4515.中国共産党第18回党大会で



中国共産党の胡錦濤総書記は、8日開幕した第18回党大会で行っ
た中央委員会報告で、「国家の主権、安全保障、発展の利益を守り
、外部のいかなる圧力にも決して屈しない」と強調、「海洋権益を
断固守り、海洋強国を建設する」との方針を打ち出した。

日本政府の尖閣諸島国有化や、東南アジア諸国連合(ASEAN)
諸国と対立する南シナ海問題などを念頭に、強硬姿勢を貫く姿勢を
示したものとみられる。中国周辺国への紛争継続・拡大の姿勢であ
る。

また、「経済建設は国家振興の要。発展こそ絶対的道理」と述べ、
あくなき経済成長を絶対視してみせた。2020年までに10年比
で国内総生産(GDP)規模を倍増させる目標は、10年に追い抜
いた日本に続き、米国をも逆転して「世界一の経済大国」の座が明
確に視野に入ったことを示す。

次世代指導部が、どこまで共産党幹部など既得権益層の抵抗を退け
、民間消費拡大のカギを握る大衆への「富の再配分」を実行できる
か。また、国有企業が中心の「国家資本主義」を民間経済中心に転
換させるかなど、矛盾もはらんでいる。

もう1つが、そして、胡氏が「この問がうまく解決できなければ、
党を致命的に傷つけ、ひいては党も国家も亡びてしまうことになる
」と、経済対策以上に懸念するのが、党内にはびこる腐敗体質だ。

中国の民衆が王朝を倒す易姓革命が、国民平等を理念とする共産党
政権で起こる可能性があり、また日本等との紛争で新しい技術を開
発する必要になるが、それができるのかという問題もある。

さあ、どうなりますか?
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海洋強国を建設する…胡総書記、日本けん制
 【北京=五十嵐文】中国共産党の胡錦濤フージンタオ総書記(国
家主席)は、8日開幕した第18回党大会で行った中央委員会報告
(政治報告)で、「国家の主権、安全保障、発展の利益を守り、外
部のいかなる圧力にも決して屈しない」と強調、「海洋権益を断固
守り、海洋強国を建設する」との方針を打ち出した。

 日本政府の尖閣諸島国有化や、東南アジア諸国連合(ASEAN
)諸国と対立する南シナ海問題などを念頭に、強硬姿勢を貫く姿勢
を示したものとみられる。
 
 胡氏は報告で、「2020年までに、人民解放軍の機械化、情報
化建設で重大な進展を遂げる」との目標を掲げ、特に「海洋、宇宙
、サイバー空間」の分野を重視すると強調。さらに、「公共・文化
外交を着実に推進し、海外における我が国の合法的利益を守る」と
も述べ、国際社会での宣伝を強化する方針も示した。
 
(2012年11月8日22時17分  読売新聞)
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GDP倍増計画、再び成長至上主義へ、「世界一の経済大国」視野
、政治報告で次世代指導部にシナリオ、所得格差是正や国有企業改
革に「既得権益」の矛盾も
2012.11.8 21:59 sankei[中国] 
 【北京=河崎真澄】中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)は8
日、第18回党大会の政治報告で「経済建設は国家振興の要。発展
こそ絶対的道理」と述べ、あくなき経済成長を絶対視してみせた。
成長至上主義だった江沢民前総書記の路線を修正し、「和諧(調和
)社会」にカジを切っていた胡氏が、習近平国家副主席ら次世代指
導部には成長路線への回帰を認めた形だ。経済失速による社会不安
の増大懸念が背景にあるが、党内権力闘争の結果、江氏らの意向が
色濃く反映されたともいえる。

 胡氏が打ち出した2020年までに10年比で国内総生産(GD
P)規模を倍増させる目標は、10年に追い抜いた日本に続き、米
国をも逆転して「世界一の経済大国」の座が明確に視野に入ったこ
とを示す。経済パワーを武器に国際社会への発言力を一段と強める
戦略で、米国債の保有などを通じて、米国の対中干渉を封じる狙い
もありそうだ。

 中国のGDP規模は胡錦濤体制がスタートした02年から11年
まで、ドル換算で5倍以上も膨らんだ。日米欧など外資企業が「世
界の工場」に投資し、輸出を増やした結果だが、胡氏はそれには触
れず、08年のリーマン・ショック後に中国がとった巨額の財政出
動によるV字回復を自賛した。

 ただ、今年のGDP成長率は13年ぶりに8%を割り込む見通し
。賃金高騰などで欧米企業が対中投資を減らし始め、製造業や輸出
は成長エンジンとしての力を弱めた。不良債権を積み重ねる公共投
資も限界だ。

 胡氏は政治報告で、「発展が不均衡で持続的でないことは依然と
して突出した問題だ」と述べ、自らが提唱した「科学的発展観」を
貫く姿勢を強調。その一方で「都市と農村の発展の格差は大きく、
低所得者の収入を増やす」などと所得格差問題にも踏み込んだ。

 いわば次世代指導部に成長至上主義への回帰は認めながらも、「
和諧」にも気を配るようクギを刺した形で、成長シナリオとして胡
氏は(1)消費による内需拡大とサービス業の発展(2)民業圧迫
が続く国有企業の改革(3)人民元国際化と資本市場の必要性−を
指摘した。

 しかし、江氏らも一定の影響力を保持する次世代指導部が、どこ
まで共産党幹部など既得権益層の抵抗を退け、民間消費拡大のカギ
を握る大衆への「富の再配分」を実行できるか。また、国有企業が
中心の「国家資本主義」を民間経済中心に転換させるかなど、矛盾
もはらんでいる。
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「党も国家も亡びてしまう」 先送りされる社会矛盾の解消
2012.11.8 18:28 sankei[中国] 
 【北京=川越一】胡錦濤総書記(国家主席)に代わり、新たに最
高指導者の座に就く習近平国家副主席は、権力と同時に、国内に蔓
延(まんえん)する社会矛盾の解消という大命題を引き継ぐことに
なる。

 胡氏は「和諧社会(調和社会)」を掲げ、貧富の格差是正や持続
的成長の実現に取り組む姿勢を示してきた。しかし、実際には格差
は拡大、環境破壊も進み、各地では住民による抗議活動が頻発して
いる。インターネットの普及に伴い、当局に批判的なネット世論を
指導部も無視できなくなっている。

 共産党の正当性を保ち、民意をつなぎとめるためには、国民に“
すり寄る”ことが一層必要になりそうだ。胡氏が、8日の政治報告
で2020年までに、国内総生産(GDP)とともに国民1人あた
りの収入を10年の2倍にするという“大風呂敷”を広げたのも、
国民の生活改善を重視する姿勢を印象づける狙いがうかがえる。

 そして、胡氏が「この問がうまく解決できなければ、党を致命的
に傷つけ、ひいては党も国家も亡びてしまうことになる」と、経済
対策以上に懸念するのが、党内にはびこる腐敗体質だ。

 胡氏は「いかなる者であろうと、その権力や地位の如何(いかん
)を問わず、党規・国法に違反すれば、容赦なく厳罰に処さなけれ
ばならない」と強調した。汚職などを理由に解任された薄煕来前重
慶市党委書記と劉志軍前鉄道相の党籍剥奪処分はその一例。公約実
践の姿勢を国民に示すために、さらに厳しい処分を科す可能性もあ
る。

 習氏を中心とする新指導部は、過去の失政が招いた難題に早速取
り組むことになる。ただ、その矛先が権力闘争を生き抜いた最高指
導部にまで向くとは思えず、そこに中国共産党の限界がみえる。


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