4625.黒田・日銀総裁でどうなるか?



アベノミクスを体現する日銀総裁に黒田東彦氏になり、2年間で物
価上昇2%を実現することになる。この検討。津田より

0.黒田総裁の政策方向は
日銀の黒田東彦総裁は21日の就任記者会見で、2%の物価上昇率目
標の達成へ「量的、質的両面から大胆な金融緩和を進める」と表明
した。目標の達成期限は「2年程度を念頭に置く」とし、「達成ま
で、あらゆる手段を講じる」と強調した。

私が参考にしているケネス・ロゴフ米ハーバード大教授も、日銀が
消費者物価2%上昇を目指すインフレ目標を決めたことについて、
デフレ克服に向けた「好ましい長期的な戦略だ」と評価した。

しかし、就任後初めて開く金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る
方向だが、黒田氏が日銀総裁に就任した途端、円安から円高にシフ
トしている。

黒田氏が具体的な明言しなかったことによるというが、キプロス問
題で、ユーロ危機が意識された可能性もある。しかし、就任前より
1ドル94円と円高に振れている。

日銀の白川方明前総裁は、これまで金融緩和のための「国債買い入
れ基金」による国債購入と、通常の資金供給のための国債購入を分
ける緩和手法をとってきた。日銀法により、通貨発行量までという
国債買い入れ枠の上限があり、仕方がないことであった。

しかし、黒田新総裁は、この白川前総裁の進めた金融緩和を「複雑
で分かりにくい」と批判し、抜本的に見直す考えを表明。国債買い
入れの2つの枠組みを統合することも視野に入れる見込みだ。また
、日銀が買う長期国債の対象を広げ、現行の満期までの残存期間「
1〜3年」を「5年以下」などに延ばすことを想定しているようだ。

浜田宏一内閣官房参与は3月14日、日銀法について「リフレ派の日銀
正副総裁に交代するから改正しなくてもいいという考えは望ましく
ない」と述べ、改正が必要との認識を示したが、国債買い入れ枠を
通貨発行量までという日銀法の規定は、少なくとも変更する必要が
ある。政府と連携しないと出来ない。

「REIT(不動産投資信託)を含め様々な金融資産の購入も議論
する」と述べ、価値が下がって日銀が損失を被る恐れがある資産の
購入拡大も検討対象に挙げた。

しかし、日本の金融緩和を円安誘導だとする批判には「金融緩和が
円安効果を持つのは事実だ」としつつ、「為替相場をターゲットと
しているものではない」とした。

1.予想される岩田副総裁の政策と黒田総裁のネガティブ政策
そして、リフレ派とされる経済学者であり、「日銀がマネタリーベ
ース(資金供給量)を増やすだけでデフレから脱却できる」と主張
する岩田規久男副総裁は、2%物価目標を2年程度で達成できない
場合、「説明責任を果たせないならば、最高の責任のとり方は辞任
だ」と述べた。

現在の資金供給量がすでに過去最高に達していることを念頭に置く
と、そんなに簡単な政策で現状を説明できるのか、疑問はある。し
かし、その理論が正しいかどうか、2年を待たないでわかるはずで
ある。

白川方明前総裁がいうように金融緩和政策効果だけでなく、そのリ
スクも考えないといけないが、この岩田副総裁は簡単な理論である
ので、その分怖い。事象の説明が簡単過ぎで、かつリスクを考えて
いないように感じる。市場心理の怖さを知らないと恐ろしい。

そして、遅くとも4月3、4両日に予定される定例の金融政策決定
会合で追加緩和に踏み切るとみられるが、それより前に臨時会合を
開き、追加の金融緩和を進める可能性もある。

黒田新総裁は、日銀の準備預金金利の引き下げについては慎重な姿
勢を示した。石田日銀審議委員は昨年12月の金融政策決定会合で、
安全通貨としての円の魅力を削ぐことに役立つとして、準備預金の
超過準備分への金利の撤廃を提案したが、それには同調しないとい
う。

もう1つ、G7財務相・中央銀行総裁会議での「為替レートは市場
で決定される」との基本認識声明から、黒田総裁は「為替安定の責
任は財務省にある」とし、「為替に影響を与えること自体、(為替
市場)介入になる」と日銀による外債購入を明確に否定している。
外債購入はしないという。

2.金融緩和の政策検証
国債の年限長期化、量拡大に不可欠である。短期国債を日銀が大量
に買うと短期金利が下がるが、長期金利が上がり、金利上昇という
副産物が起こる。これを防ぐためにも、長期国債の買い入れも行う
必要がある。10年国債などの長期国債も買い入れることである。
そして、現役の財務官僚も「国債発行は綱渡りの状況です。」とNHK
の番組でも述べていたが、長期国債の売れ行きが悪いようだ。

しかし、日銀による長期国債購入が財政ファイナンス(穴埋め)と
市場心理で見られると、円の急落が起こるので、そう見られないよ
うな金融緩和が必要になる。そうしないと、カイル・バス氏などヘ
ッジファンドが日本売りを仕掛ける可能性がある。

現在、基金では国債以外に、社債やコマーシャルペーパー(CP)
、ETF(指数連動型上場投資信託)、J−REIT(不動産投資
信託)などのリスク性資産を購入している。ある程度の金融緩和を
行なっている。これ以上の購入は、損失を覚悟することが必要にな
る。このため、今後、政府・日銀間で損失負担のあり方が議論され
る可能性がある。

日銀当座預金の超過準備に付されている利息(付利、現行0.1%
)で、外銀が他通貨から円ヘの逃避で円買い後、そのまま日銀に預
けるために、日銀当座預金量が膨大になっている。これを防ぐため
には、マイナス金利、または撤廃が必要である。しかし、黒田総裁
は否定的だ。国内の銀行も運用する資金の一時的な保留場所として
利用しているためである。

円高を防止できる外債購入が考えられるが、通貨マフィアでもある
黒田総裁は否定している。

ということで、黒田総裁は、外債購入や日銀の準備預金金利ゼロな
どの新しい金融緩和手法を取らないという。金融緩和手段を制限し
ていることになる。今後問題になるのは、量的緩和の手法が限られ
ていることで量的緩和手法での限界点のリスク議論が出てくること
になる。

この限界点を見据えて、市場は円高に振れていると見える。

2.それではどうするのか?
麻生太郎副総理兼財務・金融相は22日の閣議後記者会見で、政府
・日銀が掲げる2%の物価目標について「日銀が金融緩和したとし
ても、財政出動や経済成長など全部が動かないと物価(上昇)まで
行くには時間がかかる。そんなに簡単にはいかない」との認識を示
した上で、「日銀に責任を押し付けようなんていう発想は間違って
いる」と述べた。

麻生財務・金融相は、一番政府の中では経済を知っているし、まと
もである。財政出動が必要であると言いたのであろう。

事実、国土交通省は21日、2014年3月末までに道路や下水道
、鉄道、空港など全国のインフラを集中点検することを正式に決め
、維持管理の工程表を公表した。太田国交相も「高度経済成長期以
降に整備したインフラが急速に老朽化しており、対策を進めること
が重要だ」とした。

そして、小野寺防衛相は16日、「日本の領海・領空が侵犯され、
様々な圧力がかかってくる。東西冷戦のどこかの陣営の手伝いでは
なく、直接紛争の当事国になるかもしれない。そういう危機感の中
で安全保障体制を作っていかなければいけない」とし、早急に軍備
を整える必要を指摘した。財政出動として、諸外国では軍備増強に
向かうが、今までの日本はのんびりしていたが、とうとう、それを
行う必要になっている。

しかし、国債発行量が限度を超えると、円急落になる。国債の返済
は出来るかもしれないが、国民は大きな痛みを伴うことになる。

アベノミックスの第3の矢である成長戦略はどうであろうか?
今後、エネルギー産業が一番成長を期待される。そのためには電力
市場の開放が必要だが、その改革の目玉である発送電分離は、自民
党内の反対で「努力目標」に後退している。規制緩和も、この自民
党の状況を見ると難しそうである。

その代わりに、政府は石炭火力発電の新増設の推進にかじを切る。
既存利益集団への便宜を優先することになる。石炭火力は良い手段
であるが、これによるメリットで、自由化の進展を抑えるように見
える。

成長戦略で成長ターゲットを見つけて、そこに投資する資金を日銀
がファンドを作り、提供することで、政府と日銀が成長戦略を共同
で行うことが必要になっている。その大きな市場が電力などエネル
ギー産業であると見るので、自民党の既存利益集団への便宜優先は
、今後、大きな壁になるような気がする。

そして、成長戦略会議の様子も、何かおかしいようである。民間委
員でも政府支援を求める人達、サービス業と製造業の視点が違うこ
とを視野に入れずに、議論している感じが見える。そして、自民党
の姿勢、既得権益者重視の姿勢が、今後、大きな問題になるようだ。

さあ、どうなりますか?

資料:
4539.国債暴落の仕掛け人カイル・バスの予告
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/241204.htm

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物価2%、時間かかる=「責任押し付け間違い」?麻生財務相
2013年 3月 22日 11:02 JST 
 麻生太郎副総理兼財務・金融相は22日の閣議後記者会見で、政
府・日銀が掲げる2%の物価目標について「日銀が金融緩和したと
しても、財政出動や経済成長など全部が動かないと物価(上昇)ま
で行くには時間がかかる。そんなに簡単にはいかない」との認識を
示した。
 2%目標に関し、日銀の黒田東彦新総裁は「2年程度」で実現す
る考えを表明している。麻生財務相は目標を達成できなかった場合
の責任について、「日銀に責任を押し付けようなんていう発想は間
違っている」と述べた。 
[時事通信社]
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老朽インフラを集中点検 国交省、14年3月までに実施
2013.3.22 05:00   sankeiBIZ
 国土交通省は21日、2014年3月末までに道路や下水道、鉄
道、空港など全国のインフラを集中点検することを正式に決め、維
持管理の工程表を公表した。太田昭宏国交相は同日の省内会議で「
高度経済成長期以降に整備したインフラが急速に老朽化しており、
対策を進めることが重要だ」と強調した。

 集中点検は、国や地方自治体のほか、民間の道路会社や鉄道会社
が管理する施設も対象。道路ののり面や防音壁、標識を調べるほか
、設置後50年を過ぎた下水道管や、鉄道の橋、空港の滑走路、公
園の遊具などの不具合を確認し、崩落や倒壊による事故の防止を図
る。

 河川や海岸の護岸や水門、ダムのゲートは、梅雨で雨量が増える
今年6、7月ごろまでに点検を終える。工程表には、自治体によっ
て内容が異なる維持管理や点検のマニュアルを、14年3月までに
見直すことも盛り込んだ。インフラの分野ごとに点検内容や頻度を
統一したマニュアルを作成し、14年4月以降はこれに従って管理
を進める。
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黒田総裁「量・質の両面で大胆な緩和」 就任会見 
2013/3/21 20:53nikkei
 日銀の黒田東彦総裁は21日の就任記者会見で、2%の物価上昇率
目標の達成へ「量的、質的両面から大胆な金融緩和を進める」と表
明した。目標の達成期限は「2年程度を念頭に置く」とし、「達成
まで、あらゆる手段を講じる」と強調した。早期に政策転換し、就
任後初めて開く金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る方向だ。

 黒田総裁は今後の金融政策で「量的な緩和が不可欠なのは事実だ
」と述べ、市場へ供給するお金の量を積極的に拡大していく姿勢を
示した。そのうえで量の拡大だけでは不十分だとし、「より長期の
金融資産の購入」など購入資産の質も重視する考えを打ち出した。

 黒田総裁の発言は日銀が買う長期国債の対象を広げ、現行の満期
までの残存期間「1〜3年」を「5年以下」などに延ばすことが念
頭にあるとみられる。「REIT(不動産投資信託)を含め様々な
金融資産の購入も議論する」と述べ、価値が下がって日銀が損失を
被る恐れがある資産の購入拡大も検討対象に挙げた。

 日銀は白川方明前総裁の下で2010年秋に「包括緩和」と呼ぶ金融
緩和策を導入。これまで金融緩和のための「国債買い入れ基金」に
よる国債購入と、通常の資金供給のための国債購入を分ける緩和手
法をとってきた。

 黒田総裁は「複雑で分かりにくい」と批判し、抜本的に見直す考
えを表明。国債買い入れの2つの枠組みを統合することも視野に入
れる見込みだ。

 日銀が14年から導入する予定の無期限緩和の前倒し導入を検討す
る。今は金融緩和のために購入する長期国債について「13年末まで
」などと期限を区切った目標を設けている。これを期限なしで毎月
一定額を買う手法に早急に改める。

 新体制での追加緩和の決定を巡って、市場では4月3、4日の金
融政策決定会合を待たずに臨時会合を開いて追加緩和を決めるとの
観測が出ている。黒田総裁は臨時会合の可能性は「私から申し上げ
るべきではない」と述べるにとどめた。

 日本の金融緩和を円安誘導だとする批判には「金融緩和が円安効
果を持つのは事実だ」としつつ、「為替相場をターゲットとしてい
るものではない」と理解を求めた。

 就任記者会見には、岩田規久男氏と日銀理事から昇格した中曽宏
氏の両副総裁も出席し、積極緩和へ黒田総裁と足並みをそろえた。
岩田副総裁は2%物価目標を2年程度で達成できない場合、「説明
責任を果たせないならば、最高の責任のとり方は辞任だ」と述べた。

 中曽副総裁はこれまでの日銀の金融政策について「いまだにデフ
レから脱却できていない事実を重く受け止め、前例にとらわれない
新しい発想で政策を実行したい」と語った。
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岩田副総裁、物価2%「2年で達成と約束することが大事」
2013/3/21 20:20nikkei
 日銀の岩田規久男副総裁は21日の就任記者会見で「インフレ目標
という金融政策のレジーム(体制)に転換することが日本のデフレ
脱却に不可欠だと思って研究を続けてきた。ひょうたんから駒とい
うか、言ってきたことをこれから実際の政策にいかす場を与えられ
た」と第一声を発した。金融政策については「インフレ予想を起こ
さない限りはデフレは脱却できないという立場だ」と強調。量的・
質的な金融緩和へ黒田東彦総裁を支える考えを示した。

 消費者物価上昇率の前年比2%を達成するためには「いつ頃まで
に責任を持って日銀が達成するとコミット(約束)すること、これ
が非常に大事だ」と訴えた。達成までの期間を巡っては、インフレ
目標を先に導入した主要国の事例を踏まえて「2年くらいだ」とし
た。

 そのうえで「やはり2年で責任もって達成するとコミットする。
達成できなかったときに言い訳をしないという立場だ。そういう立
場に立っていないと(世の中が)金融政策を信用しない」と述べた。

 金融緩和の手段に関しては「政策金利がゼロになっているので量
的緩和しかない」と指摘した。「どういうものを買うか、政策委員
の方、スタッフの方と議論しながら2年後ぐらいまでには達成でき
るよう全力を尽くしたい」と力説した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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アングル:黒田日銀、主な緩和手段の論点整理
2013年 03月 21日 22:43 JST 
[東京 21日 ロイター] 黒田東彦総裁率いる日銀の新体制で
想定される主な金融緩和手段の論点は以下の通り。

<国債の年限長期化、量拡大に不可欠>
量的な拡大を大胆に進めていくには、市場規模の大きい国債の買い
入れが中心とならざるを得えない。現行の基金による国債買い入れ
は残存3年以下が対象となっているが、5年程度までの金利が0.1
%の水準に低下する中で、さらなる対象年限の長期化が不可欠だ。
新正副総裁が年限の長期化に柔軟な姿勢を示していることに加え、
6人の審議委員の中にも前向きな委員がおり、さらなる長期金利低
下と量的緩和拡大の双方の観点から、決定会合で承認が得られやす
いとみられる。市場も5年程度までの長期化をほぼ織り込んでいる。
一方、年限を長期化すれば、満期到来に伴う資産残高の圧縮が進ま
ないことから、出口戦略における金融政策の柔軟性が低下するとの
懸念もある。

<避けられない銀行券ルールの見直し議論>
基金による国債買い入れとは別に、市場の資金需給を均す金融調節
上の手段として、対象年限に制限を設けていない国債買い入れ(輪
番オペ)も実施されている。基金で買い入れる国債の年限を長期化
すれば、輪番オペとの境界は一段と曖昧になる。白井さゆり審議委
員は、3月の金融政策決定会合で両者の統合を提案したが、反対多
数で否決された。ただ、国債の大量購入を進めるとみられる新体制
では統合議論が高まる可能性が大きい。

輪番オペには、日銀による国債購入が財政ファイナンス(穴埋め)
とみなされないよう、日銀保有の国債残高を銀行券の発行残高以内
に抑える、いわゆる「銀行券ルール」が歯止めとして設定されてい
る。基金と輪番を統合する場合、すでに両者を合わせた国債保有残
高は銀行券発行残高を超過しており、同ルールの見直し議論は避け
られない。黒田総裁は、日銀が自主的に金融政策手段として市場か
ら国債を買い入れている限り、同ルールの有無にかかわらず、財政
ファイナンスの懸念が高まることはないと主張している。

<リスク性資産の拡充、損失負担のあり方も焦点>
現在、基金では国債以外に、社債やコマーシャルペーパー(CP)
、ETF(指数連動型上場投資信託)、J−REIT(不動産投資
信託)などのリスク性資産を購入している。黒田総裁は、質的緩和
の拡充の面からも、リスク性資産について「市場の状況などを踏ま
えて十分議論する」方針。もっともリスク性資産を増やせば、市場
価格が下落した場合に損失も大きなものとなる。2月の金融政策決
定会合では、複数の政策委員が「損失が生じた場合、政府に損失を
分担してもらう可能性は考えられないか」と問題提起しており、リ
スク性資産の購入拡充に向け、今後、政府・日銀間で損失負担のあ
り方が議論される可能性もある。

<無期限緩和の前倒し、黒田総裁「検討する」>
日銀は1月の金融政策決定会合で、資産買入基金による資産購入を
2014年から「無期限」(オープンエンド)方式とする事を決定
した。金融資産を毎月一定額、期限を定めずに購入し続けるもので
、これについても白井委員が3月の会合で速やかな導入を提案した
が、反対多数で否決されている。これに対して黒田総裁は「無期限
」緩和について「前倒しであろうと何でも検討する」と前向きな考
えを表明している。

<当座預金の付利撤廃、賛否両論>
日銀当座預金の超過準備に付されている利息(付利、現行0.1%
)の撤廃は、昨年12月の会合で石田浩二審議委員が提案したが、
反対多数で否決された。背景の1つには、欧州債務問題などを背景
に逃避先として円需要が高まりやすい状況を是正する狙いがあった。
しかし、現在はリスク回避姿勢の後退などもあり、為替市場では円
高が急速に是正されている。さらに付利を廃止すれば、金融機関が
当座預金に資金を預けておくインセンティブも低下するため、資金
供給オペで札割れが発生し、量的緩和の拡大に支障を来す恐れもあ
る。黒田総裁は付利撤廃について「賛否両論ありコメントできない
」と珍しく明言を避けている。中曽宏副総裁は、過去の量的緩和政
策時代に無担保コール翌日物金利がゼロ%まで低下した当時を振り
返り、「市場が死んでしまった」と表現。市場機能を維持する重要
性を強調している。

<可能性低い外債購入>
日本経済が長引く円高に苦しんでいた中で、中央銀行が為替相場に
直接働きかける手法として、議論が高まった。ただ、日銀法では為
替操作を目的とした金融政策は認められておらず、政府・日銀は法
律上不可能との立場。黒田総裁も「為替安定の責任は財務省にある
」とし、「為替に影響を与えること自体、(為替市場)介入になる
」と日銀による外債購入を明確に否定している。最近の円安進行を
受け、海外から円安誘導との批判も高まりやすく、日銀が外債購入
に踏み切る可能性は当面ない。
(ロイターニュース 伊藤純夫 編集 橋本浩)
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日銀の黒田体制発足 次回会合で追加緩和へ
 黒田東彦総裁率いる日銀の新体制が20日、発足した。早期のデ
フレ脱却を最優先課題とし、2%の物価上昇目標の達成に向け、休
日明けの21日に本格始動する。国債の大胆な購入を柱とする追加
金融緩和の検討に着手。遅くとも4月3、4両日に予定される定例
の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとみられる。

 黒田総裁は21日に日銀本店に初出勤。記者会見に臨み、金融政
策の運営方針などを説明する。

 追加緩和の具体策として最も有力なのは、一段の金利低下を促す
ためのより長期の国債購入だ。残存期間が3年以内の国債に限って
いる現在の購入条件を、5年程度に延長する案が出ている。
2013/03/20 16:39   【共同通信】
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「めったにないこと次々と」 白川日銀、苦悩の5年 
2013/3/20 0:44nikkei
 19日に退任した日銀の白川方明総裁は、リーマン・ショックや急
激な円高、欧州債務問題と相次ぐ経済危機への対応に追われた。2010
年秋には長期国債などを大量購入する「包括緩和」に踏み切ったが
、デフレ脱却の道筋をつけたとは言い難い。短期的な成果を求める
政治や市場との対話にも苦慮した5年間だった。

 「リーマン・ショック、東日本大震災、2度の政権交代と、めっ
たにないことが次々起きた」

 白川総裁の5年間は円高との戦いだったといえる。就任直後の08
年9月にはリーマン・ショックが発生。同年8月には1ドル=110円
だった円相場が東日本大震災や欧州債務危機が追い打ちをかけて、
11年10月には75円32銭まで円高が進んだ。

 19日の記者会見では「円高が日本経済の下押し要因との認識を強
く持っていた」と白川総裁は明かした。海外の需要減と円高が重な
って企業収益が急減。2%を超えていた物価上昇率も瞬く間にマイ
ナス圏に沈んだ。「米欧に比べ日銀の緩和姿勢が弱い」とみなされ
たことが円高の一因だが、海外との緩和競争には「従来以上に難し
さがあった」と吐露した。

 「中銀が言葉で市場を思い通りに動かすということであれば、危
うさを感じる」

 黒田東彦氏ら次期日銀首脳部は「市場の期待」への働きかけを重
視し、就任前から積極的な緩和姿勢を表明して株高や円高修正を誘
ってきた。白川総裁はそうした手法に疑問を投げかけ「デフレの根
本的原因は潜在成長力の低下」と指摘。日銀の金融緩和とともに政
府の成長戦略が不可欠と繰り返し主張した。

 岩田規久男新副総裁らリフレ派とされる経済学者は「日銀がマネ
タリーベース(資金供給量)を増やすだけでデフレから脱却できる
」と主張する。ただ白川総裁は、資金供給量がすでに過去最高に達
していることなどを念頭に「マネタリーベースと物価のリンクは断
ち切られている」と反論した。

 「政策効果だけでなくリスクも説明するのが、民主主義下で中銀
に求められる誠実な対応だ」

 「趣味は金融政策」とまで評された白川総裁が、最後の記者会見
でもこだわりをみせたのが中央銀行論だ。金融緩和と同時に政策リ
スクも説く白川総裁のスタイルには、政治や市場から「緩和姿勢が
中途半端」との批判もあった。記者会見では「(市場や政治の要求
は)長い目でみた経済の安定と必ずしも一致しない」と改めて強調
した。

 白川総裁は中銀の役割を「経済の安定に必要なアンカー」とも表
した。リーマン・ショック時には「最後の貸し手」として大量に資
金供給し、金融システムを維持した成果があるためだ。ただ財政政
策や成長戦略の手詰まり感から、世界的に中銀の金融政策への期待
がさらに高まる。「経済の主導役」になりきれなかった苦悩がにじ
んだ。
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電力改革:発送電分離 自民党内の反対で「努力目標」に
毎日新聞 2013年03月19日 07時57分
 政府・自民党は18日、大手電力会社の送配電部門を発電部門か
ら別会社化する「発送電分離」を盛り込んだ電力改革の政府方針案
を修正する方向で調整に入った。当初案は発送電分離を18ー20
年をめどに実施し、関連法案を15年通常国会に提出する方針を明
記していた。しかし、党内の反対が根強いことから、目標年限は残
しつつ、法案提出や改革の実施については「目指す」との表現を加
える方向だ。改革が「努力目標」に後退することで、発送電分離が
事実上、骨抜きになる恐れもある。

 政府は月内に発送電分離と家庭向け電力販売の自由化を柱とする
電力改革案を閣議決定する。18日開かれた自民党経済産業部会な
どの合同部会では、発送電分離について、出席議員から「原発再稼
働などが見通せない中、拙速に行うべきではない」などの慎重意見
が噴出。このため、政府・自民は、発送電分離の法案提出や改革の
書きぶりを緩める方向となった。最大の焦点の発送電分離の実現性
があいまいになれば、電力改革の大幅後退は避けられない。
【小倉祥徳】
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石炭火力を推進、燃料費抑制で国民負担減 政府 
2013/3/17 2:00日本経済新聞 電子版
 政府は石炭火力発電の新増設の推進にかじを切る。原発事故後の
天然ガスの輸入急増が電気料金の上昇を招いており、安い石炭を利
用して国民負担を抑える。環境影響評価(アセスメント)の手法を
見直し、二酸化炭素(CO2)の排出量に明確な基準を設けるなどし
て新増設をしやすくする。石炭火力の新増設に慎重だった環境省も
姿勢を転換し、環境負荷を小さくする技術開発に力を入れる。

 菅義偉官房長官、茂木敏充経済産業相、石原…
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日本が直接紛争の当事国になるかも…防衛相
 小野寺防衛相は16日、自民党本部での会合で、「日本の領海・
領空が侵犯され、様々な圧力がかかってくる。東西冷戦のどこかの
陣営の手伝いではなく、直接紛争の当事国になるかもしれない。そ
ういう危機感の中で安全保障体制を作っていかなければいけない」
と述べた。

 沖縄県の尖閣諸島を巡り、緊張が高まる中国との関係を念頭に、
防衛力強化の必要性を訴えたものだ。

 また、中国の対応について、「(民主党に)政権が代わり、日本
のスタンスが少し変わった期間が一時あった。中国が『日本の状況
は少し付け入ることができるかな』と、様々なことを仕掛けてきた
」との見方を示した。
(2013年3月16日20時17分  読売新聞)
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日銀法改正は必要=浜田内閣参与
2013年 3月 14日 18:30 JST
 浜田宏一内閣官房参与は14日、日銀法について「(日銀正副総裁
が交代するから)改正しなくてもいいという考えは望ましくない」
と述べ、改正が必要との認識を改めて示した。自民党本部で会合に
出席した後、記者団に語った。

 浜田氏は、日銀法を改正して、物価や雇用などの目標を政府が決
定することを明記すべきだと強調。一方、政府による日銀総裁の解
任権を盛り込むことについては「逆に極論だ」として、否定的な立
場を明らかにした。 
[時事通信社]
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海底メタン「商業化へ全力」=菅官房長官
 菅義偉官房長官は12日午後の記者会見で、海底資源メタンハイ
ドレートの国内産出試験の成功について「資源のないわが国にとっ
て歓迎すべきことだ。商業化に向けて技術を確立できるよう国とし
て全力を挙げていきたい」と述べた。(2013/03/12-16:49)
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準備預金金利引き下げには慎重=黒田日銀総裁候補
By TATSUO ITO AND TAKASHI NAKAMICHI
2013年 3月 12日 09:29 JST
 【東京】参院議院運営委員会は11日、政府が次期日銀総裁候補と
して国会に提示した黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁から所信を
聴取した。黒田氏は、デフレ脱却のためあらゆることをするとの決
意を改めて表明した。しかし、異論のある準備預金金利の引き下げ
については慎重な姿勢を示した。

 金融市場では、黒田氏が総裁に就任すれば追加金融緩和が行われ
ることは織り込み済みで同氏がどの程度緩和を推し進めるかに焦点
が移っている。

 黒田氏は、日銀のこれまでの緩和措置では不十分だとの認識を示
した上で、2%の物価目標を実現するためにあらゆる手立てを講じる
と強調した。ただ、金融機関が日銀に預託する準備預金に対する0.1
%の付利の引き下げ、ないし撤廃に関しては、「賛否両論があり、
金融政策決定会合で議論したい」と述べるにとどめた。

 同氏は、準備預金への付利は、短期金融市場の円滑な運営に寄与し
ていると、そのメリットを挙げる一方で、付利が一段の緩和の障害
となっているとし、同金利をマイナスにすべきだとの議論もあるこ
とを指摘した。日銀による国債買い入れの増額や多様化については
支持した。

 石田浩二日銀審議委員は昨年12月の金融政策決定会合で、安全通
貨としての円の魅力を削ぐことに役立つとして、準備預金の超過準
備分への金利の撤廃を提案したが、反対8、賛成1で否決されている。
石田委員は11日の記者会見で、同金利の撤廃について、12月の会合
で否決されており、その後は提案していないと述べた。

 また、日銀が残存期間3年超の長期国債を買い入れることに関して
は、「金融政策としての効果が大きいのかどうか評価して決める必
要がある」と語り、態度を明らかにしなかった。日銀は現在、国債
買い入れを残存期間3年以下のものに制限している。

 投資家の間では、4月3、4の両日開かれる次回決定会合では石田氏
がキャスチング・ボートを握るのではないかとみる向きがあり、同
氏の発言が注目されている。黒田氏と2人の副総裁、さらに白井さゆ
り審議委員は追加金融緩和を支持するとみられており、石田氏がこ
れに加われば過半数を占めることになる。

 白井委員は7日の決定会合で、国債買い入れの増額を提案したが、
反対8、賛成1で否決されている。白井氏の提案は、黒田次期総裁の
下での決定会合に向けての地ならしではないかと受け止められてい
る。

 投資家らは、問題は日銀が追加緩和するかどうかではなく、どの
程度積極的に動くかであるとみている。バークレイズ・キャピタル
の森田京平チーフエコノミストは、日銀は4月初めの決定会合で国債
買い入れを増額するとともに、対象をより長期の国債に広げ、4月26
日の会合でさらなる追加緩和措置を打ち出すと予想している。

 黒田氏と2人の日銀副総裁候補は、週内に国会の承認を得て、白川
総裁と2人の副総裁が辞任する19日に就任する見通し。
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G7声明「金融政策は国内目的」を明確化、新興国との衝突回避
2013年 02月 13日 05:21 JST
[東京 12日 ロイター] 日米欧7カ国(G7)の財務相・中
央銀行総裁らが、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁
会議を前に声明を急きょ取りまとめたのは、G20会合で主要国の
金融緩和策に批判を噴出させかねなかった新興国との「正面衝突」
を回避する狙いが背景にあったとみられる。

今回の声明は「為替レートは市場で決定される」との基本認識や、
為替介入などを示唆するとされる「市場での行動に関して緊密に協
議すべきことを再確認する」ことなど従来のG7見解を踏襲。その
うえで、各国の財政・金融政策が「それぞれの国内目的を達成する
ことに向けられている」こと、「為替レートを目標にしない」こと
などを明言したことがポイントだ。

こうした主張を声明の形で取りまとめるきっかけになったのは、安
倍政権の発足。金融危機の傷跡が深く残る欧州を中心に、主要国が
揃い踏みで導入した緩和的な金融政策が、新興国から通貨高や急激
な資本流入を生み出していると批判を受ける中、大胆な金融緩和を
旗印とする安倍政権が発足し、金融市場では株高や円安が大きく進
行した。これまで欧米などの金融政策運営を「近隣窮乏化策」と批
判し続けてきた新興国側の不満は、日本もその列に加わりかねなく
なったことで、頂点に達しつつあったようだ。

15─16日にロシアで行われる今回のG20は、事前から関係者
の間で「久しぶりに日本が主役になりそうだ」(国際金融筋)との
声が多く上がっていた。「アベノミクス」で日本が長期化するデフ
レから脱却し成長軌道に乗れば、世界経済にも好影響をもたらすが
、円安誘導で自国へさらに悪影響があっては困る──。G20で「
麻生財務相の説明を是非聞きたい」(通貨当局関係者)として身構
える新興国の姿が、かねてから金融緩和による景気下支え策へ軸足
を移していたG7の思惑を一致させたといえる。

<G7内にも温度差、声明は薄氷の上の合意>
G20を前に結束したかに見えるG7内でも、急速な円安進行をお
う歌する日本と、ユーロやドルの上昇が回復軌道に乗りつつある経
済の冷や水となりかねない欧米各国との間に、温度差が生じている
のは確かだ。各国が声明を発表したわずか4時間後、あるG7関係
の高官は早くも、声明は円の過度な変動への懸念を示唆したものだ
と明言し、外国為替市場では円が急速に上昇した。

だが日本政府内には、ひと足先に大規模な金融緩和10+ 件策に踏み
切った欧州や米国のあおりを受け、資本の逃避先となった円が歴史
的水準で高止まり続けたことで、震災後の経済回復途上で苦戦を強
いられたとの思いがある。ある日本政府の高官は、安倍政権の金融
緩和策や円の下落に苦言を呈した一部の欧米当局者に対して「彼ら
には言われたくない」と不満を隠さない。G7が声明で示した大同
団結は、薄氷の上に成り立っている。
(ロイターニュース 基太村真司:編集 石田仁志)
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カイル・バス氏の日本国債破綻論〜日本が破綻する前に彼のファン
ドが火達磨な件〜
2013-01-26 23:11 上念司
カイル・バス氏は昨年末に「12か月居ないに日本は破産する」と
宣言したそうですが、どうやら彼のファンドが破産する方が早そう
です。去年の4月時点(設立から1年9ケ月)で61%の損失なの
で、もうすぐ消滅してもおかしくない。
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日銀、独立性損なわれず=「通貨安競争招く」は誤解−米大教授
 【ダボス時事】元国際通貨基金(IMF)調査局長のケネス・ロ
ゴフ米ハーバード大教授は23日、世界経済フォーラム年次会合が
開かれているスイス・ダボスでインタビューに応じ、日銀が消費者
物価2%上昇を目指すインフレ目標を決めたことについて、デフレ
克服に向けた「好ましい長期的な戦略だ」と評価した。その上で、
日銀の独立性は政治圧力で損なわれていないと明言。追加金融緩和
が世界的な通貨安競争を招くとの見方は「完全な間違い」と否定し
た。 
 ロゴフ氏は、インフレ目標を2%にしても「実際に影響が出るの
は2、3年後の可能性がある」と指摘。日銀は国債市場への影響な
どを考慮し、これまで大胆な金融政策を講じなかったとした上で、
「10年前にこうした政策を導入すべきだった」と語った。
 また「中央銀行の独立性は極めて重要だ」としつつ、今回の日銀
の政策決定が安倍政権の圧力に屈したとの解釈には、「大胆な政策
を行う時は政府の協力が欠かせない」とし、日銀の独立性は損なわ
れていないと述べた。
 一方、日本の追加金融緩和が各国の通貨安競争につながるとの観
測を否定。「日本はデフレを懸念しており、金融緩和が必要だとい
うことを明確に訴える必要がある」と述べた。(2013/01/24-00:45)
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NHKスペシャル「日本国債」の本当の問題
2012-12-24 
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20121224
昨晩9時からのNHKスペシャルでは「日本国債」についてその危機的
な状況が報道されていました。

確かに日本の政府粗債務は2012年9月で約1100兆円に積み上がってい
ます。

 番組では、日本国債売りを仕掛けているヘッジファンド、ヘイマ
ンキャピタル代表 カイル・バス氏も登場し、「私たちは何年も前
から日本の借金レベルは返済できないレベルにあると考えています
。」と語っていました。
 しかしその一方で、国債の安全度のひとつの指標となる長期国債
金利は日本国債ではギリシャ国債などとは全く反対に、1%を下回
り、世界最低レベルで安定しています。

 では日本国債は本当は危険なのでしょうか、安全なのでしょうか
。 また日本国債の問題の本質とは何なのでしょうか。

1.内債としての日本国債
 よく知られていますように、日本国債の保有者は、9割以上が日
本国内居住者です。
 内債は、政府は国債を発行することに事実上制約がなく、またそ
の国債を裏付けとするならば、中央銀行も無制限にマネーを供給で
きますので、しばしば「内債の破綻はあり得ない」と結論されてい
ます。

 ところが、ケネス・ロゴフ教授は「国家は破綻する」で過去800年
間、66カ国に及ぶ経済史を分析し、1800年以降のデフォルト事例で
は、対外債務でのデフォルトが250件であるのに対し、内債でのデフ
ォルト事例も70数件発生しており、内債でのデフォルトがそう珍し
い事例ではないことを述べています。 廣宮孝信氏の「国の借金新
常識」では、このロゴフ教授の大著と自身の分析から、背景分析が
しやすい1970年以降の42例の背景を調べ、内債破綻は3つのパター
ンに集約されることを指摘しています)。

42件の内債破綻事例は、政情不安・実質外貨建て・高インフレ対応
の3パターンに分類し得る。
もっとも多いのが、内戦などによる返済不能(25件)、ついでドル
ペッグ国など事実上外貨建て内債破綻(13件)
そして、高インフレに対応するための破綻(4件)。 内債破綻で、他
の原因は知られていない。

このロゴフ教授の経済史研究結果から考えると、内債が破綻するこ
とは実際にときどき発生するが、その原因は3種のみであり、これら
3種の原因の中で、日本国債が近いうちに陥りそうな状況はないこと
が分かります。

NHKスペシャルでは財務官僚も登場し、「国債発行は綱渡りの状況で
す。」と述べていました。
一方で、その同じ財務省が、日本国債の格付けを下げたS&Pへの書簡
では貴社はデフォルトを「約定日に金融債務を履行しないこと、及
び当初よりも不利な債券の交換」と定義し、最近発表のレポートで
は「改革が実施され持続的成長が回復してもデフォルトを回避する
には遅すぎるかもしれない」としている。しかし、このような想定
は、日本のマクロバランスや国債の保有状況等を考慮に入れた場合
非現実的であり、タイムスパンを明記しつつ、具体的にどのような
事態が生じうるのか敷衍が必要。

として、S&Pの日本国債格下げは非現実的想定に基づくものとして一
刀両断に切り捨てています。


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