4583.日米中の三巴戦に



米国の2期オバマ政権は、親中派または対中融和派が要職を占める
ことになりそうである。親日派の大幅な交代でいなくなる。
            津田より

0.米国などの動向
米国の著名な政治学者イアン・ブレマー氏は、今年1年間に予想さ
れる国際紛争や対立のうち地政学上最も重大なのは日本と中国の関
係だとの見方を示した。

「中国は貧しい国であり、独裁体制と国家資本主義の国だ。だから
こそ、その興隆は経済的、政治的対立に大きな影響を及ぼす。こう
した基本的な性質は、中国が米国を抜いて世界最大の経済国になっ
ても特に変わらないだろう」と、そして「米国は長年にわたり、中
国の成長は自分たちの利益にもなると考えてきた。一方で日本は今
、中国の成長が自国の利益にならない、悪いことだと感じている」
と述べ、「米国の抱える葛藤(かっとう)は深まるばかりだ」と同
氏は主張する。

シャンボー教授は、講演で「米国は、現在リバランシングに向かっ
ている。ピボット戦略を取っているが、これが中国の誤解を生んで
いる。このため、説明方法を考えている。一面的な軍事上のことで
はなく、包括的な関係を作ることで中国の懸念を下げる必要がある。
」とし、「米中が離婚すると、悲惨な戦争になる。このようなこと
を実現させるわけにはいかない」とした。

また、中国封じ込めと思われてはいけないとシャンボー教授はいう。
これを受けて、オーストラリアのギラード首相は23日、アジア地
域の平和と安定のため、豪州の同盟国である米国との関係を主軸に
据えつつも、中国とも合同軍事演習などを通じて信頼醸成に努めて
いく考えを表明した。

また、CSISの日本部長を務める知日マイケル・グリーンが、メディ
アへの広まりを見せる安倍警戒論を批判し、日本の弁護に努めつつ
、他方で「地域における米国との他の同盟国との対立だけはしてく
れるな」と日本に注文をつけた。それだけ、日本の安倍批判は米国
の新聞で大きくなっているのである。

英国エコノミストによると、徐々に尖閣諸島でエスカレートして、
日本は、中国が次に領空侵犯をしたら、警告射撃を命じる構えだと
いう。中国のある将官は、そのような事態になれば「実際の戦闘」
の開始として受け取ることになると述べた。中国が島々の支配権を
争う限り、両国関係は一触即発の状態となり、軍事衝突が危ぶまれ
る。

このため、米国の高官は今週慌てて東京入りし、タカ派の安倍新政
権に対して警告した。日本が武力攻撃を受けた場合、米国は日本の
防衛に駆けつける義務を負っている。中国との紛争に巻き込まれる
のは、米国にとって考えるのも耐え難い事態だとした。

ここで、米高官は、暗に尖閣の棚上げを日本に要求したはずである
。それを受けて、公明党の山口代表が「尖閣の棚上げ」を言い始め
たのだ。

安倍戦略は、オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって
、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイアモ
ンドを形成することにあるとしたが、中国封じ込めと思われると、
シャンボー教授は、懸念と表明している。 

このように、米国の対日世論は厳しくなってきている。

1.安倍政権の評価
選挙中から安倍さんが首相になったら、米国は対日政策を見直して
、日本に不利になると予測した。「河野談話の見直し」は日本のネ
トウヨには受けるが、米国などの知識人からは大きな反発を受け、
安倍政権を信用されなくなると見ていた。

その予測は、残念ながら的中したようである。集団自衛権の見直し
はしても、河野談話の見直しは止めるべきであるとこのサイトでは
何編も忠告したが、有識者会議を開始して見直しの方向を破棄しな
い。これは日本にとって、大きな国益を棄損する行為になると見た
が、米国の警告にもかかわらず、まだ止めないようだ。この結果が
出始めている。

オバマ政権は、民主党政権時代には、日本を味方したが、安倍政権
では、日本と中国の中間に立つことになりそうである。

ケリー次期国務長官は、24日、承認を審議する上院外交委の公聴
会で証言し、中国との関係について「経済の競争相手にはなるが、
協調性を削(そ)ぐ敵対者とみられてはならない」と述べ、関係強
化を進めていく方針を示した。日本への言及は一度もなかった。

また、「アジア重視」のスローガンが「欧州や中東などとの関係を
犠牲にしてはならない」とも戒めた。現在アジア重視というリバラ
ンシングに向かい、ピボット戦略を取っているが、これを変更する
ということである。戦力をアジアに向けないということである。

というように、米国は中国との戦争をしない、できないという思い
込みがある。英国チェンバレン・シンドロームに陥ることになって
いる。中国の要求をある程度、許容するということである。

今回の中国の要求は、尖閣諸島の棚上げである。米国は日本の実効
支配権は認めたが、正当性については言及していない。このため、
棚上げは、戦争しないためには必要であると思う可能性が高い。

このため、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題をめぐり、国
連大陸棚限界委員会は7月15日―8月30日にニューヨークで開
かれる会合で、中国側の主張に科学的正当性があるかどうか検討す
る見通しであるとした。正当性では中国で、歴史的には日本という
裁定になり、棚上げの理論を強化する可能性がある。

そして、米国からの要求で、日本も中国の主張である「棚上げ」に
なるしかない情勢になりつつある。それもこれも、安倍さんのタカ
派的なモノの言い方がそうさせ、かつ「河野談話の見直し」を諦め
ないことでそうなっている。

米国は韓国と同じ、中国寄りになることが徐々に見えてきている。

安倍晋三首相は、2月25日に予定されている韓国の朴槿恵新大統
領の就任式に合わせて検討していた韓国訪問を見送る方針を固めた。
韓国は就任式に各国の首脳級を招待しない方針で、日本側も訪韓は
困難と判断した。これも「河野談話見直し」の断念を言わないこと
でそうなる。

米国の要求するTPPにも反対して、2月の首脳会談でも表明しないと
いうことで、日本との関係で経済的なメリットがなく、軍事的な負
担だけを米国に求めるいうことになる。そのような身勝手な要求を
米国は受け入れない。集団自衛権を米国に言うというが、公明党は
反対している。

自民党政権は、対米関係を最悪なものにする可能性が徐々に明らか
になりつつあると見ている。日本のタカ派政権というイメージを中
国も世界的に宣伝しているし、選挙中の安倍さんは世界的に認めら
れないことを堂々と言っていた。そのイメージが強く有りすぎなの
である。国家指導者候補は注意した発言をしないと、国にとって不
利益になると思うが、その典型的な例になってしまったようだ。

2.日中関係を改善へ
ケリー次期国務長官を歓迎して、中国も「慎重な楽観主義」を持ち
、オバマ政権2期目で米国との信頼関係を高める考えを表明した。
というように中国は、米国の動向を歓迎している。

公明党の山口代表が「尖閣の棚上げ」を言い始めたことに対して、
自民党の石破茂幹事長は22日、「日本政府として一度も棚上げを
是認したことはない。尖閣は日本固有の領土であり、棚上げの理由
はどこにもない」と反論した。このように与党間の“溝”が広がり
つつある。

中国を訪問した公明党の山口代表は唐家セン元外相と会談し、日中
関係の改善に向け「大局的な観点から対話を重ねていくべきだ」と
表明。唐氏も「私たちは真剣に対話し、解決の道を探るべきだ」と
応じ、ハイレベルでの対話継続で一致した。

その前に、米国務省は「中国は、米国に懸念を示すよりも日本政府
と対話を通じて問題解決に取り組むべきだ」と述べていた。

その後も王家瑞・中央対外連絡部長、楊潔●(ち)外相とそれぞれ
会談した。この中で王氏は「前の世代が棚上げし、中日友好が保た
れた。後々の世代に解決を託すこともある」と主張した。

公明党の山口代表は25日午前、中国共産党トップの習近平総書記
と会談した。習氏が総書記就任後、日本の国会議員と会うのは初め
て。習氏は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題について「立場の違い
はあるが、対話で解決する努力が必要だ」と主張。安倍晋三首相に
関しては「中日関係の発展に貢献してきた」と評価し、「大局に立
って戦略的互恵関係を推進していきたい」と語った。

中国当局が国内メディアに対し、日本が絡む問題について過激な批
判などは控え、淡々と報道するよう指示したことが25日、分かっ
た。公明党の山口代表と習近平総書記の会談前に指示が出されたよ
うだ。

中国共産党幹部の資産の多くはアメリカにある。温家宝首相はニュ
ーヨーク・タイムズに一族で少なくとも27億ドル(約2200億円)も
の資産を貯め込んで米国に資産を移していると報じられた。さらに
習近平総書記も親族が数億ドルの資産を保有しているとブルームバ
ーグに報じられた。というように中国は米国とは戦争できない。

このため、中国と日本の裏には米国の仲介があり、そのストーリー
で動いている。

帰国後、公明党の山口代表は中国共産党の習近平総書記との会談内
容を安倍首相に報告し、首相は「対話が重要だ。これからも重ねて
いく。政府・与党でやっていく」と述べ、日中関係の改善に意欲を
示した。

人民日報は、「実際の行動」を示し関係発展のために必要な努力を
するよう日本政府に求めた。実際の行動とは中国側は日本側に尖閣
をめぐる領有権争いの存在を認めることであろう。

これを連動して、米有力紙ワシントン・ポストは社説で、沖縄県・
尖閣諸島をめぐる日本と中国の対立を取り上げ、米国が軍事衝突に
巻き込まれる可能性を指摘、2月の安倍晋三首相の訪米を念頭に、
オバマ政権の支援で「尖閣問題を棚上げ状態に戻す」ことが望まし
いと訴えた。

ということで、オバマ大統領との首脳会談で、安倍首相は「棚上げ
」を飲まされることになるとみる。

3.日本の行動は
政府は25日、民主党政権下の平成22年に策定された「防衛計画
の大綱」の凍結と、装備などの調達計画「中期防衛力整備計画」の
廃止を閣議決定した。これを受けて、小野寺五典防衛相は「防衛力
の質・量が各種事態に十分対応できるか検証するため、(陸海空3
自衛隊の)統合運用を踏まえた能力評価を実施してほしい。防衛態
勢の抜本的な強化に取り組む」と指示した。離島防衛では、平時で
の海上保安庁や警察とのスムーズな連携のあり方も論点になりそう
だ。

しかし、2013年度予算案の焦点の一つである防衛費を、12年度比で
400億円程度増額して約4兆6800億円とする方向で最終調整に入った
。当初、1000億円超の増額を求めたが、政府の歳出抑制方針で要求
の半分以下にとどまった。

米国の戦力が国防費大幅削減になり、かつアジア重点でもなくなり
、対中戦争での米国の戦力を期待できなくなっている。このため、
日本自体が防衛能力を強化して、中国と対応しなければならないは
ずが、まだ、その方向に日本の国民も政治家も官僚も向いていない。

非常に気になるが、さあ、どうなりますか?

資料:
米中関係の未来
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L5/250124.htm
==============================
日本は実際の行動を 中国共産党機関紙
 【北京共同】26日付の中国共産党機関紙、人民日報は、日中関
係発展の重要性を指摘する傍ら沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島
)問題解決に向け日本政府に譲歩を求める評論記事を掲載した。

 記事は「中日関係発展を重視する中国政府の方針は変わっていな
い」と強調。一方で「釣魚島問題と歴史問題は、中国の核心的利益
と民族感情に関わる問題であることを日本は認識しなければならな
い」とし、「実際の行動」を示し関係発展のために必要な努力をす
るよう日本政府に求めた。

 中国側は日本側に尖閣をめぐる領有権争いの存在を認めるよう求
め、「実際の行動」は争いを認めることを指すとみられる。
2013/01/26 22:43   【共同通信】
==============================
首相「日中対話が重要」…山口代表の訪中受け
 山口氏は中国共産党の習近平(シージンピン)総書記との会談内容
を報告し、首相は「対話が重要だ。これからも重ねていく。政府・
与党でやっていく」と述べ、日中関係の改善に意欲を示した。

 習氏が日中首脳会談に前向きな姿勢を見せたことについては、「
対話に向け努力していこう」と語った。

 山口氏は25日に北京で習氏と会談し、日中が共存共栄を図る「
戦略的互恵関係」の重要性を確認した。首相は、「戦略的互恵関係
で双方認識を一致させたことは大事だ」と指摘し、山口氏の訪中を
評価した。
(2013年1月26日20時25分  読売新聞)
==============================
防衛費増額400億円程度、自衛官300人弱増員へ 
13年度予算案
2013/1/26 20:10nikkei
 政府は2013年度予算案の焦点の一つである防衛費を、12年度比で
400億円程度増額して約4兆6800億円とする方向で最終調整に入った
。防衛省は概算要求で自衛官増員などのために1000億円超の増額を
求めた。政府の歳出抑制方針で要求の半分以下にとどまった。

 麻生太郎財務相と小野寺五典防衛相が27日に協議して正式に決め
る。防衛予算が前年度から増額されるのは11年ぶり。

 防衛省が求めていた自衛官増員は大規模災害や領土防衛への対応
力を高めるためで、200〜300人の増員が認められる見込み。航空自
衛隊の空中警戒管制機(AWACS)・早期警戒機E2Cの運用拡
大や、米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの自衛隊への導入検討に
使う調査研究費も計上する。
==============================
中国各紙:対日関係改善へ期待感 習・山口会談を1面に
毎日新聞 2013年01月26日 20時11分
 【北京・成沢健一】26日付の中国各紙は、中国共産党の習近平
総書記と公明党の山口那津男代表の25日の会談を1面などで大き
く報じ、対日関係改善への期待感を示した。ただ、大衆紙は中面で
扱ったケースが多く、共産党機関紙「人民日報」は日本側の努力を
うながす論評を掲載するなど、今後の日本政府の出方を注視する姿
勢もうかがわせた。

 英字紙「チャイナ・デーリー」は、習氏と山口氏が握手する写真
とともに1面トップで記事を扱い、「“敏感な問題”の解決を呼び
かけ」との見出しを掲げた。北京紙「新京報」は見出しだけ1面に
出し、記事と写真は中面に掲載。習氏が山口氏との会談に応じたこ
とについて「中国が中日関係を重視し、問題を解決しようとする誠
意の表れだ」とする日本専門家の見方も紹介した。

 人民日報は1面で記事と写真を掲載したほか、中面に「困難を克
服し、前に向かって発展を」と題した論評を掲載。安全保障上、譲
ることのできない問題を指す「核心的利益」との言葉を改めて用い
ながら尖閣諸島問題や歴史問題の重要性を強調し、「日本政府は実
際の行動で中日関係を発展させるように努力することが求められて
いる」と指摘した。
==============================
尖閣棚上げ支援を 米紙、オバマ政権に促す
2013.1.26 17:27
 26日付の米有力紙ワシントン・ポストは社説で、沖縄県・尖閣
諸島をめぐる日本と中国の対立を取り上げ、米国が軍事衝突に巻き
込まれる可能性を指摘、2月の安倍晋三首相の訪米を念頭に、オバ
マ政権の支援で「尖閣問題を棚上げ状態に戻す」ことが望ましいと
訴えた。

 同紙は領有権の主張を「数十年間棚上げしてきた」中国が、昨年
の日本政府による尖閣国有化で「扇動行為の口実を得た」と経緯を
説明。

 領海や領空侵犯を繰り返す中国の「挑発的で危険な行動」を批判
的に伝えた。

 また尖閣は日米安保条約の適用対象と公言することにより、中国
の抑止を狙った米政府がリスクも抱え込んだと分析。有事に至れば
、オバマ大統領は日本を軍事支援するかどうかの「選択を迫られか
ねない」と警鐘を鳴らした。(共同)
==============================
対中脅威、即応力を強化 新防衛大綱、年内に策定
2013.1.26 10:39 sankei
 政府は25日、民主党政権下の平成22年に策定された「防衛計
画の大綱」の凍結と、装備などの調達計画「中期防衛力整備計画」
の廃止を閣議決定した。これを受け、小野寺五典防衛相は同省幹部
で構成する防衛会議を招集し、新たな大綱の策定を指示した。6月
末をめどに中間報告をまとめ、年内に新大綱を策定する。沖縄県の
尖閣諸島などでの中国の軍事的脅威に対応するため、即応性の高い
防衛態勢の構築を目指す。

 小野寺氏は防衛会議で、北朝鮮のミサイル発射や尖閣諸島を含む
南西地域の警戒監視、アルジェリア人質事件を挙げ、「防衛力の質
・量が各種事態に十分対応できるか検証するため、(陸海空3自衛
隊の)統合運用を踏まえた能力評価を実施してほしい。防衛態勢の
抜本的な強化に取り組む」と指示した。

 これを受け同日、「防衛力の在り方検討委員会」(委員長・江渡
聡徳副大臣)も開かれ、具体的な検討に着手した。

 政府は自衛隊と米軍の役割分担を定める「日米防衛協力のための
指針」(ガイドライン)改定に向けた米国との交渉や、集団的自衛
権の行使容認の検討も同時並行で進める。大綱にもこれらの成果を
反映させる。

 今回、凍結された大綱は、多様な事態へ機動的に対応する「動的
防衛力」を基本概念に据え、南西諸島防衛を打ち出したのが特徴だ。
新大綱では動的防衛力の基本的な考え方は踏襲しつつ、それを裏打
ちするための防衛力整備が焦点になる。

 議論のスタート地点になるのは、尖閣諸島への侵攻など脅威シナ
リオの想定だ。そこから陸海空の防衛力を一元的に整備する「統合
防衛戦略」を策定し、必要な装備や運用のあり方を導き出す。

 具体的な論点としては、尖閣での中国機の領空侵犯で弱点をさら
した警戒監視体制の強化や、人員・装備の迅速な展開を可能にする
輸送力の確保、陸上自衛隊の水陸両用機能の強化などがある。

 防衛省が25年度予算の概算要求に、米軍の垂直離着陸輸送機オ
スプレイの導入に向けた調査研究費や、南西諸島で新たな航空拠点
を設けるための調査費などを盛り込んだのは、新大綱の先取りとい
える。

 離島防衛では、平時での海上保安庁や警察とのスムーズな連携の
あり方も論点になりそうだ。
==============================
中国共産党幹部 米中軍事衝突すれば莫大な在米資産を失う
2013.01.26 07:00
 中国の軍拡は周知の事実だが、実は追い詰められない限り、中国
共産党は戦争をしたくない。それにはさまざまな理由があるが、そ
のうち一つは共産党幹部の対外資産だという。ジャーナリストの富
坂聰氏が解説する。

 共産党幹部の資産の多くはアメリカにある。失脚した薄熙来は5000
億円もの賄賂を受け取り、その多くを海外送金したと言われている。
また温家宝首相はニューヨーク・タイムズに一族で少なくとも27億
ドル(約2200億円)もの資産を貯め込んでいると報じられた。さら
に習近平総書記も親族が数億ドルの資産を保有しているとブルーム
バーグに報じられた。
 共産党幹部は中国の将来を信じていない。いざとなれば身一つで
海外に逃げられるように、家族を先に海外へ移住させ、資産の多く
を海外に移している。ちなみに習近平の姉夫婦の国籍はカナダ、弟
はオーストラリア在住、娘はアメリカ留学中である。そして、海外
に移した資産の多くがアメリカに集中していると見ていい。
 仮にアメリカが共産党幹部の資産を凍結すれば、大打撃となる。
尖閣諸島、台湾、南シナ海と中国が覇権主義を前面に押し出して各
国と対立している領域で今後アメリカとの緊張が高まらないという
保証はない。万が一アメリカ軍と衝突するような事態になれば、幹
部たちは一夜にして資産の大半を失う。つまり、在米資産は抑止力
となっている。
※SAPIO2013年2月号
==============================
日本絡む報道は「淡々と」中国当局が国内メディアに指示
2013.1.25 18:05 [中国]
 中国当局が国内メディアに対し、日本が絡む問題について過激な
批判などは控え、淡々と報道するよう指示したことが25日、分か
った。中国メディア関係者が明らかにした。

 関係者によると、指示があったのは24日。公明党の山口那津男
代表と習近平党総書記の会談を踏まえ、両国関係改善に向けた雰囲
気づくりの一環とみられる。

 日本政府による昨年9月の沖縄県・尖閣諸島国有化以降、中国メ
ディアは国有化を厳しく批判し、中国の領有権の正当性を強調する
報道を拡大。関係者は指示について、日中間の対立の背景などを必
要以上に掘り下げたりはせず、事実関係のみを報道させる意図があ
ると説明した。(共同)
==============================
尖閣めぐる中国の主張、国連委が今夏に科学的正当性を検討へ
ロイター2013年01月25日16時16分
[国連 24日 ロイター] 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有
権問題をめぐり、国連大陸棚限界委員会は7月15日―8月30日
にニューヨークで開かれる会合で、中国側の主張に科学的正当性が
あるかどうか検討する見通しであることを明らかにした。
中国は昨年9月、国連に独自の海図を提出。その中で、東シナ海に
ある大陸棚は中国領土の自然な延長であり、係争中の尖閣諸島も含
まれると主張。尖閣諸島は東シナ海の大陸棚域と沖縄トラフの間に
あり、「沖縄トラフは大陸棚の最終地点」だとしている。
国連海洋法条約は、大陸棚が領土の自然な延長であることが証明で
きれば、自国の排他的経済水域を拡大することができるとしている。
ただ、同委員会は主張の科学的正当性を評価しても、係争自体は関
係国間で解決しなければならない。
一方、日本の国連使節団は同委員会に宛てた書簡で、中国の主張は
検討されるべきではないとし、「歴史的事実の観点と国際法に基づ
き、尖閣諸島が日本固有の領土であるのは明らかだ。尖閣諸島は正
当な日本の支配下にある」と反論した。
==============================
『米中冷戦』は本当にまずい。代理戦争させられるのは我が国だぞ
やまもといちろうフォローする2013年01月25日 17:17
 このほど、本当に米中関連のトピックスは増えておりまして、尖
閣諸島問題など具体的な領土問題を抱える我が国を差し置いて米中
間の鍔迫り合いが本格化しております。

 近日中にforeign affairsなどでも出ると思いますし、米系シンク
タンクからも米中対立の予想というよりは、米中間でどこが戦場と
される可能性が高いかと言う具体的なシミュレーションが次々と行
われる状況となっておりますけれども、一番心配されるシナリオは
「偶然発生する日中紛争」であります。確率が高い、というよりは
、戦場となった場合の世界経済に与える影響が大きい、という意味
ですが。

 これは、ロシアの安全保障専門家からも類似の話が出始め、東ア
ジアのリスクにおいては上位に挙げられる事態となって、今までど
おりの外交的努力だけでは道筋がつけられない重大な事態に発展し
た場合、落としどころが見当たらない可能性があります。最近にな
って、中国中南海(外交部)と中国人民解放軍との間で対日強硬論
に出る場合のパイプのあり方を模索する動きが出て、わざわざ公明
党の山口代表が中国訪問する際に、ちょっといままでとは格の違う
人たちが出てきて、従来とはまた違う雰囲気の折衝が行われました。
文字通り、政権与党であり安倍政権の一角である公明党に対してパ
イプ作りを直接する、そして中国外交部と公明党の間で「尖閣諸島
問題の棚上げ論」が語られるというのは、かなり熱量が高くなって
きてしまっている証左でもあろうと思います。

 公明党というのは比較的穏健な安全保障政策を掲げる政党であり
、いわゆるネット右翼に支持されたと中国が思っている極右の安倍
晋三政権の「バックドア」であります。というか、いまの日本の与
党を見渡して、中国がメッセージを伝えてとりあえずきちんと受け
取り理解してくれる先が、実は公明党しかなかったということでも
あり。

 この中国の中枢における「知日派」というのは非常にアレです。
どうアレかというと、本当の意味で上を目指せる人は日本専門家に
ならんのです。まずアメリカ、次に欧州であり、そしてアジア方面
全般の専門家がいて、その中にようやく日本がある。だから、中国
側の知日派とされる知識人は日本の状況把握のために朝日新聞を精
読していますとかいうことを平気で言うわけですね。中国ほど、関
係改善のための戦略対話が本当の意味で必要な国はないのですが、
安倍政権はいろいろありましてそういうパイプ作りをしたいのは間
違いないのでありましょう。

 一連の公明党との話し合いの中では、当面は「野田政権が駄目だ
ったので、新しい指導部同士きちんと連携を取って緊張緩和へ向か
いましょう」という話になっております。戦争をして、お互い傷つ
くのは嫌ですし、突発的事項で局地戦で終わる保証はないのですか
ら、いざというときに話せる相手を双方用意しておきたい気持ちは
分かります。

 ただ、そこで選ばれるのが公明党であり、託されたメッセージが
あまりにも危機的だというのは悩ましいわけです。棚上げを話して
いる横で、現地では領空侵犯が高頻度で行われている相手を信頼し
ろと言うのはなかなか難しい。外交は右手で握手しながら左手で殴
り合うものだという原則があったとしても、かなり本気で総力戦研
究を始めないと日本にとって手遅れになる可能性はあるでしょう。

 そのひとつは尖閣諸島だし、またサイバー攻撃だろうというのは
誰もが分かっていること。その歯止めをかけようにも、やはりそれ
相応の期間と予算が必要ですが、ようやくNSCでも作ろうかという議
論が出ている状態で、これは本当にマズいことになりかねないよな
あ、ということでもあります。

 もちろん、本当にいざ何かが起きて、アメリカ軍は参戦してくれ
るの、とか根本的なところに問題はあります。だから、日本の核武
装を容認するかとかそういう議論が大真面目に語られ始めているの
もまた事実です。たださあ、戦争するぞと言うのはいいけど、戦争
を本当にしちゃいけないと思うのですよ。用意、準備だけはしっか
りしながらも、戦争だけは他所でやって欲しい。倉庫にちゃんと弾
薬積んで、サイバー攻撃対策はカウンターも含めてしっかりできる
よ、という準備と、やってきたらこういうことを我々はするぞ、と
いう調略のデモンストレーションぐらいはしておかんと。

 安倍政権になって、そのあたりが仕切り直しになるのかなと思っ
たら、安倍政権が悪いわけでもないのに状況がどんどん悪くなって
、水位がどんどこ上がってくるというのは実に気持ち悪いです。世
界中が突発的な日中開戦を心配するのも当然だし、応戦しないわけ
にもいかないわけですからね。

 さて、どうしましょう。結構マジに。
==============================
習氏、日中首脳会談「真剣に検討」=山口公明代表、安倍首相親書
渡す
 【北京時事】公明党の山口那津男代表は25日午前(日本時間同
)、北京の人民大会堂で中国共産党トップの習近平総書記と会談し
た。山口氏によると、習氏は、山口氏が日中首脳会談を提案したの
に対し、「ハイレベルの対話が重要で、真剣に検討する。環境を整
えることが必要だ」と述べ、前向きな姿勢を示した。
 習氏が総書記就任後、日本の国会議員と会うのは初めて。習氏は
、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題について「立場の違いはあるが、
対話で解決する努力が必要だ」と主張。安倍晋三首相に関しては「
中日関係の発展に貢献してきた」と評価し、「大局に立って戦略的
互恵関係を推進していきたい」と語った。
 一方、習氏は歴史問題に言及し、「歴史を直視することが未来に
つながる。これまでの教訓を生かしてほしい」と述べた。
 山口氏は首相から預かった親書を習氏に手渡すとともに、「大局
的な観点から日中関係を改善する必要性」を強調。「今回の訪中は
日中間の扉を開く第一歩だ」として、首脳会談を呼び掛けた。 
 山口氏は訪中前に尖閣問題の「棚上げ」に言及したが、習氏ら中
国側要人との一連の会談では触れなかった。(2013/01/25-13:40)
==============================
中国には「献身と忍耐で取り組む」 ケリー次期国務長官、日本へ
の言及なし
2013.1.25 12:50 sankei[中国]
 【ワシントン=犬塚陽介】クリントン米国務長官の後任に指名さ
れたケリー上院外交委員長(民主)は24日、承認を審議する上院
外交委の公聴会で証言し、中国との関係について「経済の競争相手
にはなるが、協調性を削(そ)ぐ敵対者とみられてはならない」と
述べ、関係強化を進めていく方針を示した。日本への言及は一度も
なかった。

 日中、日韓など同盟国の領有権問題が浮上するなか、米軍の現状
については「軍事力の増強が決定的に重要と確信するに至っていな
い」と述べ、就任後に関係部局の詳細な説明を受けながら分析を進
める意向を明らかにした。

 ケリー委員長は米中関係には知的財産や市場参入、為替操作など
多くの課題が横たわっていると指摘し、重要な両国関係の前進に向
け、「献身と忍耐」で取り組む方針を強調した。

 ケリー委員長は、中国がアフリカ大陸など世界中で「天然資源に
貪欲さをみせている」との懸念も示し、環太平洋戦略的経済連携協
定(TPP)など経済ルールの確立を目指しながら通商問題での関
係改善に努めるよう中国側に求めた。

 一方、アジアへの「戦略的転回(ピボット)」は他地域に背を向
けることを暗示しかねないと懸念を示し、リバランス(軍事力の再
均衡)を進めながら欧州や中東情勢にも力を入れていくことを表明
した。

 イランの核問題については、米国の目標は「抑止ではなく阻止に
ある」と指摘、外交的な解決が好ましいとしながらも軍事的な選択
肢も排除しない姿勢を強調した。北朝鮮問題では政治犯の強制収容
所を問題にしていく考えを示した。
==============================
山口・公明代表:中国共産党幹部と会談 王氏が「尖閣棚上げ論」
山口氏は触れず
毎日新聞 2013年01月25日 東京朝刊
 【北京・福岡静哉】訪中している公明党の山口那津男代表は24
日午後(日本時間同)、中国共産党の王家瑞(おうかずい)中央対
外連絡部長と北京市内で会談した。王氏は、尖閣諸島の問題につい
て「前の世代が棚上げし、中日友好が保たれた。後々の世代に解決
を託すこともある」と主張。山口氏も訪中前に「棚上げ」論に言及
していたが、王氏との会談では触れず、「大局的な共通利益を見い
だす対話が大切で、不測の事態は避けねばならない」と述べるにと
どめた。

 山口氏は楊潔〓(ようけつち)外相とも会談。安倍晋三首相から
託された習近平総書記宛ての親書について「これを届けるのが大き
な目的だ」と述べ、習氏との会談実現に期待感を示した。

 山口氏はその後、同行記者団に「(中国側から)配慮するとのニ
ュアンスは伝わっているが、明確にはわからない」と説明。「(習
氏との会談が実現しても)棚上げ論を我々から言うとか、約束する
立場ではない」と強調した。
==============================
日中の対話継続で一致 公明代表、唐元外相と会談 
2013/1/24 1:20nikkei
 【北京=田島如生】中国を訪問中の公明党の山口那津男代表は23
日、北京市内で中日友好協会会長の唐家セン元外相と会談した。山
口氏は日中関係の改善に向け「大局的な観点から対話を重ねていく
べきだ」と表明。唐氏も「私たちは真剣に対話し、解決の道を探る
べきだ」と応じ、ハイレベルでの対話継続で一致した。

 山口氏は沖縄県・尖閣諸島を巡る日中間の摩擦について「この問
題ばかりに関心を集めると両国の国民感情を悪化させる。いずれ日
中の首脳会談を開くべきだ」と語った。唐氏は「中日関係の悪化は
誰も望んでいない。(日本の)新政権には賢明かつ慎重な行動をと
るよう要望している」と語った。

 山口氏は24日には北京市内で中国共産党の王家瑞・中央対外連絡
部長、楊潔●(ち)外相とそれぞれ会談する。25日には中国共産党
の最高指導部である政治局常務委員と会い、習近平総書記あての安
倍晋三首相の親書を手渡す予定だ。
==============================
マイケル・グリーンの「安倍警戒論」批判
2013年01月24日(Thu)  岡崎研究所
ブッシュ(子)政権下で日本とアジアの担当として活躍し、現在は米
戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部長を務めるマイケル・グリー
ンが、12月18日付のCSISウェブサイト掲載の論説で、メディアへの
広まりを見せる安倍警戒論を批判し、日本の弁護に努めつつ、他方
で「地域における米国との他の同盟国との対立だけはしてくれるな
」と日本に注文をつけています。

 すなわち、安倍氏が総理に返り咲くのを受けて、日本をアジアの
中の「のけ者」と位置づけるような論評が多く出ているが、それは
誤解を招くものだ。東南アジアの世論は一般に米国や中国よりも日
本に対してより好意的だ。特に、フィリピンやベトナムは、自らも
中国との海洋権益問題を抱えていることから、日本がより毅然たる
態度をとることを望んでいる。

 この地域で世論が日本に対して否定的なのは中国と韓国であり、
中でも、中国の対日観は韓国のそれよりもはるかに敵対的だ。日韓
両国の指導者は、アジアの将来は民主主義と法の支配に依拠すべし
ということで概ね一致しているが、中国は、韓国に対して、アジア
の真の課題は日本の軍国主義を阻むことにあると言う。韓国が中国
のこうした言葉に共鳴すれば、北東アジアにおける日本の地位は弱
体化し、それに伴って米国の地位も弱体化してしまう。

 他方、アジア太平洋地域は、普遍的な規範を受け入れる方向に向
かって動いており、このことは、究極的には自国の将来についての
中国の選択肢をも方向付けることになろう。安倍氏自身も、こうし
た価値を積極的に標榜してきた。こうしたアジアの勢力図の急激な
変化を考えると、決定的に重要なのは、米国の同盟諸国を、地域の
将来に関する共通ビジョンを軸に糾合し、民主主義に敵対する国に
よって権威主義の正当化に利用されかねない対立的問題に注意をそ
らされないようにすることだろう。また、日本の右傾化は平和と安
定への脅威ではないものの、日本政府が誤った言動をすれば、米国
と日本の対地域戦略は後退させられかねない。

 日本の新政権に関して言えば、イデオロギー重視から現実主義に
変わる可能性が高い。安倍氏は、日本が自国周辺の安全保障問題に
対処できるかどうかは、何よりも米国との強固な同盟にかかってい
ることをよくわかっているとも明言してきた。そうした日本に対し
、同盟国として米国は、誇り高い、毅然たる、強い日本こそが米国
の国益に適うということを明確にする一方、海上交通路を確保しよ
うとする日本への支援をいっそう強化すべきだが、日本が、もし米
国にとって重要な他のパートナー諸国と無益無用の摩擦を引き起こ
すならば、それは米国の利益とならない、と論じています。
   ◆         ◆          ◆ 
 この論説は、アジア研究の第一人者グリーンらしい、大局的観点
に立った、極めて当を得た分析であると言ってよいでしょう。

 論説では、韓国との交際を過たないよう、安倍政権を諭していま
すが、一言にして要約すると、ソウルと東京がいがみ合うことは北
京を利し、米国との同盟を弱め、権威主義に手を貸し、民主主義を
弱めるゆえに、安倍氏はよほど言動・政策に注意すべし、というこ
とです。具体的には、歴史認識問題や竹島問題です。そして、よく
読むと、韓国の対日ナショナリズムに対しても牽制を忘れていませ
ん。

 同時にグリーンは、安倍流レトリックがいくらか丸くなり、現実
的になりつつある様子を察していたと見え、「新政権はイデオロギ
ーよりもプラグマティズムへ動くであろう」と書いていますが、こ
の観察はピタリと的中しています。韓国で中道右派の朴槿恵氏が次
期大統領に選出されたことも幸いして、安倍政権の対韓外交は、極
めてプラグマティックなものとなっています。

 グリーンは、文中、日本の防衛政策が現実的なものになりつつあ
るのは歓迎すべきである、日本の軍国主義という亡霊が復活するか
どうかより、日本がいま自分の防衛政策をがんじがらめにしている
ことの方がより大きなリスクである、集団的自衛権が行使できるよ
うになると、日米同盟はNATOや、米豪同盟の姿に近づく、などとし
て、日本の防衛強化に期待を示しています。安倍政権の防衛政策が
、その方針通り実行されることが、強く期待されます。
==============================
日中間の緊張ますます高まる
衝突なら深刻な事態に
2013年01月24日版トップ
 中国と日本は、いつの間にか戦争への道を進んでいる。両国の紛
争の元となっている島々の領海と領空で、中国はここ数十年間にわ
たる日本の実効支配に挑むべく、挑発行動をエスカレートさせてい
る。この件を扱う中国メディアの表現は刺々しさを増してきた。中
国日報は、日本が「世界にとって真の危険国であり、脅威である」
と報じた。環球時報(人民日報が発行する国際紙)も、両国間で軍
事衝突の「可能性が高まっており…我々は最悪の事態に備える必要
がある」と書いている。中国は、両国間で70年ぶりとなる軍事衝突
に備えている様子だ。

 歴史と領土に対する日中の認識の違いは広く知られている。現在
切迫しているのは、東シナ海に位置し、日本が「尖閣諸島」と呼ん
で実効支配する5つの小島を巡る問題だ。中国はこれらの島々を「釣
魚島」と呼び、自国の領有権を主張している。経済が深く関わり合
う両国の指導者に求められる理性ある対応は、双方の食い違いを解
決するか、あるいは問題を棚上げして波風を立てないことだ。少な
くとも、以前はこれが日中間における了解事項となっていた。

 だが、その状態は昨年9月に崩れた。当時の野田佳彦首相が、日本
がまだ所有していなかった3つの島を国有化したからだ。これは、昨
年10月まで東京都知事を務めていた中国嫌いの右翼政治家・石原慎
太郎氏の手に島が渡るのを阻止しようと日本政府が講じた苦肉の策
であった。

 しかし中国は、国有化は領有権に関する主張を強化しようとする
日本の反中的な陰謀だと主張した。そして、これらの島をとりまく
領海と領空に対する日本の占有状態を潰しにかかった。中国は、ま
ず複数の監視船を送り込んだ。12月には偵察機1機を島々の上空に飛
ばした。これに対して日本は戦闘機を緊急発進させた。この月、日
中両国の航空機は島々の領空近くで追跡劇を演じている。

 新聞の報道によれば、日本は、中国が次に領空侵犯をしたら、警
告射撃を命じる構えだという。中国のある将官は、そのような事態
になれば「実際の戦闘」の開始として受け取ることになると述べて
いる。中国が島々の支配権を争う限り、両国関係は一触即発の状態
となり、軍事衝突が危ぶまれる。

 米国の高官は今週慌てて東京入りし、タカ派の安倍新政権に対し
て警告した。日本が武力攻撃を受けた場合、米国は日本の防衛に駆
けつける義務を負っている。中国との紛争に巻き込まれるのは、米
国にとって考えるのも耐え難い事態だ。

 だが度重なる中国の進入を受けている日本の反応は理解できる。
安倍晋三首相は、10年間削減が続いた国防費を増額すると発表した
。1月の第3週、安倍首相は東南アジア諸国を歴訪し、中国の拡大路
線に対する懸念を共有する各国との関係強化を図った。

 東南アジアにおける安倍首相の狙いはいかにも露骨だった。しか
し中国は、尖閣諸島(釣魚島)を中国に引き渡さない限り、日本が
何をしても満足しないのかもしれない。同じく1月の第3週、中国日
報は社説で日本が中国との関係改善を図っていることを認めた。だ
が、その直後、日本のこの努力を「表裏ある戦略」の一環だとして
はねつけている。中国は日本が脅威であると言う。だが、日本は中
国と異なり、1945年以降は軍事行動を起こしていない。

 中国の外交官は、中国が国内の諸問題にあえでいる隙を突いて、
日本が中国をやり込めようとしていると非難している。そして、中
国による尖閣諸島への幾度にもわたる進入が、弱体政権や経済不振
などに悩む日本の弱みにつけ込むものだとの考えには不満を露にす
る。中国は他の視点や利害に目を向けるつもりはなさそうだ。この
熱狂的愛国主義がどこから出てくるのか、はっきりとはわからない。
もしかすると、インターネット上で激化している超愛国主義的な国
民感情に中国政府が応えているのかもしれない。

アジアの悲惨な歴史を繰り返すな

 今の状況は1世紀前の東アジア情勢と非常によく似ており、見過ご
すことはできない。当事、横暴な態度に出ていた日本は、大陸への
拡大を正当化するため、愛国主義という危険な思想を身にまとった。
外国への侵略に道理を与え、同時に被害者ぶりをアピールした。現
在、中国が海洋における拡大を追求する中で犠牲者としての表現を
使うのは、当事の日本のそれと驚くほど似通っている。中国は日本
と軍事衝突する可能性に言及している。もしそんな事態になれば前
回と同様の悲惨な結果を招くだろう。それは中国及び周辺地域の平
和、そして経済成長を危険にさらすことになる。

 米国をはじめとする世界は、たとえ「陰謀」と受け取られようと
も、手遅れとなる前に中国に警告を発する義務がある。今、中国国
内で展開している狂乱状態に対して、中国内の誰が異議を唱えるの
だろうか。
c2013 The Economist Newspaper Limited.
Jan 19th 2013, All rights reserved.
==============================
訪米前にTPP方針 首相は米と板挟み
'13/1/24
 自民党は23日、2月後半の安倍晋三首相の訪米前に、外交・経済
連携調査会で環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題に関する「
基本的な考え方」を取りまとめる方向で調整に入った。党内では慎
重派が勢いを増しており、日米首脳会談に臨む首相が、日本の参加
を期待する米国と党との板挟みになるのは避けられず、難しいかじ
取りを迫られそうだ。

 TPP対応を論議する外交・経済連携調査会の衛藤征士郎会長は
23日までに共同通信のインタビューに応じ「TPPに参加すれば農
業や医療などさまざまな分野への影響が懸念される」と慎重姿勢を
表明した。

 28日の通常国会召集以降に調査会を始動し「首相の訪米前に調査
会として基本的な考え方を取りまとめたい」と述べた。

 TPP交渉に参加した上で条件が合わなければ脱退する選択肢も
あるとの高市早苗政調会長の発言には「外交交渉ではシンプルな姿
勢が必要だ。交渉に出れば、TPPに参加するとの誤解を与える」
と否定的な考えを示した。

 一方、慎重派議員でつくる「TPP参加の即時撤回を求める会」
は23日、約50人が出席して党本部で会合を開き、反対論が続出した。
メンバーは党所属の衆参両院議員の半数を超す203人に上り、茂
木敏充経済産業相や田村憲久厚生労働相ら6閣僚も名を連ねた。
==============================
中国と合同軍事演習も=「信頼醸成」を強調−ギラード豪首相
 【シドニー時事】オーストラリアのギラード首相は23日、キャ
ンベラで国家安全保障戦略について講演し、アジア地域の平和と安
定のため、豪州の同盟国である米国との関係を主軸に据えつつも、
中国とも合同軍事演習などを通じて信頼醸成に努めていく考えを表
明した。豪中の演習に関しては、米国も参加して行われる可能性が
先に報じられている。 
 首相は、今後数十年間、米中関係がアジア地域の問題の「温度を
決める」と述べた。米中両国には、中国の台頭に伴う地域環境の変
化を「管理できる手腕がある」としつつも、米中関係の「戦略的競
合」や、沖縄県・尖閣諸島のある東シナ海など、地域が抱える問題
を指摘。豪州には地域の協力や信頼構築で果たせる役割があると語
った。
 首相はこの日、日米豪3カ国の戦略対話や、中国や韓国などとの
関係強化の方針を盛り込んだ安全保障戦略を公表した。中国との演
習について、時期など具体的な言及はなかった。(2013/01/23-16:00)
==============================
今年の地政学上の重大事は「日中対立」 米専門家が見通し
2013.01.23 Wed posted at 18:16 JST
ダボス(CNN) 米国の著名な政治学者イアン・ブレマー氏は22
日、CNNとのインタビューで、今年1年間に予想される国際紛争
や対立のうち地政学上最も重大なのは日本と中国の関係だとの見方
を示した。
ブレマー氏は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会
議)の会場でインタビューに応じ、今年の世界情勢の見通しを語っ
た。
同氏によると、重要性が飛び抜けて高いのはシリア情勢でもイラン
の核問題でもなく、尖閣諸島(中国名・釣魚島)などを巡って緊張
が続く日中関係だという。
中国の国内総生産(GDP)は2010年に日本を抜き、米国に次
ぐ世界第2位となった。国民の所得増大が民主化の大きな波を引き
起こすとの説もあるが、ブレマー氏の意見は異なる。
「中国は貧しい国であり、独裁体制と国家資本主義の国だ。だから
こそ、その興隆は経済的、政治的対立に大きな影響を及ぼす。こう
した基本的な性質は、中国が米国を抜いて世界最大の経済国になっ
ても特に変わらないだろう」と、同氏は主張する。
そんな中国は「もはやかつてのように日本を必要としていない」と
いうのが、同氏の見方だ。「日本の技術も投資も必要ではなくなっ
た。しかもベトナムやフィリピンと違って、華僑の影響力も日本に
はない」と指摘する。
ブレマー氏は「米国は長年にわたり、中国の成長は自分たちの利益
にもなると考えてきた。一方で日本は今、中国の成長が自国の利益
にならない、悪いことだと感じている」と述べ、「米国の抱える葛
藤(かっとう)は深まるばかりだ」と警告した。
==============================
「中国は日本政府と対話を」 尖閣問題で米国務省
 【ワシントン共同】米国務省のヌランド報道官は22日の記者会
見で、尖閣諸島をめぐり強く自制を求めたクリントン国務長官の発
言に中国が反発していることに関し「中国は、米国に懸念を示すよ
りも日本政府と対話を通じて問題解決に取り組むべきだ」と述べた。

 ヌランド氏はまた、クリントン氏の発言は従来の米政府の立場を
繰り返したにすぎないと指摘した。

 クリントン氏は18日、ワシントンでの日米外相会談後の共同記
者会見で「日本の施政権を一方的に害そうとする」中国の行為に反
対すると発言。

 これに対して中国側は21日、「強い不満」を表明し、米側に「
言行を慎むよう」求めていた。
2013/01/23 14:27   【共同通信】
==============================
公明・山口代表の「棚上げ」発言に石破氏が反論、またも与党間に溝
2013.1.22 23:52 sankei[尖閣諸島問題]
 自民党の石破茂幹事長は22日の記者会見で、沖縄・尖閣諸島の
領有権を中国が主張している問題に関し、公明党の山口那津男代表
が「棚上げ」に言及したことについて、「日本政府として一度も棚
上げを是認したことはない。尖閣は日本固有の領土であり、棚上げ
の理由はどこにもない」と反論した。両党は海外の邦人救出に関す
る自衛隊法改正でも温度差があり、参院選を前に与党間の“溝”が
広がりつつある。

 石破氏は山口氏が尖閣周辺での日中両国による軍用機飛行の自重
を求めたことにも「わが国固有の領土にわが国の飛行機、軍用機が
近づかないことは極めて難しい」と述べ、山口氏の主張を否定した。

 一方、政府側の反応は抑制的だ。菅義偉官房長官は記者会見で、
「領土問題は存在しないことが政府・与党の共通認識だと山口氏は
明快に表明している」と述べ、問題視しない考えを示した。自民党
内に「与党党首の発言としては軽率だ」(中堅)との声がある中、
政府としては参院選を前に与党内の混乱を避けたいとの思惑ものぞ
く。(酒井充、北京 力武崇樹)
==============================
<安倍首相> 訪韓見送りへ 大統領就任式招待されず
毎日新聞2013年01月22日20時53分
 安倍晋三首相は、2月25日に予定されている韓国の朴槿恵(パ
ククネ)新大統領の就任式に合わせて検討していた韓国訪問を見送
る方針を固めた。韓国は就任式に各国の首脳級を招待しない方針で
、日本側も訪韓は困難と判断した。日本政府は昨年の李明博(イミ
ョンバク)大統領の島根県・竹島上陸で冷え込んだ日韓関係改善に
向け、朴氏との早期会談を再調整する。

 首相は1月上旬、額賀福志郎元財務相を特使として韓国へ派遣、
訪韓の環境整備を図った。だが、韓国の政権引き継ぎ委員会が各国
政府代表として駐韓大使を招待する方針を示していた。外務省幹部
は「(韓国から)招待されないなら行けない」と述べた。就任式へ
の特使派遣を検討する。【吉永康朗】
==============================
中国 オバマ大統領に米中関係の戦略的信頼を呼びかける
21.01.2013, 13:00VOR
中国は、「慎重な楽観主義」を持ち、オバマ政権2期目で米国との
信頼関係を高める考え。AFP通信が、中国国営の新華社通信の論
評を引用して伝えた。
   論評では、戦略的信頼がないことは「成熟した中米関係」への大
きな障害となっていると指摘されている。
AFP通信
==============================
安倍さんの「アジア・セキュリティーダイヤモンド」とは?
Asia’s Democratic Security Diamond
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe
翻訳は、同ブログ運営者 剣kenn  
アジアの民主主義セキュリティダイアモンド 

 2007年の夏、日本の首相としてインド国会のセントラルホールで
演説した際、私は「二つの海の交わり」 ─1655年にムガル帝国の皇
子ダーラー・シコーが著わした本の題名から引用したフレーズ─ に
ついて話し、居並ぶ議員の賛同と拍手喝采を得た。
あれから5年を経て、私は自分の発言が正しかったことをますます強
く確信するようになった。 

 太平洋における平和、安定、航海の自由は、インド洋における平
和、安定、航海の自由と切り離すことは出来ない。
発展の影響は両者をかつてなく結びつけた。
アジアにおける最も古い海洋民主国家たる日本は、両地域の共通利
益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。 

 にもかかわらず、ますます、南シナ海は「北京の湖」となってい
くかのように見える。
アナリストたちが、オホーツク海がソ連の内海となったと同じく南
シナ海も中国の内海となるだろうと言うように。
南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の原潜が基
地とするに十分な深さがあり、間もなく中国海軍の新型空母がよく
見かけられるようになるだろう。
中国の隣国を恐れさせるに十分である。 

 これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り返す演習
に、日本が屈してはならない理由である。
軽武装の法執行艦ばかりか、中国海軍の艦艇も日本の領海および接
続水域に進入してきた。
だが、このような“穏やかな”接触に騙されるものはいない。
これらの船のプレゼンスを日常的に示すことで、中国は尖閣周辺の
海に対する領有権を既成事実化しようとしているのだ。 
もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。
日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の自由は深
刻な妨害を受けるであろう。
両シナ海は国際海域であるにもかかわらず日米両国の海軍力がこの
地域に入ることは難しくなる。 

 このような事態が生じることを懸念し、太平洋とインド洋をまた
ぐ航行の自由の守護者として、日印両政府が共により大きな責任を
負う必要を、私はインドで述べたのであった。
私は中国の海軍力と領域拡大が2007年と同様のペースで進むであろ
うと予測したが、それは間違いであったことも告白しなければなら
ない。 

 東シナ海および南シナ海で継続中の紛争は、国家の戦略的地平を
拡大することを以て日本外交の戦略的優先課題としなければならな
いことを意味する。
日本は成熟した海洋民主国家であり、その親密なパートナーもこの
事実を反映すべきである。
私が描く戦略は、オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによ
って、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイ
アモンドを形成することにある。 

 対抗勢力の民主党は、私が2007年に敷いた方針を継続した点で評
価に値する。
つまり、彼らはオーストラリアやインドとの絆を強化する種を蒔い
たのであった。 
 (世界貿易量の40%が通過する)マラッカ海峡の西端にアンダマ
ン・ニコバル諸島を擁し、東アジアでも多くの人口を抱えるインド
はより重点を置くに値する。
日本はインドとの定期的な二国間軍事対話に従事しており、アメリ
カを含めた公式な三者協議にも着手した。
製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が外交的な武器とし
て使うことを選んで以後、インド政府は日本との間にレアアース供
給の合意を結ぶ上で精通した手腕を示した。 

 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスやフランス
にもまた舞台にカムバックするよう招待したい。
海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新たなプレゼ
ンスとともにあることが賢明である。
英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュー
ジーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。
私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、
小規模な軍事演習にも加わらせたい。
タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、
いずれ重要性を大いに増してくるであろう。 

 とはいえ、日本にとって米国との同盟再構築以上に重要なことは
ない。
米国のアジア太平洋地域における戦略的再編期にあっても、日本が
米国を必要とするのと同じぐらいに、米国もまた日本を必要として
いるのである。
2011年に発生した日本の地震、津波、原子力災害後、ただちに行な
われた米軍の類例を見ないほど巨大な平時の人道支援作戦は、60年
かけて成長した日米同盟が本物であることの力強い証拠である。 

 私は、個人的には、日本と最大の隣国たる中国の関係が多くの日
本国民の幸福にとって必要不可欠だと認めている。
しかし、日中関係を向上させるなら、日本はまず太平洋の反対側に
停泊しなければならない。
というのは、要するに、日本外交は民主主義、法の支配、人権尊重
に根ざしていなければならないからである。
これらの普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた。
2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の繁栄もまた
、それらの価値の上にあるべきだと私は確信している。 



コラム目次に戻る
トップページに戻る