4465.中国内部の権力闘争



中国内部の権力闘争を見ないと、日中関係も見えない。中国国内問
題が紛糾すると海外に敵を作り、それで国内をまとめるということ
は昔からの政治権力の鉄則である。その敵が現在、日本である。

しかし、中国国内の権力闘争を日本からはなかなか窺い知れないの
で評論家も無視してしまう。それでは全体像を見失うことになる。

報道を丹念に見ていくと、中国内部での権力闘争がわかる。

胡主席の共青団派陣営が党政治局常務委員7人のうち3人のポスト
を確保した模様であるが、「太子党」、「上海閥」も頑張っている。

党政治局員の職務を停止された同市党委員会前書記の薄熙来(ポー
・シーライ)氏(63)を党籍剥奪の処分とする方針を執行部は固
めたが、北戴河会議でひっくり返り、全人代代表資格について「取
り消しに関する申請は受け取っていない」と述べ、現時点での資格
維持を明らかにした。もちろん、党籍もある。

江沢民や広州軍管区などの反対のようである。軍人が中国党政治局
の20%を占めているので、政治に関与できる体制になっている。

反対に、3年程度権力を維持すると思われた胡錦涛が十八回党大会
で総書記、党軍事委員会主任の座を降り、13年春の全人代で「国
家主席」の座もおりて「完全引退」することになった。江沢民の力
でそうなったようである。

かわりに李克強に首相兼「党軍事委員会副主任」を交換条件ではあ
るが、共青団派の敗退ではある。

次期習近平政権の中枢に栗戦書(前貴州省書記。62歳)が決まっ
た。中央弁事処主任というのは中枢の首席補佐官であり、現在、胡
錦涛派の令計画(55歳)であるが、統一戦線部に移り組織部長を
兼任となった。令計画を降格させる嵌めに陥ったのは、どうやら薄
煕来失脚に対する上海派の報復と見られることが判明。

しかし、栗戦書も共青団派である。習近平政権の中枢は共青団派が
固めることになった。

次期政治局常務委員入りが確実と言われる李源潮は現在政治局員兼
組織部長。つまり党全体の人事権を持つ。李は太子党にして団派。

また、蒋潔敏シノペック(中国石油天然気集団)社長が失踪した。
治安や司法、公安部門などを統括する政法委員会のトップ周永康は
石油派出身、江沢民の引きでトップに加わったが、その人脈であり
、共青団派が関与した可能性がある。この政法委員会トップは次回
の常務委員とはならないことも決まった。

ボイス・オブ・アメリカによると、習近平副主席が中国が抱えてい
る問題は未曾有のもので、政治制度も含めた改革を掲げる方針を決
意しているという。「安定と同時に進歩と変革を求めなければなら
ない」と習主席は語ったと。

この路線は汪洋や温家宝と同じである。共青団派主流の胡錦涛は、
官僚主義者であり、党官僚の力を削ぐことには賛成していない。
しかし、民主化を推進した胡耀邦の子分である温家宝が、習副主席
をサポートした可能性がある。しかし、反対に共青団派・汪洋は、
常務委員になりそこなったようである。

逆に、習近平副主席は、太子党から裏切り者というレッテルを貼ら
れる可能性がある。このため、習近平国家副主席は、クーデターに
巻き込まれて、怪我をしたという噂も出るのである。アメリカのク
リントン国務長官やシンガポールのリー・シェンロン首相との間で
会談が予定されていたが、突然、キャンセルされ、およそ2週間、
動静が伝えられていない。

どちらにしても、共産党18回党大会で人事が決まるまでは、いろ
いろな権力闘争が起こる可能性が有り、日本が敵となることをしな
いことだ。

権力闘争の渦に巻き込まれて、戦争などという事態が偶発的に起こ
るか可能性があるためだ。
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中国副主席動静 外交筋で関心
9月14日 15時16分nhk

今月に入ってからおよそ2週間、動静が伝えられていない中国の習
近平国家副主席について、中国の新聞は死去した地方政府の元幹部
に弔意を示したと伝えましたが、外交筋の間では、けがや健康不安
などさまざまな臆測が出ており、その動静に関心が集まっています。

習近平氏はこの秋、予定される共産党大会で胡錦涛総書記に代わっ
て、最高指導者の地位に就くことが確実視されていますが、今月1
日にみずからが校長を務める党の幹部を養成する「中央党校」で講
演したあと、動静が伝えられていません。
今月5日には北京を訪れていたアメリカのクリントン国務長官やシ
ンガポールのリー・シェンロン首相との間で会談が予定されていま
したが、突然、キャンセルされ、外交筋の間では「水泳をしている
ときに背中を痛めた」という情報が出回っています。
こうしたなか、南部の広西チワン族自治区の政府系の新聞「広西日
報」は13日、習近平氏が地元政府の元幹部の死去に際し、弔意を
示したという記事を一面に掲載しました。
しかし、党大会を控えた時期におよそ2週間、動静が伝えられない
という事態に外交筋の間では、けがをしたという情報のほかに、健
康不安や最高指導部の人事を巡る権力闘争の激化などさまざまな臆
測が出ており、習近平氏の動静に関心が集まっています。
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 軍権は誰の手に落ちるか? 
  常万全か、あるいは総主流派体制なら劉源、張海陽が再浮上の
可能性も
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 2012/8/28 no.3736

 五年前の第十七回党大会で胡錦涛は、総参謀総長だった梁光烈を
はずし、国防部長に異動させた。
中国における「国防部長」とは行政上の虚席でしかないことは、国
家軍事委員会が党軍事委員会と比べると存在理由の希薄な状態と同
じである。「中国」なる国家は、一皮めくれば行政は飾りであり、
党が全てである。市長より市党委員会書記が数段上であるように。

 現在の総参謀長は陳丙徳である。
参謀部は表向きの本部は北京市西城区愛民街にある。軍が移動する
とき、配置に就くとき、すべての軍の司令がここに集約される。そ
して軍の参謀部の中枢は西山にあり、この地域は厳重な警戒態勢が
敷かれている。

さて次期参謀総長だが、房峰輝(北京軍管区司令員)と、章泌生(副参
謀長)の名前が取りざたされてきたが、ダークホウスとして、張又侠
(瀋陽軍管区慰司令員)の名前も挙がってきた。

 房峰輝は胡錦涛派。次期軍事委員会入りは確実。また章泌生(副参
謀長)は、二月に「中国人民解放軍は党ではなく国家に従属する『国
軍化』が望ましい」として発言で、停職処分を受けたとする報道が
なされたが、彼もまた胡錦涛派である。復活の可能性が極めて高い。

 ダークホウスの張又侠は「太子党」であり、父親の関係から第十
四軍との関係が深く、江沢民派と見られる。
江沢民派の徐才厚(現在、軍事委員会副主任)の覚えめでたく、江沢
民派優位ならば、張が総参謀総長に就く可能性がある。順当に行け
ば江沢民派の常万全が有力である。

このほか、軍事委員会入りしそうな太子党の面々と言えば、劉少奇
の息子の劉源のほか、海軍政治委員の劉暁江、国防大学政治委の劉
亜州、そして戦略ミサイル軍政治委員の張海陽が比較優位のポジシ
ョンにいるとされるが、北戴河会議で、どう決まったか。
 人事が公表されるのは第十八回党大会最終日になる。
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 玉突き人事、北京で開始。胡錦涛はウラジオストックのAPEC出席
  胡春華が重慶へ、令計画は統一戦線部へ、栗戦書が権力中枢大番頭へ
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012/9/3 no.3744

 第六世代のチャンピオンと言われる胡春華は内蒙古自治区党主席
から、重慶特別市の党書記へ就任し、政治局入りする。重慶の書記
だった薄煕来の失脚にともない、ピンチ・ヒッター書記である張徳
江は次期執行部入りする模様。
 
 ロイターや産経新聞などの観測では胡錦涛が十八回党大会で総書
記、党軍事委員会主任の座を降り、13年春の全人代で「国家主席
」の座もおりて「完全引退」するというが、かわりに李克強に首相
兼「党軍事委員会副主任」を交換条件として江沢民らに示している
という。
 多維新聞網などでは「軍歴のない李克強の、いきなりの副主任は
あり得ない」という観測が多い。

 さて次期習近平政権の中枢に栗戦書(前貴州省書記。62歳)が
決まった。中央弁事処主任というのは中枢の首席補佐官、中国語で
は「大内総管」という。
 現職の令計画(55歳)は統一戦線部に移り組織部長を兼任する
という。

 こうなると令計画にもスポットが当たる。
彼も胡錦涛派だからである。
 令計画は山西省出身で、はやくから共産主義青年団にはいり、団
の中央書記局弁公室主任として胡錦涛体制をささえ、02年からは
胡錦涛の秘書をつとめた。07年に中央弁公室主任に抜擢され、第
十七党大会で中央委員。

 こうみると習近平政権の中枢は団派が固めることになり、バラン
ス上、この玉突き人事は軍での太子党優遇、ほかの部署での上海派
人脈の温存に繋がる可能性が高い。
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 中国政界に最大のダークホウス登場
  李源潮組織部長の後釜に郭声昆(広西チワン自治区党書記)が
急浮上
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012/9/5 no.3746

 最後の土壇場に来て、まだまだ闇の奥の暗闘が続いている。権力
闘争とは、日本の民主党代表選や自民党総裁選のような、なまっち
ょろい戦争ではない。血で血を洗う政争である。

 胡錦涛が秘書の令計画を降格させる嵌めに陥ったのは、どうやら
薄煕来失脚に対する上海派の報復と見られることが判明した。薄失
脚の直接原因は夫人の英国人殺しだった。家族の犯罪が表面化する
と、連座するというわけだ。令は中央弁公室主任から、統一戦線部
長に左遷された。

 ことし3月、北京四環道路でフェラーリが事故を起こした。丹羽
大使のクルマから日章旗が奪われた道路である。フェラーリを運転
していた男性が死亡、乗っていた女性二人も重傷を負った。事故現
場の写真はネットからすぐに消されたので、誰?と憶測を呼んでい
た。

 この交通事故を起こし、死んだのが令計画の息子だった。9月3
日付けの『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』がすっぱ抜いた。
 これにより胡錦涛は右腕を奪われたかたちになり、令計画は上海
派の報復の餌食とされたわけだが、政治局員に昇格の展望も同時に
失われた。「博訊新聞網」(9月4日)は、「閑職の政治協商会議
副主席に最終的には落ち着くだろう」と予測している。


 玉突き人事は意外な人間を中央へ呼び寄せる。
次期政治局常務委員入りが確実と言われる李源潮は現在政治局員兼
組織部長。つまり党全体の人事権を持つ。李は太子党にして団派。

 広西チワン自治区の党書記は、郭声昆。1954年江西省生まれ
。74年共産党加入、北京科学技術大学で経済管理楽人卒業、第十
六、十七党大会で中央委員候補。国有企業数社の監事、総経理を歴
任し、2004年に広西チワン自治区で政界へ転出。同自治区人民
政府副主席(副省長に匹敵)、08年から広西チワン自治区党書記
。並びに全人代常務委員会主任を華ね「広西王」と言われた。

 郭声昆は下放された「知青」の経験もあるが、団派でも上海派で
もなく、高層部からの庇護がないので、これまでノーマークだった。
むしろ無派閥ゆえに組織部長に最適という評価が先行し、『明鏡月
刊』は、次期組織部長に抜擢されると、『最大の黒馬(ダークホウ
ス)』と伝えている。
(註 郭声昆の「昆」は王扁)
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 中国政界を揺らす椿事、シノペック社長が失踪
  資源派のナンバーツー、中央委員候補が会社から消えた
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012/9/6 no.3748

 「資源派」とくに石油派は政治的に大変な力を持っていることは
存外知られていない。政治局常務委員(序列9位)に上り詰めた周
永康は石油派出身、江沢民の引きでトップに加わった。

 このコースを狙っているのがシノペック(中国石油天然気集団)
の蘇樹林である。シノペックの会長ポストにある蘇樹林は福建省省
長代理を兼ねる。「政経分離」ではなく一致である。
しかも蘇樹林が、政治の場面では「資源派」の元締めと見られ、周
永康に近い。 

 さて失踪したのはナンバー2である。
 社長の蒋潔敏が最後に目撃されたのは7月で、以後、病気療養と
いわれたが、8月15日に海外へ出張し、行方不明となった。蒋は
1955年山東省生まれ、党学校に学び、政治家を志して、石油派
が近道とばかりシノペック労組書記、そして社長になった。

 蒋潔敏はCNPC(中国石化)社長兼同社党書記であり、昨年は
雲南省長兼任の辞令が発令されそうとする観測もあった(ジェイム
ズタウン財団発行『チャイナブリーフ』、11年4月22日号)。
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レコードチャイナ:<尖閣問題>胡錦濤ら政治局常務委員4人が相次
ぎ日本批判、香港紙は異例の事態と指摘―中国
2012年9月13日 11時19分
2012年9月12日、中国新聞網は記事「多数の中国高官が尖閣問題で強
硬コメント」を掲載した。

9日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、胡錦濤(フー
・ジンタオ)国家主席は野田佳彦首相と立ち話し、日本政府による
国有化方針に断固反対すると発言した。その後、呉邦国(ウー・バ
ングオ)全人代委員長、温家宝(ウェン・ジアバオ)首相、そして
李克強(リー・カーチアン)副首相が次々と日本非難の発言を続け
ている。

4人は中国共産党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員のメ
ンバー。香港紙・文匯報は極めて異例の事態であり、中国政府の尖
閣諸島防衛に懸ける決意を示したものだと評している。
(翻訳・編集/KT)
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党指導部に不穏な空気=習氏「失踪」、大会日程も未発表−負傷か
、臆測広がる・中国

 【北京時事】中国の次期最高指導者に内定している習近平国家副
主席が公の場に姿を見せなくなってから10日間以上が経過した。
中国筋によると、日課の水泳中に背中を負傷したとの説が有力。し
かし、自身が胡錦濤氏に代わり党総書記に就任する来月の共産党大
会を控える中、大会開幕日も公表できない異例の事態となっており
、党内に不穏な空気が流れている。
 習氏の「異変」は5日、クリントン米国務長官らとの会談を相次
いでキャンセルしたことで発覚。10日に予定されていたデンマー
クのトーニングシュミット首相との会談も取りやめになった。1日
に自身が校長を務める幹部養成機関「中央党校」の秋季学期開学式
典で講話したのを最後に、公の舞台から姿を消している。中国共産
党では国家指導者の病状は「国家秘密」で、中国政府は沈黙を続け
ている。
 共産党筋によると、5年に1度の党大会は10月中旬の開幕で調
整が進んでいる。過去の例では8月末の政治局会議で日程を確定し
、発表するケースが多い。習氏のけがは「深刻な状況ではない」(
消息筋)とされる。外見上負傷していると分かる状況であれば、報
道陣の入る外国要人との会談に姿を見せず、非公開の内部会議のみ
に出席する可能性が高いが、今回は政治局会議が開かれたとの情報
はない。
 8月29日を最後に公の場から遠ざかっていた党ナンバー8の政
治局常務委員・賀国強党中央規律検査委員会書記は12日、久々に
中央テレビの画面で動静が確認された。今も動静不明の習氏は党大
会準備の責任者でもあることから、間近に迫った党大会が順調に開
催できるか疑問視する声が出ている。(2012/09/12-22:05)  
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レコードチャイナ:「安定だけではなく進歩と変革が必要」政治改
革の決意固めた習近平―中国
2012年9月11日 7時28分
2012年9月7日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語サイトに
よると、ロイター通信はまもなく中国の最高指導者となる習近平(
シー・ジンピン)国家副主席が政治改革の決意を固めていると報じ
た。

記事は習近平副主席と接触した3人の情報提供者の話に基づくもの。
習副主席が中国が抱えている問題は未曾有のもので、政治制度も含
めた改革を掲げる方針を決意しているという。「安定と同時に進歩
と変革を求めなければならない」と習主席は語ったと明かしている。

また、情報提供者によると、習副主席は過去6週の間に、改革派とし
て知られる胡耀邦(フー・ヤオバン)元総書記の息子・胡徳平(フ
ー・ダーピン)氏らを訪ね、改革の加速について意見を交わしたと
いう。習主席は経済改革の加速に加え、自由度を拡大し、政治によ
るコントロールを緩和する必要性があるとの見通しを示した。
(翻訳・編集/KT) 
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「党が鉄砲を指揮する」 習近平は“軍権掌握”できるか 
2012.9.11 07:07 sankei
 今秋の中国共産党第18回党大会は、習近平が第5世代のトップ
指導者に就くことはほぼ間違いない。その場合、新指導者は軍権を
掌握できるのか、が課題となり、今回も胡錦濤の中央軍委主席留任
説が出ている。(フジサンケイビジネスアイ)

 中国には「党が鉄砲を指揮する」原則があり、党優位が絶対視さ
れてきたが、時代の趨勢(すうせい)から2つの問題が浮上してき
た。1つは党指導者の世代交代の中で集団指導体制化が進み、軍に
対する党側の優位が揺らいできたことである。もう1つが年間9万
件もの集団抗議事件が発生するなど国内不安が拡大、政権擁護のた
めに軍など強権力への依存を強めてきたことだ。

 共産党独裁政治が軍部の支持を不可欠とする中で、軍功や軍歴の
ない世代の指導者は強大な武力集団を指揮できるのか、軍権掌握に
苦慮してきた。

 実は、このような事態を予測してトウ小平は1980年代に軍事
改革を進め、軍の国軍化や軍統帥の法治化を図ってきた。それは個
人的なカリスマ性や権威による統帥からシステム的な法治の統帥に
変換する思惑であった。しかしトウ小平は解放軍の政権を支える「
党の柱石」機能も重視しており、改革が不徹底となって今日に至っ
ている。党軍関係は、軍側が党軍として党の権威に直結して既得権
を守ろうとするようになり、党軍のもたれ合いが進んでいる。

 さらに近年は解放軍が勢力を伸ばし、保守的な勢力として自己主
張を強め、軍事外交などで強面を前面に出してきた。近年の例でも
海洋進出の活発化やその強硬姿勢で摩擦を反復し、台湾への武器売
却をめぐって米国への対決姿勢を強め、サイバー攻撃や宇宙の戦力
化などが世界を懸念させてきた。これらは中国の「平和的発展」や
「国際和諧路線」などの対外戦略に疑念を抱かせるマイナス効果も
生み、軍のやり過ぎが目立ってきた。

 このような推移にあって今秋に習がトップの座に就くが、江や胡
と違って有利な点もある。習は軍の元老・習仲勲の長男であり、清
華大学卒業後は父親のコネで国防部長秘書になり訪米にも随行する
など、関わりを深めていた。また彭麗媛夫人は「軍営の歌姫」とし
て有名で、軍総政治部下の歌舞団長・少将にあり、軍部との大きな
絆となろう。これら個人的な軍との関連は習の軍権掌握にプラスに
作用しようが、逆に手足を縛る可能性もあり、トップ就任後の党軍
関係が注目される。(拓殖大学名誉教授・茅原郁生) 
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薄熙来氏:「刑事訴追を免れる見通し」香港紙
毎日新聞 2012年09月07日 20時12分(最終更新 09月08日 00時11分)

 【上海・隅俊之】香港紙、明報(電子版)は7日、重慶市トップ
の共産党委書記を解任された薄熙来(はく・きらい)氏の取り調べ
を続けていた党中央規律検査委員会が「重大な違法行為はなかった
」と結論づけたと報じた。薄氏の妻、谷開来(こく・かいらい)氏
が英国人実業家を毒殺した罪で8月、執行猶予付きの死刑判決を受
けており、薄氏も事件への関与が取りざたされていた。

 明報によると、中央規律検査委は「谷氏と英国人の関係について
事情を知らず、殺害にも介入しなかった」と結論づけたという。ま
た、薄氏は海外での不正蓄財など経済事件への関与も疑われたが、
これも訴追されないとみられる。薄氏は党規律の違反で処分を受け
るとみられるが、刑事責任の追及は免れるとしている。

 明報は、薄氏が、天安門事件で失脚し、その後、軟禁生活を送っ
た趙紫陽元総書記と同様に、政治的には「死刑」判決を受けるが、
一定の生活待遇や身の安全は保障されるとの消息筋の見通しを伝え
た。 
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中国の胡主席、完全引退を検討 李克強氏を軍事委副主席に

 【北京共同】中国の胡錦濤国家主席(共産党総書記)が、来月に
も開かれる第18回党大会を経て軍トップの中央軍事委員会主席ポ
ストを次期最高指導者の習近平国家副主席に譲り、来春までに党、
国家、軍の全ての役職を退く完全引退を検討していることが分かっ
た。中国筋が3日明らかにした。

 胡主席は完全引退の条件として、胡主席派で温家宝首相の後任と
なる見通しの李克強副首相を軍事委副主席に充てることを党内で要
求。李氏が軍事委副主席になれば、政府の軍への関与が可能になり
、文民統制が強まるなど軍の改革につながるとの狙いがあるようだ。
2012/09/03 18:37   【共同通信】
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最高指導部「7人体制」=習近平総書記・李克強首相−来月中旬に
共産党大会・中国
 【北京時事】近く開かれる5年に1度の中国の共産党大会で焦点
となる最高指導部・政治局常務委員会の体制について現在の9人か
ら7人に減員となることが3日までに固まった。複数の共産党筋が
明らかにしたもので、党トップの総書記に習近平国家副主席(59
)が就任。来年3月の全国人民代表大会(国会、全人代)で国家主
席に習氏、首相には李克強常務副首相(57)が就任することも内
定した。党大会開催は10月15日を軸に調整が進んでいるとみら
れる。(2012/09/04-02:32) 
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薄煕来氏の代表資格は維持 中国全人代
2012.8.31 17:14 [中国]
 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の何紹仁新
聞局長は31日の記者会見で、重大な規律違反があったとして重慶
市トップを解任された薄煕来氏の全人代代表資格について「取り消
しに関する申請は受け取っていない」と述べ、現時点での資格維持
を明らかにした。

 全人代代表は不逮捕特権を持つ。胡錦濤指導部は最高指導部が入
れ替わる秋の共産党大会を控え、薄氏の党籍や代表資格を剥奪する
かどうかなどを慎重に検討しているとみられる。

 薄氏の失脚につながった米総領事館駆け込み事件を起こした王立
軍元重慶市副市長は6月に代表資格が取り消された。(共同)
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焦点:中国共産党、治安責任者ポストの権限縮小を検討
2012年 08月 30日 15:02 JST 

[北京 30日 ロイター] 関係筋によると、年内に予定されて
いる中国の指導部交代に伴い、中国共産党は治安部門責任者の権限
縮小を検討している。現在、そのポジションを務めているのは周永
康・共産党中央政法委員会書記で、同氏の強大な権限に対して最高
指導部が懸念を強めているためという。

中国共産党は、政治局常務委員会のメンバーを9人から7人に削減
すると観測されており、引退が予定されている周永康氏の後任らを
常務委員会メンバーに加えない形で、指導部のスリム化が図られる
とみられる。

周永康氏は2007年に政治局常務委員会メンバー入りし、治安や
司法、公安部門などを統括する政法委員会のトップとして、強力な
権限を握ってきた。党内序列は9位。

周永康氏は69歳で、今年行われる第18回共産党全国代表大会を
最後に引退する予定だが、多数の関係筋によると、次期指導部人事
などを協議した先の秘密会合で、周氏の後任者のランクを引き下げ
ることが固まったという。

今回で引退を決めている幹部の一人は、匿名を条件に「中央政法委
員会書記のポストは、常務委員会に加えられないようだ。(周氏の
後任となる)書記は、常務委員会メンバーの誰かへの報告が必要に
なる。基本的に、彼は自分の判断で決めることはできなくなるだろ
う」と語った。

常務委員会の構成メンバーについては、「すべての人事が決まった
とは思わないが、(9人でなく)7人になることは間違いないよう
だ」と述べた。

周永康氏は、妻のスキャンダルなどで事実上失脚したとみられる薄
熙来氏を擁護していたとみられているほか、自宅軟禁されていた盲
目の人権活動家、陳光誠氏が米大使館に駆け込むのを治安当局が阻
止できなかったことも批判されている。

上海にある同済大学のXie Yue教授は、そうした治安当局の失態や周
永康氏の行動を受け、胡錦濤国家主席や次期国家主席就任が確実視
されている習近平副主席が、警察や治安当局に対する監視を強める
必要があるという認識で一致したもようだと指摘、「胡錦濤氏と習
近平氏が中央政法委員会の政治的位置づけを引き下げる方針を主導
したようだ」との見方を示した。

Xie教授はさらに「中央政法委員会の立場はやや弱くなるだろう。後
任の書記は主な決定に直接関与できなくなる可能性が高い」と述べ
た。

複数の関係筋によると、周永康氏の後任としては、孟建柱公安部長
が最有力視されている。

<予想外の人事も>
関係筋によると、政治局常務委員会をスリム化する計画は、次の指
導部が、問題により機敏かつ結束して対応したいと考えているため。

政治動向に詳しい弁護士のPu Zhiqiang氏は「胡錦濤主席/温家宝首
相の体制は、権力や責任を分散した結果、多くの問題を引き起こし
た。次の指導部は、もっと迅速に行動したいと考えている」と指摘
している。

関係筋によると、7月末に権限移譲などについて話し合われた指導
部の秘密会合で、胡錦濤主席は数百人の幹部を前に、数時間にわた
って熱弁をふるった。

国営メディアは胡錦濤主席のスピーチについて簡単に伝えただけだ
ったが、関係筋は「胡錦濤主席は多くの問題や潜在的な危機につい
て話した。彼は不安を持っているようだった。汚職、環境、経済に
関する問題など、共産党が直面しているあらゆる問題を取り上げた。
そうした危機感が常務委員会をスリム化する理由のひとつになって
いる」としている。

新たな常務委員会メンバーについては、まだ最終決定していないと
みられており、予想外の人選があり得るとの見方もある。

ある当局者は「多くの関係者は、(常務委員会メンバーが)7人に
なると考えているが、すべては、そのメンバーに誰が入るかにかか
っている。最終的な合意には達していない」と述べている。

政治専門家のジョセフ・フューズスミス氏は、2002年の第16
回共産党大会前にも、常務委員会メンバーを7人にするという見方
があったが、実際には9人となったとした上で、「私の見方では、
まだ交渉が続いているようだ。共産党大会の日程がまだ決まってい
ないことも驚きだ。依然として予想外の人事があり得る」と述べて
いる。

(Chris Buckley 記者;翻訳 長谷部正敬) 
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 十八党大会直前、王洋(広東書記)が意欲的な論文を発表
  大胆に「胡錦涛の政治遺産により広東省は『広東幸福』を実現
した」(人民日報)
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2012/8/27no.3735

 8月24日付け「人民日報」に王洋(広東省書記)が寄稿している。
 題して「走広東特色的科学発展之路」。中味は胡錦涛政権の十年
を礼賛、胡錦涛の経済発展の基礎理論である「科学的発展観」を激
賞し、この路線を忠実に守って努力した結果、広東は「広東幸福」
と言えるようになった、と。

 「ただし経済の産業分野別に凹凸はあるうえ、国際金融危機にも
直面したが、広東は牢固として『科学的発展観』に準拠し、一致団
結、統一思想のもとで、進取の精神取り入れた結果、順当は経済発
展を達成した」とする。

 成功の原因は「(1)改革開放思想の正しさ、(2)中国的社会
主義市場の堅持、(3)産業の転換に力点を入れ、(4)人民の福
祉を心がけ、(5)党の根幹が企業管理をしてきた」からであると
する。

中味はあくまでも抽象的で曖昧、よくよく文章を咀嚼しようにも、
何を言っているのかよく分からないという「特色」がある。
いや、これこそが王洋的特色的科学的発展観かも。

北京筋の情報に寄れば、王洋はこの論文で胡錦涛を激賞することに
より、はっきりと上海派との距離を明確にして、次期中枢入りを確
実なものとする狙いがあるという。

(註 王洋の「王」はさんずい)
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薄熙来氏、党籍剥奪へ 胡主席派、保守派押し切る
2012年8月26日9時7分

 中国共産党が、重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件などの責
任を問われ、党政治局員の職務を停止された同市党委員会前書記の
薄熙来(ポー・シーライ)氏(63)を党籍剥奪(はくだつ)の処
分とする方針を固めたことが分かった。党の指導者らが集まって今
月上旬に河北省北戴河で開かれた非公式会議で決定した。会議の出
席者に接することができる複数の党関係者が明らかにした。

 薄氏をめぐっては、後ろ盾だった江沢民・前国家主席ら党内の保
守派勢力が厳しい処分に反対していたが、胡錦濤(フー・チンタオ
)国家主席(党総書記)に連なる勢力がこれを押し切った形だ。今
秋の第18回党大会で決まる次の最高指導部人事の調整においても
、胡氏が強い政治力を維持していることを示す決定といえる。

 胡氏は最高指導部である政治局常務委員会の次の顔ぶれを巡って
、委員の数を現在の9人から7人に減らすことを主張しているとさ
れ、党大会で総書記を退いた後も、自身の出身母体である共産主義
青年団(共青団)系の政治勢力が政策決定を優位に進めることがで
きる態勢を求めている。薄氏の処分はこうした人事をめぐる駆け引
きに大きな影響を与えるとみられる。  


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