4495.中国トップの動き



多維新聞網(10月13日付け)によれば、党軍事委員会副主任(事実
上の軍部トップ)で政治局員の徐才厚が、大連と青島を急遽視察す
るとした。この日時、胡錦涛は珍しく温家宝首相をしたがえて、大
連で空母「遼寧」の就航記念式典に出席した。

温家宝首相は、軍でのポストがないことで本来おかしいが、尖閣上
陸作戦が噂されている微妙な時期であり、秘密の戦略会議が行われ
たのでないか思われる。

この時期、米国が中興通訊ZTEと華為技術の2社を米国から締め出し
たり、米海軍第7艦隊の二つの空母打撃群が10月12日、インド
洋北東域のアンダマン海で合同の作戦訓練を行い、中国のシーレー
ン寸断を意図している。暗黙で尖閣上陸作戦への警告を行った。

このため、中国の政軍のトップと胡錦涛国家主席が戦略会議を開き
、沈静化にシフトした可能性がある。団派が太子党と勢力が互角に
なったことで、日本との紛争利用は中止しても良いことになってい
る。

また、安倍総裁「1ミリも譲る気はない」と米国のバーンズ国務副
長官に明言して、自民党政権にこの問題解決は期待もできないこと
を明確化した。

環球時報によると、他紙を引用するかたちで、南シナ海の重要性は
明らかであり、これを掌握することで中国が得る利益の大きさは尖
閣諸島よりも大きい。中国の今の実力では、領有権をめぐって全方
向に出撃するのは不可能だ。日本との争いをとりあえず沈静化して
、まずはフィリピンと対峙するべきだ。とした。

このため、羅照輝(ルオ・ジャオホイ)中国外交部アジア司長が来
日し、杉山晋輔・外務省アジア大洋州局長と意見交換を行った。
会談では次官級協議を近く開催することで一致したが、具体的な日
程は明かされない。中国側の意図は、日本の交渉前提を確認して、
先ほどのトップ戦略会議に情報を上げるためであるようだ。

これは軍部との調整が行われないと、妥協案ができないためであろ
うと、思われる。また日本の譲歩案である「領有権問題は存在しな
い」との原則を堅持しつつ、中国側の領有権主張は「認識している
」との立場を中国内部が合意できるかどうかである。

日本はこれ以上の譲歩はしないとしているので、まだ当分、紛争は
続くことになる可能性もある。自民党への期待感も中国は持てない
ので、民主党政権の方が組みし安しと思う可能性が高い。

さあ、どうなりますか?

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自民・安倍総裁「1ミリも譲る気はない」 米国務副長官と会談
2012.10.15 17:46 sankei[安倍晋三]

 自民党の安倍晋三総裁は15日、米国のバーンズ国務副長官と党
本部で会談し、沖縄県・尖閣諸島について「(中国と)話し合う余
地はない。領土問題はないのだから、1ミリも譲る気はない」と述
べ、日中間に領土問題が存在しないことを明確に主張した。「こち
らの考え方を見誤らないように(中国側に)伝えてほしい」とも付
け加えた。

 安倍氏は、米政府が対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の
適用範囲であると明言する一方で領有権については中立としている
ことに対し、「(日本と米国は)同盟国なのだから、日本に寄って
ほしいというのが日本の考えだ」と述べた。
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レコードチャイナ:<尖閣問題>日本の「国有化」、中国は意図的
に無視か―香港紙
2012年10月14日、香港・文匯報はこのほど、尖閣諸島の領有権をめ
ぐる日中対立問題について、米戦略国際問題研究所のブラッド・グ
ロッサーマン研究員の分析記事を掲載し、「中国は日本の『国有化
』の意図を読み違えたのではなく、将来的な外交戦略上、意図的に
無視した可能性がある」と指摘した。シンガポール・聯合早報(電
子版)が伝えた。

東京都の石原慎太郎知事が表明した尖閣諸島の購入計画、日本によ
る国有化、中国での反日デモ拡大など一連の日中対立深刻化につい
て、同記事はすべて中国の策略によるものと分析。中国は日本政府
の弱腰ぶりを認識しており、尖閣問題の外交利用を模索していたと
指摘。強行的な態度で日本を受けに回らせ、自らを被害者の立場に
置くことで、日本やその同盟国に不満を持つ国々との関係強化を図
ったとしている。

さらに同記事は、関係悪化の原因が何であれ、最終的には深刻な結
果を招く可能性があると予測。中国が日本の国有化を「意図的に無
視した」のだとしても、中国のこれ以上の台頭を避けるためにも日
本が引くことは絶対にないと指摘。中国が日本の国有化の意図を「
読み切れなかった」としても、日本政府による緊張緩和の努力は徒
労に終わると予測。最終的な問題解決の糸口は、中国が日本への猜
疑心を取り払い、日中関係改善を最優先に2国間関係を全面的に刷新
することだとしている。(翻訳・編集/AA)
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レコードチャイナ:<尖閣問題>日中が初めて対立緩和に向けた動
き、次官級協議近く開催へ―米紙
2012年10月12日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題をめぐり、羅照
輝(ルオ・ジャオホイ)中国外交部アジア司長が来日し、杉山晋輔
・外務省アジア大洋州局長と意見交換を行ったことについて、米紙
ニューヨーク・タイムズが「両国とも対立の緩和を望んでいること
を示すもの」と報じた。14日付で環球時報が伝えた。

藤村修官房長官は11日、羅氏が来日し、日本側担当者と尖閣問題で
意見交換を行ったと発表、中国側もこれを認めた。会談では次官級
協議を近く開催することで一致したが、具体的な日程は明かされな
かった。

記事は、この会談について、領土問題で冷え込んだ関係を打開する
ために両国が初めて見せた動きで、会談そのものに意義があると指
摘。両国ともにこれ以上対立が長引くことを望んでいないことを示
すものだとした。記事は、対立は中国各地で暴力的なデモが発生し
、両国の公船が公海で“追いかけっこ”をするまでに発展している
、と伝えている。

だが、次官級協議の開催は緊張緩和の第一歩になると期待が寄せら
れる中、日本では高官が「大きく譲歩するつもりはない」と話した
り、強硬姿勢の継続を求める声が依然根強かったりするなど不安要
素も残っている、と記事は指摘。玄葉光一郎外相も12日の記者会見
で「譲歩できない部分は譲歩しない」と述べ、15日からのフランス
、英国、ドイツ歴訪で「日本の立場を説明する」と強調した、と伝
えている。(翻訳・編集/NN)
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レコードチャイナ:「南シナ海の掌握が先、尖閣は後」これが中国
にとっての最善策―香港紙
2012年10月14日 13時49分
2012年10月12日、環球時報によると、香港紙・太陽報は「領海争い
は南シナ海が先」と題した記事を掲載した。

10月8日より南シナ海において米軍とフィリピン軍の合同演習が10日
間の日程で実施されている。このニュースは海外の華人社会や中国
大陸では無視され、メディアは日中間の尖閣(中国名・釣魚島)問
題に集中している。中央政府高官も尖閣問題を優先課題に置いてい
るに違いない。短期間ならばそれも必要かもしれないが、こうした
状況が長期化するのであれば、その方針は間違っているといえよう。
すべての領有権争いのなかで、先に解決すべきは南シナ海であり、
尖閣はその次だ。

今回の米・フィリピン両軍の合同演習地点は、中国が領有権を主張
する南沙諸島から300kmから500kmほどしか離れていないフィリピン
西南部のバラワン地区。こうした合同演習は頻繁に行われており、
国際軍事専門家は「米軍は合同演習を通じて、この一帯の環境への
適応性を増強させると同時に、この地に前線基地を建設しようとし
ている」と指摘する。

南シナ海の重要性は明らかであり、これを掌握することで中国が得
る利益の大きさは尖閣諸島よりも大きい。中国の今の実力では、領
有権をめぐって全方向に出撃するのは不可能だ。日本との争いをと
りあえず沈静化して、まずはフィリピンと対峙するべきだ。南シナ
海問題とは南沙諸島問題のことであり、南沙諸島のうち最も大きな
太平島は台湾が、2番目の中業島はフィリピンが、3番目に大きい南
威島はベトナムが実行支配している。この3島を手に入れれば南沙諸
島も南シナ海も手に入れることができる。まずこれを解決してから
日本と尖閣問題を話し合うことが、中国にとっての上策だといえる。
(翻訳・編集/本郷)
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 徐才厚(党軍事委員会副主任)が急遽、大連と青島視察へ
  空母の母港と青島の海軍基地は何が目的で、この時期に?
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012/10/13 no.3787

 多維新聞網(10月13日付け)によれば、党軍事委員会副主任(
事実上のトップ)で政治局員の徐才厚が、大連と青島を急遽視察す
ると発表があった。
表向きの目的は「党大会を前に団結を誇示し、胡錦涛主席に忠節を
誓うことを確認するため」とされた。「中国独自の社会主義の理想
と政策の実践を目的にハイテク技術をさらにたかめる」と強調する。

さきにも大連で空母「遼寧」の甲板で行われた就航記念式典に中山
服で出席した胡錦涛は珍しく温家宝首相をしたがえていた。温は軍
に何のポストもないから、これは団派が空母を掌握した象徴かとも
囁かれた。

徐才厚は大連で海軍艦艇学院にでむき、青島では北海艦隊本部を訪
問し、訓話をおこなう。しかし、この時期に表向きの理由はどうで
あれ、尖閣上陸作戦が噂されている微妙な時期に相当するから、あ
るいは秘密の作戦会議が行われるのではないかとする憶測も上がっ
ている。


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