4527.日中紛争で経済がおかしくなる



中国商務省は20日、10月の日本から中国への直接投資額(実行ベー
ス)が前年同月比32.4%減少し、4億5900万ドル(約370億円)だっ
たと発表した。9月単月は25%増だった。1〜10月の累計は前年同
期比10.9%増の60億8千万ドル(約4900億円)となり、1〜9月の
同17%増から伸び率が鈍化した。

このように、日本からの投資が大幅に減った。日本企業は中国リス
クを今回の領土問題紛争で、やっと意識したようだ。

これで困るのが中国である。このため、中国の国家外為管理局は、
対中海外直接投資(FDI)を促進するため、いくつかの規制を緩
和し、官僚主義を改めると発表した。FDIアカウントにおける外
為取引の手続きを簡素化するほか、投資申請の承認を迅速化すると
した。

それと、中国は日中韓3国による自由貿易協定(FTA)の交渉開
始宣言に踏み切った。反日デモなどの影響で対日経済関係をめぐる
環境が急激に悪化していることへの危機感の裏返しとみられ、「政
治と経済の切り離しを図った」(外交筋)形だ。

このようなことは、資本主義国では当たり前のことが中国ではでき
ていないことで、そうなる。今後も政経分離が行われる保証がない
ので、企業は中国の手に乗ってはいけない。

しかし、日本も経済的な損失が出ている。10月の貿易統計は貿易
収支が5490億円の赤字だった。赤字は4カ月連続。欧州連合(
EU)や中国への輸出が大幅に減り、赤字額は比較可能な統計が残
る1979年以降で、10月としては過去最大となった。

尖閣諸島問題で、日中両国の経済状況は悪化することが確かめられ
た。この結果からどうするのか、次期政権の対中政策が問題である。

中国との交渉には、政治局員以上のトップとのパイプが必要である
が、そのパイプは構築できなのであろうか?

さあ、どうなりますか?

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中国が対中海外直接投資促進に向け規制緩和、来月17日から
2012年 11月 21日 18:38 JST 
[北京 21日 ロイター] 中国の国家外為管理局 (SAFE)
は21日、国内への資金流入が減速する中、対中海外直接投資(F
DI)を促進するため、いくつかの規制を緩和し、官僚主義を改め
ると発表した。FDIアカウントにおける外為取引の手続きを簡素
化するほか、投資申請の承認を迅速化する。12月17日から適用
する。

また、外国人投資家が外為口座を開設したり、外為取引で得た利益
を再投資したりする際に認可を必要とする規制も撤廃。中国にある
外資企業が海外の親会社に融資を行うことも解禁する。

SAFEは、中国は基本的に直接投資アカウントにおける通貨の兌
換性を達成し、これはクロスボーダーの資金のやり取りや送金の大
半において厳格な規制がこれ以上必要なくなったことを意味するた
め、規制の変更が可能になった、と指摘した。
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4カ月連続の貿易赤字 5490億円、10月で最大

 財務省が21日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)
は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が5490億円の赤字だっ
た。赤字は4カ月連続。欧州連合(EU)や中国への輸出が大幅に
減り、赤字額は比較可能な統計が残る1979年以降で、10月と
しては過去最大となった。

 輸出は前年同月比6・5%減の5兆1500億円で、5カ月連続
のマイナス。自動車や鉄鋼の輸出が落ち込んだ。輸入は1・6%減
の5兆6990億円で、2カ月ぶりのマイナス。原油や非鉄金属の
輸入が減った。

 国・地域別の輸出額は、EU向けが20・1%減、中国向けが
11・6%減だった。米国向けは3・1%増えた。

2012/11/21 09:38   【共同通信】
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日本の対中投資32%減 10月、反日デモで急ブレーキ 
2012/11/20 11:21 (2012/11/20 12:08更新) nikkei
 【北京=森安健】中国商務省は20日、10月の日本から中国への直
接投資額(実行ベース)が前年同月比32.4%減少し、4億5900万ド
ル(約370億円)だったと発表した。9月単月は25%増だった。1〜
10月の累計は前年同期比10.9%増の60億8千万ドル(約4900億円)
となり、1〜9月の同17%増から伸び率が鈍化した。
 
 沖縄県・尖閣諸島を巡る日中対立は9月半ばに本格化し、反日デ
モや日系企業の襲撃などが相次いだ。日本企業が中国に生産拠点を
設ける動きにブレーキがかかっている様子がうかがえる。

 10月の日本を含む世界から中国への直接投資総額は前年同月比0.2
%減の83億1千万ドル。日本は落ち込んだものの、米国の大型案件
があった。世界的な景気先行きの不透明感や中国の人件費の上昇な
どが響き、5カ月連続で前年実績を下回った。1〜10月累計は前年
同期比3.5%減の917億4千万ドルだった。

 昨年3月の東日本大震災以降、部品などサプライチェーンの寸断
を受け、日本企業が中国に生産拠点を移す動きが活発になった。米
欧などの対中投資手控えが続く状況で、欧州債務危機の懸念が広が
った8月を除いて日本からは総じて高水準を維持していた。

 だが、9月半ば以降の大規模な反日デモや工場への放火に加え、
日本製品の不買運動も拡大。日本企業が東南アジアなどに投資先を
移す動きが加速しているようだ。
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対日経済環境悪化に危機感=FTA、尖閣と切り離し−中国
 【プノンペン時事】中国は沖縄県・尖閣諸島をめぐる日本との対
立が継続する中、日中韓3国による自由貿易協定(FTA)の交渉
開始宣言に踏み切った。反日デモなどの影響で対日経済関係をめぐ
る環境が急激に悪化していることへの危機感の裏返しとみられ、「
政治と経済の切り離しを図った」(外交筋)形だ。
 中国商務省の20日の発表によると、日本による今年1〜10月
の直接投資額(FDI)は前年同期比で10.9%増となったが、
伸び率は1〜9月の同17.0%に比べて大幅に鈍化。日本の対中
投資が急激に冷え込みつつある実態を反映した。
 先の中国共産党大会で発足したばかりの習近平国家副主席をトッ
プとする新指導部にとっては、社会の安定が優先課題。経済成長に
ブレーキがかかりかねない不安定な要素はできるだけ排除したいの
が本音だ。
 一方、カンボジアを訪問した中国の温家宝首相は東アジアサミッ
ト(EAS)などで同席しながらも、野田佳彦首相とあいさつさえ
交わさず、相変わらず冷ややかな態度に終始。日中、日中韓首脳会
談の開催も見送った。
 中国側は野田政権を相手にしない構えで、「(尖閣問題などでの
)日本の次期政権の出方をにらみながら、打開策を探る」(中国の
国際問題専門家)との見方も強い。日中韓FTA開始でその布石を
打った可能性もある。(2012/11/20-19:02)


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