の達成に自信を示したが、15年度の物価上昇率について、委員の
見通しは0.8%から2.3%までばらついており、委員らの見解
の違いが明らかになった。

なお展望リポートの公表資料(基本的見解部分)は6ページと白川
方明・前総裁時代の十数ページから大幅に簡略化され、「わかりや
すさ」を重視する黒田カラーが前面に出た格好だ。

<日銀見通し「フィクション」となる可能性、政策は据え置き>
ただ、市場は日銀の見通しは実現性が低いとして反応が鈍かった。
アール・ビー・エス証券の西岡純子チーフエコノミストは「相当強
気な景気見通しを前提においても達成が非常に困難」と指摘。シテ
ィグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「展望リポートは
『期待』に働きかけることが求められるのだから、もう少し、その
財政再建の目的や経済への影響を具体的に書かないと『フィクショ
ン』として読み飛ばされてしまうのではないか」と述べた。

おりしも総務省が26日発表した3月の消費者物価指数はマイナス
0.5%と前月より0.2ポイント下落幅が拡大しており、2%目
標の実現へ道のりは遠いが、日銀は現時点では政策効果を見極める
として政策は現状維持とし、毎年マネタリーベース(資金供給量)
を60兆─70兆円増やすとの方針の継続を確認した。

<金利上昇、国債買い入れで「ある程度抑えられる」>
今月4日に日銀が「異次元緩和」公表後、国債市場が乱高下したこ
とについて、黒田総裁は「短期債と超長期債で一時的に変動率(ボ
ラティリティ)が高まったが、日銀によるオペ(公開市場操作)対
応などで安定した」と述べた。日銀は市場参加者と2度の会合を開
き、市場安定化のため情報交換を行ったが、「今後も市場参加者の
意見聞き、必要なら調整を行う」と強調した。

日銀は異次元緩和の政策波及経路の1つとして、利回り曲線(イー
ルドカーブ)全体を引き下げることで資産価格に効果を与える、と
しているものの、物価が本当に2%に向かうと市場が信じれば、金
利は上昇してしまう可能性がある。総裁は「中長期的には、物価が
上がるとある程度名目金利が上昇するのは自然」としつつ、「直ち
に名目金利に大きな上昇圧力が働くとは思えない」と述べた。また
、「年間50兆円の長期国債買い入れをバランスよく実施すること
で、金利上昇をかなりの程度抑えられる」と語った。

異次元緩和は金融機関が大量保有している国債を吐き出させること
で、代わりに金融機関が貸出を伸ばしたり、株や外債などのリスク
性資産を買うようにする「ポートフォリオ・リバランス」効果を狙
っており、総裁は「為替や株、貸出などに効果がみられており、今
後も効果が続く」と述べた。国債の代わりに買われると期待される
資産として「株式や海外資産、一部の経済学者が指摘するように『
実物資産』」などを挙げた。
(ロイターニュース 竹本能文:編集 久保信博)
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3月消費者物価指数は前年比‐0.5%、テレビ・エアコン下落でマイ
ナス幅拡大=総務省
2013年 04月 26日 09:24 JST 
 [東京 26日 ロイター] 総務省が26日発表した3月の全
国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010年
=100.0)は前年比0.5%低下の99.5と5カ月連続マイ
ナスとなり、2月(0.3%低下)より下落幅が拡大した。テレビ
やエアコンの価格下落に加えガソリンや灯油の上昇幅縮小が響いた。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比0.4%低
下だった。
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20年度の基礎的財政収支黒字化、国際的にコミット=安倍首相
2013年 04月 25日 13:47 JST 
[東京 25日 ロイター] 安倍晋三首相は25日午後の参議院
予算委員会で、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するとの財
政健全化目標について「安倍政権でも国際的にすでにコミットして
いる」と述べ、国際公約であるとの認識を示した。

首相は、財政健全化について「今後、経済財政諮問会議で財政健全
化と経済再生を実現するための道筋について検討を進め、年央の骨
太の方針で経済再生の道筋と合わせて、各歳出分野の取り組みなど
財政健全化の基本方針を示す」との考えを示した。自民党の古川俊
治委員への答弁。
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低金利なら超長期債抑制、ヘッジ外債で代替も=日本生命
2013年 04月 23日 10:33 JST 
[東京 22日 ロイター] 日本生命保険は22日、2013年
度の一般勘定資産について、黒田日銀による異次元緩和で国債利回
りが低いまま推移するなら、超長期国債への投資を抑制し、為替ヘ
ッジの付いた外債などでの運用を検討することを明らかにした。

より円安メリットが享受できるオープン外債への投資については「
いまの(為替)水準ではコーシャスに構えたい」とし、同社が掲げ
る「円金利資産7割・それ以外で3割」とする運用姿勢そのものは
崩さず、引き続き安定収益の確保を狙う考えを示した。

大関洋・財務企画部長が同日夕、都内で記者団に説明した。日本生
命によると、12年度末時点で同社の一般勘定資産は52兆4400
億円と、前の期より簿価ベースで1兆6000億円増加した。これ
が、今年度は約1兆円増える見通しという。

今後の運用方針について、大関氏は「金融緩和の影響で低利回りの
状況が続くようであれば、超長期債への投資を減額することも検討
したい」と明言した。そのうえで「(超長期債への投資を抑制した
場合は)その代替として一般貸付や社債、ヘッジ外債が選択肢にな
る」と話した。

日本生命は、1)一般貸付、2)国内債券、3)ヘッジ外債の3本
柱を「円金利資産」とし、それらに7割、それ以外の国内外株式や
オープン外債、不動産に3割を振り向ける運用を続けており、資料
によると、12年度末は円金利資産39兆6600億円のうち、国
内債券は24兆1800億円、ヘッジ外債は6兆6400億円だっ
た。ヘッジ付きでの外債投資について、どの国への投資が有力かと
の問いには「どこという特定はできない。流動性や健全性があると
いう意味では先進国の債券になる」と、明言を避けた。

円金利7割・それ以外3割とする大枠そのものは維持するという。
日銀の金融緩和に関しては「円安、株高が進み、ストックの含み益
が増えたのはプラス。収支や財務に好影響を及ぼした」と評価した。
一方で「安定収益を確保するため、短期的な(相場の)変動をとら
え、配分を大幅に動かすことは、現時点ではない」と述べた。

アロケーション全体として(為替ヘッジをしないオープンも含めて
)外債を増やすのか、との質問に対しては「低金利が継続した場合
は、ヘッジ外債ないし、オープン外債が増加することになるだろう
が、足元ですぐにそうするというわけではない」と言及。「(日銀
会合後で)ボラティリティが高く、金利がどうなるか見定めている
状況で、足元は様子見。チャンスがあればオープン外債も買ってい
きたいが、いまの(為替)水準ではコーシャスに構え、押し目をみ
てやっていきたい」と述べるにとどめた。

12年度末のオープン外債への投資実績は2兆1100億円だった。

<日本生命が算出した主な予想レンジは以下の通り(カッコ内は中心値)>
日本10年物国債0.3%から0.9%(0.6%)、日経平均
1万0500円から1万5500円(1万3500円)、NYダウ
1万4000ドルから1万7000ドル(1万5500ドル)、
ドル円93円から103円(98円)、ユーロ円117円から137円(127円)。
(ロイターニュース 山口貴也、茂木千賀子:編集 内田慎一)



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