4447.領土問題でロシア専門家の意見



昨日、あるロシア専門家の面白い話を聞けたが、多くの話がオフレ
コというので、その一部を紹介したい。この人は、民主党政権につ
いては是々非々で判断しているが、民主党の政策を見ると是が少な
く、非々々々ばかりであるという。

特に、鳩山元首相は、2001年に東アジア共同体を唱えて、かつ
首相になってから「日本の領土は、日本人だけの領土ではない。」
と発言して、領土を放棄する可能性を示唆したので、ロシア・韓国
・中国は、尖閣・竹島・北方4島で領土問題の攻勢を強めた。タス
通信は、その発言時に日露間の領土問題は解決したと報じた。

しかし、鳩山元首相は、「私が首相の時代には領土問題は起きてい
ない」と発言して、周囲を唖然とさせている。鳩山さんの「友愛」
が領土問題を起こしたのである。日米同盟を弱体化させたことを挙
げる評論家が多いが、それより、こちらの影響の方が大きい。

日本以外の国では領土紛争が歴史上で何度もおきているので、領土
は血で贖うという意識が強い。このため、交渉で領土を返すはずが
ない。特にロシアは特にそうである。

戦後、ロシアが武装解除した日本の北方四島を軍隊を入れて不当に
占拠したのが、問題が起きた原因である。だから、そう簡単に返還
を諦めたり、安易な交渉したりはできない。正義を掲げて日本は、
国際社会に訴えることである。

このロシアでも問題が出ている。シベリアの人口が減少している。
ロシアの人口は、1.4億人であり、1990年代から人口減少に
転じて、この内、シベリアでの人口は800万人しかいない。ロシ
アの60%の領土に6%の人口しかいないことになる。そして、そ
の代わりに中国人が浸透している。シベリアが中国化する可能性が
ある。

このため、朝鮮人などを入れて中国化を阻止しているが、シベリア
の独立が起こる可能性もあり、北方四島問題より大きな問題を抱え
ている。また、ロシアは太平洋の覇権を中国と米国で分割する話を
聞いて、太平洋への足がかりを作る必要があるとプーチンは思って
いる。北極海航路などもあり、この地域が重要になっている。特に
中国が狙っていることをロシアは知っている。

もう1つ、ソ連崩壊後、プリマコフ外相の下で北方四島を日本が買
い取る交渉が進み、エリツィン大統領も了承していた。しかし、モ
スクワ政界の反対で潰された。このように、今後のロシア国家崩壊
時に返還される可能性がある。それまで待つしかない。

しかし、今の日本は、エネルギー問題を抱えて、シベリアのLNG
を買おうとしているが、日本需要量の10%が現在ロシア産になっ
ている。しかし、欧州で行われたことを想起してほしい。ロシアは
気に入らないことがあるとガスのバルブを閉めて、供給を止める。
このことを日本は勘定に入れて付き合うことである。

ロシアのガスを欧州は買わなくなっている。それは供給が不安定な
ことと、シェールガスがカナダ、米国で出て、それを買い始めたか
らである。このため、ロシアとしてはアジア市場を狙い始めている。

9月のAPECでは、ロシアはアジアに石油とガスを売る魂胆であ
る。しかし、ガスを買うから領土交渉で譲歩しろと言っても、ロシ
アは日本の足元を見ているので、譲歩はしない。よくても、2島を
返すだけである。

北方四島での歯舞、色丹の面積は3%であり、97%が択捉、国後
である。半分の面積でも国後を取り、択捉の1/4をもらう必要が
ある。麻生首相の時に3.5島返還という案が出たが、これは交渉
を前提としているので、間違いであると見る。しかし、ロシアは、
鳩山以後では、この案の国後島と択捉島の1/4を返すことはない。

お話の後、尖閣諸島で中国が領土を奪いに来ると戦争が起こると質
問したが、戦争で領土を奪われたと言う話に刷り返られた。専門家
も次期日中戦争までの話に言及したくないようである。

さあ、どうなりますか?


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