4481.核ゴミ問題を原発推進派も考慮が重要



内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は2日、定例会議を開き、
今後の原子力利用の基本方針を策定する有識者による「新大綱策定
会議」の廃止決定に向け議論する。

原子力委員会から日本学術会議会長に要請があり、使用済み核燃料
を含む高レベル放射性廃棄物の「暫定保管」という提案と核廃棄物
の総量管理を導入することを提案している。

ということは、核ゴミの総量を制限して、その核ゴミを処理する方
法を早期に確立することが重要になったということである。

トリウム溶融塩炉など高濃度なMAがでない原子炉が再度、注目さ
れることになる。

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新大綱取りやめ、決定へ=原子力委
 内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は2日、定例会議を開き
、今後の原子力利用の基本方針を策定する有識者による「新大綱策
定会議」の廃止決定に向け議論する。
 新大綱策定会議は、新たな原子力政策大綱を策定する場として
2010年11月に発足。審議は今年5月から中断し、原子力委は
政府の「革新的エネルギー・環境戦略」の策定を待ち、再開を判断
するとしていた。
 9月にまとまった同戦略は、関係閣僚による「エネルギー・環境
会議」で今後の原子力政策を確立するとし、原子力委に関しては廃
止を含め在り方を抜本的に見直すとした。
 近藤委員長は定例会議で、先月にウィーンで開催された国際原子
力機関(IAEA)総会で、30年代の原発ゼロを目指す同戦略を
めぐり各国が示した懸念などを報告する。(2012/10/02-05:47)
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【 2012年9月12日 高レベル放射性廃棄物処分で日本学術会議が回答 】

日本学術会議が11日、原子力委員会から審議を依頼されていた高レ
ベル放射性廃棄物の処分についての回答を公表した。

原子力委員会から日本学術会議会長に要請があったのは、福島第一
原子力発電所事故が起きる前の一昨年9月。使用済み核燃料は全て再
処理するというのが原子力政策の基本方針であるため、審議依頼も
再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物だけを対象にしたものだ
った。しかし、日本学術会議高レベル放射性廃棄物の処分に関する
検討委員会(委員長・今田高俊・東京工業大学大学院社会理工学研究
科 教授)の回答は、使用済み核燃料も高レベル放射性廃棄物に含め
ている。政府は今、原子力政策の見直し作業を進めており、使用済
み核燃料を再処理しないで処分する方策を取り入れるかどうかは、
重要な論点となっている。

回答で目を引くのは、使用済み核燃料を含む高レベル放射性廃棄物
の「暫定保管」という提案。現在の原子力政策で示されている「最
終処分」でも「中間貯蔵」でもない新しい方式だ。「最終処分」は
、300メートルより深い適当な地層に処分すれば千年、万年という長
期間でも放射能の影響は心配ない、という前提にたっている。これ
に対し、「回答」は、専門家の全てがこうした前提を認めてはいな
い現実を指摘し、代わりに「数十年から数百年程度の期間、回収可
能な状態で安全に保管する」方式の利点を強調している。

こうした「モラトリアム期間」を置くことで「容器の耐久性、放射
性廃棄物に含まれる長寿命核種の半減期を短縮する技術の研究開発
」などを進め、「より長期的期間における責任ある対処方法を検討
、決定する時間を確保できる」としている。さらにこの間に、現在
、国民的合意が欠如している原子力政策の枠組みを再構築すること
も可能になる、という利点も挙げている。

このほか、多くの提言が回答に盛り込まれているが、今回の回答が
示すより大きな意義は、研究者の代表機関とされる日本学術会議が
、高レベル放射性廃棄物の処分という重要な課題について政府の機
関から審議を依頼され、それに応えたことではないだろうか。政策
決定における調査・助言機関として学界(科学アカデミー)が大きな
役割を果たしている欧米先進国に比べると、日本学術会議の影響力
は明らかに小さい。

行政側が指名する学識経験者ばかりの審議会や委員会ではなく、よ
り独立性が高い日本学術会議の今回の審議結果は果たして、見直し
作業の進む原子力政策にどれほどの影響を与えるだろうか。


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