日銀は、14年度から無期限の金融緩和で2%の物価上昇を目指す としたが、2014年から毎月一定額の金融資産を買い入れる。当 分の間は、長期国債2兆円程度、国庫短期証券(短期国債)10兆 円程度を中心に毎月13兆円程度の資産を買い入れる。とした。 また、デフレからの早期脱却と持続的成長に向けて政策連携を強化 するとした政府と日銀の共同声明も公表した。日銀が物価目標2% を早期に実現するという文言を盛り込んだほか、政府は政策を総動 員して経済構造を変革するとともに、財政規律に配慮することも明 記した。 しかし、佐藤委員と木内委員は、「物価安定の目標を消費者物価の 前年比上昇率2%とする」と記述している点に反対した。2%は実 現性が低いと考えたとみられる。 というように、2%目標には金融緩和が小さいと市場には受け取ら れたようで、1ドル87円台まで円が上昇している。 日銀の発表により、早期の大胆な行動を期待していた投資家の失望 を誘った。先月就任した安倍晋三首相は「大胆な金融緩和」による デフレ脱却と円相場の押し下げを呼び掛けていたが、ここで一服感 が出ている。 また、麻生財務・金融相は22日、2013年度予算案の歳入に関 して「新規国債(発行額)の比率が税収より少ない状況が一番分か りやすい。無責任に国債をどんどん出すことはない」と述べ、国債 依存度を抑制し、財政規律を堅持する姿勢を示す必要があるとの認 識を示した。 というように、日銀の金融緩和が国債を無制限に買うことではなく 、外債などの資産を無制限に買うという金融緩和になれば、国債の 長期金利が上がることはなく、円安に誘導できる。 これでも、円安にならないなら、日銀当座預金金利をゼロ%にする べきである。国内市中銀行の義務分には1%の金利を付けるが、そ れ以外の預金には、金利をマイナスにして、トータルで金利0%に すればよい。これで外国銀行や国内銀行の余剰資金が日銀から資産 に向かうことになるので、大きな効果があるはず。 さあ、どうなりますか? ============================== 円の上昇は一時的にとどまる公算大−シティグループのアンダーソン氏 1月22日(ブルームバーグ):日銀が無期限の資産買い取りに 近づくことから、円は対ドルで下落に転じる前にさらに1−2%超 の上昇を見せることはないだろうと、シティグループのグレッグ・ アンダーソン氏は予想した。 円は22日に8カ月で最大の上昇を見せた。日銀 が2014年1月から期 限を定めずに資産買い取り方式を導入すると発表したことは、より 早期の大胆な行動を期待していた投資家の失望を誘った。先月就任 した安倍晋三首相は「大胆な金融緩和」によるデフレ脱却と円相場 の押し下げを呼び掛けている。 シティグループのG10通貨戦略担当の北米責任者、アンダーソン氏 は(ニューヨーク在勤)はブルームバーグテレビジョンのインタビ ューで「安倍政権は日銀を2%のインフレ目標で塗り固めた。日銀 の抵抗手段は資産購入のスタートを2014年まで遅らせることだった 」と述べた。 円は対ドルで過去半年間に12%下落した。22日のニューヨーク市場 では1%上昇し1ドル=88円74銭。一時は1.4%高と昨年5月17日以 来最大の値上がりとなった。 アンダーソン氏は、円の対ドル相場は今後2週間で87円に上昇する 可能性があるが、年末までには90円台半ばまで下落すると予想。「 日銀がバランスシートの拡大に着手したら、円の一段安を目にする ことになろう」と語った。 更新日時: 2013/01/23 08:41 JST ============================== 米専門家“安倍政権の政策 正しい方向” 1月22日 22時0分NHK アメリカのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のアダム・ ポーゼン所長は、日銀の大胆な金融緩和によってデフレ脱却を目指 す安倍政権の政策について、「正しい方向に踏み出している」と評 価しています。 ポーゼン氏は、アメリカの中央銀行に当たるFRBのバーナンキ議 長との物価目標に関する共著があり、バブル崩壊後の日本の経済や 金融政策を見続けてきた、知日派のエコノミストとして知られてい ます。 ポーゼン氏は、大胆な金融緩和によってデフレ脱却を目指す安倍政 権の政策について、「明らかに正しい方向に踏み出しており、安倍 政権を支持する。日本が今抱えている問題はデフレと円高なのは明 らかで、財政出動による景気刺激策よりも金融政策の対応を評価す る」と述べました。 そのうえで、日銀が長期にわたって金融緩和を続けていても、デフ レを克服できない現状について、「日銀のこれまでの対応が十分で なかったのが理由だ。日銀はもっと長期国債を買う必要があるし、 社債や外国の債券、株式を買ってもよい」と述べて、手段を尽くせ ばデフレは克服できるという認識を示しました。 一方、安倍政権が、10兆円を超える財政出動による大型の景気対 策を打ち出したことについては、「1990年代後半に私は財政出 動による日本の景気対策を強く支持したが、今や状況は違う。当時 に比べ、日本が抱える債務はぐっと大きくなり、リスクも高まって いる」と述べ、安倍政権は金融政策によるデフレの克服に重点を置 くべきだと指摘しました。 ============================== 新規国債、税収以下に=来年度予算案で?麻生財務相 2013年 1月 22日 13:01 JST 更新 麻生太郎副総理兼財務・金融相は22日の閣議後記者会見で、 2013年度予算案の歳入に関して「新規国債(発行額)の比率が 税収より少ない状況が一番分かりやすい。無責任に国債をどんどん 出すことはない」と述べ、国債依存度を抑制し、財政規律を堅持す る姿勢を示す必要があるとの認識を示した。政府は、新規国債発行 額を民主党政権下で編成された12年度当初予算の44.2兆円以 下に抑える方向だ。 また、民主党政権が11年度から5年間で19兆円とした東日本 大震災の復旧・復興費について、財務相は「残りの額が少ない。見 直さないといけない」と語り、上積みする考えを明らかにした。 [時事通信社] ============================== 日銀が2%物価目標を導入、14年から「無期限緩和」 2013年1月22日15時57分 [東京 22日 ロイター] 日銀は21、22日の金融政策決 定会合で、2%の物価上昇率目標とともに、期限を定めず市場から 資産を買い入れる緩和策の導入を決定した。前回会合に続く2回連 続の追加緩和は2003年以来、約10年ぶり。しかし同時に発表 した日銀の物価見通しは、前回からの上昇がわずかにとどまってお り、2%の達成には程遠いことをうかがわせる。 この日の会合では、政府と日銀が連携してデフレからの早期脱却 を目指す「共同声明」も公表した。 <14年中に10兆円増額、その後は残高維持> 日銀はこれまで、目指す物価上昇率を「中長期的な物価安定の目 途(めど)」で当面1%としてきたが、安倍晋三首相の意向も踏ま えて「物価安定の目標」に変更し、物価上昇率を2%に引き上げた。 金融緩和の推進によって、「できるだけ早期」の目標実現を目指す。 2%の物価目標導入を踏まえ、追加の緩和措置も決定した。国債 やリスク性資産を購入する資産買入基金について、無期限の資産買 い入れ方式を導入。現行計画である2013年末までに101兆円 という残高積み上げが完了後、2014年から毎月一定額の金融資 産を買い入れる。当分の間は、長期国債2兆円程度、国庫短期証券 (短期国債)10兆円程度を中心に毎月13兆円程度の資産を買い 入れる。これにより、基金の残高は2014年中に10兆円程度増 加し、それ以降の残高は維持される見通しという。 ただ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問 題が生じていないかを確認していく方針だ。 物価目標を2%とすることに対して佐藤健裕審議委員と木内登英 審議委員が反対した。2%は実現性が低いと考えたとみられる。 今回の会合では、デフレからの早期脱却と持続的成長に向けて政 策連携を強化するとした政府と日銀の共同声明も公表した。日銀が 物価目標2%を早期に実現するという文言を盛り込んだほか、政府 は政策を総動員して経済構造を変革するとともに、財政規律に配慮 することも明記した。佐藤委員と木内委員は、この声明についても 「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%とする」と記述 している点に反対した。 <物価さほど上昇せず> こうした一連の措置を受け、日銀は昨年10月の「展望レポート 」で示した経済物価見通しをやや修正した。成長率は12年度はや や下振れるものの、13年度は各種の経済対策効果などから上振れ 、中心的な見通しは10月の1.6%から2.3%に大幅に上昇。 14年度は経済対策の効果がなくなることや消費増税導入予定もあ り、0.8%と弱含むが、それでも10月見通し0.6%からはや や上方修正された。 一方、物価の上昇は鈍い。13年度は10月から変わらず0.4 %上昇のまま、14年度は0.9%上昇で10月見通しの0.8% 上昇からさほど変わらない。「物価目標」の2%に届くにはまだ時 間がかかるとみていることがうかがえる。 しかも、この先のリスクについて「日本経済をめぐる不確実性は 引き続き大きい」との見方を示し、債務問題が続く欧州や米国経済 の回復力、日中関係の影響など、海外要因に不安を示した。 (ロイターニュース 伊藤純夫 竹本能文 石田仁志 中川泉 ;編集 久保信博)