4459.エネルギー革命が日本から



日本は、このままでは確実に衰退に向かっている。この状況を止め
る切り札カードを政府も評論家も分からないでいる。しかし、確実
に、エネルギー問題で革新的な技術が日本で準備されている。その
検討。     津田より

0.現状の状況
日本は、AV系の家電が衰退して基幹産業が自動車と重工業しかない
状態になった。工場はどんどん海外に出ていき、日本は空洞化して
いる。また、高齢者が増え、若者が減り、全体の人口が減少に転じ
、年金の支給が増えて財政破綻を案じる事態になっている。

しかし、工場がなくなり、若者の就職先も減少して就職もままなら
ない。この無職の若者たちは家庭保護を請求するので、益々財政が
逼迫している。最低賃金より家庭保護の方が多く貰えるために、就
職しないで、保護を求める若者が増えている。

その上に原発事故で国民は原発廃止を早急に求めている。安いエネ
ルギーを止めて、その代わりに高い不安定な再生可能エネルギーを
使おうとしている。このため、国民の世論に絶望して産業界は、益
々海外に工場を移すことになる。

そして、その状況を見て、多くの海外の評論家たちは日本が衰退す
ることを確実視する。新衰退国という名前を仮す評論家もいる。

日本のその状態を見越したように中国や韓国は領土問題などで日本
を攻めている。このように日本が衰退するというその時に、周辺諸
国は日本に攻勢をかけてきている。戦争になった時には、日本が最
終的に負けると見ているために、強気に出ている。

このように、日本を取り巻く状況は、衰退すると見られて厳しいこ
とになっている。このため、徐々に日本の世界におけるステータス
は下がっている。

世界もインターネット革命後の新産業分野がなく、イノベーション
が無くなり、中国などの新興国に技術的に追いつかれてきている。
戦後続いた弱電の技術革新の泉も掘り尽くした状態になっている。

新分野として省エネ技術を期待したが、それも新興国に拒否されて
行き詰り、新分野の新しい技術分野の開拓が待たれているところで
ある。

1.準備された技術が花開く
その動向に合わせたかのように日本文化が再評価されてきたが、日
本人の気質は、基本的な理論はあるが、その理論を完成するには、
膨大な技術改良が不可欠である分野を、丹念で緻密な仕事をして根
気よく長期に行い、完成させるのに向いている。

そして、とうとうこの気質で長いこと絶望視されていた画期的な技
術が、やっと日の目を見ることになりそうである。トヨタが2015
年に燃料電池の商用車を発売すると宣言した。その価格が350万
円程度と今までの燃料電池車と比べて猛然と安い。

このコラムでも「燃料電池をめぐる世界再編成」として2000年
に取り上げている。15年もの間、主に日本だけでコスト削減の研
究が行われていたのだ。バラード社の燃料電池スタックは、1000
万円もしていて商用化しても、誰も買えない。ホンダもリース方式
で貸出していたくらいである。

この燃料電池スタックのコスト削減が営々と15年以上も研究され
てきたのである。

一番高価なのが白金である。この白金の使用量を減らす解決策とし
て、代替触媒の開発があった。そして、白金に代わる触媒として、
「カーボンアロイ触媒」という材料が発見された。群馬大尾崎純一
教授が第一発見者であり、日清紡と共同研究している。

この将来的に有望な材料に、東工大、東大、北陸先端科学大、帝人
が研究に参加し、NEDOが研究資金を出して組織的に研究してい
る。

2010年に1Vの電力を得て、2015年までに白金と同等以上
の性能・耐久性を出すことを目指している。この研究成果をトヨタ
とホンダ、日産は使うようである。

研究内容であるがカーボンの構造を調べ、窒素を少し含ませること
でどのような特性になるか、いろいろなバリエーションで調査して
、また、構造を解析して、一番性能が上げる構造は何かを見極める
ことを営々と積み重ねてきた。日本人が得意とする研究構造である。
他の国ではできない地道な研究を15年以上もしている。

水素タンクなどの研究も並行して進み、水素が容器から漏れ出すこ
とはなくなっている。このように、15年の歳月を掛けた地道な研
究の成果でやっと燃料電池は、モノになるのである。このほとんど
を日本が独自で研究したことで、日本でしかできない分野になって
いる。

しかも、カーボンが安価であり、その上に少量の窒素を付着させる
だけであり、材料はありふれた物である。このため、資源の心配も
ない。

そして、トヨタは宣言している。普及開始に向けて2008年に市場に
導入したトヨタFCHV-advの1/20以下にすることを目標にして開発を
進め、2015年に、その車を出すと。やっと実現することになる。
1000万円の燃料電池スタックを50万円以下にするということ
である。

2.燃料電池で変わるエネルギー
しかし、この安価な燃料電池車ができると、自動車が発電所になる
ことを意味する。災害時でも自動車があれば、電気の心配がいらな
くなる。ピーク時に家で自動車からの不足分の電気を使うこともで
きる。

家庭用燃料電池コジェネレーション(熱電併給)「エネファーム」
もあり、社会のエネルギーの中心は燃料電池になる。ホンダは家庭
で水素を産み出し、自動車に搭載できる「エネファーム」を発売す
る計画を持っている。

そして、白金触媒が不要な安価なSOFC(Solid Oxide Fuel Cell:固
体酸化物形燃料電池)が家庭用燃料電池では普及することになりそ
うである。

また、ドイツでは自然エネルギーを導入した2000年以降、電気料金
は上昇傾向にあり、家庭用は2000年時点に比べて1.8倍以上も上昇し
た。自然エネルギーの不安定性で、大量の予備火力を作る必要があ
るために、そうなっている。

しかし、この水素は、不安定な電気を安定化させることもできる。
風力、太陽光発電で生み出した電気を一度、水素に変えて、水素で
電気を蓄積し、その水素を必要な量だけ、再度、電気に変えること
で、電力量の調整ができる。不安定な自然エネルギーを安定化でき
るために、予備火力が必要なくなる。

この動向を推進する「HyGrid研究会」が発足した。2030年まで
にHyGridモデルによる低炭素社会を実現させるという。

また、洋上風力発電は、ソーダ電解プロセスで海水・水と電気から
、カセイソーダ、塩素ガスと水素を生み出すことで、経済上のメリ
ットが大きな産業になる可能性が出ている。

しかし、政府が発表する原発ゼロ工程表の中に、水素や燃料電池な
どが大きく取り上げられていない。なぜという大きな疑問符が着く。

地道な技術開発が次の世界を切り開くのであり、政府も国民も希望
を持って水素社会構築に進んで欲しいものである。そして、日本人
の特性に合っている地道な努力がある限り、いろいろなモノ・技術
を日本は手に入れることになる。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
139.燃料電池をめぐる世界再編成
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak1/120330.htm
431−3.燃料電池をめぐる世界再編成−第二章(3)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1302053.htm
436−2.燃料電池をめぐる世界再編成
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1302102.htm
459−1.水素社会の構築にむけて
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1303051.htm
4389.水素社会への道筋
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L4/240626.htm
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2013概算要求/経産省、「エネファーム」補助倍増
2012年09月07日 06時00分日刊工業新聞

 経済産業省は2013年度予算概算要求で、電力ピークカットに
有効な家庭用燃料電池の普及支援について、発電時の排熱で貯湯タ
ンクの水を温める家庭用燃料電池コジェネレーション(熱電併給)
「エネファーム」の導入支援補助金を大幅に増額する。
 12年度当初予算の90億円からほぼ倍増の約170億円を計上
した模様。ガスを改質した水素で発電するエネファームは、ガスエ
ンジンコジェネに比べて発電効率が高いが、価格が約3倍と初期投
資が課題になっている。
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JXエネ、燃料電池「エネファーム」の生産・販売体制を再編
2012/9/7 20:16:日本経済新聞
 JX日鉱日石エネルギーは7日、家庭用燃料電池「エネファーム
」の生産・販売体制を再編すると発表した。昨年秋に売り出した発
電効率が高い新型機種に販売を一本化し、子会社による生産から撤
退する。受注台数の8割強を占める新型に経営資源を集中して事業
の収益を改善する。

 これまでは2種類の製品を扱ってきたが、「固体酸化物型燃料電
池(SOFC)」に絞り込む。生産は石油ファンヒーター最大手の
ダイニチ工業に委託している。現在の価格は1台約270万円だが、調
達コストの削減などで2015年度には50万円まで価格を下げ、年間5
万台の販売を目指す。

 JXエネルギーは三洋電機の燃料電池事業を事実上買収し、08年
に子会社のENEOSセルテック(群馬県大泉町)を設立。先行し
て、もう一つの方式である「固体高分子型燃料電池(PEFC)」
を生産していた。保守サービスは続け、子会社はメンテナンス部品
製造会社として残す。

 燃料電池は液化石油ガス(LPG)や都市ガスを燃料にして電気
や湯を作る。PEFCを手掛けるメーカーはパナソニックと東芝子
会社だけになる。パナソニック製は東京ガス、東芝子会社製は大阪
ガスなどが扱っている。
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トヨタなど、水素活用のエネルギー需給システムを検討するHyGrid
研究会を設立
レスポンス 9月5日(水)8時59分配信
 
川崎重工業、トヨタ自動車などは、水素を最大限に活用することで
エネルギー需給システムの最適化するモデル「HyGrid」について検
討する「HyGrid研究会」を発足した。

研究会に参加するのは他に九州大学カーボンニュートラル国際研究
所、テクノバ、ローランド・ベルガー。

研究会では、HyGridモデルによる低炭素社会を2030年までに実現さ
せることを目指し、地域単位で産学官などによる検討体制を構築、
地域の実情に合わせた最適なエネルギー需給システム「HyGrid」に
ついて研究する。また、地域経済を支える仕組みとしての可能性に
ついても研究する。

風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、出力(発電)が日単位
や季節単位で大きく変動する。この変動の吸収のための蓄エネルギ
ー技術として水素は、蓄電池(リチウムイオン電池、NaS電池)に比
較して長期のエネルギー貯蔵とコスト面で有利だ。

研究会では、再生可能エネルギー導入に積極的な自治体と連携して
、再生可能エネルギーを利用して、水電気分解、得られた水素の貯
蔵、水素による燃料電池による発電と水素自体の利用といった一連
の統合システムを研究、開発する。
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トヨタのHPで
FCV 今後の展開
水素は電気に比べてエネルギー密度が高い上に、航続距離確保のた
めのタンクの容量を増やしても電気自動車ほど極端なコスト増には
ならないため、同じゼロエミッションであっても、一定距離以上は
燃料電池車FCVの方がメリットが大きくなります。

FCVがもついくつかの技術的課題の内、航続距離、水素充填にかかる
時間、氷点下での始動性は、ほぼ解決の目処がついてきました。

今後、量産化に向けて解決すべき課題は、コスト低減、小型・軽量
化、燃料電池の耐久性などがあり、これらを解決すべく、開発を進
めております。

FCシステム全体のコストは、普及開始に向けて2008年に市場に導入
したトヨタFCHV-advの1/20以下にすることを目標にして開発を進め
ています。

また、生産技術面での量産化技術開発は非常に重要なことであり、
トヨタでは、FCVの心臓部である、FCスタックと70MPa水素タンクを
自社生産しています。

水素は、将来の有力な自動車用エネルギーの一つとして考えており
、現在、トヨタグループとして、乗用車とバスの技術・商品開発に
注力しています。

現行のFCHV-advの次期モデルにつきまして、日米欧の水素供給イン
フラが整備される見込みの地域へ2015年までに、新型FCVの一般のお
客様への販売を計画しています。
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普及に向けた課題と解決への糸口
http://www.nationalgeographic.co.jp/environment/global-warming/fuel-cell-article/challenges/
最終回となる今回は、燃料電池システム本体とインフラそれぞれの
現状の課題に触れながら、その解決に向けた動きを紹介しよう。 

コスト低減の大きな障壁
燃料電池の普及に向けた課題は各フェーズで様々なものがあるが、
燃料電池システム本体の最大の課題はコストの低減だ。家庭用燃料
電池エネファームや燃料電池自動車は、これまで性能を市場化でき
るレベルまで向上させるため、部品や材料劣化の原因究明を進め、
システムの最適化と高性能化を図ってきた。しかしその一方で、仕
組みは複雑化し、多くの貴金属を必要とするシステムになった。こ
れがコスト高の要因となっている。今後は、現状の性能を維持した
コストダウンが求められており、方法としては次の2つのアプロー
チが考えられる。

低価格化実現のための2つのアプローチ
まず一つが技術開発によるスタック材料の低コスト化だ。現在、家
庭用燃料電池の製造コストの約20%、燃料電池自動車の約60%をセル
スタックという部品が占めている。その中でも、化学反応を促進さ
せる触媒となる白金がコストを増大させる一因となっている。現在
家庭用や自動車搭載用の主流であるPEFC(Polymer Electrolyte 
Fuel Cell:固体高分子形燃料電池)方式では高価な白金が不可欠
なのだ。
 
高価な白金使用量を減らす解決策は、白金触媒の飛躍的な高活性化
または代替触媒の開発である。白金に代わる触媒としては、「カー
ボンアロイ触媒」という材料が注目されている。これまでの研究に
より、数%の窒素を含んだ炭素が主成分であり、白金触媒同等の触
媒作用があることが究明された。群馬大学と共に研究に取り組んで
きた日清紡ホールディングス株式会社は、2009年に白金代替触媒と
しては世界最高レベルの発電性能を確認したことを発表しており、
実用化への期待が高まっている。また、カーボンアロイ触媒以外の
触媒として、酸化物系材料の研究も独立行政法人新エネルギー・産
業技術総合開発機構(NEDO)の主導により行われている。
 
触媒(白金)以外にも、燃料電池の心臓部である電解質膜の材料や
、セルを区切り水素や酸素を送り込む役割を担うセパレータなど、
セルスタックの様々な部品の低コスト化が求められている。これら
もNEDOが推進するプロジェクトのもと、産学連携により研究が進め
られている最中だ。
 
そして、コストダウンのために重要なもう一つの方法が量産化であ
る。前述の材料費の削減は技術開発に頼るところが大きいが、最後
には量産化が鍵を握る。家庭用燃料電池については、そのシステム
コストの約70%が周辺機器のコストであるが、NEDOの担当者によると
、その理由は市場に数が出ていないからであり、量産化によって改
善するところが大きいという。また、基幹部品メーカーの担当者も
、「コスト削減は量産効果でクリアされる部分が大きい」と語る。
燃料電池の普及に伴い企業が量産化を始めれば、一気にコストダウ
ンが図られるだろう。NEDOの策定したロードマップによると、家庭
用燃料電池では、本格的な製造設備を導入した量産効果と技術革新
によって普及期の2015年頃には、現状の200万円から50〜70万円(10
万台/年/社 生産ケース)に、そして燃料電池自動車のシステムで
は、現状技術ベースで量産化技術の導入(量産50万台)を仮定する
と現状の数千万円から100万円程度まで下がるという目標が出されて
いる。
 
別の発電方式でコスト削減も
すべての燃料電池の中で潜在的に最も低コストで発電できる燃料電
池として、現在主流となっているPEFCではなく、白金触媒が不要な
SOFC(Solid Oxide Fuel Cell:固体酸化物形燃料電池)の活用もあ
る。SOFCはスタック作動温度が摂氏700〜1000度と高温となるため、
家庭や自動車に利用するのは難しいと考えられてきた。しかし、発
電効率の高さと燃料多様化への対応が可能、さらに、家庭用から大
型事業用まで用途展開が想定されているため、注目が集まっており
、現在研究が進められている。
 
SOFCの場合、セルスタックの周辺部品も高温条件下で機能する必要
があるため、耐久性のある部材が求められるなど課題も残されてい
るが、現在はこれを解決するため、SOFCを採用した家庭用燃料電池
を様々な環境下に設置してデータ収集などを行う実証実験がNEDOに
より行われており、実用化への動きが加速している。
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日本の「お手本」ドイツで太陽光発電大きく後退 家庭用中心に
電気料金高騰、供給に対する不安も
2012/9/ 8 13:00jcat

いち早く「脱原発」に舵を切ったドイツで、太陽光発電が急速に萎
んでいる。
ドイツはCO2削減を目的に2000年に再生可能エネルギー法を施行し、
太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの「全量固定価格買
い取り制度」(FIT)を導入。いわば、日本が「お手本」としている
国だ。そのドイツがいま、電気料金の高騰に苦しんでいる。
買い取り価格引下げ、数年後には買い取り中止に
太陽光発電の先進国ドイツが、電気料金の高騰で電力政策の見直し
を余儀なくされた。2000年に導入した再生可能エネルギー法を12年
6月末に改定し、太陽光発電の買い取り価格の20〜30%の引き下げと
、太陽光発電の累計設備容量が5200万キロワットに達した後は太陽
光発電の買い取りを中止することを決めた。
ドイツの太陽光発電はすでに設備容量が累計で2700万キロワットに
到達しており、2016年にも5200万キロワットに達するとみられてい
る。
これまでは全量を20年間、固定した価格で買い取ってきた。太陽光
発電の設備投資には補助金も出され、それを追い風に太陽光発電の
設備容量は2005年以降、世界第1位だ。
ところが、発電電力量に占める割合は電力全体の3.3%に過ぎない。
さらには電気料金が高騰し、国民負担が大きくなってきた。
ドイツではFITを導入した2000年以降、電気料金は上昇傾向にあり、
家庭用は2000年時点に比べて1.8倍以上も上昇した。
ドイツの電力事情に詳しいNPO法人国際環境経済研究所の竹内純子・
主席研究員は、「ドイツのFITでは、大規模需要家は国際競争の観点
から費用負担が大きく減免されているのですが、それ以外は電力消
費量に応じた負担ですのでやはり不満が大きく、実際に繊維業界が
先日、再生可能エネルギー法が憲法違反であるとして訴訟を起こし
ました。さらに脱原発に伴い、電気料金が上昇すること、また供給
に対する不安が出ています。ある大手銅メーカーは10分の1の停電で
も生産ラインが停止してしまうとし、停電の少ないドイツに生産拠
点を置くメリットが失われつつあることに懸念を表明しています」
と説明する。
また、供給が不安定な太陽光発電をバックアップする発電所として
火力発電所を維持する、「二重の設備投資」を強いられ、そのコス
トも電気料金にのしかかる。さらにドイツでは石炭や褐炭が採掘で
き、安く手に入ることもあって、石炭・褐炭による発電所がいま続々
と建設されていて、その費用も上乗せされる。
石油や石炭・褐炭への依存度が上がれば、CO2排出量も上がるのだか
ら、何のために再生可能エネルギー法を施行し、FITを導入したのか
もわからなくなっている。

産業育成にも結びつかず、補助金もバラマキに終わる
まだある。ドイツの太陽光発電メーカーは、中国メーカーによるダ
ンピング競争に巻き込まれ、一時は世界のトップメーカーだったQセ
ルズまでも破たん。産業育成にも結びつかず、補助金もバラマキに
終わった。
なぜ、ドイツの太陽光発電はこれほどまでに後退しているのだろう――。
前出の竹内氏は「ドイツでは太陽光発電の稼働率が10%程度である
ことなどはわかっていたはずですが、再生可能エネルギーの導入に
よる負担上昇や、産業政策上では中国との価格競争について見誤っ
たといえます。また、太陽光発電事業者の政治的ロビーイングが激
しかったことは大きく影響しているでしょう」とみている。
竹内氏は、「ただ、こうした状況はいまの日本にそのまま当てはま
ります」とも指摘する。
ちなみに、政府の試算では2030年の「原発ゼロ」を目標にすると、
家庭の電気料金を含む光熱費が月額で最大3万2243円となり、2010年
実績(1万6900円)の約2倍に上昇するという。


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