4559.内戦状態にあるシリア情勢



シリアのアサド大統領が、首都に迫る反政府軍に対して、シリア中
部ホムスで23日夜、政府軍が反体制派に対する攻撃で化学兵器を
使用した。

また、NATOラスムセン事務総長は、同国のアサド政権が反体制
派武装勢力の掃討のため弾道ミサイル「スカッド」による攻撃を最
近拡大していると述べた。また、内戦状態にあるシリア情勢に関し
、アサド政権の「崩壊が近づいている。崩壊は時間の問題だ」との
認識を示した。

友好国であるロシアのボグダノフ外務次官も、シリア情勢について
「アサド政権は国土に対する統制をますます失っている」と述べた。

トルコに対してもスカッドミサイルを打ち込む可能性があり、パネ
ッタ米国防長官は14日、訪問先のトルコで、地対空誘導弾パトリ
オットと運用に当たる兵員約400人をトルコに派遣する命令を発
した。

このような状態になり、ロシアのプーチン大統領も21日、「われ
われはシリア国内の秩序を求める努力をし、民主的な体制を期待す
る」と述べ、アサド政権寄りの姿勢をとってきたロシア政府が同政
権敗北の可能性を考慮し始めた。

これに対して、反体制派を支援する国々は12月12日、「シリア
の友人」会合で、反体制派の統合組織「シリア国民連合」をシリア
人の唯一の正統な代表と承認した。

国連・アラブ連盟合同特別代表ブラヒミ氏は24日、首都ダマスカ
スでアサド大統領と会談した。ブラヒミ氏は会談後、記者団に「危
機を終わらせるための今後の方法について意見交換した」と語った。
シリア大統領府も「会談は建設的だった」との声明を発表した。

そして、27日、シリアの首都ダマスカスで記者会見し、内戦を終
わらせるための米国とロシア主導による調停案が「現段階ではない
」と述べ、危機打開には両国の協力が必要だとの認識を示した。

シリア調停案を持って、ブラヒミ氏は29日にモスクワを訪問し、
ロシアのラブロフ外相と会談すると発表した。

あるバース党地域指導部がブラヒミ氏の調停に基づき、アサド大統
領に「平和的な政権移行に向けた対話」に乗り出すよう求める声明
を出したとも言われる。

しかし、米国はシリアの反体制派中心的な「ヌスラ(勝利)戦線」
をイラクのアルカーイダ系武装組織に近いという理由で彼らをテロ
組織に認定している。ヌスラ戦線はアサド政権側と対決する有力な
武装組織とされる上、食料や燃料を与えて民衆の支持を広げてきた
といわれ、米国の判断はシリアの人々の反感を招いいるようだ。

そして、今まで、クリントン国務長官は、化学兵器の使用は「レッ
ドライン(越えてはならない一線)だ」と警告。オバマ大統領も「
悲劇的な過ちを犯せば重大な結果を招き、責任を問われることにな
る」と述べ、軍事行動の可能性も示唆していたが、米国民は直接的
な軍事介入には半数以上が反対していることが、CNNによる世論
調査で分かった。

このため、米国は軍事行動には出られない。こうした姿勢が中東地
域における米国の影響力の地盤沈下につながるとしたが、2期目の
オバマ政権にとってもシリアは重大なテーマになっている。

南米エクアドルのコレア大統領は、アサド・シリア大統領の亡命受
け入れも検討する用意があることを認めた。コレア大統領は「人権
尊重という観点から、亡命申請者は誰であれ検討するのは当然だ」
と述べた。

というように、シリアの民主化ができるが、米国の影響力はなく、
アルカイダ系の政府になる可能性もあり、中東での米国の地盤沈下
は避けられないことになるように感じる。
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シリア難民、半年で倍増へ=13年夏までに110万人−国連
 【ニューヨークAFP=時事】国連人道問題調整事務所(OCH
A)は26日、内戦が続くシリアから隣国に脱出する難民が今後半
年間で倍増し、計110万人に達するとの予測を明らかにした。
 OCHAの報告書によると、現時点でイラクやヨルダンなどに避
難したシリア難民は54万人以上。この6週間で14万人増加した。
 報告書は「安全を求めて越境するシリア難民が増え続けており、
内戦が続けば2013年6月までに110万人に達する見通しだ」
と警告している。(2012/12/27-20:43)
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シリア、バース党がアサド氏に「政権移行」要求か
2012.12.27 23:31sankei
 【カイロ=大内清】中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは27日
、内戦中のシリアの実質的な支配政党であるバース党地域指導部が
ブラヒミ国連・アラブ連盟合同特別代表の調停に基づき、アサド大
統領に「平和的な政権移行に向けた対話」に乗り出すよう求める声
明を出したと報じた。

 ただ、バース党関係者は声明の内容を否定しており、組織内で意
見が割れている可能性もある。
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シリア内戦に米露調停必要 ブラヒミ代表がロシア訪問へ
2012.12.27 21:10sankei
 国連とアラブ連盟合同のシリア特別代表、ブラヒミ氏は27日、
シリアの首都ダマスカスで記者会見し、内戦を終わらせるための米
国とロシア主導による調停案が「現段階ではない」と述べ、危機打
開には両国の協力が必要だとの認識を示した。

 一方、ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は27日のモスク
ワでの記者会見で、ブラヒミ氏が29日にモスクワを訪問し、ロシ
アのラブロフ外相と会談すると発表した。ブラヒミ氏とラブロフ氏
が「シリア政権側と反体制派の暴力停止と対話の開始に向けたブラ
ヒミ氏の最近の努力」などをめぐって話し合うという。

 ブラヒミ氏は最近、シリアのアサド大統領に、反体制派も参加し
た移行政府の樹立を提案したとの報道もあり、こうした案でも意見
交換する可能性がある。(共同)
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シリア:「政府軍が毒ガス使用」 反体制派が証言
毎日新聞 2012年12月28日 07時28分
 【カイロ花岡洋二】内戦下にあるシリア中部ホムスで23日夜、
政府軍が反体制派に対する攻撃で化学兵器を使用した疑いが持たれ
ている事件を巡り、反体制派組織「シリア革命総合委員会」の報道
担当者は27日、毎日新聞の取材に「戦闘中に政府軍が消え、直後
に爆弾が爆発し、白煙が上がって奇妙な臭いがした」と述べ、政府
軍が作戦で有毒ガス弾を使用したと示唆した。

 ホムスにいる「シリア革命総合委員会」のハディ・アブドラ報道
担当がインターネット電話「スカイプ」でインタビューに応じた。
報道担当によると、反体制派の支配地域ハリディヤ地区で事件は起
きた。6カ月近く政府軍に包囲されていたが、23日夜に政府軍が
進攻を試み、地区境界付近で反体制派と戦闘。突然、政府軍が視界
から消え、複数の爆発があったという。

 爆発後、最前線にいた反体制派の兵士7人が死亡。後方の兵士4
人は体がまひし、3人は視力を失った。計70人が視力悪化や呼吸
困難、腹痛などを訴えた。「なんのガスかは分からない」という。

 在米の民間団体「シリア・アメリカ医療協会」は24日、治療し
た医師からの聞き取りを報告。医師は、症状から神経ガスの一種「
エージェント15」の使用を疑っているという。「医療協会」は「
化学兵器の可能性は高いが、確証を得るには科学的検査が必要だ」
と判断したと、米ニュースサイトが報じた。

 一方、ロイター通信によると、イスラエルのヤアロン首相代理は
25日にラジオ出演し、反体制派側の主張に関し、「現時点で、化
学兵器が使用されたとの確認や証拠はない。ただし事態の推移は注
視している」と語った。

 シリアは化学兵器禁止条約に署名していない。米政府などはシリ
アが猛毒のマスタードガスやサリンを保有しているとみて使用しな
いよう警告している。

 在英の反体制派組織「シリア人権観測所」によると、26日はホ
ムスや首都ダマスカス近郊など各地で激しい戦闘が続き、市民51
人ら130人が死亡した。
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シリアへの軍事介入、米国人の過半数が反対 CNN調査
2012.12.25 Tue posted at 18:54 JST
ワシントン(CNN) 内戦が長期化するシリア情勢を巡り、米国人
の大半は懸念を抱いているものの、直接的な軍事介入には半数以上
が反対していることが、CNNと調査機関ORCインターナショナ
ルによる世論調査で分かった。
24日発表された結果によると、シリア情勢を「深く懸念している
」と答えた人は34%。「いくらか懸念している」が46%だった
。「懸念はない」との回答は18%にとどまった。
一方、米国など外国が軍用機やミサイルを展開して反体制派の安全
地帯を設けるとの案については、反対意見が52%、賛成意見が43
%だった。米国などから反体制派勢力に武器や装備を供給すること
には、55%が反対を表明した。また、安全地帯設置のため地上軍
を投入することに対しては、2対1の割合で反対意見が多数を占め
た。
米軍機やミサイルの使用を巡る意見には政党別、男女別の違いがは
っきりと出た。民主党が賛否半々なのに対し共和党は賛成がやや多
く、男性が半々なのに女性は反対が多数となっている。
調査は17〜18日、全米の成人620人を対象に電話で実施した。
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シリア緊迫 頭を悩ます米国
2012.12.25 08:02 sankei[米国]
 欧米の有力メディアが、シリア内戦の緊迫ぶりを相次ぎ伝えてい
る。主戦場が首都ダマスカス周辺に迫ってきたようだ。そんななか
、反体制派を支援する国々は12月12日、「シリアの友人」会合
で、反体制派の統合組織「シリア国民連合」をシリア人の唯一の正
統な代表と承認した。指導者に選ばれたハティーブ氏は14日付英
紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)の会見記事で、アサド政
権が大量破壊兵器を使用する事態になれば、「特に責任がある」と
ロシアを非難した。

 氏の批判の矛先は米国にも向けられた。内戦をめぐる国際社会の
介入の時期や方法が適切でなかったとの考えを示唆し、「誤った国
際的な方針が過激主義(の拡大)へと導いた」と述べた。

 「過激主義」とはシリアの反体制派、「ヌスラ(勝利)戦線」を
指す。なぜ、この発言が対米批判なのかというと、米国は「国民連
合」を信任する前日の11日、イラクのアルカーイダ系武装組織に
近いという理由で彼らをテロ組織に認定したからだ。ヌスラ戦線は
アサド政権側と対決する有力な武装組織とされる上、食料や燃料を
与えて民衆の支持を広げてきたといわれ、米国の判断はシリアの人
々の反感を招いたとの報道もあった。

 国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(アジア版
)は12日付社説で、アサド政権崩壊後にヌスラ戦線がシリアの主
要な政治勢力となることに懸念を示す一方、オバマ政権にも、影響
力をどう行使するつもりなのかを指し示す「より鮮明な青写真」を
見せるべきだと注文した。カタールやサウジアラビアなど、アサド
政権の崩壊を望む国々による武器などの支援を通じてアルカーイダ
系の勢力が権力を握れば、“アサド後”のシリアがテロ組織の温床
になりかねない。

 軍事介入を避けつつ、友好国を背後から導く形で影響力を発揮す
る。そんな米国の手法について米紙ウォールストリート・ジャーナ
ル(アジア版)は14日付社説で、カタールにリビアやシリアへの
対処を委ねた結果、イスラム過激派の急速な武装強化という米国が
望まない結果になったと評した。かといって、米国が手を引けば、
だれかがその「空白」を埋めるだけだ。社説は結局、こうした姿勢
が中東地域における米国の影響力の地盤沈下につながるとの見方を
示唆した。2期目のオバマ政権にとってもシリアは重大なテーマだ。
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シリア:政府軍、ガス爆弾使用か 反体制派6人死亡
毎日新聞 2012年12月25日 01時51分
 【カイロ花岡洋二】在英のシリア反体制派組織「シリア人権観測
所」によると、シリア中部ホムスで23日夜、政府軍がガス爆弾と
みられる爆弾を使用し、反体制派の兵士6人が死亡した。観測所の
アブドルラフマン代表はAFP通信の取材に「国際的に使用が禁止
されているガスかどうかは不明だ」と話した。

 政府軍はホムス中心部での反体制派との戦闘中、この爆弾を使用
。白煙が上がり、ガスを吸い込んだとみられる兵士らが吐き気や激
しい頭痛を訴えたという。別の反体制派組織「地域調整委員会」が
インターネットの動画サイトに投稿した映像には、ガスを吸った兵
士とみられる男性が呼吸困難になっている様子が映っている。

 一方、中部ハマ県では23日、政府軍による空爆で製パン所など
が破壊され、60人以上が死亡し、少なくとも50人がけがをした。
内戦状態が続くシリアで、1回の空爆による死傷者数としては最悪
とみられる。空爆があった地域は最近、反体制派が掌握していた。
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ブラヒミ特別代表、アサド大統領と会談
2012年12月25日1時8分
 【カイロ=北川学】シリア内戦の和平調停にあたるブラヒミ国連
・アラブ連盟合同特別代表は24日、首都ダマスカスでアサド大統
領と会談した。ブラヒミ氏は会談後、記者団に「危機を終わらせる
ための今後の方法について意見交換した」と語った。シリア大統領
府も「会談は建設的だった」との声明を発表した。

 シリアからの情報によると、ブラヒミ氏は、アサド政権と反体制
派の双方で「移行政府」を樹立するため、閣僚を選ぶよう求めた模
様。ブラヒミ氏はシリア訪問に先立ち、クリントン米国務長官、ラ
ブロフ・ロシア外相らと会談し、調停案を練ってきた。
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シリア軍のスカッドミサイル攻撃が拡大、化学兵器搭載なし
2012.12.22 Sat posted at 15:05 JST
(CNN) シリア内戦で北大西洋条約機構(NATO)のラスムセ
ン事務総長は22日までに、同国のアサド政権が反体制派武装勢力
の掃討のため弾道ミサイル「スカッド」による攻撃を最近拡大して
いると述べた。
スカッド投入の加速は崩壊に近付くアサド政権の絶望的なあがきの
表れとも語った。シリア政府軍によるスカッド投入は米政府当局者
が今月中旬に初めて明かしていた。
NATO高官によると、軍が撃ち込んだ同ミサイルに化学兵器が搭
載されている形跡はない。ミサイルは全てシリア内に着弾したが、
死傷者の有無は不明としている。
トルコ外務省当局者によると、一部のスカッドミサイルは20日未
明、首都ダマスカスから北部の主要都市アレッポの方向に発射され
た。同市周辺と対トルコ国境周辺のシリア領内に計4発着弾したと
している。
NATO高官はCNNに、シリア軍はこれまで約6発のスカッドB
型ミサイルを北部地域に発射し、うち1発はトルコとの国境から約
32キロ離れた地点に落ちたと説明した。標的は反体制派の弾薬保
管庫となっている。
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化学兵器1〜2カ所で管理 シリア問題で露外相
2012.12.22 21:49
 ロシアのラブロフ外相は22日、シリアのアサド政権は化学兵器
を1〜2カ所に集めて管理していると述べ、国際社会はアサド大統
領の退陣よりも化学兵器を使用させないことを優先すべきだと述べ
た。タス通信が伝えた。

 オバマ米政権は、反体制派に追い詰められつつあるアサド政権側
が化学兵器使用を検討している可能性が高いとして深刻な懸念を表
明している。

 外相は、ロシアはアサド大統領の亡命を受け入れる考えはないと
あらためて強調。国連とアラブ連盟合同のシリア特別代表ブラヒミ
氏が今月中にモスクワを訪問する可能性があると述べた。(共同)
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「シリアの民主的体制に期待」露大統領
2012.12.22 01:16産経
 【ベルリン=宮下日出男】ロシアのプーチン大統領は21日、内
戦が続くシリア情勢について、「われわれはシリア国内の秩序を求
める努力をし、民主的な体制を期待する」と述べた。アサド政権崩
壊も念頭に、民主的体制への移行を支持する考えを示唆した可能性
がある。

 ブリュッセルで欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領らとの
首脳会談後の記者会見で語った。

 プーチン大統領は、民主的体制は「国民の意思表明」に基づくべ
きものとの認識を示した上で、内戦の解決に向けた交渉では「すべ
ての市民」の意思が尊重されるべきだとも語った。また、「暴力と
流血を止めることに誰もが関心をもっている」と指摘した。

 ロシアは国連安全保障理事会で欧米が提案したシリア決議案に3
度も拒否権を行使するなどアサド政権寄りの姿勢を鮮明にしていた。
これまで擁護してきたアサド政権についてプーチン大統領は、「わ
れわれは現シリア政府の擁護者ではない」と強調した。
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トルコにパトリオット部隊=対シリアで400人派遣−米
 【ワシントン時事】パネッタ米国防長官は14日、訪問先のトル
コで、地対空誘導弾パトリオットと運用に当たる兵員約400人を
トルコに派遣する命令を発したと明らかにした。トルコでは、国境
を接する内戦下のシリアから迫撃砲弾が飛来する事態が頻発。パト
リオットは、シリアからの越境攻撃に備える。
 北大西洋条約機構(NATO)は4日、パトリオットのトルコ配
備を決定。米国の動きは、これを受けた措置だ。米軍は今後、パト
リオット部隊2部隊を数週間かけて展開する。ドイツとオランダも
、パトリオット部隊をトルコに送ることを決めている。
(2012/12/15-00:47)
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アサド政権「時間の問題」…NATO事務総長
 【ブリュッセル=工藤武人】北大西洋条約機構(NATO)のラ
スムセン事務総長は13日、内戦状態にあるシリア情勢に関し、ア
サド政権の「崩壊が近づいている。崩壊は時間の問題だ」との認識
を示した。
(2012年12月14日11時30分  読売新聞)
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アサド政権、統制失っている…露外務次官が認識
 【モスクワ=寺口亮一】タス通信によると、ロシアのボグダノフ
外務次官は13日、内戦状態にあるシリア情勢について「アサド政
権は国土に対する統制をますます失っている」と述べ、アサド大統
領派が反体制派に敗れる可能性があるとの認識を示した。
 
 アサド政権を擁護してきたロシア政府が、支配地域を拡大する反
体制派の攻勢を前に危機感を強めていることが明らかになった。

 同次官は「(シリアにいる)ロシア国民の退避が必要となる事態
に備え対応を検討している」とも述べた。
(2012年12月13日23時04分  読売新聞)
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露、政権崩壊後へ“予防線”か 反体制派勝利に言及
2012.12.13 23:35sankei
 【モスクワ=遠藤良介】ロシアのボグダノフ外務次官は13日、
シリアの内戦について「反体制派の勝利も排除できない。残念なが
ら、事実を直視せねばならない」と述べた。露主要メディアが有識
者会合での発言として伝えた。アサド政権寄りの姿勢をとってきた
ロシア政府の高官が同政権敗北の可能性に言及したのは初めて。

 シリアを中東の“橋頭堡(きょうとうほ)”とみなすロシアが最
近の反体制派の攻勢を受け、アサド政権崩壊後への予防線を張り始
めたとみられる。ただ、政権側と反体制派の双方に停戦と対話を促
すという従来の基本的立場を変えたわけではない。

 ボグダノフ氏は「反体制派は2年間の内戦でシリア領の6割を支
配下に入れたというが、戦闘はさらに激化し、何万人、あるいは何
十万人を失うかもしれない」と発言。「(アサド)大統領打倒のた
めにそんな代償を払うのは容認できない」と述べ、反体制派の支援
によって事態の打開を目指す欧米諸国などを暗に批判した。

 シリアは中東地域で最大のロシア製武器購入国でもある。
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シリア軍がスカッドミサイル使用、反体制派との内戦で=米高官
2012年 12月 13日 13:39 JST 
[ワシントン/ブリュッセル/マラケシュ(モロッコ) 12日 
ロイター] 米政府高官は12日、シリア軍が反体制派への攻撃に
スカッドミサイルを使用したと明らかにした。政権維持を図るアサ
ド政権が攻撃をエスカレートさせているとみられる。

シリア軍のスカッドミサイル使用については、米高官のほか、北大
西洋条約機構(NATO)の当局者も、各国による偵察活動などの
結果、複数のスカッド型短距離弾道ミサイルが今週、シリア国内で
発射されたことが分かったと明かした。
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シリア:「反体制派は正統代表」 支援国が承認
毎日新聞 2012年12月13日 東京朝刊
 【エルサレム花岡洋二】内戦状態のシリアの反体制派を支援する
欧米や湾岸諸国、日本など有志国による第4回「シリアの友人」会
合が12日、モロッコ中部マラケシュで開かれた。中・露を除く
130以上の国・機関が参加し、反体制派の統一機構「シリア国民
連合」をアサド政権に代わる「唯一の正統な代表」と承認した。反
体制派が求める武器供与については慎重な姿勢を貫き、外交・政治
的な支持の確認にとどまった。ロイター通信が報じた。

 「国民連合」が11月中旬に発足して以降、初の会合。英・仏や
トルコ、湾岸協力会議(カタールなど6カ国、GCC)が既に、「
国民連合」を「唯一の正統な代表」と承認している。オバマ米大統
領は11日、米メディアのインタビューで「(国民連合を)アサド
政権に反対する国民の正統な代表と決めた」と発表。会合で、欧米
の足並みはそろった。
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シリア北部の政府軍基地制圧 イスラム武装勢力
 【カイロ共同】フランス公共ラジオによると、シリア北部の中心
都市アレッポ西方にあるシリア軍のシェイフ・スレイマン基地が
10日、反アサド政権のイスラム過激派「ヌスラ戦線」が率いる武
装勢力により制圧された。シリア人権監視団(英国)の情報として
いる。

 これにより、アサド政権はアレッポから西方のトルコ国境にかけ
ての地域で主な軍基地をすべて失ったことになるという。反体制派
は北部での支配を一層拡大した。

 国際テロ組織アルカイダとの関連が指摘されるヌスラ戦線はシリ
ア人と外国人の混成部隊。湾岸諸国や欧米が支持する反体制武装勢
力の傘下に入らずに独自に行動している。
2012/12/11 08:26   【共同通信】
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シリア大統領亡命検討も=エクアドル
 【サンパウロAFP=時事】内部告発サイト「ウィキリークス」
創始者アサンジ容疑者の亡命を受け入れた南米エクアドルのコレア
大統領は、10日付のブラジル紙フォリャ・ジ・サンパウロとのイ
ンタビューで、アサド・シリア大統領の亡命受け入れも検討する用
意があることを認めた。コレア大統領は「人権尊重という観点から
、亡命申請者は誰であれ検討するのは当然だ」と述べた。
(2012/12/11-01:51)
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「首都空港は戦闘地帯」=シリア反体制派
 【カイロ時事】内戦状態にあるシリアの反体制武装勢力は7日、
首都ダマスカス郊外にある国際空港は戦闘地帯になったとし、空港
の利用には危険が伴うと市民に警告した。
 反体制武装勢力の指揮命令を担うダマスカス軍事評議会のスポー
クスマンは「空港を包囲している反体制勢力は空港が正当な標的で
あると決定した」と言明。「空港に近づく民間人は危険を承知して
行動する必要がある」と呼び掛けた。(2012/12/07-22:30)
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シリア高官、キューバなど3カ国訪問か アサド氏「亡命」で
2012.12.06 Thu posted at 19:25 JST
(CNN) 事態打開の出口が依然見えないシリア内戦で、イスラエ
ル紙ハーレツは5日、シリア外務省高官が最近、アサド大統領の親
書を持ってキューバやベネズエラ、エクアドルを訪問、大統領や家
族がシリア出国を迫られた場合、政治亡命を受け入れるかどうかの
可能性を探ったと報じた。
キューバとベネズエラは反米路線を進め、左派政権のエクアドルも
米国に対抗する政策を打ち出している。仮にアサド氏がエクアドル
に亡命した場合、同国政府は訴追のため身柄を外国に送還すること
に抵抗するともみられる。エクアドルの駐英大使館は現在、亡命を
求めた内部告発サイト「ウィキリークス」代表のジュリアン・アサ
ンジュ容疑者を保護し、スウェーデンへの送還を拒否している。
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シリア軍、サリン装填を完了か 米TV報道 アサド大統領の命令待機
産経新聞2012年12月06日10時58分
 【ワシントン=犬塚陽介】米NBCテレビ(電子版)は5日、米
政府当局者の話として、シリア軍が猛毒のサリンとなる複数の化学
物質の砲弾装填(そうてん)を終えており、アサド大統領の命令を
待っている段階だと報じた。
 政府当局者は、軍用機による空爆でサリンが散布される可能性が
高いと分析。まだ砲弾は軍用機に取り付けられていないが、アサド
大統領が命令を出せば「国際社会ができることは少ない」と指摘し
た。
 現地からの報道によると、シリア外務省高官は3日、化学兵器を
「自国民に使用することは決してない」と主張。しかし、米政府高
官はシリア政府が今週に入り、化学兵器の準備を整えるよう軍に命
令したとしている。
 クリントン国務長官は5日、滞在先のブリュッセルで、化学兵器
の使用は「レッドライン(越えてはならない一線)だ」と警告。オ
バマ大統領も「悲劇的な過ちを犯せば重大な結果を招き、責任を問
われることになる」と述べ、軍事行動の可能性も示唆している。
 一方、国務省は5日、クリントン国務長官が11日からモロッコ
などを訪問し、反体制派を支持する有志国の「シリアの友人」会合
に出席すると発表した。
 米メディアによると、クリントン長官が会合で、反体制派が結成
した統一組織「シリア国民連合」を「唯一の正統な代表」として正
式承認する可能性が高いという。


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