やっと、日本が気づいて金融緩和をして景気が上昇しようとしてい るのに、世界経済に暗雲が立ち込め始めた。 1つが、ユーロ危機再発、もう1つが米国の財政強制削減である。 イタリア総選挙の結果、安定的な政権の誕生が絶望的となった。 議会下院では、これまで通り緊縮財政と構造改革の継続を掲げる中 道左派が過半数を確保したが、上院では改革路線に反対するベルル スコーニ前首相の中道右派が第1勢力となる見通しだ。 このため、ユーロが売られたため大幅に円高が進み、株価も日米欧 で大きな下げ幅を記録した。 下院で過半数を占めた改革路線の中道左派が政権を樹立するために は、ベルルスコーニ前首相の中道右派との大連立が前提となる。 緊縮財政をめぐり真っ向から対立する両陣営が協調できるかどうか 、予断を許さない。連立交渉が不調に終われば再選挙となり、市場 の不安は一段と高まるだろう。 もう1つの米国であるが、米財政問題における当面の焦点である「 歳出の強制削減」の発動期限が3月1日に迫った。米連邦準備理事 会(FRB)のバーナンキ議長も、米上院銀行委員会で証言し、3 月1日に迫った「歳出の強制削減」の発動期限について「米経済の 著しい逆風になる」と議会に停止を求めた。 しかし、簡単には議会は合意できない。米国議会も上下院でねじれ 現象が起きているためと、民主・共和両党の主張には大きな違いが あり、合意ができないでいる。 さあ、世界経済はどうなるのであろうか? そして、日本のデフレは解消するのでしょうかね? 暗雲が立ち込め始めた。 ============================== 改革後退が不可避に=連立模索も主導勢力不在−伊総選挙 【ローマ時事】上下両院を改選するイタリア総選挙は26日、開 票作業がほぼ終わった。最終的な結果は発表されていないが、今後 、各政党連合は3月15日の議会初招集日に向けて連立を模索する 見通しだ。ただ、焦点の上院でいずれの政党連合も過半数を確保で きなかったため、政権づくりを主導できる政党連合が不在となる可 能性が高く、改革後退は不可避の情勢だ。(2013/02/26-23:25) ============================== イタリア再生に「ねじれ」の壁 2013/2/27nikkei イタリア総選挙の結果、安定的な政権の誕生が絶望的となった。 議会下院では、これまで通り緊縮財政と構造改革の継続を掲げる中 道左派が過半数を確保したが、上院では改革路線に反対するベルル スコーニ前首相の中道右派が第1勢力となる見通しだ。 日本にとっては、残念な結果といわざるを得ない。金融市場では イタリアの改革が足踏みし、欧州の債務危機が再燃する懸念が高ま っている。ユーロが売られたため大幅に円高が進み、株価も日米欧 で大きな下げ幅を記録した。 上下両院で結果が分かれて「ねじれ現象」が生じたのは、イタリ アの特異な選挙制度が原因だ。下院は全国で、上院では州ごとに、 得票率が第1位の政党にボーナス議席を与える仕組みがある。 これはベルルスコーニ前首相が率いる前政権が、自陣を有利にす るために導入した制度である。だが、結果的に極めて不安定な政治 状況が生まれてしまった。これから首相の指名権を持つナポリター ノ大統領が音頭をとり、連立協議を進めることになる。 下院で過半数を占めた改革路線の中道左派が政権を樹立するため には、ベルルスコーニ前首相の中道右派との大連立が前提となる。 緊縮財政をめぐり真っ向から対立する両陣営が協調できるかどうか 、予断を許さない。連立交渉が不調に終われば再選挙となり、市場 の不安は一段と高まるだろう。 ユーロ危機の混乱の中で2011年11月に発足したモンティ政権は、 痛みを伴う改革を進め、その結果、金融市場はかろうじて安定を取 り戻した。その努力をここで無駄にしてはならない。連立協議で各 党の指導者が、現実的で冷静な判断を下すことを期待したい。 選挙の結果から、イタリア国民の「改革疲れ」が大きいことは明 らかだ。経済再生と市場の信頼回復を果たすために、労働市場や年 金制度などの改革は避けて通れないが、こうした構造改革と景気の 刺激策を組み合わせる方策を工夫する必要がある。 ============================== FRB議長、歳出強制削減は「著しい逆風になる」 2013/2/27 0:19nikkei 【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ ンキ議長は26日午前(日本時間同日深夜)、米上院銀行委員会で証 言し、3月1日に迫った「歳出の強制削減」の発動期限について「 米経済の著しい逆風になる」と議会に停止を求めた。焦点である量 的緩和政策の出口論には直接の言及を避けたが、雇用回復へ緩和継 続の構えを強調した。 強制削減を巡っては発動期限を前に与野党で大詰めの協議が続い ているが、今のところ回避のメドが立たない状況だ。 同議長は強制削減で2013年の米成長率が0.6ポイント低下するとの 試算を示し、「緩やかな景気回復に対し、著しい重荷になる」と強 い懸念を表明。成長鈍化の結果、財政赤字削減も打撃を受けるとの 見方を示したうえで、「より長期的な削減策に置き換えるべきだ」 と行動を促した。 米国債購入などでFRBの資産を膨らませる量的緩和策が住宅刺 激に効果を発揮する一方、「金融の安定性を損ないかねない」とも 指摘した。低金利下で投資家が過剰なリスクを取るためだ。 同議長はさらに「現時点で景気刺激と雇用創出という利点にまさ るような(緩和の)費用はみられない」とも指摘。労働市場の回復 が遅れるなか、現行の量的緩和を続ける必要があるとの認識をにじ ませた。 ============================== 米歳出強制削減、発動前・発動後に予想される展開 2013年 02月 26日 14:18 JST [ワシントン 25日 ロイター] 米財政問題における当面の焦 点である「歳出の強制削減」の発動期限が3月1日に迫った。歳出 削減は、あたかも誰も阻止できないかのように、「強制的」と表現 されている。しかし、歳出削減を阻止することは、理論上、依然と して可能だ。 それには抜本的な財政赤字の削減策で合意する必要があるが、オバ マ大統領が歳出削減と富裕層増税を主張する一方、共和党は社会保 障費を中心とした歳出カットによる赤字削減を要求。与野党の溝は なお深い。 与野党双方にとって歳出削減発動に伴う政治的なリスクは高いが、 実際にどの程度のリスクになるのか特定するのは難しい。国民は数 週間、あるいは数カ月間は、歳出削減の影響を感じないかもしれな いからだ。 米歳出削減をめぐって、向こう週週間に想定される展開は次の通り。 <3月1日まで数日間の駆け引き> 歳出削減の発動期限である3月1日までの数日間、上院は歳出削減 を回避するための努力を続ける見通し。2件の提案が出される公算 だが、両方とも党派色が強く、可決に必要な票を得ることはできな いだろう。 民主党は、農業向け補助金の一部廃止、国防費の後年の小幅削減、 富裕層増税を柱とする歳出削減回避策について、採決を要求する見 通し。 上院共和党はまだ、提案内容を公表していない。共和党が検討して いるとされる策の1つは、歳出削減は実施するが、その実施におい てオバマ政権に一段の柔軟性を与えるというもの。別の案は、歳出 削減の代わりに、自然減を通じて連邦政府の職員を10%削減する というものだ。 取りざたされている第3の案は、均衡財政を義務付ける憲法改正案 について、採決を実施すること。しかし、たとえ議会を通過したと しても、十分な数の州が憲法改正に同意するまでに、何年もかかる だろう。 一方、共和党が主導権を握る下院は、歳出削減の代替案を昨年すで に可決したとして、3月1日の発動期限まで静観を決め込むとみら れる。 <発動後は妥協案模索> 上院で2提案の採決が終われば、議員らは妥協案を探ることになる。 3月1日の歳出削減発動に際して、オバマ政権は、連邦政府職員に 対して、一時帰休について30日前に事前通知する見通し。航空管 制官や沿岸警備隊、空港の保安担当官、国立公園の管理者、食肉検 査官、連邦捜査局(FBI)捜査官は勤務時間が減らされる見通し で、政府は、国民に多大な不便を強い、重要な政府サービスに影響 が出るとしている。 生活への影響について国民の不満が広がれば、与野党は、国民の怒 りの矛先が相手に向くよう画策するだろう。そして、非難合戦の勝 者が明らかになれば、負けたほうが、解決策を模索することになる だろう。 3月27日、もしくは3月22日が、解決策を探る上で新たな期限 となる可能性がある。3月27日は、暫定予算が失効する日。新た に予算が組まれなければ、政府機関の閉鎖という事態に直面するこ とになる。 政府機関閉鎖は、与野党の双方にとって当然、望ましくない展開だ。 しかし与野党は、政府機関が閉鎖に追い込まれる可能性をちらつか せて、歳出強制削減や、より広範囲な財政赤字削減について、合意 を取りまとめようとするかもしれない。合意には、上院が3月1日 に向けて検討していた、増税や歳出カット案の一部が盛り込まれる 可能性がある。 ただ、本当の期限は、議会が春休みに入る3月22日かもしれない。 休暇のスケジュールが狂うのを嫌う議員は、休会入り前に、暫定予 算と歳出強制削減の両方について、合意を目指す可能性が高いとみ られる。 <歳出強制削減を再び延期も> 歳出強制削減の影響としては、フライトの遅れや国立公園の開園時 間短縮、国防総省の文官の一時帰休、医学研究費の削減、公立学校 の予算削減などが予想されている。しかし、こうした影響が実際に 出るには数週間、あるいは数カ月かかる可能性がある。もし、歳出 強制削減が発動されて数週間がたっても、国民生活に目立った影響 がなく、国民の不満もとくに高まらない場合には、先行きの見通し は変わる可能性がある。 共和党は、歳出強制削減をこのまま続けることを主張するかもしれ ない。増税を伴わない歳出カットは、もともと共和党の持論だから だ。 ただ民主党のみならず多くの共和党議員の間でも、何の柔軟性もな い歳出強制削減はやり過ぎとの見方は強い。そのため、歳出強制削 減を一時的に延期する方向で合意を探る可能性がある。議会は1月 1日に可決した「財政の崖」回避法で、歳出強制削減の発動を一度 延期している。 <予算振り替えで対応も> ホワイトハウスおよび政府機関は、予算の小幅な振り替えを通じて 、影響を最小限に抑えることも可能だ。そうすれば、歳出削減を秩 序立って進めることができる。ただし、合意に向けて議会への圧力 を維持したい政府は、予算振り替えの可能性について、表立っては 触れていない。 与野党の立場の違いはこの一点に集約される。つまり、民主党は財 政赤字削減に向け富裕層増税を望み、共和党はその阻止を表明して いる。 共和党は、社会保障給付やメディケアなど社会保障費を中心とする 一段の歳出削減を求めているが、民主党はほとんど関心を示してい ない。 合意への圧力が強まれば与野党それぞれの主張に沿った方向で小幅 な措置がとられるかもしれないが、それも容易な道のりではないだ ろう。 それに、今年の歳出強制削減問題が解決したとしても、すぐに次の 歳出削減に対応しなければならない。というのも、歳出強制削減は 1年限りのことではなく、合わせて1兆2000億ドルに及ぶ10 年間のプログラムだからだ。より広範囲な財政赤字削減策で合意で きなければ、議会はいずれ、来年の歳出強制削減の問題に直面する ことになるだろう。