4449.中国にらみ島嶼防衛を初めて想定



26日に一般公開された富士総合火力演習では、敵部隊の島嶼部侵
攻に対し、陸海空の3自衛隊を統合運用するシナリオを初めて導入
した。防衛省は南西諸島防衛の強化を掲げており、今回の演習は島
嶼部有事に際して即時に戦力を投射する防衛省の「動的防衛力」構
想を具現化した。

海上自衛隊のP3C哨戒機が参加したのも今回が初めてだ。演習で
はP3Cが敵部隊の潜水艦、艦艇の動静を探り、航空自衛隊のF2
戦闘機が対艦ミサイルで爆撃する役割を演じた。「10式戦車」の
実弾射撃を初めて公開した。

そして、防衛省は水上航行と陸上走行が可能で、部隊の上陸時に用
いる水陸両用車を初めて陸上自衛隊に導入する方針を固めた。

というように、動的防衛力というコンセプトを強固に反対していた
陸自の幕僚たちも、やっと陸自の演習に統合運用という概念を入れ
たようである。

その理解能力が遅過ぎるが、やっと理解してそちらへの方向にシフ
トしたようで、水陸両用車を初めて陸上自衛隊に導入するという。
しかし、これには発進拠点となる強襲揚陸艦が必要になる。この運
用は海自になり、陸自と海自が統合運用をしないとできない。

旧軍から続く海自と陸自の反目をそろそろ止めるべきである。

さあ、大規模な兵力の中国軍と戦える小規模な自衛隊は、どうすれ
ば勝てるのか、ここからは実際の戦争を想定した軍備拡充が必要に
なる。もちろん、抑止力も日本は持つことが必要になる。
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富士総合火力演習 中国にらみ島嶼防衛を初めて想定
2012.8.26 21:40 sankei

 26日に一般公開された富士総合火力演習では、敵部隊の島嶼(
とうしょ)部侵攻に対し、陸海空の3自衛隊を統合運用するシナリ
オを初めて導入した。防衛省は平成22年に策定した「防衛計画の
大綱」で南西諸島防衛の強化を掲げており、今回の演習は島嶼部有
事に際して即時に戦力を投射する防衛省の「動的防衛力」構想を具
現化したものだ。陸自は特定の仮想敵国や侵攻地域の想定を否定す
るが、中国による沖縄県・尖閣諸島侵攻への対処を強く意識してい
ることは明らかだ。

 昭和41年から一般公開されている同演習に、海上自衛隊のP3C
哨戒機が参加したのも今回が初めてだ。昨年までは、敵部隊上陸後
の地上戦のみを想定した演習だったが、今年は艦艇で島嶼部に接近
してきた部隊を洋上で迎撃するシナリオを初めて採用した。実際の
島嶼部侵攻の対処には、陸海空3自衛隊の一体的な統合運用が不可
欠なためだ。

 演習ではP3Cが敵部隊の潜水艦、艦艇の動静を探り、航空自衛
隊のF2戦闘機が対艦ミサイルで爆撃する役割を演じた。一部の敵
部隊に上陸を許したと仮定し、陸自部隊が偵察から火砲射撃、突撃
、敵部隊の制圧までの一連の作戦行動を披露した。

 今年の訓練では「10式戦車」の実弾射撃を初めて公開した。
10式は旧式の90式に比べて機動性、火力、防護力が向上し、味
方の部隊同士を結ぶ高度なネットワークシステムが特徴だ。少ない
戦力で効率的な攻撃を実現し、対戦車ミサイルを回避できる10式
の高機動性が、敵部隊に与える脅威は少なくない。陸自幹部も「世
界でも10式を超える戦車はどこにもない」と胸を張る。

 また、GPS(衛星利用測位システム)を利用し、ヘリコプター
型の無人偵察機(FFRS)も初めて公開された。

 演習は26日の一般公開を前に3日間の予行訓練を実施したが、
その期間に17カ国の駐在武官が偵察に訪れた。その中には尖閣諸
島や島根県の竹島をめぐり日本と対立する中国や韓国の武官の姿も
あった。(峯匡孝)
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防衛省、水陸両用車を初導入へ 南西諸島で対処、4両

 防衛省は水上航行と陸上走行が可能で、部隊の上陸時に用いる水
陸両用車を初めて陸上自衛隊に導入する方針を固めた。2013年
度予算の概算要求で4両分の調達経費として、計約30億円を盛り
込む。複数の防衛省関係者が26日、明らかにした。海洋進出を続
ける中国をにらみ、沖縄県の南西諸島防衛などで機動的に対処する
「動的防衛力」を強化する狙いだ。

 香港の活動家らによる沖縄県・尖閣諸島上陸事件や韓国の李明博
大統領による島根県・竹島上陸を防衛力増強の追い風として、配備
を進める思惑もありそうだ。

2012/08/27 02:00 【共同通信】
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古い水陸両用戦闘車を日本は購入 
2012/08/27FJさんのツイッター

日本が買おうとしている水陸両用車は、AAV7の可能性が高い。
このAAV7は1960年代、すなわち半世紀も間に開発された古い水陸両
用戦闘車である。米海兵隊は特にその水上における速度の遅さから
現代戦における有用性が限定的であるとして後継車EFVの開発に取り
組んだが、コスト増のため結局一度断念している。代わりのACVを現
在開発中である。

米軍におけるAAV7はやがてこのACVと陸上での輸送を担うMPC、それ
にAAV7の近代化したもので更新される予定であるが、その過程で幾
らか余剰のAAV7が出てくる。その「お下がり」を低価格であること
を条件に日本が導入することは、コスト面から言えばさほど問題は
ないと考えられる。

他方、調達が数台に留まるのは、導入するとしてもまだ実験的段階
であり、実際の運用に耐えるか疑問な所も多いからであろう。特に
日本は、AAV7の発進拠点となる強襲揚陸艦を持たない。ウェルドッ
クを装備する「おおすみ」型輸送艦からの発進が可能であると見て
いるのだろうが、実際はどうか。

それに水陸両用車両がそんなに有用なものだとの思い込みも避ける
必要がある。AAV7は導入後半世紀近く経つ旧式装備だ。米軍ではベ
トナム戦争のころから使っている。最大の弱点は水上での速度が遅
く、脆弱性が高いことだ。長時間の搭乗は船酔いを悪化させるため
、移動距離も短くならざるを得ない。

水上速度を重視すればどうしても軽量化を図る必要が出てくる。し
かしそれは装甲を減らすことを意味し、陸上戦闘において制約が出
る。水陸の機能を両立させるのは困難で、米軍もそれを志向して高
コスト化したEFVを断念した。米軍は水陸で使用する戦闘車両を今後
は分ける発想を導入する可能性がある。

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