4580.日銀が2%物価目標導入



日銀は、14年度から無期限の金融緩和で2%の物価上昇を目指す
としたが、2014年から毎月一定額の金融資産を買い入れる。当
分の間は、長期国債2兆円程度、国庫短期証券(短期国債)10兆
円程度を中心に毎月13兆円程度の資産を買い入れる。とした。

また、デフレからの早期脱却と持続的成長に向けて政策連携を強化
するとした政府と日銀の共同声明も公表した。日銀が物価目標2%
を早期に実現するという文言を盛り込んだほか、政府は政策を総動
員して経済構造を変革するとともに、財政規律に配慮することも明
記した。

しかし、佐藤委員と木内委員は、「物価安定の目標を消費者物価の
前年比上昇率2%とする」と記述している点に反対した。2%は実
現性が低いと考えたとみられる。

というように、2%目標には金融緩和が小さいと市場には受け取ら
れたようで、1ドル87円台まで円が上昇している。

日銀の発表により、早期の大胆な行動を期待していた投資家の失望
を誘った。先月就任した安倍晋三首相は「大胆な金融緩和」による
デフレ脱却と円相場の押し下げを呼び掛けていたが、ここで一服感
が出ている。

また、麻生財務・金融相は22日、2013年度予算案の歳入に関
して「新規国債(発行額)の比率が税収より少ない状況が一番分か
りやすい。無責任に国債をどんどん出すことはない」と述べ、国債
依存度を抑制し、財政規律を堅持する姿勢を示す必要があるとの認
識を示した。

というように、日銀の金融緩和が国債を無制限に買うことではなく
、外債などの資産を無制限に買うという金融緩和になれば、国債の
長期金利が上がることはなく、円安に誘導できる。

これでも、円安にならないなら、日銀当座預金金利をゼロ%にする
べきである。国内市中銀行の義務分には1%の金利を付けるが、そ
れ以外の預金には、金利をマイナスにして、トータルで金利0%に
すればよい。これで外国銀行や国内銀行の余剰資金が日銀から資産
に向かうことになるので、大きな効果があるはず。

さあ、どうなりますか?

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円の上昇は一時的にとどまる公算大−シティグループのアンダーソン氏
  1月22日(ブルームバーグ):日銀が無期限の資産買い取りに
近づくことから、円は対ドルで下落に転じる前にさらに1−2%超
の上昇を見せることはないだろうと、シティグループのグレッグ・
アンダーソン氏は予想した。
円は22日に8カ月で最大の上昇を見せた。日銀 が2014年1月から期
限を定めずに資産買い取り方式を導入すると発表したことは、より
早期の大胆な行動を期待していた投資家の失望を誘った。先月就任
した安倍晋三首相は「大胆な金融緩和」によるデフレ脱却と円相場
の押し下げを呼び掛けている。
シティグループのG10通貨戦略担当の北米責任者、アンダーソン氏
は(ニューヨーク在勤)はブルームバーグテレビジョンのインタビ
ューで「安倍政権は日銀を2%のインフレ目標で塗り固めた。日銀
の抵抗手段は資産購入のスタートを2014年まで遅らせることだった
」と述べた。
円は対ドルで過去半年間に12%下落した。22日のニューヨーク市場
では1%上昇し1ドル=88円74銭。一時は1.4%高と昨年5月17日以
来最大の値上がりとなった。
アンダーソン氏は、円の対ドル相場は今後2週間で87円に上昇する
可能性があるが、年末までには90円台半ばまで下落すると予想。「
日銀がバランスシートの拡大に着手したら、円の一段安を目にする
ことになろう」と語った。
更新日時: 2013/01/23 08:41 JST
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米専門家“安倍政権の政策 正しい方向”
1月22日 22時0分NHK
アメリカのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のアダム・
ポーゼン所長は、日銀の大胆な金融緩和によってデフレ脱却を目指
す安倍政権の政策について、「正しい方向に踏み出している」と評
価しています。
ポーゼン氏は、アメリカの中央銀行に当たるFRBのバーナンキ議
長との物価目標に関する共著があり、バブル崩壊後の日本の経済や
金融政策を見続けてきた、知日派のエコノミストとして知られてい
ます。
ポーゼン氏は、大胆な金融緩和によってデフレ脱却を目指す安倍政
権の政策について、「明らかに正しい方向に踏み出しており、安倍
政権を支持する。日本が今抱えている問題はデフレと円高なのは明
らかで、財政出動による景気刺激策よりも金融政策の対応を評価す
る」と述べました。
そのうえで、日銀が長期にわたって金融緩和を続けていても、デフ
レを克服できない現状について、「日銀のこれまでの対応が十分で
なかったのが理由だ。日銀はもっと長期国債を買う必要があるし、
社債や外国の債券、株式を買ってもよい」と述べて、手段を尽くせ
ばデフレは克服できるという認識を示しました。
一方、安倍政権が、10兆円を超える財政出動による大型の景気対
策を打ち出したことについては、「1990年代後半に私は財政出
動による日本の景気対策を強く支持したが、今や状況は違う。当時
に比べ、日本が抱える債務はぐっと大きくなり、リスクも高まって
いる」と述べ、安倍政権は金融政策によるデフレの克服に重点を置
くべきだと指摘しました。
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新規国債、税収以下に=来年度予算案で?麻生財務相
2013年 1月 22日 13:01 JST 更新
 麻生太郎副総理兼財務・金融相は22日の閣議後記者会見で、
2013年度予算案の歳入に関して「新規国債(発行額)の比率が
税収より少ない状況が一番分かりやすい。無責任に国債をどんどん
出すことはない」と述べ、国債依存度を抑制し、財政規律を堅持す
る姿勢を示す必要があるとの認識を示した。政府は、新規国債発行
額を民主党政権下で編成された12年度当初予算の44.2兆円以
下に抑える方向だ。

 また、民主党政権が11年度から5年間で19兆円とした東日本
大震災の復旧・復興費について、財務相は「残りの額が少ない。見
直さないといけない」と語り、上積みする考えを明らかにした。 
[時事通信社]
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日銀が2%物価目標を導入、14年から「無期限緩和」
2013年1月22日15時57分
 [東京 22日 ロイター] 日銀は21、22日の金融政策決
定会合で、2%の物価上昇率目標とともに、期限を定めず市場から
資産を買い入れる緩和策の導入を決定した。前回会合に続く2回連
続の追加緩和は2003年以来、約10年ぶり。しかし同時に発表
した日銀の物価見通しは、前回からの上昇がわずかにとどまってお
り、2%の達成には程遠いことをうかがわせる。

 この日の会合では、政府と日銀が連携してデフレからの早期脱却
を目指す「共同声明」も公表した。

 <14年中に10兆円増額、その後は残高維持>
 日銀はこれまで、目指す物価上昇率を「中長期的な物価安定の目
途(めど)」で当面1%としてきたが、安倍晋三首相の意向も踏ま
えて「物価安定の目標」に変更し、物価上昇率を2%に引き上げた。
金融緩和の推進によって、「できるだけ早期」の目標実現を目指す。

 2%の物価目標導入を踏まえ、追加の緩和措置も決定した。国債
やリスク性資産を購入する資産買入基金について、無期限の資産買
い入れ方式を導入。現行計画である2013年末までに101兆円
という残高積み上げが完了後、2014年から毎月一定額の金融資
産を買い入れる。当分の間は、長期国債2兆円程度、国庫短期証券
(短期国債)10兆円程度を中心に毎月13兆円程度の資産を買い
入れる。これにより、基金の残高は2014年中に10兆円程度増
加し、それ以降の残高は維持される見通しという。

 ただ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問
題が生じていないかを確認していく方針だ。

 物価目標を2%とすることに対して佐藤健裕審議委員と木内登英
審議委員が反対した。2%は実現性が低いと考えたとみられる。

 今回の会合では、デフレからの早期脱却と持続的成長に向けて政
策連携を強化するとした政府と日銀の共同声明も公表した。日銀が
物価目標2%を早期に実現するという文言を盛り込んだほか、政府
は政策を総動員して経済構造を変革するとともに、財政規律に配慮
することも明記した。佐藤委員と木内委員は、この声明についても
「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%とする」と記述
している点に反対した。

 <物価さほど上昇せず>
 こうした一連の措置を受け、日銀は昨年10月の「展望レポート
」で示した経済物価見通しをやや修正した。成長率は12年度はや
や下振れるものの、13年度は各種の経済対策効果などから上振れ
、中心的な見通しは10月の1.6%から2.3%に大幅に上昇。
14年度は経済対策の効果がなくなることや消費増税導入予定もあ
り、0.8%と弱含むが、それでも10月見通し0.6%からはや
や上方修正された。

 一方、物価の上昇は鈍い。13年度は10月から変わらず0.4
%上昇のまま、14年度は0.9%上昇で10月見通しの0.8%
上昇からさほど変わらない。「物価目標」の2%に届くにはまだ時
間がかかるとみていることがうかがえる。

 しかも、この先のリスクについて「日本経済をめぐる不確実性は
引き続き大きい」との見方を示し、債務問題が続く欧州や米国経済
の回復力、日中関係の影響など、海外要因に不安を示した。
(ロイターニュース 伊藤純夫 竹本能文 石田仁志 中川泉
;編集 久保信博)


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