4549.無制限金融緩和でどうなるか?



自民党中心の政権になることは確実であり、安倍さんが提唱する無
制限金融緩和が実施されることは確実である。この時、何が起こる
のかを検証する必要がある。

安倍さんは、建設国債を発行して需要を拡大するとも言っているの
で、国債の発行高は今より多くなる。公明党の山口代表も、景気対
策で同党が主張する10兆円規模の2012年度補正予算案の財源
として、国債の増発を容認するとした。このため、政府は国債新規
発行の上限を「44兆円」と定めており、12年度当初予算で既に
上限に達しているため、増発すれば上限を突破する。

その国債を日銀は、無限に買い取ることになる。安倍さんも「自民
党は3年前(の自公政権)とは次元の違う経済政策でデフレから脱
却し、円高を是正する」と述べているので、おそらく、円安株高に
なるはずで、国民の多くは共感している。

しかし、日本は全てがよくなることはない。何かを選んだら、何か
を失うことになる。円安になると輸出競争力が出て、サムソンやLG
の製品と同じ品質の製品を日本の電気メーカが製造できれば、輸出
競争力が向上するので、サムソン製の商品を駆逐できるが、そのよ
うな製品があるのであろうか?

シャープの人員整理で、多くの優秀な社員たちが退職している。こ
の人たちの多くがサムソンに雇われるとなると、製品開発力が落ち
、日本企業の競争力は回復できない可能性が高い。

競争に負けた衰退産業を基本的には復活できない。特にスキルを要
する製造業は特にそうである。

もう1つが、日本の国債の長期金利が上昇する。この上昇を止める
ために、日銀は長期国債を無限に買うしかなくなり、国債の切り下
げを防ぐことになる。益々円安になることを覚悟することである。

というように、無制限金融緩和で問題は解決しない。もちろん、円
安にすると今後、現時点優位な日本企業が韓国企業に負けることは
なくなる。しかし、すべての経済問題の解決にはならない。

エール大学・スティーブン・ローチ教授も、「日本は量的緩和につ
いて誰よりも先に学んでいるはずだが、この政策は循環的な景気回
復を引き起こさない」とし、安倍氏は「望みの物を手に入れるかも
しれないが、それが機能するということにはならない」と語ってい
る。

一方、円安になるということは、海外製品、石油、食料などは高く
なることである。日本の外需は15%程度で有り、殆どの需要は日
本の内需である。しかし、輸入しているのもは生活必需品が多く、
可処分所得が食料、エネルギーの高騰で減ることになる。よって、
それ以外の需要が減ることになる。これは、日本人は貧乏になるこ
とを意味する。

このため、対応策としては、日本が外から買っている食料やエネル
ギーの自給化を推進することが必要になる。ということは農業改革
、エネルギー改革が必要になる。

日本の国内林業、農業などの効率的な生産体制を確立することが求
められる。それと価格競争力がある工業製品を生み出すことである。

このように、日本復活には無制限金融緩和だけではなく、地道な経
済改革が必要であり、その起爆剤としての無制限金融緩和はあるが
、無制限金融緩和だけで経済成長ができると思うと大間違いである。

ネットウヨの評論家は、無制限金融緩和だけの簡単なことで、日本
が復活するという論理を好むが、そうならない。地道な改革しか日
本の経済は復活しないことを明確化しておきたい。

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安倍氏の無制限金融緩和、日本の景気回復させない−ローチ氏
  12月14日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は日本経
済の活性化のために無制限の金融緩和を呼びかけているが、これは
誤った手段だと元モルガン・スタンレー・アジア会長で現在はエー
ル大学で教えるスティーブン・ローチ氏が指摘した。

ローチ氏は14日ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、
「日本は量的緩和について誰よりも先に学んでいるはずだが、この
政策は循環的な景気回復を引き起こさない」とし、安倍氏は「望み
の物を手に入れるかもしれないが、それが機能するということには
ならない」と語った。

安倍氏はデフレ終息、景気てこ入れのために日銀に一段の行動を求
め、インフレ目標については2%と、現在の1%から引き上げるこ
とを提案している。
ローチ氏は「弱く、回復途上の経済は悪い状態への逆戻りに見舞わ
れがちだ」と述べた。
更新日時: 2012/12/14 19:34 JST
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原発・TPP議論深まらず=衆院選、かすむ争点【12衆院選】
 衆院選は15日に選挙戦最終日を迎え、12日間の論戦に幕を閉
じる。12党が乱立した今回の選挙戦は各党の批判合戦が過熱する
一方、主要な争点になるとみられていた原発や環太平洋連携協定(
TPP)をめぐる政策論議は深まらなかった。各党の見解の違いは
必ずしも明確になっておらず、争点はかすみがちだ。

 野田佳彦首相は14日、滋賀県近江八幡市で街頭演説し、自民党
の経済政策を「上っ面の楽天的な成長政策にだまされないでほしい
」と厳しく批判。自民党の安倍晋三総裁も名古屋市内の演説で「民
主党のめちゃくちゃなマニフェスト(政権公約)で政治への信用が
失われた」とやり返したが、両氏とも原発には一言も触れなかった。

 首相は当初、2030年代原発稼働ゼロをうたった民主党マニフ
ェストを踏まえ、「脱原発か続原発か」を争点にしたい考えだった。
日本未来、共産、みんな、社民各党なども「卒原発」や「脱原発」
を掲げ、論争を挑もうとした。

 しかし、安倍氏は「10年間でエネルギーのベストミックスを考
える」と繰り返すだけで、自ら原発に触れることは少なかった。日
本維新の会も「ナンセンス」(石原慎太郎代表)と、正面から取り
合わなかった。

 自民、維新両党とも党内の意見対立を背景に立場を明確にできな
かったため、争点化を避けようとしたとみられる。首相も選挙戦で
の劣勢が伝わると、演説は原発論争よりも自民党批判に費やした。
核燃料サイクルなどには議論が及ばなかった。
 一方、TPPをめぐる論争には、民主、自民両党とも消極的だっ
た。首相は14日、TPP参加を待望する自動車産業が盛んな愛知
県岡崎市では「国益を守りながら判断する」と触れたが、選挙戦を
通じて言及することは少なかった。両党とも交渉推進、反対両派を
抱え、議論に及び腰になったようだ。

 選挙戦ではむしろ、各党のアピール合戦が目立った。13日の民
放テレビ番組で北朝鮮ミサイルへの対応を問われた各党党首は、「
原発を狙われたらどうするのか」(嘉田由紀子日本未来の党代表)
、「憲法9条改正に危機感を持つ」(福島瑞穂社民党党首)などと
独自の主張を展開してかみ合わなかった。石原氏は「こんな議論が
(有権者に)何の参考になるのか」とぼやいた。
(2012/12/14-19:55)
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自民党:水面下で政権移行準備 衆院選勝利を見込み
毎日新聞 2012年12月14日 20時57分
 自民党が衆院選(16日投開票)の勝利を見込み、水面下で政権
移行の準備に入った。毎日新聞などの情勢調査では単独過半数に届
く勢いだが、公明党と連立を組んで政権運営を安定させ、民主党や
日本維新の会などから政策ごとに協力を得る部分(パーシャル)連
合も視野に入れる。年明けには安倍晋三総裁が訪米して日米同盟重
視の外交方針をアピールするとともに、大型の12年度補正予算案
を編成して経済優先の姿勢を示したい考えだ。

 「自民党は3年前(の自公政権)とは次元の違う経済政策でデフ
レから脱却し、円高を是正する」

 安倍氏は14日、名古屋市の街頭演説で、経済対策に最優先で取
り組む方針を強調した。自民党幹部は「来年夏の参院選までは経済
対策に特化し、憲法改正など『安倍カラー』は抑える」と語る。

 衆院選で自公が過半数に届かなければ、第三極政党などとの連携
を模索する必要が出てくるが、自公で300議席を上回る情勢とな
っており、両党は速やかに自公連立政権を発足させる方針だ。安倍
氏は公明党の山口那津男代表と17日に会談し、連立協議を行う予
定。衆院選後の特別国会は26日に開会し、同日中にも組閣する日
程で調整している。

 ただ、参院は両党だけでは過半数に届かないため、国会運営を安
定させるには他党との協力が必要になる。安倍氏は「政策ごとに理
念と政策が一致したところと一緒にやっていきたい」と話している
。山口氏も14日、埼玉県戸田市で記者団に「自公が合意形成の中
心軸として積極的役割を果たそうと思う。一貫して自公でという姿
勢を取っており、選挙が終わっても変わらない」と強調した。

 消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革では民主党と3党合
意を結んでおり、年金・医療制度などの改革へ向け民主党と協力す
ることを想定。金融政策などでは日本維新の会やみんなの党など第
三極との連携も視野に入れているようだ。

 安倍氏は新内閣の初閣議で、補正予算案の編成と、13年度予算
概算要求の仕切り直しを指示するとみられる。通常国会の召集は来
年1月末になりそうで、補正予算案は2月に成立。13年度予算案
の成立は5月の大型連休前後にずれ込む見通しで、40ー50日程
度の暫定予算編成が必要になる。参院選をにらみ、補正や13年度
予算案には防災と経済対策を兼ねた公共事業費を盛り込んで景気浮
揚を図る。
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国債発行「44兆円」突破容認=景気対策で大型補正−公明代表
 公明党の山口那津男代表は14日、景気対策で同党が主張する10
兆円規模の2012年度補正予算案の財源として、国債の増発を容
認する姿勢を示した。政府は国債新規発行の上限を「44兆円」と
定めており、12年度当初予算で既に上限に達しているため、増発
すれば上限を突破する。同代表は、大型補正の早期編成を訴える自
民党と足並みをそろえ、当面は財政規律の維持よりも景気対策を優
先する姿勢を鮮明にした形だ。
 山口代表は、衆院選の遊説で訪れた埼玉県戸田市で記者団に対し
、補正予算案編成について「足りないところがあれば、建設国債の
発行もやむを得ない」と述べた。
 山口代表は、国債増発の前提として、11年度一般会計の決算剰
余金や12年度東日本大震災復興特別会計の予備費などを財源に充
て、12年度予算の歳出項目を見直す必要性にも言及した。 
 補正に盛り込む施策では、9月に終了したエコカー補助金制度の
復活や中小企業の資金繰り支援、将来の経済成長につながるエネル
ギー・環境、医療分野への投資などを列挙した。(2012/12/14-21:10)
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12月中小製造業は4期連続悪化 景況感、非製造業も悪化
 日銀が14日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)に
よると、中小企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、製造業
が9月の前回調査と比べて4ポイント下落のマイナス18と4期連
続で悪化し、昨年6月調査(マイナス21)以来の低い水準となっ
た。非製造業は2ポイント下落のマイナス11で、6期ぶりに悪化
した。

 業種別では、鉄鋼が4期連続、自動車が3期連続でそれぞれ悪化
。小売も3期連続で悪化した。

 先行きは、製造業がマイナス26、非製造業がマイナス19とさ
らに悪化すると見込んでいる。

 中小企業全産業の2012年度設備投資計画は、前年度比6・2
%増となった。
2012/12/14 10:09   【共同通信】


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