4457.クリントン国務長官の訪中で



クリントン米国務長官は3日、中国と東南アジア諸国は南シナ海の
紛争解決を図るため、行動規範の作成に決然として取り組む必要が
あるとし、緊張を高めることとなった威嚇や圧力を控える必要があ
るとの考えを明らかにした。

そして、クリントン米国務長が4日北京に到着し、中国の楊潔チ外
相と会談を行ったが、この会談が中国側は、お気に召さないのか、
習近平国家副主席との5日予定していた会談を急遽、取りやめた。

この原因を、水泳中に背中を痛めたためとしている。

そして、中国の胡錦濤国家主席は5日午前、クリントン米国務長官
と人民大会堂で会談した。両国の経済関係の強化に加え、沖縄県・
尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る対応策も協議したとみられる。
クリントン長官は、改めて日本との緊張緩和を促した模様だ。

胡錦濤国家主席は米中協調外交をしてきたが、その胡主席は完全引
退になり、協調外交の見直し期になっている。このため、クリント
ン長官と会談することで次期国家主席になる習近平氏は、中国を将
来的に縛る可能性が出るとみてキョンセルしたようだ。

この観点を温家宝首相は出した。5日、北京でクリントン米国務長
官と会談し、「中国の主権や領土統一を尊重し、中国の核心的利益
と国民感情に配慮すべきだ」と訴えた。台湾問題などを絡めながら
、暗に沖縄・尖閣諸島などの領土問題に対する米国の介入を牽制し
た。

このようにアジア太平洋地域で米国が戦略的に存在感を高めている
ことに対する中国政府と世論の懐疑的見方に直面している。

クリントン長官は、南シナ海と東シナ海での近隣諸国との領土問題
で中国指導部に圧力をかける狙いがあるが、中国の軍事力が大きく
なり、米国の脅しが効かなくなっている。

11月の東アジアサミットでは米国や領土問題を抱える一部の国々が
多国間協議の場で領土紛争についての議論を求める公算が大だ。

この多国間協議を中国は反対している。このため、米国と企てに乗
らないように習近平国家副主席は急遽、会談を取りやめたのだ。

このように中国の強硬な対応を止められなくなってきたように感じ
る。今後、相当な覚悟が必要であるとみるがどうであろうか?

さあ、どうなりますか?
==============================
背中にケガ? クリントン長官との会談中止で飛び交う憶測
 中国副主席
2012.9.6 01:38sankei

 【北京=川越一】中国の習近平国家副主席は5日、訪中している
クリントン米国務長官らとの会談を急遽キャンセルした。今秋の共
産党大会で胡錦濤総書記(国家主席)の後を継いで最高指導者とな
る人物とあって、異例の事態にインターネット上では臆測が飛び交
い、中国側は火消しに躍起となった。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は米政府当局者
の話として、会談中止は副主席の「背中のケガ」が原因だと伝えた。
負傷理由や程度は不明。フランス通信(AFP)は、シンガポール
のリー・シェンロン首相やロシア高官との会談も中止したと伝えた。

 中国版ツイッター「微博」などでは、「日本政府の尖閣諸島購入
と何か関係があるようにみえる」「軍事作戦でも準備しているのか
?」といった書き込みがあったという。また、背後から刺されたこ
との比喩ととらえ、「政変ではないか」との見方も広がった。

 AFPによると、中国側がクリントン長官との会談中止を申し入
れたのは4日深夜だったという。楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎
に)外相は5日、「不必要な臆測はしないよう望む」と述べたほか
、外務省報道官も通常の「日程調整」だと強調し、火消しに走った。
==============================
温家宝首相、米介入を牽制 クリントン長官と会談
2012.9.6 01:37sankei

 【北京=川越一】中国の温家宝首相は5日、北京でクリントン米
国務長官と会談し、「中国の主権や領土統一を尊重し、中国の核心
的利益と国民感情に配慮すべきだ」と訴えた。台湾問題などを絡め
ながら、暗に沖縄・尖閣諸島などの領土問題に対する米国の介入を
牽制(けんせい)した形だ。

 クリントン氏は同日、胡錦濤国家主席とも会談。尖閣諸島や南シ
ナ海で高まる中国と周辺諸国との領土問題を念頭に、特定の立場を
取らない考えを中国側に伝えたという。

 しかし、米国は尖閣諸島問題に関し、日米安保条約が基本的に適
用されるという認識を崩していない。これに反発する中国は、関係
当事国による解決を主張し、米側が中立を保つよう求めてきた。

 現在、中国国内でもっとも顕著なのは尖閣問題をめぐる反日感情
だ。それを守るためには武力行使もいとわない「核心的利益」と明
言することを避けながら、尖閣や南シナ海では、一歩も引かない決
意を示した。
==============================
中国:胡主席、米国務長官と会談
毎日新聞 2012年09月05日 13時07分(最終更新 09月05日 14時13分)

 【北京・工藤哲】中国の胡錦濤国家主席は5日午前、北京を訪れ
ているクリントン米国務長官と人民大会堂で会談した。両国の経済
関係の強化に加え、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る対
応策も協議したとみられる。クリントン長官は、改めて日本との緊
張緩和を促した模様だ。

 会談で胡主席は「長官はこれまで、中米関係の発展に努力してき
た」と指摘。クリントン長官は「米中関係には堅固な基礎が築かれ
ていると信じている」などと応じ、東アジアの不安定化を望まない
米国側の意向を改めて伝えたとみられる。

 AFP通信によると、クリントン長官は5日午前に習近平国家副
主席との会談を予定していたが、中国側の事情でキャンセルとなっ
た。クリントン長官は温家宝首相らとも会談する。
==============================
習副主席と米長官の会談中止
 【北京AFP=時事】米当局者は5日、中国の習近平国家副主席
が同日予定していたクリントン国務長官との会談を取りやめたこと
を明らかにした。
 同当局者によると、中国側から前夜、「予想外のスケジュール上
の理由で」会談できなくなったとの連絡があった。5日予定されて
いた習副主席とシンガポール首相、ロシア当局者との会談も中止に
なったという。(2012/09/05-12:42)
==============================
米国務長官、中国で強まる懐疑的見方に直面
2012年 9月 5日 9:57 JST
WSJ
【北京】アジアを歴訪中のクリントン米国務長官は4日夕、北京入り
し中国の指導部と会談する。会談ではアジア太平洋地域で米国が戦
略的に存在感を高めていることに対する中国政府と世論の懐疑的見
方に直面することになる。

インドネシアから北京に到着したクリントン長官は中国の楊外相に
迎えられた。中国は同長官のアジア歴訪で最後の訪問国となる。今
回の訪問は、世界経済成長にとって重要である一方、領土問題、軍
の増強、強まるナショナリズムに特色づけられるアジアに対するオ
バマ政権の外交戦略の修正を改めて示すものだ。

 米国務省の声明によると、クリントン長官は楊外相に対して、「
われわれは中国との間に協力的パートナーシップを構築することに
力を注いでいる。これはアジア太平洋地域で新たなバランスを取る
上でカギとなるものだ」と強調した。同長官は、胡錦濤国家主席や
習近平国家副主席らとも会談する。同副主席は今年末に始まる10年
に1度の中国指導部の交代で、胡錦濤氏の後任として中国共産党総書
記に就任するとみられている。

 クリントン長官は、南シナ海と東シナ海での近隣諸国との領土問
題で中国指導部に圧力をかける公算が大きいが、これは非常に難し
い課題だろう。米政府は領土紛争では一方に荷担しないと繰り返す
一方で、同地域における航行の自由を確保することが米国の利益に
なると主張している。

 今回の訪問が外交的突破口を開くことは期待できない。外交筋や
アナリストらはむしろ、これを11月の東アジアサミットに向けての
地ならしとみている。このサミットでは米国や領土問題を抱える一
部の国々が多国間協議の場で領土紛争についての議論を求める公算
が大だ。中国はこれまでこうしたやり方に反対し、領土紛争は2国間
で扱うべきだとしている。

 中国の国営メディアはここ数日、クリントン長官の戦略への不信
感を示す一連の論評をしている。同国の多くの人は、米国は中国の
急速な経済的、政治的台頭を封じ込めようとしている、との不安を
抱いている。

 今回の中国訪問はおそらく、国務長官としてのクリントン氏の最
後の訪問となるだろう。同氏は11月の米大統領選挙後に国務長官ポ
ストを去るとみられている。

 中国共産党機関紙「人民日報」のタブロイド紙である環球時報は
その社説で、「クリントン氏が過去数カ月間に中米関係に深い傷を
与えたことを退任前に反省し、この修復に努めることを希望する」
と指摘した。

 中国外務省は8月、アジア太平洋地域における米国の意図について
厳しい言葉で疑問を呈した。また、外務省の洪磊報道官はクリント
ン長官の訪中を前にした4日の定例会見で、「中国は米国側が約束を
守り、地域の平和と安定のためにもっと努力するよう希望する」と
述べた。

 しかし中国のアナリストは、アジア外交の戦略修正が中国の影響
力を封じ込めようとするものではないと米国は言うが、その一方で
中国とベトナムやフィリピンなど周辺の国々との関係を一段と悪化
させようとしており不誠実だ、と批判している。

記者: Brian Spegele 
==============================
米中外相が北京で会談、中国外務省は領土問題でけん制
2012年 09月 5日 08:13 JST 

[ジャカルタ/北京 4日 ロイター] クリントン米国務長が4
日、インドネシアのジャカルタから北京に到着し、中国の楊潔チ外
相と会談を行った。

会談の詳しい内容は明らかになっていないが、両外相は会見などを
通じ、建設的なトーンを強調。クリントン長官は米中関係について
、オバマ政権が進めるアジア太平洋重視政策の鍵になると述べ、楊
外相も米国との「新たな大国間関係」の構築に引き続き努力すると
語った。

ただ、中国外務省の洪磊報道官は、記者会見で「米国は(領有権問
題では)どちらかに肩入れしないと繰り返してきた。その約束を守
り、地域の平和と安定に貢献する役割を望む。その逆ではない」と
語り、南シナ海などの領有権問題で米国をけん制する姿勢を示した。

クリントン長官は5日、胡錦濤国家主席や温家宝首相のほか、次期
国家主席に内定している習近平国家副主席とも会談する予定となっ
ている。
==============================
クリントン米国務長官、南シナ海紛争での威嚇に警告
2012年 09月 4日 03:11 JST 

[ジャカルタ 3日 ロイター] クリントン米国務長官は3日、
中国と東南アジア諸国は南シナ海の紛争解決を図るため、行動規範
の作成に決然として取り組む必要があるとし、緊張を高めることと
なった威嚇や圧力を控える必要があるとの考えを明らかにした。

4日の訪中を前にインドネシアを訪問しているクリントン国務長官
は、中国や他の領有権主張国に対し、停滞している外交を元通りに
し、向こう数カ月中に合意を目指すことが必要不可欠と述べた。

クリントン国務長官は「米国は領有権をめぐる問題に肩入れするこ
とはない。域内各国が圧力や脅し、威嚇やもちろん力の行使を行わ
ず、紛争解決に向け共に取り組む必要がある」と話した。
==============================
クリントン長官、ASEANの「結束」求める インドネシア外相
と会談
2012.9.4 00:43sankei

 【シンガポール=青木伸行】クリントン米国務長官は3日、イン
ドネシアの首都ジャカルタでマルティ外相と会談し、南シナ海の安
定のために、中国との行動規範策定へ、東南アジア諸国連合(AS
EAN)が結束するよう強く促した。中国の分断工作により、AS
EAN内に生じている亀裂を修復する狙いがある。

 長官は会談とその後の記者会見で、領有権問題を威圧や武力によ
らず解決するために協力し合い、行動規範の「意味ある進展」を実
現するよう求めた。マルティ外相も、ASEANが結束する必要性
を強調した。

 7月のASEAN外相会議では中国の分断工作が奏功し、領有権
問題をめぐる内部対立から、共同声明を採択できない異常事態とな
った。その後、マルティ外相が親中派のカンボジアや対中強硬派の
フィリピンなどを歴訪し、亀裂の修復に動いた。しかし、カンボジ
アはフィリピンから大使を召還するなど、溝は深い。

 領有権問題を2国間で処理したい中国の思惑通り、ASEANの
結束が損なわれたままでは、中国の行動を法的に縛る行動規範の策
定は頓挫する。そうした懸念が米国にはある。これに加えインドネ
シアには、ASEANが多国間の枠組みにおいて、常に「車の運転
席に座る」という、ASEANの「中心性」が損なわれるとの危機
感がある。


コラム目次に戻る
トップページに戻る