4645.英国の失敗に学び日本の復活を検討



日銀の超金融緩和に支持していた米国も財務省サイドでは、市場で
「ドルに対してどんどん円安が進んだ」と指摘して批判した。米国
も第3の矢を注目され始めた。このため、英国の失敗を学んで日本
の今後を検討しよう。  津田より

0.市場に変化
米財務省は12日、主要な貿易相手国の為替政策を分析した為替報
告書を議会に提出した。この中で、大規模な金融緩和政策を進める
日本について、「国内需要の促進を目的としたものか注視する」方
針を示した。報告書は、積極的な金融緩和を公約に掲げた安倍晋三
政権が誕生した昨年末から今年4月にかけて、市場で「ドルに対し
てどんどん円安が進んだ」と指摘している。

為替変動に金融政策を利用しないとした2月のモスクワでのG20
財務相・中央銀行総裁会議の声明を順守するよう求め続けるとした。
そして、金融緩和策は、「構造改革の代わりとはならない」と強調
した。

日本が構造改革を行わないと、米国はどこかで反対を表明する可能
性が高くなった。この米国政府の報告書が出たことで、市場は円高
1ドル=98円30〜40銭になった。

日本は金融緩和以外の構造改革関係、成長戦略関係の報道がない。
「産業競争力会議」や「経済財政諮問会議」、「規制改革会議」の
議論が出てこないし、有効な政策が出ているような感じがしない。

安倍首相も効果が出てないので、次々と有識者会談を増やしている
ように見える。4月11日には、ふるさとづくり有識者会議を新しく作
っている。

電力自由化や再生可能エネルギーの前提である発送電分離も自民党
の抵抗勢力が阻止を試みている。このため、これも徐々にしか進ま
ないのであろう。原発再開を優先しているが、こちらも進まない。
石炭火力の増強がやっと省間調整が出来たというが、アセスメント
などが必要であり、なかなか進まない。

また、太陽光や風力発電などは、送電線や余裕電力の関係で制限が
ある。こちらも進まない。広域の送電線がないと、自然エネルギー
利用は大きな限界がある。

それなら、製造業が円安で良くなるのであろうか?と見ると、
円安になり、輸出の拡大を期待したが、輸出額は、自動車や半導体
など電子部品が低迷し、前年同期比2.9%減の3兆4270億円
と減っている。反対に円安で輸入額は、原油や液化天然ガス(LN
G)などが増えて21.1%増の4兆3628億円だった。これを
見ると、円安にした効果が全然出ていないことになる。

金融緩和だけすれば、景気はそれだけで良くなるという評論家と学
者は、この現象どう説明するのであろうか?

このため、景気の回復を実感するかどうかを時事通信の4月の世論
調査で尋ねたところ、「実感する」と答えた人は23.7%にとど
まり、「実感しない」とした68.6%を大きく下回った。

このまま成長戦略で有効な策を出さないと、7月までには安倍政権
は、大胆な金融緩和を国内、国外から批判されることになるはず。

このため、1年間、消費者増税を伸ばそうという声が出ているが、
これだけでは、景気が上向かないことは確実である。この内、スタ
グフレーション、不景気なのにインフレが起こる状況になり、国民
特に年金生活者の生活が苦しくなる。この層は選挙に行くので、自
民党への信頼は揺らぐことになる。自民党が危ない。このため、憲
法改正を言い始めた。これも団塊の世代には、賛成、反対が半々で
あり、それより生活が苦しくなっていることが問題になる。

しかし、この状況は英国で経験済である。どうして、英国の金融緩
和を見ないであろうか?

1.英国失敗と米国の出口戦略
英国の2012年第4四半期の実質GDP成長率は前期比マイナス0.3%であ
り、長年続けている量的緩和をしても、景気が良くなっていない。
このため、ムーディーズは英国債を1段階格下げ、1978年以来、35年
ぶりに格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げた。

2012年5月、英中銀イングランド銀行は政策金利を過去最低の0.5%
に据え置くとともに、金融資産買い取りによる量的金融緩和策を打
ち止めとした。
それは、2011年01月の消費者物価指数が、+4.0%になり、イン
フレ目標の2%の2倍になっていたことによる。これ以後、2%以上
が長く続いている。この時点で、英国はスタグフレーションになっ
ている。

しかし、金融緩和を止めるということは、財政規律を取り戻さなけ
ればいけないことだ。この財政赤字からバランスを取ることになる
が、これは国家事業を縮小させるので、より景気は落ちることにな
る。

英国の金融緩和はアメリカの金融緩和と共通している部分が多い。
大胆な量的緩和政策を採用したという面でも共通しているし、通貨
安で輸出競争力を取り戻そうという作戦も似ている。

しかし、基軸通貨を持つ米国とは違い、英国はローカル通貨であり
、際限なく自国通貨を割安に導く政策をイギリスはとることはでき
ない。通貨量がある程度を越えると、インフレになるからであり、
金融緩和で通貨を割安にした時点で国内の産業を育成して、通貨高
になった時点でも国際競争力を持つ産業をどれだけ育成できるかが
問題なのである。

米国がそろそろ、量的緩和を止める可能性が出ているが、シェール
ガス革命というバブルを起こすことで、経済の活性化をしたことで
国家予算を大きく削減しても、景気が大きく落ち込まずに出口戦略
が成功する可能性が出ているのだ。

2.日本はどうする
この米国と同じことをやったのが、江戸時代の越前国福井藩である。
松平春嶽は、横井小楠を政治顧問に迎え、藩札を発行して、これで
産業を起こして、維新の混乱を乗り越えた。このように日本でも、
同じような改革を行っている。この藩改革は、1つが緊縮財政、2
に産業自由化、3に人口増加策である。

これと同様なことを現在の政府ができないと、英国と同様に益々、
衰退することになることは確実である。

日銀は現在までも金融緩和を続けているので資産は多いので、イン
フレになる時期は早いので、金融緩和の出口戦略を取る時期が早く
なり、その時には財政規律を取り、競争力のある産業を育成してい
る必要があるのだ。

その成長戦略についても、過去に述べている。どうして、その成長
戦略を取らないのか不思議である。
p0177.成長戦略を考える1
p0178.成長戦略を考える2
p0179.成長戦略を考える3
p0180.成長戦略実行に必要なこと
p0181.成長戦略の行動計画
である。

さあ、どうなりますか?

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景気回復、7割実感せず=時事世論調査
 安倍内閣の発足以降、景気の回復を実感するかどうかを時事通信
の4月の世論調査で尋ねたところ、「実感する」と答えた人は
23.7%にとどまり、「実感しない」とした68.6%を大きく
下回った。「アベノミクス」効果で株式市場などは活況を呈してい
るが、国民全体では景気回復の実感が乏しいことが浮き彫りになっ
た。(2013/04/13-14:22)
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2月上中旬も貿易赤字 17カ月連続
2013.3.8 10:30 [通商・貿易]
 財務省が8日発表した2月上中旬(1〜20日)の貿易統計(速
報、通関ベース)は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が9357
億円の赤字だった。上中旬としては17カ月連続の赤字で、赤字幅
は前年同期の744億円から大幅に拡大した。

 輸出額は、自動車や半導体など電子部品が低迷し、前年同期比
2.9%減の3兆4270億円。輸入額は、原油や液化天然ガス(
LNG)などが増えて21.1%増の4兆3628億円だった。
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NY円、続伸 1ドル=98円30〜40銭、米為替報告書で円買い戻し
2013/4/13 6:51日経
 【NQNニューヨーク=古江敦子】12日のニューヨーク外国為替
市場で円相場は大幅続伸し、前日比1円30銭円高・ドル安の1ドル
=98円30〜40銭で取引を終えた。低調な米経済指標を受け、米国の
緩和的な金融政策が長引くとの見方が強まった。米財務省が発表し
た為替政策に関する報告書を材料に、取引終了にかけて円を買い戻
す動きが急速に広がり、一時98円08銭まで上昇した。

 3月の米小売売上高が市場予想を上回る落ち込みを示し、4月の
米消費者態度指数(速報値)は大幅に低下した。米金融当局が景気
を支えるために緩和的な金融政策を続けるとして、日米金利差が拡
大するとの見方が後退。円買い・ドル売りを呼び込んだ。

 米財務省は同日発表した「国際経済と為替政策に関する報告書」
に、日本の大胆な金融緩和策について「注視する」と記した。米国
が日本の金融緩和策をけん制しているとの受け止めから円買いが加
速した。

 円の安値は99円43銭だった。
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日銀の超金融緩和を注視、米財務省の報告書
2013.4.13 10:04 sankei[米国]
 【ワシントン=柿内公輔】米財務省は12日、主要な貿易相手国
の為替政策を分析した為替報告書を議会に提出した。この中で、大
規模な金融緩和政策を進める日本について、「国内需要の促進を目
的としたものか注視する」方針を示した。報告書は、積極的な金融
緩和を公約に掲げた安倍晋三政権が誕生した昨年末から今年4月に
かけて、市場で「ドルに対してどんどん円安が進んだ」と指摘して
いる。

 4日に日銀が決定した「質的・量的緩和」も取り上げ、内需拡大
を支える目的に沿ったものかを注視し、為替変動に金融政策を利用
しないとした2月のモスクワでの20カ国・地域(G20)財務相
・中央銀行総裁会議の声明を順守するよう求め続けるとした。

 報告書は、マクロ政策による景気刺激は短期的には支持されるが
、「構造改革の代わりとはならない」と強調。力強い景気回復と成
長を拡大するためにも、「競争をはなはだしく阻害する規制の緩和
」を通じて構造改革を日本は進めることが重要だと説いた。

 また中国に対しては、「人民元の切り下げのペースに強く注意を
払う」と指摘。より柔軟な為替相場に向けた政策を促すとした。
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英経済、資産買い入れによる支援なお必要=フィッシャー中銀理事
ロイター 2013/4/9 17:38 ロイター
[ロンドン 9日 ロイター] イングランド銀行(英中央銀行)
のフィッシャー理事は、英経済は中銀による一段の資産買い入れに
よる支援がなお必要、と述べる一方、成長が今年上向くことを示す
兆しも一部出ている、との見方を示した。ヘラルド紙とのインタビ
ューで述べた。
理事は2月と3月に資産買い入れ拡大を主張した3人のうちの1人。
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中銀による市場への衝撃、回避不能な場合も=デール英中銀理事
ロイター 2013/4/6 02:53
[エガム(英国) 5日 ロイター] イングランド銀行(英中央
銀行)のチーフエコノミストを務めるデール理事は5日、中央銀行
には市場にショックを与える以外の選択肢がない時もあるとの見解
を示した。

デール理事はロイヤル・ホロウェイ・カレッジで開かれた英国王立
経済学会の年次総会で、一般的に中銀は市場に定期的にショックを
与えるより、市場に中銀の方針を確実に理解させる方が望ましいと
の考えを示した。

ただ、前日に日銀が打ち出した積極的な緩和強化策に関連する質問
に対し、市場に中銀に対する誤解がある場合や、中銀が政策を急激
に転換させる必要がある場合は、市場に対する衝撃は避けられない
と述べた。

同理事は日銀の緩和強化策を支持するかについては、立場を明確に
しなかった。

デール理事は英中銀による2012年7月の債券買い入れ開始には
反対票を投じたが、この日の講演では量的緩和(QE)の実施を擁護。

英中銀がこれまでに実施した買い入れの規模は今後の買い入れの効
果を弱めるものではないとの考えを示し、「QEの効果が逓減する
との経済学上の理由はない。ある国で別の国よりも大きな効果が得
られる場合もある」と述べた。
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英の教訓と中央銀行の役割 イングランド銀行総裁に聞く
2013年3月16日5時33分
Sir Mervyn King 48年生まれ。91年にイング
ランド銀行に入り、チーフエコノミスト、副総裁などを経て03年
から総裁。6月末に退任する

 英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)のマービン・
キング総裁が日本メディアの単独会見に初めて応じた。キング総裁
は、英国が20年前、インフレ目標を導入した際の政策立案者でも
ある。日本銀行もインフレ目標を採用し、近く黒田東彦(はるひこ
)氏を総裁とする新執行部が誕生する。英国の教訓、そして中央銀
行の役割について聞いた。

 ――1992年、BOEチーフエコノミストだったあなたは、な
ぜインフレ目標の採用を政府に働きかけたのでしょうか。

 「当時、英国は(欧州域内の通貨統合に向けて為替レートを事実
上固定する)為替相場メカニズムから離脱しました。望んでいなか
ったにもかかわらず、そうなってしまったトラウマ的な経験でした。
我々はすばやく、金融政策の新しい枠組みを見いださねばならなか
ったのです」

 「私は、これまでずっと一つの原則をもってきました。それは政
策をシンプルにするということ。インフレ目標の大きな魅力は、政
策目的が明確なことです。その一方で、『制約つきの裁量』を生み
出す枠組みです。透明性や国民に対する説明責任といった『制約』
はありますが、目標達成まで時間がかかることへの良い議論が展開
できれば国民を説得でき、達成までの期間や手段については柔軟に
対応できます」

 ――それから20年余り、インフレ目標は成功したのでしょうか。

 「導入後20年の英国のインフレ率は平均2・1%で、目標に極
めて近い。70年代は12%を超え、80年代も6%近かった。イ
ンフレ目標の導入は30カ国以上に広がりました。中央銀行が物価
安定を目標とすることの恩恵を忘れるべきではありません」

 「ただ、15年の成功の後、過去5年の金融危機と世界経済の混
乱は、インフレ目標の妥当性に深刻な問いを投げかけています。英
国の国内総生産は、危機前のトレンド線より15%も低い。バブル
を防ぐためには、物価目標を下回ることを許容する金融政策が正当
化される状況があるかもしれません。しかし、より重要なのは、(
実体経済と金融機関の行動が相互に与える影響を分析し、金融シス
テム全体を安定化させる)マクロプルーデンス政策を採り、資産価
格の過度な上昇、つまりバブル経済をおさえることです」

 ――日本銀行は今年1月、インフレ目標を導入しました。それま
で「物価安定のめど」を1%としてきましたが、2%を明確な目標
として設定しました。

 「明確なインフレ目標をもつのは、完全に理にかなった政策だと
思います。問題はインフレ率を目標値まで上げていくために、どん
な政策手段があるのか、という点です」

 「世界中の中央銀行が、景気回復のためにどんな政策手段がある
のか見つけるのに苦労しています。将来、通常の金利水準にどのよ
うに戻すかも心配しなければならず、大きな問題になっているので
す。日本の金利は長期間ゼロで、日銀のバランスシート(購入して
いる国債などの規模)は巨額です。英国も過去5年は低金利で中央
銀行のバランスシートも大きかった。いつまでこの状態が続くかわ
かりませんが、手遅れにならないうちに、普通の状態に戻す必要が
あります。インフレ目標よりも、通常の状態に戻すときの政策手段
のほうが大きな課題なのです」
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英国経済
2013年3月8日ジェトロ
第4四半期の実質GDP成長率は前期比マイナス0.3%?2012年通年は0.2
%成長?
 国民統計局(ONS)の発表(2月27日)によると、2012年第4四半期
の実質GDP成長率は前年同期比0.3%、前期比マイナス0.3%となり、
前期比ベースでは再びマイナスに転じた。2012年通年の実質GDP成長
率は0.2%となり、2011年の0.9%から一段と鈍化した。
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英国経済
2013年2月27日ジェトロ
ムーディーズ、英国債を1段階格下げ?1978年以来、35年ぶりに格付
け見直し?
 格付け会社ムーディーズは2月22日、英国の自国通貨建てならびに
外貨建て長期債務格付けを、最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引
き下げた。同社は格下げの要因として、低成長の継続や財政再建の
遅れなどを挙げ、将来の見通しは「安定的」とした。格付けの見直
しは、1978年3月にAaaに引き上げて以来35年ぶり。
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カーニー総裁、英国へようこそイングランド銀行次期総裁が担う大
変な責務
2012.11.28(水) Financial Times JBPRESS
(2012年11月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

マーク・カーニー氏をイングランド銀行総裁に任命する人事は、ま
さに歴史的な出来事だ。中央銀行総裁という国の最も重要な公職に
カーニー氏のような外国人を起用することは異例であり、称賛すべ
きことである。

?たとえカナダ人が英国にとってそれほど遠い存在ではないとしても
、そして妻がイングランド人で自らも英国と縁のあるカーニー氏は
大半のカナダ人より英国に近い存在であるとしても、だ。

歓迎すべき歴史的人事
とはいえ、この人事はサプライズであると同時にギャンブルでもあ
る。サプライズであるのは、カナダ銀行(中央銀行)総裁として多
方面から尊敬されているカーニー氏が――筆者が知る限りでは――
自ら応募したわけではないからだ。

またギャンブルであるのは、政治的にならざるを得ない職に外国人
が就任するからだ。しかも、現在の英国は難しい経済・金融環境に
置かれており、このポストは平時以上に政治的になっている。

ジョージ・オズボーン財務相は、傑出した人物を選んだことだけで
なく、彼を口説き落としたことでも称賛に値しよう。カーニー氏が
経済、金融および中央銀行業務で幅広く知識と経験を積んだ優秀な
人材であることは間違いない。頭も切れるし押しも強い。

米JPモルガン・チェースのこわもてな経営者、ジェイミー・ダイモ
ン氏との激しい口論で一歩も譲らなかったことはよく知られるとこ
ろだ。
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英中銀、金利据え置き:量的緩和は打ち止め
2012年5月1日1
英中銀イングランド銀行は9〜10日に開いた金融政策委員会(MP
C)で政策金利を過去最低の0.5%に据え置くとともに、金融資産買
い取りによる量的金融緩和策を打ち止めとすることを決めた。イン
グランド銀銀は経済危機が深刻化した2009年3月以来、38カ月にわ
たり0.5%の金利を保っている。

昨年10月に始まった3,250億ポンドに上る今回の金融資産買い取りは
、2月に延長されていた。英国経済が第1四半期(1〜3月)にリ
セッション(景気後退)入りしたことから量的金融緩和策のさらな
る延長が必要との見方もあったものの、中銀はこれをユーロ圏の債
務危機が再び深刻化する事態に備え留保する決断を下したとみられ
ている。

4月のインフレ率は3.5%と、前月から0.1ポイント上昇。英中銀が
目標とする2%を28カ月連続で上回っている上、年内は目標の水準
まで低下しないとの観測が強まっている。4月のMPCの議事録で
はインフレに対する警戒感が示されており、量的緩和策に対する今
回の決定も英中銀の懸念が景気の低迷からインフレ加速に移ってき
たことを示すものとの見方が強い。
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英国はそろそろ量的緩和政策を止めないとハチャメチャなことになる
2011年02月15日23:19inShare
http://markethack.net/archives/51688604.html
英国の1月の消費者物価指数が発表されました。+4.0%でした。

英国はいわゆるインフレ・ターゲット制度を導入しており、現在の
ターゲットは+2.0%です。

つまり現在の英国のインフレはターゲットの2倍もはずれてしまっ
ているわけです。

イギリスはそろそろ量的緩和政策を終わらせるべき時期にきていま
す。

これをうまく終わらせることができるかどうか?という問題につい
ては、結構困難が伴うと予想されます。

イギリスはいろんな点でアメリカと共通している部分が多いです。

大胆な量的緩和政策を採用したという面でも共通しているし、通貨
安で輸出競争力を取り戻そうという作戦も似ています。

また金融サービスなどを中心とした経済の構造にも共通点があります。

ただイギリスの方が経済がずっと小さいので基軸通貨を有するアメ
リカと違い、際限なく自国通貨を割安に導く政策をイギリスはとる
ことはできません。

ある時点で財政規律を取り戻さなければいけないのです。そのタイ
ミングはアメリカより早く来ます。

ある意味、今日イギリスで起こっていることは後でアメリカでも起
こると考えられなくもないのです。

イギリスはリーマン・ショック以降、経済の落ち込みを防ぐために
早い段階から大胆に量的緩和政策を実施しました。

そして総選挙を経て誕生した保守党・自民党による連合政権はいま
財政の立て直しに取り組んでいます。
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イギリスの量的緩和政策
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-30.html
イングランド銀行は、資産購入プログラムという量的緩和政策を、
2度に渡って実施している。量的緩和第一弾ともいうべき資産購入
プログラムは、2009年2月に開始され、2010年1月までに
、2000億ポンドの資産購入を実施した。量的緩和第二弾ともい
うべき資産購入プログラムは、昨年10月に開始され、今年の11
月までに量的緩和第一弾と合計で、3750億ポンドの資産を購入
する見込みである。

イギリスの量的緩和の第一の特徴は、資産購入規模の大きさである。
量的緩和第一弾は、1年弱の期間に、2000億ポンドの資産を購
入している。ただ、この時期は、2008年9月のリーマンショッ
クで凍りついた市場に注入した多額の資金を市場から回収する操作
と並行して、資産購入を実施した。そのため、イングランド銀行の
ネットの総資産の増加額は、810億ポンドにとどまった。量的緩
和第二弾は、1年強の期間に1750億ポンドの資産を購入するも
のである。この1750億ポンドは、イングランド銀行の総資産の
増加額とほぼ等しくなる。1年強の期間に、GDP比で11%、日
本に当てはめたら、53兆円もの資産を純増ベースで購入するもの
である。日本の場合、今年8月までの過去1年間の日銀の資産の純
増額は、長期国債で19.2兆円、日銀の総資産で8.5兆円にと
どまっている。

第二の特徴は、購入する債券の残存期間の長さである。直近におい
て、資産購入プログラム保有資産の99.9%以上が国債で、残り
は社債である。今年6月末の時点で、購入時における残存期間が3
年以内の債券はゼロ、3−7年の債券が26.4%、7−15年の
債券が32.9%、15年以上の債券が40.8%であった。購入
時の債券の平均残存期間は10年を大きく上回っていたはずだ。日
本では、年間21.6兆円の長期国債の買いオペを実施しているが
、購入時の国債の平均残存期間は、2009年度3.9年、2010
年度3.8年、2011年度3.3年と圧倒的に短い(日銀HP掲
載の資料より)。この他、資産買入等の基金で国債を購入している
が、残存期間1年以上3年以下の国債しか購入していない。

こうした資産購入プログラムは、イギリス経済にどのような影響を
もたらしたのか。まず、マネーストックから見ることにする。

012年7月において、M4の34.3%は金融機関が保有し、残
りを事業法人と個人が保有している。このうち、金融機関保有分に
ついては、金融危機、金融緩和、規制強化などの環境の激変があっ
たため、保有分の変動が非常に大きい。そこで、M4のうち、金融
機関保有分以外のM4の動きだけに注目することにする。M4はリ
ーマンショック以前から伸び率が減少傾向を示していたが、量的緩
和第一弾が実施中の2009年5月に前年比+1.9%で底を打つ。
その後は、ほぼ横ばい状態が続いていたが、量的緩和第二弾の開始
直後の2011年11月から直近かけて、伸び率は増加に転じてい
る。こうした動きを見る限り、量的緩和第一弾のために、M4の伸
び率低下は食い止められ、量的緩和第二弾のために、M4の伸び率
が上昇したと理解できる。量的緩和は、M4の伸び率にプラスの影
響を与えたと考えられる。

次に長期金利の動きを見ることにする。

イギリスの長期金利は、リーマンショックの少し前から横ばいから
緩やかな低下傾向を示し、2011年に入って南欧経済の悪化の度
合いが強まると、金利の低下速度は速くなっている。量的緩和第一
弾の期間は、金利はほぼ横ばいであった。量的緩和第二弾の期間は
、金利は下がり続けているが、これは、要因としては南欧経済の悪
化の影響の方が大きかったと思う。量的緩和と金利低下の間に大き
な相関関係があるとは言い切れない。

次に資産価格である株価と住宅価格の動きを見ることにする。イン
グランド銀行は、量的緩和が真っ先に資産価格に影響を与えると考
えている。

株価と住宅価格のボトムは2009年2月。量的緩和第一弾の開始
と完全に一致している。量的緩和第一弾は、資産価格を底打ちから
反転させ、上昇トレンドを作り出すというイングランド銀行の期待
に完全に答える形となった。しかし、量的緩和第二弾の期間につい
ては、株価は少し上昇し、住宅価格はわずかだが下落している。量
的緩和第二弾は、今のところ、イングランド銀行の期待に答える形
になっていない。

次に消費者物価(CPI)の動きを見る。イングランド銀行のイン
フレターゲットの基準は、CPIであるが、2008年12月以降
、付加価値税が下がったり上がったりしているので、間接税を除く
CPIだけに注目することにする。なお、イングランド銀行は、量
的緩和がまず資産価格を上昇させ、最終的にCPIの上昇を引き起
こすと考えている。

量的緩和第一弾、第二弾の時期に、CPIは下がり続けている。た
だ、金融緩和がCPIの上昇を引き起こすまでのラグを考えると、
量的緩和第一弾開始から1年半経過した2010年8月から2011
年9月までCPIがじりじり上昇しているのは、量的緩和第一弾の
効果であるかもしれない。

最後に実質GDP成長率を見ることにする。
リーマンショックで大幅に落ち込んだ実質GDPは、量的緩和第一
弾が始まってから、マイナス成長の幅が小さくなり、量的緩和第一
弾が実施中の2009年7−9月期から成長率はプラスに転じてい
る。量的緩和第一弾は、実質GDPの引き上げに効果があったと考
えられる。しかし、量的緩和第二弾が開始されてから、実質GDP
の成長率はずっとマイナスであり、現時点では効果が全く現れてい
ない。

全体として見ると、量的緩和第一弾は、効果を十分に発揮したと言
えると思う。もっとも、この時期は、リーマンショックという急激
な経済の落ち込みに危機感を抱いた世界の多くの国々の政府が、同
時に大規模なケインズ的な財政政策を実施し始めた時期でもある。
イギリス政府も同様の政策を採用した。経済成長の伸び率がプラス
に転じたのは、こうした財政要因や、落ち込みすぎた反動の影響な
どが重なったからであると見るべきであろう。それでも、イングラ
ンド銀行が最も期待していた資産価格が下落から上昇に転じた理由
は、量的緩和第一弾の影響が大きかったと思われる。

なお、量的緩和第二弾は、現時点では効果がごくわずかしか現れて
いない。南欧経済の不況からの直撃と、財政再建優先という環境下
での不況であるが、量的緩和第一弾の時期と違って、景気対策は量
的緩和第二弾だけが頼りとされている。もし、近い将来、資産価格
が上昇に転じ、経済成長率もプラスに転じたならば、量的緩和の効
果が間違いなく存在することの、より明らかな証拠となるであろう。


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