4512.中国次期政権の政策とその対応について



中国で民衆の不満が起こっていることと、周辺国への強硬な対応が
関係しているようにも感じる。それを見ていこう。津田より

0.はじめに
11月8日で、次期中国政治体制が確定する。もちろん、習近平が
総書記・国家主席になることは確定している。習近平政権の課題は
、共産主義国という国民の平等を国是とする国家で、易姓革命が起
きる可能性があることだ。そのくらい民衆の不満が高まっている。

このため、今後の方向を示すためか、第18回中国共産党大会を控
えてプレスセンターに、1980年代の改革派リーダーで、その後相次
ぎ失脚した胡耀邦、趙紫陽両元総書記(共に故人)が一緒に写った
写真が展示された。しかし、写真は3日までに撤去され、胡氏だけ
をクローズアップした写真に差し替えられた。

胡氏は2005年に生誕90年の記念式典が実施されるなど名誉回
復が進んでいるが、趙氏は名誉回復されておらず、2人の写真の展
示に「改革のシグナルではないか」との見方も出ていた。

トウ小平は当初民主化を擁護したが、総書記の胡耀邦、国務院総理
の趙紫陽に対し「自由化して党の指導が否定されたら建設などでき
ない」「少なくともあと20年は反自由化をやらねばならない」と釘
を刺し、1987年、政治体制改革で改革推進派の胡耀邦と対立し、胡
を失脚させる。続いて1989年6月には第二次天安門事件で、趙紫陽総
書記が学生運動に理解を示し、武力弾圧に反対したので彼も解任し
た。

しかし、胡耀邦を辞任させるとき、将来の指導者として胡耀邦の部
下で自由化に理解がある胡錦濤・温家宝を選出させて、20年後の自
由化を秘密裏に約束したという。恐らく、習近平もトウ小平が選ん
だように感じる。20年前から候補者に上がり、選択されたというこ
とは、トウ小平がその候補者リストを見ている。

1.自由化・民主化ができず
しかし、胡錦濤・温家宝の政権は、民主化・自由化ができずに、ト
ウ小平・江沢民路線を継続した。もちろん、温家宝は自由化を提唱
していたが具体的な行動をしなかった。しかし、その間に国民の格
差が拡大して、薄き来が出て国民平等の毛沢東に回帰する運動を重
慶で行う。毛沢東路線は庶民から絶大な支持を得ることになる。

そして、逆に今回の党大会で民主化を進めている汪洋は常務委員に
は選ばれないことが確実である。反自由化ということでトウ小平に
選ばれた江沢民は民主化に反対しているのだ。

この江沢民を胡錦涛・習近平は牽制できず、江沢民の影響を減じる
ために、江沢民派で戦争推進派の軍人を排除して、軍部の穏健派を
中心に中央軍事委員会委員にしたり、胡錦濤国家主席が提唱する指
導理念「科学的発展観」をトウ小平理論などと並ぶ行動指針に位置
づけようとしたりしている。この一環として、軍の最高機関、中央
軍事委員会の建物にあった江沢民前国家主席(前軍事委員会主席)
の執務室が閉鎖された。

反自由化路線は権力者にとって都合が良い。中国雲南省昆明市の中
級人民法院(地裁)は、インターネット上で「民主憲政」を推進し
たなどとして国家政権転覆扇動罪で曹海波氏(27)に懲役8年の
判決を言い渡した。党大会前で人権が大きく制限されている。

という状況になっている。習近平国家主席が行わなければならない
ことは、民主化しかない。しかし、この民主化に脅威を持っている
のは、現在の権力者たちである。その権限を奪われることになる。

このため、権力構造を維持するためには、対外的な敵を必要として
いる。それと江沢民が反日教育をしたので、その影響を受けて反日
的な政策は、国民の共感を得られることになる。

もう1つは、政治部門は諸外国との調和的関係の建設という志向を
強調しているが、軍の新世代は、「中国は要求があれば米国のよう
に強硬な態度をとる用意がある」と考えている。こうした考えを多
くの軍事アナリスト、現役および退役将校が抱懐している。彼らは
政治部門に対し一層軍事的な外交を求めるばかりでなく、軍隊とい
うものは外政方針の形成にも積極的に関与しなければならない、と
考えている。軍部をいかに穏健派にしても、この感覚は国民の共通
したものであり、今後の方向に影響する。

このため、国内的に、成果のアピールに躍起で、国家海洋局は10月
30日、海洋監視船4隻を尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入させた後
、ウェブサイトで「中国領海で不法な活動をしていた日本の船を領
海から駆逐した」とした。このように日本に強く当たっていること
で政府の正当性を確保するとともに軍部の要求を受け入れることに
なる。

また、中国メディアは日本の右傾化現象を軍国主義の復活として報
じて今にも戦争になるような論調を出している。反日的な政策を煽
っている。

また、ASEANと中国は、高級事務レベル非公式会合を開き、領
有権で対立する南シナ海問題などを協議したが、ASEAN側は、
同海域での活動を法的に拘束する行動規範の早期策定を求めている
が、進展はなかったというように対外的な強硬姿勢は、周辺諸国全
体に及んでいる。ルタワックがいうように中国には戦略がないよう
に見えるが、国内問題解決のために、対外的な強硬姿勢が重要なの
である。

このため、軍部を支持基盤としている習近平は最高指導者なれば、
間違いなく反日的な強硬な対日政策を打ち出すに違いない。

中国外務省の張志軍・筆頭次官も、尖閣諸島を巡って対立が続く日
中関係について、日本を含む一部外国メディアとの記者会見して、
「領土主権の問題で(中国が譲れない)最低線に挑戦するなら、我
々に退路はなく、強力に対応しなければならない」と述べ、さらな
る対抗措置を取ることを示唆した。というように更なる強硬手段が
出てくることが確実である。

ということは、中国に進出している日本企業は、なるべく早く撤退
をするべきである。または、中国企業に経営権を譲渡するべきであ
る。

習近平次期政権は、1つに経済改革の加速に加え、自由度を拡大し
、政治によるコントロールを緩和する。2つに毛沢東の「文革」路
線を歩まないこと。3つに対米協調を基軸とする。4つに対日強硬
である。が今の中国次期政権の政策のようである。

2.今後の中国への対応は
歴代米国務次官補のキャンベル、ヒル、ロード、ソロモン氏の4人
が対中政策について議論した。現役のキャンベル氏がまず「最も重
要な外交政策で、苦痛が伴う挑戦だ」と説明。ヒル氏は「6カ国協
議を通じて中国との協力の型を設けられた」との経験を語った。

 一方、ロード氏は、米中関係には「床と天井がある」と指摘。両
国間に領土問題がないことで絶対的な敵対関係に陥らないことが「
床」であり、両国の異なる価値観や政治システムが「天井」になる
と述べた。

 また、ソロモン氏は、オバマ政権のアジア太平洋重視政策を「中
国が地域の安定維持の努力とみなさない危険がある」と指摘。さら
に、アフガニスタンで不安定な状況が続き、イランの核開発など中
東にも問題を抱える中で、米国が資源をアジア地域にシフトできる
のかと疑問を呈した。と時事の記事にある。対中外交は米国にとっ
ても難しい。

もう1つが、日曜日の日経新聞に、アンドリュー・マーシャル氏の
話が乗っている。長年、国防省で超長期の戦略を担う相対評価局を
率いていた人物である。この人が描いている中国について、ルトワ
ック氏は、「中国内部がもろくなると、対外的に強硬になるので、
領土については譲る余地を見せてはならない。同時にこちらからは
一切、挑発もしない。日本が中国に対応する際、この2点が肝心だ
。」という。

しかし、この意見には、中国のプライドが傷つけられたことで生ま
れた日本への反感が反映されていない。日中戦争で中国国内を破壊
した日本への仕返しを彼らは意図している。この気持ちは習近平も
江沢民と同様に持っているし、反日教育で、若い人たちは持ってい
ることを考慮しないといけない。

米国でさえ、難しい中国外交を前面で受ける日本の苦悩は大変なこ
とになる。最終的には、中国の国内問題で第2次日中戦争になるこ
とが想定できるので、その準備をするしかない。しかし、日本の国
防費は潤沢ではない。このため、効率的に防衛できるかを考えるこ
とが必要になっている。

防衛で守るのは、生命・財産・文化以外に、エネルギー確保、食料
確保も忘れてはいけない。3つの防衛を心して、その効率的な防衛
を検討することである。日本人の力量を発揮することである。

そうしないと、日本人の滅亡になることを肝に命じるべきである。

さあ、どうなりますか?

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失脚した総書記の写真展示 党大会前、すぐに撤去
2012.11.3 20:04 [中国]
 8日に開幕する第18回中国共産党大会に向けて北京市内に設置
されたプレスセンターに、失脚した改革派の故胡耀邦、故趙紫陽両
元総書記が共に写った写真が展示された。2日付の香港紙、明報が
報じた。異例の展示として注目を集めたが、写真は3日までに撤去
され、胡氏だけをクローズアップした写真に差し替えられた。

 両氏は共に1980年代の学生による民主化要求デモなどがきっ
かけで失脚。胡氏は2005年に生誕90年の記念式典が実施され
るなど名誉回復が進んでいるが、趙氏は名誉回復されておらず、2
人の写真の展示に「改革のシグナルではないか」との見方も出てい
た。(共同)
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胡耀邦・趙紫陽氏の写真登場=党大会プレスセンター、異例の展示
−中国
 【北京時事】8日に開幕する第18回中国共産党大会を控えて北
京市内に開設されたプレスセンターに、1980年代の改革派リー
ダーで、その後相次ぎ失脚した胡耀邦、趙紫陽両元総書記(共に故
人)が一緒に写った写真が展示され、話題となっている。胡氏に関
しては再評価の動きが進んでいるが、89年6月の天安門事件の際
に失脚した趙氏はいまだ党内でタブー視されており、公の場に写真
が登場するのは異例。(2012/11/03-06:22)
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中国「日本船を駆逐」 尖閣、成果アピールに躍起 
2012/11/3 1:25日本経済新聞 電子版
 【北京=島田学】沖縄県・尖閣諸島の問題を巡る日中対立が膠着
していることを受け、中国政府は国内向けの成果のアピールに躍起
だ。国家海洋局は10月30日、海洋監視船4隻を尖閣諸島周辺の日本
の領海に侵入させた後、ウェブサイトで「中国領海で不法な活動を
していた日本の船を領海から駆逐した」と強調した。アピール攻勢
には日本に揺さぶりをかけ、出方を探る狙いもありそうだ。

 日本の海上保安庁は「駆逐された事実はない…
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中国、共同管理へ定期協議要求 尖閣で方針固める
 【北京共同】日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に反発し
ている中国政府が、尖閣をめぐり領有権争いが存在することを日本
側に認めさせた後、尖閣周辺海域の共同管理などを話し合う定期協
議を求めるとの対日外交方針を固めたことが2日、分かった。複数
の日中外交筋が明らかにした。

 一方、胡錦濤指導部は9月、日本に国有化を撤回させるため(1
)持久戦(2)外交戦(3)経済戦―を展開するという大方針も策
定。対日工作調整委員会を設置し、トップに次期最高指導者に内定
している習近平国家副主席を指名したという。

2012/11/02 17:38   【共同通信】
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レコードチャイナ:日本軍国主義が復活した!民間の対立まであお
る中国メディア―米華字メディア
2012年11月2日 20時4分
2012年11月1日、米華字ニュースサイト・多維新聞は記事「中国メデ
ィアが知らないこと、右傾化と軍国主義はイコールではない」を掲
載した。

日本国内の「反中」を取り上げるならば正確な分析は不可欠。だが
中国メディアは日本の右傾化現象を軍国主義の復活として報じ、日
本全体をおとしめて描き、日中の民間の対立をあおっている。

日本の右傾化傾向とは政治的に保守に転じ、排外主義、強硬な外交
政策が目立つことを意味する。一方、軍国主義は軍閥独裁、好戦的
、人権の弾圧、極端な排外主義の宣伝などを意味する。共通点はあ
るものの、同一視はできない。

日本問題の専門家である復旦大学の馮[王韋](フォン・ウェイ)教
授は、日本の軍国主義復活の潮流は決して主流ではないと指摘する。
歴史問題において日本が許すことのできない過ちを犯したのは事実
だが、民族感情で判断を誤ってはならないとコメントしている。
(翻訳・編集/KT)
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「対中政策は最大の挑戦」=歴代米次官補4人が議論
  【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補ら歴代の東アジア・
太平洋担当国務次官補4人が1日、ワシントン市内で、米国の今後
のアジア政策について講演した。4人はさまざまな中国観を示し合
いながらも、将来の対中政策が米国にとって「最大の挑戦」という
認識で一致した。
 講演にはキャンベル氏のほか、ヒル(在任2005年4月〜09
年4月)、ロード(同1993年4月〜97年2月)、ソロモン(
同89年6月〜92年7月)の3氏が出席した。
 対中政策について、現役のキャンベル氏がまず「最も重要な外交
政策で、苦痛が伴う挑戦だ」と説明。ヒル氏は「6カ国協議を通じ
て中国との協力の型を設けられた」との経験を語った。
 一方、ロード氏は、米中関係には「床と天井がある」と指摘。両
国間に領土問題がないことで絶対的な敵対関係に陥らないことが「
床」であり、両国の異なる価値観や政治システムが「天井」になる
と述べた。
 また、ソロモン氏は、オバマ政権のアジア太平洋重視政策を「中
国が地域の安定維持の努力とみなさない危険がある」と指摘。さら
に、アフガニスタンで不安定な状況が続き、イランの核開発など中
東にも問題を抱える中で、米国が資源をアジア地域にシフトできる
のかと疑問を呈した。(2012/11/02-15:52)
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レコードチャイナ:<中華ボイス>中国の政治体制は世界の悩み、
改革が最大の責任―経済学者
2012年11月2日 5時2分
中国は目覚ましい経済発展で世界の大国へと突き進んでいる。しか
し経済の急速な発展に対し、政治体制はそれほど改善されていない
。今でも言論や表現の自由はなく、ネットで主張すればすぐに削除
され、大々的に主張すれば刑務所に入る可能性すらある。

2012年10月30日、中国の経済学者である張維迎(ジャン・ウェイイ
ン)氏は中国の政治体制について、「中国が世界に対する最大の責
任は自国の政治体制を改革することだ。そして中国国民に自由を与
え、民主を確立し、法治を広めなければならない。これらの問題は
世界の人々にとっても大きな悩みのタネであるため、中国は問題を
解決する必要がある」と苦言を呈した。(翻訳・編集/内山)
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ネットで民主推進、懲役8年=中国
 【北京時事】中国雲南省昆明市の中級人民法院(地裁)は10月
31日、「振華会」という名のサイトを立ち上げ、インターネット
上で「民主憲政」を推進したなどとして国家政権転覆扇動罪で起訴
されていた曹海波氏(27)に懲役8年の判決を言い渡した。人権
サイト「維権網」が1日伝えた。
 曹氏は昨年10月に拘束され、同11月に逮捕。今年5月に初公
判が開かれたが、妻の傍聴は認められず、今回の判決公判も家族や
弁護士の知らない間に突然行われたという。
 中国当局としては共産党大会を前に、民主活動家に断固とした姿
勢を示し、引き締めを強める狙いがありそうだ。(2012/11/02-00:18)
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中国7中全会:「胡錦濤理論」扱い焦点に
毎日新聞 2012年11月01日 21時21分
 【北京・成沢健一】北京で1日から始まった中国共産党の第17
期中央委員会第7回総会(7中全会)では、8日開幕の第18回党
大会で採択される党規約改正案などを審議する。規約改正をめぐっ
ては、胡錦濤(こ・きんとう)総書記(国家主席)が提唱する指導
理念「科学的発展観」がトウ小平(とう・しょうへい)理論などと
並ぶ行動指針に位置づけられるとの見方が強まっている。また、故
毛沢東主席の革命理念「毛沢東思想」の扱いも注目されている。

 持続可能でバランスの取れた発展を目指す指針である「科学的発
展観」は、07年の第17回党大会で「重要な指導方針」として規
約の総綱(前文)に盛り込まれた。だが、党の行動指針であるマル
クス・レーニン主義や毛沢東思想、トウ小平理論、江沢民(こう・
たくみん)前総書記(前国家主席)の指導理念「三つの代表」とは
同列になっていない。

 胡氏の指導理念が格上げされれば、党大会を機に総書記の座を習
近平(しゅう・きんぺい)国家副主席に明け渡した後も、胡氏が党
内で権威を保持し続けることを意味する。一方、毛沢東思想を規約
から外すとの観測も一部に出ているが、「保守派が反発するのは必
至で、安定を重視する今の状況では難しい」(中国筋)との見方が
支配的だ。

 毛沢東思想は、貧富の格差拡大や汚職の深刻化に対する庶民の不
満を代弁する形で強調される傾向が強まり、失脚した薄熙来(はく
・きらい)前重慶市党委書記は毛時代を想起させる政治手法を用い
た。胡指導部は毛沢東崇拝が広がることを警戒している模様で、9
月下旬以降、党の重要な発表で毛沢東思想に触れないケースが増え
ている。
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中国:人権活動家らを北京から移動 共産党大会控え
毎日新聞 2012年11月01日 20時50分
 【北京・工藤哲】中国共産党大会を目前に控え、当局は北京市内
の警備を強める一方、人権活動家らを別の都市に移動させている。
当局は党大会の予定通りの運営を最重視し、体制批判の声や動きを
徹底して封じ込めようとしている。

 北京市内では治安維持のボランティアや公安車両が増えている。
チベット族が置かれた厳しい状況をインターネットで発信してきた
女性作家、ツェリン・オーセルさん(46)は毎日新聞に「当局の
指示で8月中旬に北京を離れた。党大会が終わるまで北京に戻れず
、ラサにいる。今年の党大会の警察の態度はこれまでになく厳しい
」と語った。

 米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)などによる
と、著名な人権活動家、胡佳(こ・か)氏(39)も9月18日以
来警察から外出を禁じられ、10月下旬に北京から出身地の安徽省
に移った。胡氏は同放送に「11月20日までは北京に戻れない」
と語った。
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中国:党と軍、矛盾深化?
アレクサンドル・ルーキン 1.11.2012, 13:38 VOR
   第18回中国共産党大会で行われる中国エリートの世代交代にとも
なって、軍上層部の改変も行われる。今日、情勢ウォッチャーの中
には、軍と政治の方向性の不一致を指摘するものもいる。この問題
について、ロシア外務省外交アカデミーのアレクサンドル・ルーキ
ン副学長が自身の意見を述べた。
   最近、参謀本部、政治部門、軍自部門、中国人民解放軍後方部隊
の各指導部の新しい顔ぶれが発表された。これらポストには、経済
改革の成功および中国の台頭、軍への最新技術の導入を経験した世
代が入っている。今日、人民解放軍は世界最大の人員を誇り(約225
万人)、軍事費でも世界2位の規模を誇る(約1000億米ドル)。新た
な力を感覚した中国軍は、世界の他の軍隊と同様に、自らの力をど
こかで試してみたいと欲している。人民軍は近年、国際平和維持部
隊に積極的に参加しているが、彼らにはどうやら、物足りないよう
だ。中国の軍隊は自己の利益に関心を持つプロの機構へと変じたよ
うだ。
   公式プロパガンダでは、軍は党の指導に従うものとの強調が絶え
ずなされているが、中国ウォッチャーは軍と政治の乖離の兆候を指
摘している。政治部門は諸外国との調和的関係の建設という志向を
強調しているが、軍の新世代は、「中国は要求があれば米国のよう
に強硬な態度をとる用意がある」と考えている。こうした考えを多
くの軍事アナリスト、現役および退役将校が抱懐している。彼らは
政治部門に対し一層軍事的な外交を求めるばかりでなく、軍隊とい
うものは外政方針の形成にも積極的に関与しなければならない、と
考えている。
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江沢民氏の執務室閉鎖、党大会前に中央軍事委 影響力に陰り
2012.10.31 21:03 sankei[中国]
 【北京=矢板明夫】8日に開催される中国共産党大会を前に、軍
の最高機関、中央軍事委員会の建物にあった江沢民前国家主席(前
軍事委員会主席)の執務室が閉鎖されたことが中国の軍関係者の話
で分かった。最近行われた一連の軍指導部人事で、胡錦濤国家主席
と習近平国家副主席の側近が主要ポストを占め、江派だった将軍た
ちが引退。執務室の閉鎖は江氏の影響力低下を象徴しており、中国
軍は今後、胡派と習派の2大勢力が対抗する構図に様変わりする。
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党大会前に異例の「長老」駆け引き=人事めぐり江前主席けん制か
−中国
 【北京時事】中国中央テレビ(電子版)などは30日、李鵬・前
全国人民代表大会常務委員長(国会議長)=元首相=(84)が、
共産党の革命聖地・延安にある延安大学(陝西省)に通う経済的に
恵まれない学生に援助を行っていると伝えた。11月8日開幕の共
産党大会を前に、江沢民前国家主席(86)、朱鎔基前首相(84
)、李瑞環前全国政治協商会議主席(78)の動静も報じられ、
2002年まで党トップ4を占めた「長老」が相次ぎ登場する異例
の展開となっている。次期最高指導部人事をめぐる駆け引きが本格
化している表れと言えそうだ。(2012/10/30-20:45)
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ASEANと中国、南シナ海問題協議も進展なし
 【パタヤ(タイ中部)=石崎伸生】東南アジア諸国連合(ASE
AN)と中国は29日、11月に開かれる首脳会議に向けた高級事
務レベル非公式会合をパタヤで開き、フィリピンなどASEANの
一部加盟国と中国が領有権で対立する南シナ海問題などを協議した。

 ASEAN側は、同海域での活動を法的に拘束する行動規範の早
期策定を求めているが、今会合では協議の継続を確認したにとどま
り、進展はなかった。
 
 会合には、中国から傅瑩外務次官が出席し、行動規範策定につい
て「信頼できる環境を作る必要がある」と述べ、時期尚早との見方
を示したという。中国と共同議長を務めたタイのシーハサック外務
次官は会合後に記者会見し、「今後も対話を続け、どのように行動
規範を作るか話し合う」と述べた。
(2012年10月29日20時33分  読売新聞)
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11.8中国党大会開催! 習近平政権誕生で日本に危機が迫る!?
2012年10月29日 相馬 勝 newslog

習近平政権は反日に 中国共産党大会前に権力闘争激化
 
中国共産党の第18回党大会が11月8日から北京で開催されることが
ようやく決まった。
 
当初は遅くても「10月中」と伝えられていたので、北京・中南海で
は、10年に1度の最高指導部人事をめぐって、水面下で激烈な権力
闘争が展開されていたことは間違いない。
 
次期最高指導者と目される習近平国家副主席の太子党勢力と江沢民
前国家主席率いる上海閥が共同で、胡錦濤主席がトップの共青団閥
を攻撃しているのだ。
 
筆者はフジテレビ「スーパーニュース」のインタビューで、最近の
尖閣諸島をめぐる反日デモが権力闘争に利用されたとの見方を明ら
かにした。
 
これ以前の8月初旬の河北省の避暑地、北戴河で行われた非公式の会
議では尖閣問題が協議され、胡錦濤政権の生ぬるい対日政策が非難
されたとの情報を筆者はつかんでいる。

「日本政府が尖閣諸島の国有化を決定したのは胡主席の従来の対日
方針が弱腰だったためだ」との批判が噴出するばかりか、胡主席が
政権を担当した10年間で社会不安は増し、経済状態も悪化するなど
、「胡主席は1949年の中華人民共和国成立以来、最悪の最高指導者
だ」と党内外から痛烈に攻撃され、胡錦濤主席は窮地に陥っている
という内容だ。
 
それ以前は、重慶市トップの薄熙来・党委書記の妻の英国人ビジネ
スマン殺害事件や薄氏自身の党規違反や不正蓄財問題などの重慶事
件で、太子党や上海閥が劣勢に陥っていたが、この尖閣問題で形勢
は逆転した。

温家宝首相一族の秘密資産暴露、尖閣問題も権力闘争に利用 

さらに、党大会まで10日と迫ったここにきて、胡錦濤主席に近い温
家宝首相の母や妻、息子が多額の秘密資産を形成しており、その額
は27億ドル(約2160億円)にも上ると報じられた。

温首相といえば、地震などの災害が起これば、最高指導者のなかで
最も早く現場に飛び、被害者を慰問するので有名で、庶民のことを
常に考えている「国父」と呼ばれるほどだ。温首相の家族が株式運
用やダイヤモンドなど貴金属の売買、さらに香港で投資会社を作り
インサイダー取引まがいで多額の不正蓄財をつくっているというの
だから、「清廉」「庶民思い」などの温首相のイメージが傷ついた
のは間違いない。
 
中国当局は温首相の秘密財産問題を報じた米ニューヨークタイムズ
のホームページが閲覧できないようにしたほか、外務省スポークス
マンもこの事実を否定、温首相自身も弁護士を通じて、事実を否定
するとともに、同紙に法的措置をとることを宣言している。
 
中国では通常、温首相ほどの最高指導者やその家族については情報
が漏れないように細心の注意をしており、情報をリークすれば、警
察などが動いて、秘密裏に身柄を拘束されることもある。このため
、今回の温首相一族の秘密をリークしたのはかなりランクの高い高
級幹部で、一説には温首相の追及によって逮捕された薄熙来氏に近
い関係者との見方が出ているほどだ。
 
あるいは、薄熙来側の意趣返しとみせかけて、太子党や上海閥が温
首相をイメージダウンを図り、陥れようとして、権力闘争に利用し
たともいえそうだ。
 
ここで注目されるのは、胡錦濤主席や温家宝首相も親日派といえな
いまでも、「知日派」と呼ぶことができる点だ。党大会で胡主席が
軍事委主席に留任するかどうかは不明だが、いずれにしても、この
2人は引退し、権力は習近平副主席が握ることになる。
 
われわれ日本人の関心は今後の日中関係だが、次期最高指導者の習
近平副主席は対日問題を権力闘争に転化して、胡錦濤主席を攻撃し
たといえ、軍部を支持基盤としている習近平氏が最高指導者なれば
、間違いなく反日的な強硬な対日政策を打ち出すに違いない。
【NLオリジナル】
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尖閣巡りさらなる対抗措置も…中国外務次官
読売新聞 2012年10月27日10時59分 
  【北京=大木聖馬】中国外務省の張志軍・筆頭次官は26日、尖
閣諸島を巡って対立が続く日中関係について、日本を含む一部外国
メディアとの記者会見を行った。

 中国外務省によると、会見で張次官は「領土主権の問題で(中国
が譲れない)最低線に挑戦するなら、我々に退路はなく、強力に対
応しなければならない」と述べ、さらなる対抗措置を取ることを示
唆した。

 次官は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)はもともと何の主権争いも
存在していなかったが、日本が1895年に不法に奪ってから問題
化した」と主張。「日本政府は右翼勢力が中国の領土主権を侵犯し
たのを制止しなかっただけでなく、自ら『島の購入』を買って出た
」と国有化を強く非難した。
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温家宝首相の一族、資産2千億円 副首相就任以降、巨額の財築く
 米紙報道
2012.10.26 14:33 sankei[中国]
 【サンフランシスコ=黒沢潤】米紙ニューヨーク・タイムズ(電
子版)は25日、中国の温家宝首相の一族の資産が少なくとも約27
億ドル(約2200億円)に上ると報じた。一族は温氏が1998
年に副首相に就任して以降、巨額の財を築いていったといい、友人
やビジネス・パートナー名義で投資するケースが目立つと指摘して
いる。

 同紙は温首相の母や妻、息子、弟、義弟などの資産を企業や当局
の報告書をもとに集計。27億ドルのうち80%は、中国共産党の
規則では公開対象外という。
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 かくて軍人幹部から「対日強硬派」は遠景に遠ざけられた
   劉源は軍事委員会メンバー入り果たせず、羅援はランク外
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012年10月26日no.3798

 尖閣周辺で軍事演習を行え、尖閣上陸もやれ、日本との戦闘入り
も辞さず等と獅子吼した人民解放軍の対日強硬派は、さきにも指摘
したが少将、中将止まりで、大将のランクで対日強硬路線を呼号す
る軍人は少数派。例外的に劉亜州と劉源がいるが、後者ふたり(と
もに大将)は次期軍事委員会への昇格ならず、けっきょくは窓際族
に留まることになるだろう。

 『超限戦』の著者たちと親しく中華思想まるだしの戦略を説いた
劉源は劉少奇の息子、軍の太子党のなかでも傑出した存在だったが
、四月の薄煕来事件以後、傍流に追いやられていた。
習近平の兄貴分だが、薄煕来と親しかったため、連座沈没というこ
とである。

 劉亜州の場合は国防大学政治委員で、もともと閑職であり、しか
も劉は中国の軍内で顕著な戦略論を講じるほどのインテリだが、仕
事の合間に武侠小説も執筆する変わり種。どの国でも組織内での「
物書き」は嫌われる。

 対日強硬論を唱えた羅援は軍の位でいうと、少将でしかなく、軍
事委員会入りは最初から想定されていないうえ、定年退官をむかえ
ており、好きなことを言って軍のガス抜き代弁の役目を果たしたと
みたほうが良いかも知れない。
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中国の人権「文革期の状態に」 渡米の陳氏、現状に危機感
 【北京共同】中国当局による自宅軟禁から逃れ、5月に渡米した
盲目の人権活動家、陳光誠氏(40)が24日までに共同通信のイ
ンタビューに応じ、中国の人権状況について「(大規模な政治運動
によって多くの人が弾圧された)文化大革命(1966〜76年)
のころの状態まで後退している」と述べ、強い危機感を示した。11
月の共産党大会を経て発足する習近平次期指導部に対して改善に向
けた民主改革を求めた。

 滞在先のニューヨークの大学では法律を研究しているが、当面は帰
国できないことを示唆した。

 友人で著名な市民活動家の胡佳氏らへ、中国当局の引き締めが強
まっていることを懸念した。
2012/10/24 17:08   【共同通信】
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中国で拡大する“異常”な所得格差 所得分配改革待った無し
2012.10.24 09:09 sankei
 人事社会保障省が発表した「2011年中国薪酬(給与・ボーナ
ス)発展報告」が話題を呼んでいる。ある保険会社の総経理の年収
が6616万元(約8億4490万円)で、労働者平均の2751
倍、農民工平均の4553倍にも達している、と報告の中で指摘さ
れたからだ。政府はかねて検討中の所得分配改革案をまもなく発表
するといわれているが、こうした異常なばかりの所得格差拡大にど
のように対処していくのだろうか。(フジサンケイビジネスアイ)

 同報告によると、上場企業経営者の平均年収は05年の29万
1000元から10年には66万8000元にまで増えている。年
率にすると、18.1%の伸びである。中には年収が1000万元
を超えている幹部も少なくない。その一例として保険会社の総経理
がやり玉に挙がった。

 業種間の所得格差も拡大している。特に所得の多いのは金融と不
動産。多くは国有企業だが、中でも中央企業(中核的な国有企業)
とか資源関連の独占企業が目立っている。

 ここで例に挙げられたのが、上海浦東開発銀行だ。10年の行員
の平均年収は29万6600元、これに福利厚生などを加えると
35万7400元に達する。労働者平均の約10倍である。

 報告は最後に所得格差是正のための方策として、(1)高給をも
らっている企業経営者の所得調整(2)業種間の所得格差の是正
(3)合理的な賃金決定の方式、といった点を挙げている。

 中国政府は国家発展改革委員会が中心となって04年から所得分
配改革案の草案づくりに着手してきた。今春の全国人民代表大会(
全人代=国会)では、温家宝首相も記者会見でプラン策定を約束し
ているだけに、早晩出さざるを得ない。早ければ10月中にも発表
されるなどの観測が流れている。
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「敵対的な国」は日本がトップ 中国人意識調査
産経新聞2012年10月21日20時02分
 【ワシントン=古森義久】米国の有力世論調査機関「ピュー・リ
サーチ・センター」がこのほど発表した中国国民の意識調査結果で
、対日関係を敵対的だとみる人の比率が圧倒的に多いことが判明し
た。調査は日中関係が尖閣問題で一気に険悪化する半年ほど前に実
施されており、中国社会の日ごろの「反日」風潮の深さを改めて明
示したといえる。
 同センターは中国側機関と協力して中国全土の3177人を対象
に今年3、4月に聞き取り調査を実施。その結果によると、中国と
諸外国との関係をどう特徴づけるかでは、「敵対的」とみなした人
が対日関係では全体の41%で、対米関係の26%、対インド関係
の24%をはるかに上回った。中国人は諸外国の中でも日本に対し
最も敵対的な態度を有していることとなる。
 同調査によると、中国との関係を「協力的」と肯定的に答えた人
が対日関係では30%、対米関係が39%、対インドが39%、対
パキスタンが49%だった。
 対米関係については、2010年の同調査では「協力的」と答え
た人が68%、「敵対的」が8%だったが、今回その数字がそれぞ
れ39%と26%へと大きく変化し、中国人の対米認識も悪化した
ことがわかった。
 オバマ大統領を「信用する」と答えた人は38%で、「信用しな
い」の41%を下回ったが、10年の調査では「信用する」が52
%、「信用しない」が30%だったのと比較すると、中国人のオバ
マ観も大幅に悪くなったといえる。
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習近平体制の外交政策は「対米協調、対日強硬」か?
多摩大学大学院客員教授 沈 才彬
2012年10月17日配信「社長のための中国経済コラム」第35話

11月に開催される中国党大会では、突発的な事件がなければ、国家
副主席の習近平氏は党総書記に選出され、10年ぶりに体制交代が実
現される。習近平新体制はいったいどんな内政外交政策を打ち出す
だろうか。本稿は習近平氏の個人経歴及び彼を絡む内外環境から、
新体制の政策指向を分析する。

習近平氏は元副首相の父親を持つ「太子党」であり、豊富な党内人
脈を持つ一方、「秘密選挙」の民意という党内の幅広い支持も得て
いる。そのため、習近平氏は前任者より強い政策指向を打ち出す可
能性が高い。

習近平新体制の内政外交政策の全貌はまだわからないが、習氏の経
歴から次の3点が新体制の政策の特徴となることが予想される。

まず1つ目は毛沢東の「文革」路線を歩まないこと。習近平本人も
父も文化大革命の被害者である。当時、15歳の中学生である習氏も
文革の被害を逃れず、北京から陝西省の貧しい村に下放され、69〜
75年の6年間にわたって過酷な肉体労働を強いられた。親子2代の
辛い経験から、習近平氏は人権蹂躙、教育荒廃、モラル喪失、政治
混乱、経済崩壊をもたらした毛沢東の文革路線への回帰はまずない
と思う。

第二に、改革・開放政策の続行である。習近平氏の父・習仲は名
誉回復後、広東省書記に任命され、中国で最も先にケ小平の改革・
開放路線を実践する。親子2代とも改革・開放政策の実践者であり
、習近平氏が党総書記に就任すれば、改革・開放の継続には疑いが
ない。ただし、格差問題や腐敗蔓延という改革・開放の歪みについ
ては、積極的に是正するだろう。

第三に、習近平体制の外交政策は対米協調を基軸とする。アメリカ
は習近平氏にとって最も訪問回数が多い国であり、これまで5回も
訪問した。習氏の娘・習明沢は今もハーバード大学に留学している
。訪問を通じ、アメリカの社会、政治、経済、産業、文化などは習
近平氏に強烈なイメージを与えた。習氏はオバマ大統領、バイデン
副大統領をはじめアメリカ政財界の幅広い人脈を持っており、「親
米派」とも言われている。従って、習近平新体制は「対米協調」を
基軸とする外交政策を実行することが予想される。

一方、日本に対し、習氏は2009年の訪問一回のみ。しかも日本国内
の政争に巻き込まれ、天皇陛下との会見は「1ヵ月ルール」を破っ
た「特例会見」と大きく報道された。実は、数年前、タイ衆議院議
長も1ヵ月を切って天皇陛下との会見を申請し実現したが、宮内庁
は何も文句を言わなかった。なぜ中国次期トップの習近平氏の天皇
陛下との会見だけを問題視するか。習氏は納得に行かない。マスコ
ミの大騒ぎによって、この訪問に水を差された習氏の日本イメージ
は決して良くない。これは習近平体制の対日政策にも影響を与える
ことが心配される。

さらに、習近平氏が胡錦濤氏からバトンを受ける直前、野田政権は
尖閣(中国名:釣魚島)の国有化を決定した。「釣魚島が中国の固
有領土」と主張する中国政府にとって、野田政権の決定は中国主権
への公然侵害のみならず、党大会を控えた中国の政権交代を撹乱し
ようとする「卑劣な内政干渉」とも受け止められた。習氏も激怒し
たのは想像に難しくない。米パネッタ国防長官と会談する際、習氏
は野田政権の決定を「茶番劇」と強く批判し、対決姿勢を鮮明に打
ち出した。習近平体制は誕生すれば、暫くは対日強硬姿勢が続くと
見られる。

実はいま、安倍氏サイドと中国サイドの間に、関係改善に向けて水
面下で動いているようである。自民党総裁に再登板を果たした安倍
氏は、就任早々、中国に太いパイプを持ち、日中議員連盟会長を務
める高村正彦氏を副総裁に抜擢した。これは政権奪回に備え、日中
関係改善に向ける安倍総裁の人事布陣と見られる。一方、中国も素
早く反応した。9月27日、この高村氏は中国を訪問した際、会談し
た唐家旋・前国務委員が安倍晋三総裁について、「右翼とも、タカ
派とも思っていない」と述べ、エールを送ったことを明らかにした。
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格差や腐敗“深刻化”… 中国の習近平政権、カギは「トウ小平の
道」脱却
2012.10.16 08:59 サンケイ[中国] 
 中国共産党機関紙「人民日報」の編集長や社長を歴任した胡績偉
が先月、心臓病のため、96歳で亡くなった。彼が「人民日報」の
編集長に就任したのは、毛沢東が死去して間もない1976年10
月末のこと。江青(毛沢東の妻)らの極左グループ「四人組」を拘
束して実権を握った華国鋒(当時、党主席)から、直接、就任を求
められたのだった。(滋賀県立大学教授・荒井利明/フジサンケイ
ビジネスアイ)

 「四人組」が党の宣伝部門を握っていた1975年前後、庶民は
「人民日報」について、「正しいのは題字と日付だけ」とひそかに
酷評した。事実を尊重した信頼できる記事はひとつもない、という
意味である。

 胡績偉は1983年まで「人民日報」のトップにあったが、秦川
や王若水といった改革に積極的な幹部とともに、そうした状況を一
変させ、「人民日報」の黄金時代を築いた。

 発行部数は空前の630万部にも達し、今では想像もできないこ
とだが、庶民が党機関紙を熱心に読んでいたのである。権力を持つ
党の指導者ではなく、権力を持たない庶民に顔を向けて、紙面作り
をしたからだろう。

 胡績偉によれば、改革派や民主派の人たちの論文を掲載するなど
、大胆で自主的な紙面作りができた背景には、他人の話をよく聞き
、むやみに批判することのなかった華国鋒の胡績偉に対する信頼が
あったという。

 晩年の胡績偉は、1978年以降の改革・開放時代において、「
ふたつの路線の闘いがあった」と折に触れて強調した。ひとつは独
裁的な「トウ小平の道」であり、もうひとつはより改革的、より民
主的な「胡耀邦・趙紫陽の道」である。

 胡績偉は後者を支持し、「トウ小平の道」に反対した。1989
年の天安門事件では、武力鎮圧に反対したため、全国人民代表大会
常務委員を解任され、2年間の党内観察処分にもなった。

 現実の中国は、胡耀邦や趙紫陽の失脚が物語っているように、ト
ウ小平時代以降の江沢民時代、胡錦濤時代においても、「トウ小平
の道」を歩んできた。それは、経済の発展と社会の安定を最優先し
、政治面での改革を先送りする「道」だった。

 来月の党大会で発足する習近平政権も、少なくとも当面は、「ト
ウ小平の道」を歩もうとするだろう。だが、「トウ小平の道」によ
っては、深刻化している格差や腐敗を解決することはできず、「和
諧(調和)社会」を築くこともできないだろう。習近平政権はいず
れ、新たな「道」を模索せざるを得ない、と私は確信している。
(敬称略)
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レコードチャイナ:「安定だけではなく進歩と変革が必要」政治改
革の決意固めた習近平―中国
2012年9月11日 7時28分
2012年9月7日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語サイトに
よると、ロイター通信はまもなく中国の最高指導者となる習近平(
シー・ジンピン)国家副主席が政治改革の決意を固めていると報じ
た。

記事は習近平副主席と接触した3人の情報提供者の話に基づくもの。
習副主席が中国が抱えている問題は未曾有のもので、政治制度も含
めた改革を掲げる方針を決意しているという。「安定と同時に進歩
と変革を求めなければならない」と習主席は語ったと明かしている。

また、情報提供者によると、習副主席は過去6週の間に、改革派とし
て知られる胡耀邦(フー・ヤオバン)元総書記の息子・胡徳平(フ
ー・ダーピン)氏らを訪ね、改革の加速について意見を交わしたと
いう。習主席は経済改革の加速に加え、自由度を拡大し、政治によ
るコントロールを緩和する必要性があるとの見通しを示した。
(翻訳・編集/KT)


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