4555.政権交代で外交はどうなるか?



安倍自民党は、政権奪還した途端に、その極端な国家主義的な公約
を反古にしている。それではどういう外交を行うのか?

0.経緯
中国国家海洋局は12月13日、海洋監視船4隻と航空機1機が「釣魚
島(尖閣諸島の中国名)の領空」で共同パトロールを実施したと発
表した。即座に日本は遺憾の声明を出したが、米政府も中国政府に
対し直接、「懸念」を表明した上で、尖閣諸島が日米安全保障条約
の適用対象であることを伝えた。

しかし、自衛隊トップの岩崎茂統合幕僚長は、中国の航空機が領空
侵犯したとき、自衛隊のレーダーで捕捉できず、戦闘機を緊急発進
させたものの確認できなかったとした。これは大きな問題である。

楊潔〓(ようけつち)外相は12月14日付の「人民日報」で、中国名
・釣魚島を巡る問題で日本と断固争う考えを表明。安倍自民党総裁
が述べている対中強硬論をけん制した。また、習近平体制の発足か
ら約1カ月。中国は領海問題でより強硬な姿勢を示すようになった
ことも関係している。

このため、12月16日の衆議院選挙で自公大勝325を獲得して、英
国メディアは中国メディアが安倍氏を「主戦論者」と呼んでいると
した上で、平和主義の憲法の改正などを公約した安倍氏の選挙勝利
が「アジア諸国を不安にしている」と報じた。

米国の本音としては、米国は自らが解決しなければならない問題を
多く抱えているので、日中間の紛争に巻き込まれたくない。日中両
国は、米国にとって最も重要な貿易相手国であるので、領土紛争も
自然と解決してほしいと願っている。

このため、日本は、行動と言葉において、時に、慎重でなければな
らない。安倍さんが行なったような中国の火に油を注ぐようなこと
は慎むべきであると米国政権は思っていたが、それを安倍さんは無
視した。日米関係は相当におかしくなると見えた。

1.米国の対応
しかし、自民党の安倍晋三総裁とオバマ米大統領は、12月18日午前
電話で会談した。安倍さんは「日米関係の機微を実感として理解し
ているはずだ」(元政府高官)という期待もある。安倍氏は来年1
月末にも訪米する意向で、米側も早期に日米首脳会談を行う方向で
調整している。右的な人が右を抑えることができるということのよ
うである。

安倍さんも「信頼ある日米同盟関係を取り戻すことが第一歩だ」と
述べている。このため、米国の機微がわかるはずである。

これを受けて、米上院は12月21日の本会議で、沖縄県の尖閣諸島が
、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象
であることを確認する条項を盛り込んだ国防権限法案を可決した。
また、米国防総省高官は12月19日、日米防衛協力の指針(ガイドラ
イン)の改定を視野に入れた自衛隊と米軍の協力のあり方に関する
協議が日本での政権交代後も継続されることに期待をした。

安倍さんはまた、日米関係を深める用語として、民主党政権が使っ
た「日米同盟深化」から「日米同盟強化」へと言葉を変える意向で
ある。

同盟強化のため、集団的自衛権の行使容認を主張してきた。衆院選
で勝利した後も「権利はあるが行使はできない」とする政府の憲法
解釈について「変更すべきだ」とした。

2.中国の対応
中国共産党機関紙・人民日報は12月17日、安倍次期首相に対し、靖
国神社を参拝せず、尖閣諸島の公務員常駐や自衛隊を「国防軍」と
位置づける憲法改正は行わないよう求めた。

これに対して、安倍さんは「尖閣は日本の固有の領土。この点につ
いては交渉の余地はない」と強調しながらも、「日中関係は日本に
とって最も重要な二国間関係のひとつ。粘り強く中国との対話は続
けながら、良好な関係に改善をしていく努力をしていきたい」と明
言した。中国とも外交交渉を重ねるとした。

また16日にも尖閣問題が経済など日中関係全体に悪影響を及ぼさな
いようにすべきだとした。また、尖閣諸島への公務員常駐を当面見
送るとした。

日本の経済界も「安部氏と習近平総書記の新体制で事態が打開され
ることを望む」(日本経団連幹部)と熱い視線を送っている。

このような動きを受けて、新華社通信は12月19日、沖縄県・尖閣諸
島をめぐる問題について「まだ袋小路には入っておらず、中国は対
話のチャンネルを閉ざしてはいない」とした。

このように「中国は日本と敵対した場合のリスクや米国とも敵対し
た場合の潜在的リスクを理解しており、日中間の緊張がさらに高ま
る可能性は低いとみている。しかし、中国は監視船の数を増やてい
るので、その対応が必要になる。

3.韓国の対応
韓国関係にも配慮して、安倍次期首相は、竹島を日本に編入した日
にあたる来年2月22日に政府主催の式典を開くのは見送る方針を
固めた。

朴槿恵(パク・クネ)韓国次期大統領は12月20日、別所浩郎駐韓大
使と会談した。別所氏は野田佳彦首相や安倍晋三自民党総裁らの祝
意のメッセージを伝達し「今後も新しい指導者が日韓関係をさらに
強化させると信じている」と強調。朴氏は「日韓関係は重要だ。難
しい問題があるが、重要なので、さらに良い関係にする努力をして
いきたい」とした。

これを受けて、朴槿恵氏に、額賀福志郎元財務相を特使として派遣
する意向を示すなど、日韓関係の改善に取り組む姿勢を強調した。
安倍次期首相は、来年2月25日の韓国大統領就任式の際に訪韓し
、日韓首脳会談を行いたい意向である。

4.今回の組閣でどうするか?
安倍晋三総裁が重視する外交・安全保障分野の閣僚の名前が出てこ
ない。自民党は民主党政権を「外交ベタ、安全保障オンチ」(幹部
)と強く批判してきただけに、より慎重に人選を進めているようだ。

一方、民主党の党大会で次期代表を選出するが、それがリアリスト
になるか左の人になるか、それを自民党、維新の会、みんなの党が
じーと見ている。もし、ここで左旋回したら民主党は参議院選挙で
維新の会、みんなの党と統一会派化できずに議席を大幅に減らして
終わりである。国民はリベラルに疑問を持っている。

海江田さんが代表に出馬するというが、その推薦者はほどんど左の
人たちである。これでは民主党の再生はない。そろそろ民主党に見
切りを付ける時なのではないかと思う。国民が期待する党にはなれ
ない。

しかし、安倍自民党にも、中国の政治局員レベルの指導者とパイプ
を持つ人が現時点ではいない。中国の政治局員で外交関係者は皆無
であり、日本はそのため中国の指導者層との関係が構築できなかっ
たようである。民主党細野さんがそれでもいろいろな調整に走り、
関係を持っている。

同様に、現在の自民党には米国とのパイプも心もとない。自民党は
伝統的に共和党とのパイプがあるが民主党とのパイプは薄い。

このため、安倍政権での外交・防衛など米国や中国とのパイプが重
要な大臣を決められないことになっている。安全保障に絡むだけに
安倍政権だけの問題ではない。日本が危機的な状況で、適任者をそ
のポストに担わせないと、中国との紛争の可能性が増すことと、日
米関係の強化ができないことになる。

特に安倍総裁が選挙中に公約した国家主義的な政策は、米国がもっ
とも嫌っていることであり、マイケル・グリーンやアーミテージな
どの米国日本担当者が注意をしていた。それを安倍さんは無視して
いたので、良い印象を米国に与えていない。

日米関係を弱体化させかねないという危惧が安倍次期首相にはある。
安倍さんは日米安保を強固にして対中国外交を行うとしたが、その
基盤である日米安保体制が弱体化しかねない事態である。

民主党には長島さんがいて、米国の外問題評議会上級メンバとして
活躍し、日本に戻り民主党議員になり、野田政権で首相補佐官とし
て、日米関係を正常化させた。マイケル・グリーンとはお友達であ
り、アワーさんとは子弟関係にある。

自民党はこの長島議員を使うしかない。長島さんも左旋回した民主
党では安全保障問題は理想的なことを言うだけで現実的な問題はア
ンタチャブルになり、出番がないので、自民党に移籍するべきであ
る。

そして、将来の首相候補者には、外交・安全保障を勉強してもらえ
る政務次官か副大臣にして育成することである。私は小泉進次郎さ
んを防衛政務次官か副大臣にして、長島防衛大臣を補佐させるのが
良いと思うがどうであろうか?

さあ、どうなりますか?

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日米同盟「深化」から「強化」へ 安倍総裁が指示
2012.12.23 01:05 sankei[安倍晋三]
 自民党の安倍晋三総裁が新内閣の日米同盟政策のキーワードにつ
いて、民主党政権が掲げた「同盟深化」を取りやめ、「同盟強化」
を掲げる方針を決めたことが22日、分かった。一定の分野を掘り
下げる意味合いの強い「深化」に比べて、「強化」は協力範囲の拡
大を含むためで、民主党政権時代に傷ついた日米関係の立て直しを
図りたいとする安倍氏の意欲が反映されている。

 日米同盟のキーワードをめぐっては、「民主党が政権を握ってか
らそれまでの『深化・拡大』から『拡大』が削除された」(政府関
係者)。日米安保条約について「外交の要」としながらも、「東ア
ジア共同体」などを訴えた鳩山由紀夫元首相の意向を踏まえたもの
だ。

 鳩山氏が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で退陣
した後に誕生した菅政権からは「深化・拡大などの表現が復活した
」(同関係者)。野田佳彦首相も就任当初は「強化」を使っていた
ものの、途中からは自ら使用するのはやめた。

 民主党との違いを強調したい安倍氏は「深化」ではなく「強化」
に一本化することにしたという。

 同盟強化のため、安倍氏は集団的自衛権の行使容認を主張してき
た。衆院選で勝利した16日夜のテレビ番組でも「権利はあるが行
使はできない」とする政府の憲法解釈について「変更すべきだ」と
述べた。

 安倍氏は前回の首相時代、集団的自衛権の行使容認を検討する有
識者懇談会を設置。懇談会は平成20年6月、ミサイル迎撃などを
可能にするよう提案する報告書をとりまとめた。(杉本康士)
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閣僚人事 外務・防衛相人事が見えないのはなぜ?
2012.12.23 00:57 sankei[自民党]
 新政権発足に向けて、経済政策を担当する財務相や経済財政担当
相など経済関係閣僚が早々に内定する一方で、経済と並んで自民党
の安倍晋三総裁が重視する外交・安全保障分野の閣僚の名前が出て
こない。自民党は民主党政権を「外交ベタ、安全保障オンチ」(幹
部)と強く批判してきただけに、より慎重に人選を進めているよう
だ。

 「外相の人事というのは難しいものだ」。安倍氏は最近、周辺に
人事構想を問われると、こう漏らした。

 民主党政権の「外交敗北」を批判してきた安倍氏は日米同盟関係
を再構築したうえで、中国や韓国、ロシアなどとの関係を緊密化さ
せることを目指している。

 こうした難題に取り組む外相候補として安倍氏は当初、「安心し
て任せられるベテラン」(周辺)を想定していた。念頭にあったの
はともに外相経験のある麻生太郎元首相と高村正彦副総裁だった。

 だが、麻生氏は財務相として入閣することになり、高村氏も本人
の希望通り副総裁留任が決まった。ほかにも外相経験のある町村信
孝氏は病気療養中だ。

 外相、防衛相ポストは「政権の花形」ともいえるだけに人気も高
く他薦・自薦の声も多い。小泉純一郎元首相の時のように女性を外
相に起用することを勧める意見もあるが、安倍氏は「それだけの理
由で選ぶことはできない」と難色を示した。安倍氏は外交政策につ
いて意見交換した党幹部に「私とは少し違うスタンスの人でも検討
している」と語った。

 また、防衛相は今年に入り一川保夫、田中直紀両氏が参院で問責
決議を受けたこともあり退任、民間出身の森本敏氏で3人目となる。
安倍氏の前回の首相時代、閣僚が相次いで辞任に追い込まれ、支持
率低下につながった。安倍氏としても閣僚のなかでもとりわけ外相
と防衛相ポストで失敗したくないとの思いが強く、より熟慮してい
るという。

 安倍新政権の組閣は26日夕刻。安倍氏は連休中も人事構想をじ
っくり練ることになりそうだ。(佐々木美恵)
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米「尖閣安保適用」成立へ、上下院が法案可決
 【ワシントン=山口香子】米上院は21日の本会議で、沖縄県の
尖閣諸島が、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条
の適用対象であることを確認する条項を盛り込んだ、

 2013会計年度(12年10月〜13年9月)の国防権限法案
を可決した。下院は20日に同法案を可決しており、オバマ大統領
が署名して成立する。

 法案は、中国を念頭に、「第三者による一方的行動は、日本が尖
閣諸島の施政権を持っているという米国の認識にいかなる影響も与
えない」と明記。日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されるとの
米政府の立場についても、「(同)条約に基づく日本政府への責任
を再確認する」とした。

 さらに、尖閣諸島海域を含む東シナ海を「アジア太平洋すべての
国に利益をもたらす重要なシーレーン(海上交通路)」と位置づけ
、「領有権などを巡る争いの解決には、全当事者の自制が必要だ」
と指摘した。
(2012年12月22日15時02分  読売新聞)
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安倍総裁:特使派遣など 日韓関係改善に取り組む姿勢強調
毎日新聞 2012年12月21日 23時28分
 自民党の安倍晋三総裁は21日、韓国大統領選で当選した与党セ
ヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)氏に、額賀福志郎元財務相を特使と
して派遣する意向を示すなど、日韓関係の改善に取り組む姿勢を強
調した。安倍氏は首相就任後初の外遊先として米国を訪れた後、来
年2月25日の韓国大統領就任式の際に訪韓し、日韓首脳会談を行
いたい意向。一方で、訪中のメドはまったく立っておらず、安倍氏
の米韓重視路線が顕著になってきた。

 安倍氏は21日、東京都内で記者団に、日韓議員連盟の幹事長を
務める額賀氏を特使として派遣することを明らかにし、「朴氏に非
常に期待しており、日韓関係を改善させたい」と強調した。額賀氏
は、早期の首脳会談開催を呼び掛ける安倍氏の親書を朴氏に届ける。

 当初は、額賀氏が21日に訪韓することを目指したが、朴氏の都
合がつかず、来週中の訪問で再調整することになった。
【吉永康朗】
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レコードチャイナ:中国政府の対応鈍る、日中関係のさらなる悪化
回避の動き―米紙
2012年12月22日 7時40分
2012年12月20日、環球時報(電子版)によると、中国が海洋の監視
を行う船舶と航空機と派遣し続けていることについて、日本と米国
の専門家が分析を行った。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、日本の軍事研究家は
中国の監視活動は日本政府が尖閣諸島の「実効支配」を宣言したこ
とに対するもので、同諸島の実効支配をやめさせるための長期的戦
略の一部であるが、中国の対応は監視船、監視機の派遣を調整して
おり、さらなる関係悪化を回避するものになっていると指摘してい
る。

中国は日本と敵対した場合のリスクや米国とも敵対した場合の潜在
的リスクを理解しており、日中間の緊張がさらに高まる可能性は低
いとみられているが、日本にとって最大のリスクは中国の監視船団
の増強にあるとも指摘されている。中国は2014−2015年に1000トン
クラスの監視船を20隻増やす計画だという。

なお、米国の専門家からも、新たに首相となる安倍晋三氏が「タカ
派」であることから中国の尖閣諸島周辺海域に対する監視船、監視
機の派遣は意図をもって行われていると指摘されている。
(翻訳・編集/岡田)
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「難しいが日韓関係重要」=日本大使と会談−朴氏
 【ソウル時事】韓国大統領選で勝利した与党セヌリ党の朴槿恵次
期大統領は20日、別所浩郎駐韓大使と会談した。セヌリ党などに
よると、別所氏は野田佳彦首相や安倍晋三自民党総裁らの祝意のメ
ッセージを伝達し「今後も新しい指導者が日韓関係をさらに強化さ
せると信じている」と強調。朴氏は「日韓関係は重要だ。難しい問
題があるが、重要なので、さらに良い関係にする努力をしていきた
い」と述べた。
 朴氏は20日午前の国民向け談話では「正しい歴史認識」に言及
していたが、会談ではこうした発言はなかったという。 
 この日は、米中ロの駐韓大使とも会談し、早くも外交に意欲的な
姿勢を見せた。ソン・キム米大使に対しては「オバマ大統領とクリ
ントン国務長官に近いうちに会い、米韓間の緊密な未来関係につい
て話を交わせる機会があることを願っている」と伝えた。
 中国の張※(※=森の木3つを金に)森大使との会談では、中国
通の朴氏に対し、張氏が「韓国の有名な政治家であると同時に中国
人民の長年の友人だ」と述べると、朴氏は「中国の指導者の皆さん
とも厚い友好関係を結び、友人が多いことをうれしく思う」と語っ
た。
 また、同日夜、ドイツのメルケル首相、潘基文国連事務総長から
相次いでお祝いの電話を受けた。メルケル首相は「初のドイツの女
性首相として、女性同士、心からお祝いしたい」と述べた。
(2012/12/20-23:45)
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竹島の日、政府式典見送り 安倍氏方針
2012年12月21日4時34分
 自民党の安倍晋三総裁は、竹島を日本に編入した日にあたる来年
2月22日に政府主催の式典を開くのは見送る方針を固めた。自民
党の衆院選の政策集では政府主催の式典実施を明記していたが、竹
島問題で悪化した日韓関係の修復を重視し、首相就任早々に開催す
る必要はないと判断した。
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日米防衛協議:政権交代後も継続をー米国防総省高官ー
毎日新聞 2012年12月20日 東京夕刊
 【ワシントン古本陽荘】米国防総省高官は19日記者会見し、日
米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定を視野に入れた自衛隊と
米軍の協力のあり方に関する協議が日本での政権交代後も継続され
ることに期待を示した。

 日米両政府は防衛協力に関し任務、役割、能力の分担を協議中で
最終的には97年策定の現行ガイドラインの改定を想定している。

 「過去数カ月間、積み重ねてきた議論の勢いが保たれることを希
望する」と述べ、政権交代後の速やかな協議継続が望ましいとの考
えを示した。
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尖閣「袋小路ではない」新華社が対話前向き論評
 【北京=五十嵐文】中国国営新華社通信は19日、沖縄県・尖閣
諸島をめぐる問題について「まだ袋小路には入っておらず、中国は
対話のチャンネルを閉ざしてはいない」とする論評を配信した。

 中国の習近平(シージンピン)指導部として、自民党の安倍総裁が
発足させる新政権との対話に、条件付きながら前向きに応じる方針
を示したものだ。

 論評は「日本が政権交代の機会を利用し、釣魚島(尖閣諸島の中
国名)問題での誤った立場を変えるなら、日中関係は挽回の希望が
ある」と指摘。また、「日中両国の歴史には争いを棚上げした先例
もある」と主張し、尖閣諸島の領有権をめぐる対立の「棚上げ」を
提案した。尖閣問題に加え、靖国神社参拝や憲法改正を自重するこ
とも求めた。
(2012年12月19日22時18分  読売新聞)
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レコードチャイナ:安倍総裁「中国は日本にとって最も重要な二国
間関係のひとつ」と明言―日中関係打開へ両国で期待高まる
2012年12月18日 8時45分
2012年12月17日、次期首相に就くことが確実な安部晋三自民党総裁
に対する期待が日中両国で高まっている。同総裁は衆院選勝利後の
記者会見で、「尖閣は日本の固有の領土。この点については交渉の
余地はない」と強調しながらも、「日中関係は日本にとって最も重
要な二国間関係のひとつ。粘り強く中国との対話は続けながら、良
好な関係に改善をしていく努力をしていきたい」と明言した。

さらに、2006年の第1次安倍内閣と同様、政治的な問題を事実上棚上
げして経済分野の共通利益を発展させる「戦略的互恵関係」を志向
する考えを表明した。安部氏は16日にも尖閣問題が経済など日中関
係全体に悪影響を及ぼさないようにすべきだとの考えを示している。 

対中ビジネスの悪化に直面している日本の経済界も「安部氏と習近
平総書記の新体制で事態が打開されることを望む」(日本経団連幹
部)と熱い視線を送っている。

安部氏は、前回首相時代に前の小泉純一郎首相時代に冷え込んだ日
中関係を改善した実績がある。(取材・編集/HY)
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安倍、オバマ氏が来月会談=電話で合意
 自民党の安倍晋三総裁とオバマ米大統領が18日午前、電話で会
談した。26日召集予定の特別国会で安倍氏が首相指名されるのを
受け、来年1月に安倍氏が訪米して日米首脳会談を行うことで合意
した。
 日本外交について、安倍氏は先に「信頼ある日米同盟関係を取り
戻すことが第一歩だ」として、首相就任後の最初の外遊先を米国と
する考えを示していた。(2012/12/18-09:54)
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「機微を理解」米、安倍政権に関係安定を期待
 【ワシントン=中島健太郎】米国のオバマ政権は、民主党政権で
ぎくしゃくした日米関係が、安倍新政権で安定することを期待して
いる。

 オバマ大統領は16日に発表した声明で「日米同盟はアジア太平
洋地域の平和と繁栄の礎だ」として、同盟強化を呼びかけた。

 米側には、戦後最良の日米関係を築いたとされる小泉政権で要職
を務め、後継首相となった安倍氏は「日米関係の機微を実感として
理解しているはずだ」(元政府高官)という期待がある。安倍氏は
来年1月末にも訪米する意向で、米側も早期に日米首脳会談を行う
方向で調整している。

 今後の日米関係では引き続き、在沖縄海兵隊の再編問題が焦点だ
。地元が反対する普天間飛行場の移設については、自民党政権に推
進の妙案があるわけではなく、手詰まりが続く可能性が高い。沖縄
県の仲井真弘多知事は、引き続き普天間の県内移設を認めない姿勢
を明確にしている。
(2012年12月17日22時40分  読売新聞)
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憲法改正するな…人民日報が安倍氏に3つの指摘
読売新聞2012年12月18日07時08分
 【北京=五十嵐文】中国共産党機関紙・人民日報は17日、日本
の新首相が「靖国神社」「尖閣諸島」「憲法」の三つの問題に真剣
に取り組むべきだとする社説を掲載した。
 自民党の安倍総裁の名指しは避けているが、安倍氏に対し、靖国
神社を参拝せず、尖閣諸島の公務員常駐や自衛隊を「国防軍」と位
置づける憲法改正は行わないよう求める内容だ。
 社説では、安倍氏が衆院選で検討項目に掲げた「尖閣諸島への公
務員常駐」を念頭に、「尖閣の(実効)支配を強化する試みはうま
くいかない」と指摘。集団的自衛権の行使容認や憲法改正について
も、「平和憲法の放棄は日本の前途を危うくする」と反対した。社
説は、これらは中国があいまいにできない「原則」だと強調した。
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安倍総裁の外交姿勢、東アジアの緊張高まる 英メディア
2012.12.17 16:12 sankei[安倍晋三]
 英国の主要メディアは、16日の衆院選で勝利した安倍晋三自民
党総裁の外交姿勢に注目。首相就任の見通しとなったことで、東ア
ジア地域の緊張が高まっていると分析した。

 インディペンデント紙は中国メディアが安倍氏を「主戦論者」と
呼んでいるとした上で、平和主義の憲法の改正などを公約した安倍
氏の選挙勝利が「アジア諸国を不安にしている」と報じた。(共同)
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自公大勝325、再可決可能に 民主57、維新54
2012年12月17日7時9分
 第46回衆院総選挙は16日投開票され、自民党が単独過半数(
241議席)を大幅に上回る議席を獲得し、3年3カ月ぶりに公明
党との連立で政権復帰を確実にした。両党は参院で否決された法案
を再可決できる3分の2(320議席)を確保。自民党の安倍晋三
総裁は来週前半の特別国会で第96代首相に選出される。
     ◇
 全議席数確定:自民294、民主57、維新54、公明31、み
んな18、未来9、共産8、社民2、大地1、国民1、無所属5
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尖閣に対する米国の本音
2012年12月17日(Mon)  岡崎研究所WEDGE
10月25日付ウェッブChristian Science Monitor紙で、Grant Newsham 
元駐日米国大使館員は、米国は、中国が領土紛争化させている尖閣
諸島問題で、明確に日本を支持するべきである、と述べています。

 すなわち、米国は、自らが解決しなければならない問題を多く抱
えているので、日中間の紛争に巻き込まれたくない。日中両国は、
米国にとって最も重要な貿易相手国であるので、領土紛争も自然と
解決してほしいと願っている。

 日中間の領土紛争は、 アジア地域、ひいては米国の安全保障を脅
かすまでエスカレートする可能性がある。米国が日中両国と良好な
関係を保ちたいと考えるのは当然であるが、時には、どちらかの側
に立たなければならない場合がある。曖昧政策は外交上有効なこと
もあるが、今回は違う。尖閣諸島問題では、米国は、民主主義の同
盟国である日本の側に立って、中国の嫌がらせ戦術に対抗すべきで
ある。アジア諸国は、米国の行動を注視している。

 日本には、韓国やロシアとも領土紛争がある。しかし、日本は、
武力の使用や武力による威嚇をしたこともないし、経済制裁を行な
って、自国領土を取り戻そうとしたこともない。一方、中国は、こ
の2年間、尖閣諸島周辺に監視船を派遣して、繰り返し嫌がらせを行
なってきた。中国国内では、反日暴動を扇動した。そして、日本に
対して、経済的脅しをかけてきた。中国政府要人やメディアは、日
本や日本人に関して、攻撃的発言や歪んだ報道をしている。相手を
悪魔のように仕立てる政策は、自国内の問題を覆い隠して外に目を
反らせようとする戦術であるが、これは、文明国がすることではな
い。

 過去60年間を振り返って、日本ほど責任感を持った国は、なかな
か無い。日本は、完璧な形ではないにしろ、度々、1930年代、40年
代の行動に対して謝罪をしてきたし、アジア諸国に対して、数十億
ドルの経済援助を提供した。それとは別に、アジア諸国に民間経済
投資を行ない、アジア経済の成長を促進した。今日の日本は、中国
が中国人に教えているような1930年代の日本とは違う。日本は、時
に厄介なこともあるが、米国にとって信頼のおける同盟国である。

 米国は、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲だと再確認した
。が、日本は、米国にとって、条約以上の国である。合意に基づい
た政府、法の支配、思想・表現の自由、公正な貿易、知的財産権の
保護など、米国と価値を共有する国である。

 米国一国で尖閣問題は解決できない。日中両国は、互いに話し合
わなければならない。同時に、日本は、尖閣に近い南西諸島に、適
切な軍隊を配置する必要がある。これにはリスクも伴うが、日本の
公的な存在がほぼ皆無に近い状態では、地域の不安定化を招き、更
に、日本には領土を守る関心や意思がないものと国際社会からは見
られてしまう。

 日本は、陸海空及び日米間の統合作戦能力を向上させなければな
らない。それに、防衛予算の増額は必須である。50億ドルから100億
ドル増額できれば、相当な効果がある。不必要な公共投資を削れば
、充分な財源はある。

 日本は、行動と言葉において、時に、慎重でなければならない。
一部の著名な政治家が行なったような中国の火に油を注ぐようなこ
とは慎むべきである。

 尖閣諸島問題が解決されるには、何十年かそれ以上かかるかもし
れない。しかし、米国は、辛抱強く、毅然とした態度を示さなけれ
ばならない。たとえ経済的コストがかかろうとも、法の支配、個人
の自由、合意に基づいた政府等、基本原則を曲げてはならない。尖
閣問題で譲歩することは、米国の原則を譲歩することに等しい。も
しそうなると、尖閣同様の問題は、アジアの至る所で起きてくるだ
ろう、と論じています。
    ◆         ◆          ◆
 上記論説の前半で、ニューシャムは、日本の態度の良いところを
挙げ、米国にとって価値を共有し信頼のおける同盟国であるので、
尖閣諸島問題でも、米国は日本の側に明確に立つべきである、と主
張しています。日本にとっては、非常に有難い論調です。

 他方、後半では、日本に対しても、中国を挑発するような言動を
慎むことを求め、防衛体制の強化と防衛予算の増額を要求していま
す。尖閣諸島問題は、日本及びアジア地域全体、ひいては米国の安
全保障にも関わる問題であり、その平和と安定を望めばこそ、当然
の要求であり、真摯に耳を傾けるべきでしょう。
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レコードチャイナ:<尖閣・南シナ海>対外強硬姿勢を鮮明にする
習近平、専門家がその狙いを分析―SP華字紙
2012年12月17日 8時10分
2012年12月15日、シンガポール華字紙・聯合早報は記事「膠着する
領海紛争、中国の対外姿勢は日増しに強硬に」を掲載した。

習近平(シー・ジンピン)体制の発足から約1カ月。中国は領海問題
でより強硬な姿勢を示すようになった。中国の新版パスポートには
南シナ海のほぼ全域を中国領海と示す地図が掲載されており、関係
各国の猛抗議を集めた。また南シナ海を管轄する海南省が船舶を臨
検、拿捕、駆逐する権利を定めた条例を制定したことも、中国の強
硬姿勢を代表するものとみられている。

中国のこうした行動はどのような政治的シグナルなのだろうか。中
国人民大学国際関係学院の金燦栄(ジン・ツァンロン)副院長は、
中国の新たなリーダーは確かに以前よりも断固とした姿勢を打ち出
していると認めた。しかし中国の目的は「争いは棚上げにして共同
開発」というトウ小平が提唱した状況に戻したいだけと主張。隣国
が挑発していることへの反応だと評している。(翻訳・編集/KT)
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沖縄・尖閣諸島:「日本と断固争う」 中国外相が表明
毎日新聞 2012年12月16日 東京朝刊

 【北京・工藤哲】中国メディアの報道や政府高官の発言で、対日
強硬姿勢の明示が相次いでいる。楊潔〓(ようけつち)外相は14
日付の共産党機関紙「人民日報」で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・
釣魚島)を巡る問題で日本と断固争う考えを表明。中国の国連代表
部は大陸棚拡張案を国連に提出した。中国機が行った初めての領空
侵犯も中国メディアは連日正当だと報じ、領空警備を強化する方針
も伝えた。日本の衆院選の結果次第で強まるとの予測がある対中強
硬論をけん制する狙いのようだ。

 人民日報が掲載した楊外相の外交方針論文は、悪化した日中関係
を「適切に処理する」としつつ「日本政府による釣魚島国有化など
の問題では断固闘争を行う」と述べた。
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米、尖閣領空侵犯で「懸念」 中国に直接伝達
 【ワシントン共同】中国の国家海洋局所属の航空機が沖縄県・尖
閣諸島上空の領空を侵犯したことについて、米政府は中国政府に対
し直接、「懸念」を表明した上で、尖閣諸島が日米安全保障条約の
適用対象であることを伝えた。米国務省のベントレル報道部長が
14日の記者会見で明らかにした。

 ヌランド報道官が13日の会見で、領空侵犯に対する「懸念」の
表明を避けたことで、日本側からは不満の声が出ていた。日本に配
慮し、中国を強くけん制するのが狙い。

 同省当局者は懸念表明が遅れたのは、事実関係の把握に時間がか
かったためだと釈明した。
2012/12/15 07:31   【共同通信】
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領空侵犯機 レーダーで捕捉できず
12月13日 17時54分NHK
尖閣諸島周辺で中国当局の航空機が領空侵犯したときの対応につい
て、自衛隊トップの岩崎茂統合幕僚長は、自衛隊のレーダーで捕捉
できず、戦闘機を緊急発進させたものの確認できなかったことを明
らかにしました。
航空自衛隊は、各地のレーダーサイトで日本周辺の空を常に監視し
、領空侵犯のおそれがある外国機に対しては戦闘機を緊急発進させ
るスクランブルを行っています。
今回について、岩崎統合幕僚長は、13日の会見で「自衛隊のレー
ダーでは捕捉できておらず、海上保安庁から防衛省に連絡があった
」と述べ、自衛隊のレーダーで捕捉できなかったことを明らかにし
ました。
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中国の尖閣対応、領空侵犯で新局面に 
自衛隊機出動を軍展開の口実に
2012/12/13 22:08日本経済新聞 電子版
 【北京=島田学】中国国家海洋局は13日、同局所属の海洋監視船
4隻と航空機1機が「釣魚島(尖閣諸島の中国名)の領空」で共同
パトロールを実施したと発表した。

 中国は尖閣諸島周辺で海洋監視船による領海侵犯を繰り返してき
たが、初めて政府航空機による領空侵犯に踏み切った。尖閣問題へ
の対応が新局面に入ったことを意味する。総選挙を控えた日本政府
を揺さぶるため強硬姿勢を一段と強めたとみられる。


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