4505.中国対外強硬の理由



フォーリン・アフェアーズ リポートで、中国の強硬外交は新たに
手に入れたパワーを基盤とする自信に派生するものではなく、むし
ろ、金融危機と社会騒乱に悩まされていることに派生する中国政府
の不安に根ざしている。シンボリックな対外強硬路線をとることで
、北京はナショナリスティックになっている大衆をなだめ、政府の
政治的正統性をつなぎとめようとしている。という。これは正解で
ある。

事実、中国も通常戦力では負けることを意識している。

人民網によると、尖閣諸島をめぐる日中の対立で、海戦となった場
合に日本が圧勝するというシミュレーション結果について、中国国
防部職員は、「日本の海上自衛隊は、釣魚島(尖閣諸島)をめぐる
中日の軍事衝突をシミュレートし、日本はわずかな損失で解放軍の
2艦隊を撃退できると予測しているが、中国の軍事専門家は一笑に
付した。

実践と模擬戦には大きな開きがあり、本当に中日間で海戦がぼっ発
するとして、日本は中国のミサイルの威力を考慮に入れているのだ
ろうか。」という。実際、核ミサイルの配慮が不足しているが、初
戦は日本が圧倒することを中国の軍事専門家も認めている。

このため、中国国防部の楊宇軍報道官は25日、「中日関係が深刻な
状態になりつつある責任はすべて日本にある。日本が確実に過ちを
正し、中日関係の大局を維持し、盲目的に武力を誇示しないよう求
める」と述べた。中国が尖閣諸島への上陸作戦を行う計画を立てて
、その実行手前まで行ったことを棚に上げている。

通常戦争に日本が勝利した上に米国が出てくると、核ミサイル戦争
でも中国は負けるので、戦争を仕掛けられなくなったようである。
アーミテージも中国で、もし尖閣諸島で日中が戦闘状態になったら
、米国は中立から日本を味方することになると、中国の戦闘行為を
牽制したという。

イギリスのシンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所」のクラー
ク所長は、中国について、「20世紀型の国家だ」と辛辣な見方を
示したし、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのオッド・
アルネ・ウェスタッド教授も「中国よ、驕るなかれ」と中国の強硬
外交に苦言をしている。

中国の楊外相は「我々の間には、基本的に大きな違いがあります」
と前置きした後で、「中国は大国、あなたがたは小国だ」とASEAN諸
国会議で言い放ったという。

自己の欲求を満たそうとするために近隣諸国と対決姿勢をとる。こ
れではグローバルパートナーとして認められるはずがない。

この環境で、東アジアの同盟諸国は「大恐慌以来、最悪の経済危機
のなかにあるアメリカは、自信を深め、能力を高めている中国に対
処していけるのか」と疑問をもつようになり、こうした懸念を払拭
しようと、ワシントンはアジア地域のパワーバランスを維持できる
ことを立証しようと試み、アジアシフト戦略へと舵を取った。と
フォーリン・アフェアーズ リポートはいう。

しかし、この政策が逆に中国の好戦性を助長し、米中協調への双方
の確信を損なってしまっている。と述べるが、もし米国が関与しな
ければ、日本は再度、アジアの防波堤として出て行かねばならなく
なる。

元の防波堤として元寇を迎え撃ち、ロシアの防波堤として日露戦争
を戦い、欧米からの独立を勝ち取るためにアジアの防波堤として、
太平洋戦争に戦い、そして、中国の防波堤として次期日中戦争を戦
うことになりそうである。

王緝思北京大学国際関係学院院長は、中国の指導者たちの歴史認識
の特徴は、外国の脅威によって国内の争乱が作り出されること、よ
り具体的には、内なる脅威と外からの脅威が一体化するのを常に警
戒している点にあるというが、国内の不満を海外戦争で紛らわした
ということである。

しかし、王氏は国際コミュニティとして、中国の願い、不安、国内
の要望を満たして近代化を試みていくことの難しさに配慮し、中国
が自らを支えるのを助ける責任があるという。世界第2位の大国が
、甘えるなであるし、そのために周辺諸国に傲慢な対応することを
国際社会は認めろ言うのは、非常におかしい。

政府のシンクタンクの要人が、このような考え方であり、これは中
国は変わらないことを、周辺諸国は肝に銘じないといけない。

このため、マイケル・グリーンCSIS上級副所長は「グランド・
ストラテジー(大きな戦略)」の構築を日本に促した。「尖閣問題
でも中国への戦術的な対処だけではなく、戦略として何を目指すの
か考えなくてはならない」などと述べた。

日本の戦略としては、アジアの防波堤として中国に対処できる戦略
的な戦術的な備えを行うことである。そのために、憲法も法律も、
自衛隊の組織も変えることが重要である。

世界の平和を維持するために、今までは日本は受身である方がよか
ったが、これからは能動的でないと守れない。早く、その政治制度
、仕組みを揃えることである。

原発もその文脈で考えることだ。通常ミサイルを打ち込まれるとい
うことをそろそろ、想定したほうが良い。
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英研究所 日本に冷静な対応呼びかけ
10月26日 18時30分NHK
安全保障問題の研究で世界的に知られるイギリスのシンクタンクの
所長がNHKのインタビューに応じ、沖縄県の尖閣諸島を巡る問題
で日本に強く反発する中国について、「20世紀型の国家だ」と辛
辣(しんらつ)な見方を示したうえで、日本に冷静な対応を呼びか
けました。

イギリスのシンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所」のクラー
ク所長は、安全保障問題の国際会議などに出席するため日本を訪れ
ており、都内でNHKのインタビューに応じました。
クラーク所長は、日本の尖閣諸島の国有化以降、周辺海域で中国が
日本領海への侵入などを繰り返していることについて、「ヨーロッ
パからみても、この問題がとてもデリケートであることはよく分か
る」と述べたうえで、「世界には一昔前の方法で力を行使しようと
する国がある。その意味で中国は巨大な20世紀型の国家だ」と中
国に辛辣な見方を示しました。
そして、「日本は国際法に基づく毅然とした外交を進めていくべき
だ。解決策はすぐには見つからないかも知れないが、事態をうまく
収める方法はあるはずだ」と述べ、日本の冷静で辛抱強い対応が必
要だという考えを示しました。
また、クラーク所長は、世界第2と第3の経済大国の関係悪化によ
って、信用不安の影響に苦しむヨーロッパを含め世界経済の回復が
遅れかねないと指摘し、日中関係の改善は世界経済にとっても重要
だという認識を示しました。
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「中国よ、驕るなかれ」英教授が論文 大国意識が東南アジアの反
発招く
2012/10/26 19:00 Jcast

   英名門大学の歴史家が、中国が近年東南アジア諸国と領土をめぐ
ってあつれきを深める姿勢を問題視する記事を米メディアに寄せた。
 
   尖閣諸島問題の影響で日本との関係が冷え切ったままの中国だが
、東南アジア諸国からは、「大国」の顔をして尊大にふるまう態度
が怒りをかったという。

「中国は大国、あなたがたは小国だ」
 
   「中国へ:大きさがすべてではない」という題名で米ブルームバ
ーグに寄稿したのは、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
のオッド・アルネ・ウェスタッド教授だ。ノルウェー出身の世界史
の学者で、中国をはじめアジア史の著作が多い。2012年10月18日付
の寄稿では、中国と東南アジアの関係悪化の過程と原因を追ってい
る。
 
   東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は2010年、自由貿易協定を
発効させた。外交や貿易で順調だった双方の関係がこじれた原因は
、同年にベトナム・ハノイで開かれた地域フォーラムにおける中国
の楊潔チ外相の発言だったと教授は指摘する。
 
   ASEANは、長年懸案となっている南シナ海での領土問題に米国を
仲介役にすることを要望した。これに不快感を示したのが楊外相。
「我々の間には、基本的に大きな違いがあります」と前置きした後
で、「中国は大国、あなたがたは小国だ」と言い放ったというのだ。
かつて中国と戦火を交えたベトナムや、人口2億5000万人とASEAN最
大のインドネシアの政治家は「こんな扱いを受けるとは」と怒り心
頭だったという。

   以後、両者の関係は急速に悪化。中国は南沙諸島など南シナ海で
ベトナムやフィリピンに強硬な措置をとる。一方でカンボジアやミ
ャンマーといった経済的基盤がまだ十分でない国への食い込みに躍
起だ。ASEANでは「中国が東南アジアを解体する」との脅威論が高ま
り、警戒感を強めている。

   過去の歴史を紐解けば、中国はアジアで特別な地位にあり、周辺
諸国は中国を「大国」として扱うべき――。このような姿勢だから
ASEAN各国から敬意を持たれないと批判、「中国は、外交は著しく未
成熟で、地域のリーダーの役割を果たせる準備は整っていない」と
断じた。自己の欲求を満たそうとするために近隣諸国と対決姿勢を
とる。これではグローバルパートナーとして認められるはずがない
と厳しい。

   英名門大学の歴史家が、中国が近年東南アジア諸国と領土をめぐ
ってあつれきを深める姿勢を問題視する記事を米メディアに寄せた。
 
   尖閣諸島問題の影響で日本との関係が冷え切ったままの中国だが
、東南アジア諸国からは、「大国」の顔をして尊大にふるまう態度が
怒りをかったという。
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中国を対外強硬路線へ駆り立てる恐れと不安
  ―― アジアシフト戦略の誤算とは
The Problem with the Pivot
ロバート・ロス ボストン・カレッジ 政治学教授 
フォーリン・アフェアーズ リポート 2012年11月号 
中国の強硬外交は新たに手に入れたパワーを基盤とする自信に派生
するものではなく、むしろ、金融危機と社会騒乱に悩まされている
ことに派生する中国政府の不安に根ざしている。シンボリックな対
外強硬路線をとることで、北京はナショナリスティックになってい
る大衆をなだめ、政府の政治的正統性をつなぎとめようとしている。
その結果、2009―10年に中国は対外強硬路線をとるようにな
り、近隣国だけでなく、世界の多くの諸国が中国と距離を置くよう
になった。この環境で、東アジアの同盟諸国は「大恐慌以来、最悪
の経済危機のなかにあるアメリカは、自信を深め、能力を高めてい
る中国に対処していけるのか」と疑問をもつようになり、こうした
懸念を払拭しようと、ワシントンはアジア地域のパワーバランスを
維持できることを立証しようと試み、アジアシフト戦略へと舵を取
った。だが、台頭する中国を牽制するはずのアジアシフト戦略は、
逆に中国の好戦性を助長し、米中協調への双方の確信を損なってし
まっている。
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大戦略を模索する中国
China's Search for a Grand Strategy
王緝思 北京大学国際関係学院院長 
フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年4月号 

中国の指導者たちの歴史認識の特徴は、外国の脅威によって国内の
争乱が作り出されること、より具体的には、内なる脅威と外からの
脅威が一体化するのを常に警戒している点にある。この点での際だ
ったケースが、1989年の天安門事件という内的混乱の余波が残
るなか、欧米諸国が中国に対する制裁措置を発動したことだった。
その後、10年にわたって中国が強硬な対外路線をとったのは、内な
る脅威と外からの脅威が一体化するのを恐れたからだった。だが、
中国の優先課題はあくまで国内にある。北京は今後も、経済・社会
領域での発展と開発に努め、外交政策もこの枠組み内でとらえてい
くだろう。「国際的な課題に対応していくプロセスにおいて国内改
革を犠牲にしてはならない」と肝に銘じているからだ。中国がより
大きな国際的責任を引き受けるように期待されているのは当然だが
、国際コミュニティは、中国の願い、不安、国内の要望を満たして
近代化を試みていくことの難しさに配慮し、中国が自らを支えるの
を助ける責任がある。  
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レコードチャイナ:<尖閣問題>日本の圧勝予測は「一方的な願望
」=海戦のシミュレーションを一蹴―中国メディア
2012年10月26日 12時36分
2012年10月24日、人民網によると、尖閣諸島をめぐる日中の対立で
、海戦となった場合に日本が圧勝するというシミュレーション結果
について、中国国防部職員がコメントした。以下はその内容。

日本の海上自衛隊は、釣魚島(尖閣諸島)をめぐる中日の軍事衝突
をシミュレートしている。日本はわずかな損失で解放軍の2艦隊を撃
退できると予測し、右翼勢力が小躍りして喜んでいる。

この茶番を中国の軍事専門家は一笑に付した。日本の勝手な思い込
みであり、まさしく現代版「畳の上の水練」である。少し常識のあ
る人間なら、実践と模擬戦には大きな開きがあることを知っている。
本当に中日間で海戦がぼっ発するとして、日本は中国のミサイルの
威力を考慮に入れているのだろうか。

日本はなぜ、領土主権と海洋権益を死守するという中国の断固たる
決意を顧みず、国際社会の冷淡な対応、最低を更新した内閣支持率
を無視して「必勝」などとうそぶくことができるのか。三つの理由
が考えられる。

一つ目は、国内の右翼勢力の後押しである。日本によるここ数年の
挑発行為は、ほとんどが右翼勢力が中心になって引き起こしたもの
だ。シミュレーションの「戦果」などは釣魚島問題解決の役に立た
ないばかりか、右翼が増長して軍事衝突を引き起こす材料になりか
ねない。

二つ目は、中国への心理的圧力である。わが国に軍事的どう喝とプ
レッシャーを与え、「戦わずして勝つ」ことを意図している。野田
首相は閲兵を行い、自民党の安倍総裁は靖国神社を参拝し「中国に
は絶対に譲歩しない」と宣言するなど、対中国の「心理戦」を展開
している。

三つ目は、支持率アップを狙うためだ。野田内閣の支持率は18%と
、もはや政権維持が困難な状況で、日中関係の悪化が経済にも暗い
影を落としている。ここで「日本必勝」を吹聴することで国民を鼓
舞し、政府への信頼を高めようとしている。

軍事力は使い道を誤れば多大な災禍をもたらすことになる。日本は
敗戦国として、戦争の結果を骨身にしみて理解しているはずだ。戦
いを捨て、平和を希求することは当然の選択であり責務であるはず
だが、日本はその逆を行き、声高に戦争の準備を叫んでいる。シミ
ュレーション後の日本の狂騒的な行動を注視しておく必要があるだ
ろう。

中国には、現実をしっかりと見据えて幽霊や化け物の存在を信じな
いという伝統がある。国家の領土主権という核心的利益を守るにあ
たり、中国人と軍は一致団結し、来襲する敵を撃退することになる
だろう。(翻訳・編集/岡本悠馬)
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中国、日本に「武力を誇示するな」と要求
サーチナ2012年10月26日12時39分
 中国国防部の楊宇軍報道官は25日、「中日関係が深刻な状態にな
りつつある責任はすべて日本にある。日本が確実に過ちを正し、中
日関係の大局を維持し、盲目的に武力を誇示しないよう求める」と
述べた。中国国際放送局が報じた。
 「中日両国が2012年に防衛機関の海上連絡システムを設立する計
画を棚上げにした」という報道に対して、楊報道官は「現在の中日
関係は日本政府の釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)の国有化によっ
て深刻な状態に陥り、両国の防衛分野における交流もその影響を受
けた。その責任はすべて日本にある」と述べた。
 また、楊報道官は「今年に入ってから、自衛隊は中国に対する偵
察を絶えず強化し、中国の主権と安全の権益を侵害した。これも中
日両国の海と空の安全問題を引き起した原因の一つだ」としたうえ
で、中国の主権を侵犯する行動を止めるとともに、事故や不測の事
件の発生を防止する効果のある措置を取るよう日本に要求した。
(編集担当:村山健二)
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「強く一貫した政治を」 CSIS所長 
2012/10/26 13:12
 日本経済新聞社と米戦略国際問題研究所(CSIS)の共催で26
日都内で開いたシンポジウムは、尖閣諸島を巡る日中対立を念頭に
「国家の危機管理戦略」をテーマにパネル討論を行った。CSIS
所長のジョン・ハムレ元米国防副長官は「日米同盟よりもむしろ日
本の社会、外交の強さ、外交政策への信任が重要になる」と指摘し
た。外交が政争の道具となる日本の状況に懸念を示し、「政治的な
コンセンサスを構築し、一貫した強い政治をもたなくてはならない
」と語った。

 北岡伸一・政策研究大学院大学教授は尖閣問題を契機に中国各地
で広がった反日運動を「デモではなく(国家が支援する)テロだ」
と強く批判。政治の力の結集を訴え、統一的な戦略を考える場とし
て国家安全保障会議(NSC)の創設を提案した。

 藪中三十二・元外務次官は「中国がルールを守っていく体制をど
うつくるかが重要」と発言。東南アジア諸国連合(ASEAN)と
の関係をより重視することも提唱した。

 一方、マイケル・グリーンCSIS上級副所長は安定の環境づく
りを考える「グランド・ストラテジー(大きな戦略)」の構築を日
本に促した。「尖閣問題でも中国への戦術的な対処だけではなく、
戦略として何を目指すのか考えなくてはならない」などと述べた。


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