4651.中国の経済失策



中国は日本の経済成長を研究して、中国の経済成長を成し遂げた。
しかし、日本の失敗であるとして円高ドル安と同じことを拒否して
きた。元高ドル安を防ぐために、為替操作をしてきた。

そのため、莫大(ばくだい)な貿易黒字を生み出し、それを米国債
を中心とする海外資産に投資した。これには自国通貨の上昇圧力を
抑え、両国の輸出品の購入資金を融通するという狙いもあった。

しかし、世界金融危機で、その中国でも輸出を急減させた。中国は
財政支出の代わりに、国営の金融機関からの急激な信用膨張で成長
を促進しようとし、それが投資ブームを後押しした。

中国は、高水準の成長を維持するために、財政赤字よりもむしろ、
地方政府は、開発プロジェクトに銀行融資を利用した。しかし、こ
の開発プロジェクトは経営的に成り立ちにくい案件が多い。

このため、李首相は「地方政府の債務に起因するリスクの効果的な
管理に努めていく」と述べた。

しかし、現在の中国の銀行制度は脆弱(ぜいじゃく)である。この
ため、このような地方政府のプロジェクトが不良債権になり、この
不良債権は、金融危機を引き起こしたり、中国人の膨大な貯蓄や所
得のかなりの部分を失い、経済成長の可能性を縮小させてしまう可
能性が出てきた。

どうも日本が1990年以降に経験したような、バブルがはじけ、
ほぼ20年間途切れなく続いた景気停滞から抜け出せずにいる。これ
と同じ状態に中国も陥ることになりそうである。

このため、GDP成長率は低かった中国だが、大型刺激策からは距離を
置く公算が大きいことを当局高官らは示唆した。不良債権の拡大を
抑えたいようである。また、中国商務省は海外の需要が依然不安定
なため、中国の当面の貿易見通しは良好ではない、とした。

このような状態の時に、H7N9型鳥インフルエンザの感染拡大を
受け、「人から人への感染」を疑う事態にある。「正常な生産・生
活の秩序を維持」できない事態になる可能性もある。

さあ、どうなりますか?

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日本の経済失策を繰り返そうとしている中国
By SATYAJIT DAS
2013年 4月 19日 20:56 JST  WSJ
 【シドニー】衝突と競争の歴史にもかかわらず、中国と日本は発
展モデルを共有している。しかし、注意しないと、中国は日本の経
済的運命をも共有してしまうかもしれない。

 日本の戦後の経済復興と中国の近年の成長は共に、輸出と安い労
働力に基づいていた。過小評価された通貨は輸出業者に競争上の優
位性を与え、輸出は家計所得と個人消費を犠牲にしてまで奨励され
た。

 さらに、高い国内貯蓄率を奨励してきた両国は、それを融通して
投資資金として使ってきた。両国とも莫大(ばくだい)な貿易黒字
を生み出し、それを米国債を中心とする海外資産に投資した。これ
には自国通貨の上昇圧力を抑え、両国の輸出品の購入資金を融通す
るという狙いもあった。また、両国は経済成長を後押しするために
、国内資金で賄われたハイベルの投資も利用した。

 日本にとって音楽が止まったのは、1985年9月のプラザ合意だった
。円高ドル安への誘導を迫られ、輸出と経済成長率が低下した。

 成長を復活させるため、日本の政策立案者たちは円高の効果を相
殺させる信用主導型の投資ブームを計画実行したが、資産価格のバ
ブルは膨らみ、最終的には崩壊した。以来、経済活動の崩壊を避け
る手段として財政支出と低金利が使われてきたが、それは不均衡を
悪化させるだけだった。

 政府支出を賄い、金融資産価格を下支えするためとはいえ、日本
には巨額の財政赤字、非常に高い水準の政府債務残高、日銀のバラ
ンスシートの拡大という難問が残されてしまった。

起きつつある金融危機
 1990年まで日本は非常にうまくいっていた――いくつかの短い中
断はあったが、力強い成長を続けていた。ところが、バブルがはじ
けたあとの1990年以来、日本はほぼ20年間途切れなく続いた景気停
滞から抜け出せずにいる。

 中国が人民元の急激な切り上げを拒む本当の理由は、日本と同じ
経験をしたくないからである。

 それでも、中国の輸出を急減させ、経済活動を鈍化させた世界金
融危機に対する同国の反応は、プラザ合意後の日本の反応に類似し
ていた。

 中国は財政支出の代わりに、国営の金融機関からの急激な信用膨
張で成長を促進しようとし、それが投資ブームを後押しした。

 かつての日本がそうであったように、中国の銀行制度は脆弱(ぜ
いじゃく)である。中国は、高水準の成長を維持するために、財政
赤字よりもむしろ、特別対象となったプロジェクトに向けられる銀
行融資を利用した。

 担保としての割高な資産への中国の依存、債務返済には不十分な
キャッシュフローのインフラ整備計画などからすると、多くの融資
は焦げ付くだろう。こうした不良債権は、金融危機を引き起こした
り、中国人の膨大な貯蓄や所得のかなりの部分を吸収したりして、
経済成長の可能性を縮小させてしまうかもしれない。

 さらに言えば、危機が始まる時点で、日本は今の中国よりもかな
り豊かな国だったので、景気低迷に対処する上でも重要な優位性が
あった。日本にはそうした状況に適合するのに役立つ質の高い教育
制度、優れた革新と技術、労働に対する生真面目さもあった。世界
一流の製造技術、電子工学や重工業における重要な知的財産も日本
の強みだった。

 対照的に中国は、輸入素材を使った輸出製品の組み立てや製造の
面で安い労働力に依存している。労働力不足や賃金上昇でその競争
力は弱まりつつある。中国の技術革新やハイテク製造業への取り組
みはまだ始まったばかりである。

 中国当局は信用主導型の投資戦略が、資本配分の誤りや非生産的
な投資、国有銀行での貸付損失につながったことを認めている。

中国が抱える課題
 近年、中国が成し遂げてきたことに対する人々の畏敬の念は高ま
ってきた。しかし、中国が必要とされている経済転換をし損なうと
、その目を見張るような成功が驚くべき失敗で終わることもあり得
るのである。

 今、問題となっているのは、中国が次の日本になることを回避で
きるかどうかだ。

 中国は投資主導型の成長モデルからの脱却という重大な課題に直
面している。補助金をばらまくことで生産性を無限に拡大して成長
を維持するという戦略はますます実現性を失ってきている。現在の
戦略を継続しようとしたり、その修正だけをしたりすると、中国の
社会的・政治的安定にも影響を及ぼすほど予想を大きく上回る景気
減速を引き起こしかねない。

 近年よりは穏やかなペースになるとはいえ、世界は中国が成長し
続けると思い込んでいる。こうした見方は、事実よりも世界経済が
何を必要としているかに基づいている。『ナルニア国ものがたり』
で知られる小説家C・S・ルイスも次のように述べた。「真実を探せ
ば、最後には慰めが見つかるかもしれない。だが、慰めを探そうと
すると、慰めも真実も得られない。最初に得られるのはお世辞と希
望的観測だけで、最後には絶望が待っている」

(筆者のサトヤジット・ダス氏は元銀行員で『Extreme Money』と
『Traders, Guns & Money』の著者でもある)
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習主席、情報規制の必要示唆=鳥インフル、WHO専門家が訪中
 【北京時事】19日の新華社電によると、中国の習近平国家主席
は、H7N9型鳥インフルエンザの感染拡大を受け、「感染発生地
域で患者への応急治療を第一の任務とし、死亡例の減少に努める」
よう指示した。また、「正確に感染情報を発表し、世論の誘導を強
化し、正常な生産・生活の秩序を維持しなければならない」と述べ
、国民や家禽(かきん)市場が混乱しないよう情報規制を行う必要
性も示唆した。
 一方、国家衛生計画出産委員会が19日に発表したところによれ
ば、世界保健機関(WHO)専門家が18日北京入り。同委員会と
の合同調査団を構成し、24日までの間、上海の病院や家禽市場な
どを視察し、状況の把握に努めるという。(2013/04/19-21:25)
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中国、景気減速も大型刺激策は回避する公算大
2013年 4月 19日 18:19 JST  WSJ
 【北京】1-3月期(第1四半期)の国内総生産(GDP)成長率は予想
に及ばなかった中国だが、大型刺激策からは距離を置く公算が大き
いことを当局高官らは18日示唆した。

 中国の1-3月期のGDPは7.7%成長と10-12月期の7.9%成長や市場予
想の8.0%成長を下回った。

 しかしこれはパニックを起こす原因にはならない、と国家発展改
革委員会(NDRC)学術委員会の張燕生秘書長は述べた。
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当面の貿易見通しは良好ではない=中国商務省報道官
2013年 4月 18日 21:04 JST  WSJ
 【北京】中国商務省の瀋丹陽・報道官は18日、海外の需要が依然
不安定なため、中国の当面の貿易見通しは良好ではない、との見方
を示した。

 「貿易環境は依然良くない」とし、今後数カ月は輸出入が大きく
変動する可能性があると指摘した。

 「輸出回復の兆しはあるが、外需の低迷、コスト上昇、貿易摩擦
による圧力が続くため、状況は引き続き良好ではない」と語った。

 中国海関総署(通関当局)が発表した3月の貿易収支は8億8 …
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近い将来、人民元の変動幅を拡大=人民銀副総裁
2013年 4月 18日 10:20 JST  WSJ
 【ワシントン】中国人民銀行(中央銀行)の易綱・副総裁は17日
、同行が近い将来、人民元の変動幅を拡大する計画であることを明
らかにした。また、今後数年かけて人民元の自由化を着実に推し進
めていく方針も示した。

 易副総裁はワシントンで開かれた国際通貨基金(IMF)春季会合の
パネルディスカッションで、「人民元相場は一段と市場原理に基づ
いたものとなるだろう」とした上で、「人民銀は近い将来、変動幅
をさらに拡大す …
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中国、地方債務リスクの効果的管理に努める 経済は「良好な状態
」=李首相
2013年 04月 18日 01:30 JST 
 [北京 17日 ロイター] 中国の李克強首相は17日、地方
政府の債務に伴うリスクを効率的に管理するよう努めるとした上で
、中国経済は「良好な状態」との認識を示した。国営ラジオが伝え
た。

 李首相は「地方政府の債務に起因するリスクの効果的な管理に努
めていく」と述べた。

 中国の地方政府債務リスクをめぐっては、格付け会社フィッチが
9日、地方政府の借り入れ過剰が経済全体にリスクを及ぼしている
として、同国の長期自国通貨建て格付けを「Aプラス」に引き下げ
たほか、ムーディーズも16日、「地方政府の債務の透明化や急速
な信用拡大の抑制による潜在的リスク縮小プロセスが予想ほど進ん
でいない」として、国債格付け見通しを「安定的」に引き下げた。

 こうしたなか、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は17日、
中国国内の監査法人の幹部の発言として、地方政府の債務は「制御
不能」であり、それがもたらす金融危機は米住宅市場の混乱を上回
る恐れがあると伝えた。

 中国の公式統計によると、地方政府の債務は2010年末時点で
10兆7000億元以上あり、一部アナリストらは、昨年末までに
13兆元に膨らんだ可能性があると試算している。

 中国経済について、李首相は「妥当な規模での投資を継続すると
ともに、環境保全に向けた社会基盤(インフラ)整備として都市部
での道路、鉄道網などの建設推進を強化していく」と述べた。その
上で「中国経済は第1・四半期においてしっかりしたペースで成長
し、全体的に良好な状態だ」とした。


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