4504.中国の中央軍事委員会人事



事前予測と違い、副主席就任が堅いと言われた常万全氏が「国防相
」に格下げになった。この理由は江沢民に近い郭氏との関係が近す
ぎるという理由のようである。副主席は、許其亮(空軍司令員)と
范長竜(済南軍区司令員)が就任する見通しとなっている。

総参謀長には、房峰輝北京軍区司令官がなる。この人物は胡錦涛に
近い。この他、総政治部(政治工作)主任に張陽・広州軍区政治委
員、総後勤部(補給)部長には趙克石南京軍区司令官、総装備部長
には張又侠瀋陽軍区司令官がそれぞれ就任。

ここでも、張海陽(ミサイル司令員)、劉暁江(海軍司令員)が外
されている。胡錦涛主席に近い人物が要職についたようである。

しかし、軍人の中でも太子党が不満を持つ可能性があり、それへの
配慮もされている。江沢民に近い人物が外されたようである。

国務院と軍事委員会は同列組織であり、ここを誰が抑えるかで国の
政策を変えることができる。太子党・上海閥中心の行政組織対胡錦
涛に近い軍事委員会という住み分けを行ったようである。

しかし、軍部は強硬派が主流を占めているので、胡錦涛主席もその
影響で強硬派に配慮することになる。全体的に中国は次の10年、
米国の軍事力に負けないような通常兵器開発を行うようである。

今回は、米国の邪魔で棚上げにするが、尖閣を諦めたわけではない
。中国は実力で取り返しに来ることは間違えない。

この証拠に、政治局は18大を「全面的に小康社会(やや豊かな社
会)を構築し、改革開放や経済発展モデルの転換を推進させる重要
な時期に開かれる重大な会議だ」と見なしており、胡氏の指導思想
である「科学的発展観」を推進するという。

科学的な発展で、米国を仰臥する軍備を持ち、熱狂的な愛国心で戦
争をせずに、戦争に勝てる状況まで待つという戦略を取るとしたよ
うである。太子党の一部軍人の熱狂的な軍事行動を、この理論で抑
えた。

さあ、どうなりますか?

日本も覚悟が必要である。

==============================
中国解放軍、江氏の影響力を排除=薄熙来事件も流れ変える−
4総部トップ、世代交代

 【北京時事】中国国防省は25日、11月8日開幕の共産党大会
に先立ち、人民解放軍の総参謀長など4総部トップを若返らせる人
事を発表、軍指導部は一気に世代交代が進んだ。軍の作戦・情報を
統括する総参謀長に就任した房峰輝北京軍区司令官(61)ら胡錦
濤国家主席(中央軍事委員会主席)に近い幹部の登用が進んだのが
特徴だ。

 複数の共産党筋によると、8月の北戴河(河北省の避暑地)会議
で軍事委主席辞任を示唆した胡氏は、沖縄県・尖閣諸島問題への対
応のため慰留を求める声が強まり、一転して留任する方向で検討し
ている。今回の人事でも、これまで軍に絶大な影響力を持った江沢
民前国家主席(前軍事委主席)の影響力を排除しようとの狙いがう
かがえる。

 4総部体制の解放軍ではこのほか、総政治部(政治工作)主任に
張陽・広州軍区政治委員(61)、総後勤部(補給)部長には趙克
石南京軍区司令官(64)、総装備部長には張又侠瀋陽軍区司令官
(62)がそれぞれ就任。4人とも大軍区からの登用で、現場重視
の布陣となった。

 一方、複数の中国筋によれば、2人いる制服組の中央軍事委副主
席は郭伯雄(70)、徐才厚(69)両氏に代わり、許其亮空軍司
令官(62)、范長竜済南軍区司令官(65)が就任する見通し。

 軍関係者は「特に郭氏は江氏に最後までべったりだった」と指摘
。総装備部長で63歳と若く、副主席就任が堅いと言われた常万全
氏が「国防相」に格下げとなる見込みとなった背景には「郭氏との
近すぎる関係」(同関係者)が原因との見方も浮上している。

 さらに重慶市トップを解任された薄熙来氏の事件が、軍指導部人
事の流れを変えたとの見方が強い。高級幹部子弟グループ「太子党
」の代表格だった薄氏は太子党の多い軍内で大きな影響力を誇示。
薄氏解任後、軍内に広がった薄氏解任への反対・同情論を封じ込め
るため、胡氏は軍機関紙・解放軍報などを通じ、「暗流に動かず、
胡主席の指揮を聞け」と指示を繰り返した。(2012/10/25-17:02)
==============================
中国共産党、党規約改定へ 重大な政策決定のメッセージか
【大紀元日本10月25日】中国共産党は22日に政治局会議を開き、
党規約の改定案を協議した。同改定案は近く開催される共産党大会
(18大)で正式に決定される見通し。国営新華社通信は当日、こ
れについて報じたが、どのような改定が検討されたかを明らかにし
ていない。

 新華社の報道では、党規約の改定は「規約の実践と維持に役立ち
、中国式社会主義と党の建設をより良く推進させることに力を発揮
する」としている。さらに政治局は18大を「全面的に小康社会(
やや豊かな社会)を構築し、改革開放や経済発展モデルの転換を推
進させる重要な時期に開かれる重大な会議だ」と見なしており、共
産党は今後、「国際社会と中国の発展の流れ」を全面的に把握し、
戦略的チャンスを掴み、社会主義の経済、政治、文化、社会の建設
を全面的に推進すると強調した。

 新華社のこの報道について、ロイター通信は「共産党一党支配体
制が強化される可能性がある」としながら、18大で重大な政策決
定が行われる可能性があるとの見方も伝えた。中国共産党はこれま
でも重大な政治決断の基本原則を党規約に盛り込む経緯があった。
1992年に14大が開催された時も、ケ小平の「中国式社会主義
」という経済改革の基本方針を党規約に取り入れ、市場経済への移
行を発動していた。

 新華社の同報道では毛沢東思想は提起されていない。党規約に掲
げられている「ケ小平理論」と江沢民の「3つの代表」理論に言及
したものの、「毛沢東思想」には触れていない。中国問題専門家は
この変化から、「今回の党規約の改定は、毛沢東の影響力の払拭と
いう敏感な問題に関連するのではないか」と分析。ロイター通信は
シンガポール国立大学の鄭永年研究員の話として、「薄煕来が失脚
するまでは中国の方向性は明確ではなかったが、今は非常に鮮明だ
。つまり、毛沢東思想の影響力を弱め、ケ小平理論を主流にするこ
と」と伝えた。

 一方、今回の党規約の改訂は、「薄煕来事件」がもたらした共産
党政権の危機をやり過ごすためのものだとの見方もある。党規約の
改定は、党のイメージを改善することや指導者らの地位を固めるこ
とを目的としているだけで、抜本的な政治改革に関連する政策を発
表する可能性はほとんどないとも見られている。新華社の同報道で
も政治改革に関する文言はいっさい現れていない。
(翻訳編集・叶子、張凛音) (12/10/25 13:00)
==============================
 許斯亮(空軍司令員)が次期軍事委「副主任」の一角へ
  次期、中国軍とトップはハイテク装備、ミサイル専門家と首都
防衛経験者ばかり
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012年10月25日no.3796

 小誌前号にひきつづき、軍トップ人事が固まりつつある続報。馬
暁天が空軍司令員となって次期軍事委員会入りが確実となり、現職
空軍司令の許其亮は、予測通り、次期の「副主任」入りが確実とな
った。
 これで常万全も、次期副主任入りが確実視されるため、次のよう
な新軍事委員会トップの人事予測ができる。

▼中国人民解放軍 トップの変動予測

現在の軍事委員会         第十八回党大会予測
   〜〜〜〜〜〜〜〜         〜〜〜〜〜〜〜〜〜
主任   胡錦涛            胡錦涛(2年ほど居残る可能性)
副主任  習近平            習近平
 同   徐才厚            常万全(宇宙、ハイテク装備で台頭)
 同   郭伯雄            許其亮(空軍司令員)

委員   陳丙徳(参謀長)       張海陽(ミサイル近代化で台頭)
     李継耐(総政治部長)     張又侠(瀋陽軍区司令)
     梁光烈(国防部長)      劉暁江(海軍司令員)
     寥錫竜            遅萬春(装備部政治委員)
     許其亮            馬暁天(新空軍司令員)
     呉勝利            房峰輝(北京軍区司令)
     靖志遠            氾長長(済南分区司令)
       常万全            劉源(劉少奇の息子)

                    ダークホウス
                    呉勝利(残留の可能性)
                    劉亜州 童世平

 註 陳丙徳の「丙」は火扁。
===============================
胡錦濤氏「院政」固める 中国、党規約で重要思想に 
2012/10/23 0:52 nikkei

 【北京=島田学】中国共産党は22日に開いた政治局会議で、持続可
能で調和の取れた社会発展を目指すという胡錦濤国家主席の考え方を
、党の重要思想として党規約に盛り込む方針を固めた。11月に開く党
大会で規約を改正する。胡氏が党の次期指導部の発足後も「院政」を
敷き、影響力を維持することが決定的となった。党大会で党総書記か
ら退いた後も、軍トップに当たる党中央軍事委員会主席の座にとどま
るとの見方も強まってきた。

憲法も改正へ
 胡氏の指導思想は「科学的発展観」と表現される。今回の改正で、
党規約の総則部分に「党が末永く堅持すべき行動指針」として、毛沢
東思想などと並んで明記される見通しだ。数年以内には中国憲法も改
正し、同様の考え方を盛り込むとみられる。

 これまで中国の最高指導者は、自分の考え方を党規約に明文化し、
引退後も「永遠の党指導者」(党関係者)の地位を得てきた。今回の
改正で、胡氏も毛沢東、トウ小平、江沢民各氏と並ぶ党指導者に位置
付けられることになる。

 科学的発展観の考え方は、2007年の党大会時の党規約改正でも一部
に盛り込まれたが、総則部分には明記されなかった。

 中国の国営新華社は22日、党規約の改正を決めた背景として、現在
の中国が「国家の発展にとって重要な戦略的機会にある」と指摘。こ
れを機に「科学的発展を進め、調和の取れた社会を促し、人民の生活
を改善し、福祉を向上させていく」と解説した。

 ただ、江沢民前国家主席が02年に党規約改正を図り、自らが提唱し
た「3つの代表」という考え方を盛り込もうとした際は、党内から大
反発を呼んだ。今回は重慶市トップだった薄熙来氏が失脚するなど、
党内の権力闘争は02年のときよりも激しさを増している。院政を狙う
胡氏の思惑が党内の反発を呼ぶ可能性はある。


コラム目次に戻る
トップページに戻る